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p53癌抑制蛋白との結合に関与するC型肝炎ウイルス非構造蛋白NS3のアミノ酸残基の同定と、医薬開発への利用

国内特許コード P08A013926
整理番号 KP04-024
掲載日 2008年10月31日
出願番号 特願2004-260736
公開番号 特開2006-075038
登録番号 特許第4565180号
出願日 平成16年9月8日(2004.9.8)
公開日 平成18年3月23日(2006.3.23)
登録日 平成22年8月13日(2010.8.13)
発明者
  • 堀田 博
出願人
  • 国立大学法人神戸大学
発明の名称 p53癌抑制蛋白との結合に関与するC型肝炎ウイルス非構造蛋白NS3のアミノ酸残基の同定と、医薬開発への利用
発明の概要

【課題】 NS3アミノ末端領域においてp53との結合に関与する重要なアミノ酸残基を同定することにより、その知見を利用した新規医薬のスクリーニング方法を提供すること、特に、C型肝炎治療薬あるいはC型肝癌発症予防薬といった医薬の開発に有用なスクリーニング方法を提供すること。
【解決手段】 本発明は、C型肝炎ウイルスによる肝炎もしくは肝癌の治療または発症予防に使用される医薬のスクリーニング方法であって、C型肝炎ウイルスの非構造蛋白NS3とp53癌抑制蛋白との結合を阻害する物質を探索し、あるいはさらに当該結合阻害物質の中からNS3セリンプロテアーゼ活性を阻害する物質を探索することを特徴とする。このスクリーニング方法において、第106番目のロイシン等の、p53との結合に重要なアミノ酸残基に着目して、当該アミノ酸残基を含む領域と結合する物質を探索することにより、効率の良いスクリーニングが可能になる。
【選択図】 なし

従来技術、競合技術の概要


フラビウイルス科に属するC型肝炎ウイルス(以下、「HCV」と略記する場合がある)は、慢性肝疾患の主要な原因ウイルスであり、感染者の15~20%に肝硬変をおこす。そして、肝硬変患者では年率1~4%の割合で原発性肝細胞癌が発生し、我が国では、C型肝炎ウイルス感染者の約30%が確実に肝細胞癌になると推測されている。



HCVのゲノム(遺伝子)は1本鎖プラス鎖のRNAで、約9600塩基で構成されており、約3000のアミノ酸をコードしている。この前駆体蛋白は宿主細胞のシグナルペプチダーゼとウイルスがコードする2種類のプロテアーゼによって開裂を受け、コア、エンベロープ1(E1)、E2、p7、非構造蛋白2(NS2)、NS3、NS4A、NS4B、NS5AおよびNS5Bの10種類のウイルス蛋白を生じる。



図14は、HCV粒子、HCV遺伝子、およびHCV蛋白を模式的に示したものである。同図に示すように、HCV粒子は、ウイルス遺伝子RNAと3種類の構造蛋白(C(コアタンパク質)、E1タンパク質およびE2タンパク質)からなる。HCV遺伝子は約9600塩基のRNAからなり、一つの大きなオープンリーディングフレームがある。そのオープンリーディングフレームは約3000アミノ酸残基からなる前駆体蛋白をコードしている。この前駆体蛋白は、宿主細胞のシグナルペプチダーゼとウイルス固有の2種類のプロテアーゼ(HCV亜鉛プロテアーゼおよびHCVセリンプロテアーゼ)によりプロセシングされ、少なくとも上記10種類の成熟ウイルス蛋白を生じる。NS3を含め、NS2~NS5Bはウイルス粒子を構成しないが、ウイルス増殖には必須の非構造蛋白である。



HCVのゲノムは変異に富んでおり、それに基づいてHCVは6種類のゲノタイプと60種類以上のサブタイプに分類されている。サブタイプ1b(HCV-1b)は日本を含むアジア地域で最も頻度の高いサブタイプで、アジア以外でも、欧米を含む世界中どこにでも多く検出される。一般的に、HCV-1bは他のサブタイプに比べてインターフェロン感受性が低く、また、肝細胞癌をおこしやすいことが知られている。



一方、ゲノタイプやサブタイプに関連する差異以外に、同じサブタイプ内でもウイルス株によって様々な性質の違いがあることも観察されている。例えば、HCV-1bのNS5Aのアミノ酸配列の違いによってインターフェロン感受性や血中ウイルス量の異なることが報告されている。また、本発明者は以前、NS3のアミノ末端領域の二次構造の多様性と肝細胞癌発症危険性がよく相関することを、多数の臨床検体を用いて明らかにした(下記の非特許文献1・2参照)。



NS3は、そのアミノ末端領域にセリンプロテアーゼを、また、カルボキシル末端にヌクレオシド3リン酸加水分解酵素(NTPase)やヘリカーゼをコードしている。NS3は、RNA依存性RNAポリメラーゼであるNS5Bを中心としたウイルス遺伝子複製装置の一部を構成し、ヘリカーゼ機能によるRNAの巻き戻しを介してウイルス遺伝子の複製に関与するとともに、セリンプロテアーゼ機能による前駆体蛋白のプロセシングを担う。すなわち、NS3は、ウイルス増殖に必須の多機能蛋白である。



NS3のアミノ末端領域はNS4Aと結合し、そのことを介してNS3が安定化され、そのセリンプロテアーゼ活性が亢進される。そのようなウイルス増殖に不可欠な酵素活性以外に、NS3は肝細胞癌の発生に関わっていると考えられる。例えば、NS3のアミノ末端領域が種々の培養細胞(マウスやラットの線維芽細胞、ヒト肝細胞など)を悪性形質転換(癌化)させることが報告されている(下記の非特許文献3・4参照)。



また、本発明者もこれまでに、NS3がマウス線維芽細胞(NIH3T3細胞)にアクチノマイシンD誘導性アポトーシスに対する抵抗性を付与すること(下記の非特許文献5参照)、さらに、NS3のアミノ末端領域180残基がp53癌抑制蛋白と相互作用すること、及びその相互作用はNS3アミノ末端領域の配列によって異なることを観察している(下記の非特許文献6~8参照)。




【非特許文献1】Ogata, S., Y. Ku, S. Yoon, S. Makino, M. Nagano-Fujii, and H. Hotta. 2002. Correlation between secondary structure of an amino-terminal portion of the nonstructural protein 3 (NS3) of hepatitis C virus and development of hepatocellular carcinoma. Microbiol. Immunol. 46:549-554.

【非特許文献2】Ogata, S., R. H. Florese, M. Nagano-Fujii, R. Hidajat, L. Deng, Y.,Ku, S. Yoon, T. Saito, S. Kawata, and H. Hotta. 2003. Identification of hepatitis C virus (HCV) subtype 1b strains that are highly, or only weakly, associated with hepatocellular carcinoma on the basis of the secondary structure of an amino-terminal portion of the HCV NS3 protein. J. Clin. Microbiol. 41:2835-2841.

【非特許文献3】Sakamuro, D., T. Furukawa, and T. Takegami. 1995. Hepatitis C virus nonstructural protein NS3 transforms NIH 3T3 cells. J. Virol. 69:3893-3896.

【非特許文献4】He, Q. Q., R. X. Cheng, Y. Sun, D. Y. Feng, Z. C. Chen, and H. Zeng. 2003. Hepatocyte transformation and tumor development induced by hepatitis C virus NS3 C-terminal deleted protein. World J. Gastroenterol. 9:474-478.

【非特許文献5】Fujita, T., S. Ishido, S. Muramatsu, M. Itoh, and H. Hotta. 1996. Suppression of actinomycin D-induced apoptosis by the NS3 protein of hepatitis C virus. Biochem. Biophys. Res. Commun. 229:825-831.

【非特許文献6】Ishido, S., and H. Hotta. 1998. Complex formation of the nonstructural protein 3 of hepatitis C virus with the p53 tumor suppressor. FEBS Lett. 438:258-262.

【非特許文献7】Ishido, S., T. Fujita, and H. Hotta. 2000. Possible involvement of the NS3 protein of hepatitis C virus in hepatocarcinogenesis: Its interaction with the p53 tumor suppressor, p. 37-55. In N. A. Habib, (ed.), Hepatocellular Carcinoma: Methods and Protocols. Humana Press, Totowa, NJ.

【非特許文献8】Muramatsu, S., S. Ishido, T, Fujita, M. Itoh, and H. Hotta. 1997. Nuclear localization of the NS3 protein of hepatitis C virus and factors affecting the localization. J. Virol. 71:4954-4961.

産業上の利用分野


本発明は、C型肝炎ウイルス非構造蛋白(増殖関連多機能蛋白)NS3のアミノ末端領域においてp53癌抑制蛋白との結合に関与する重要なアミノ酸残基を同定することにより、その知見を医薬開発に応用する技術に関し、特に、C型肝炎治療薬あるいはC型肝癌発症予防薬といった医薬開発に用いる技術に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
C型肝炎ウイルスによる肝炎もしくは肝癌の治療または発症予防に使用される医薬のスクリーニング方法であって、C型肝炎ウイルスの非構造蛋白NS3のアミノ末端領域における
(i)第43番目のフェニルアラニンと相互作用し、当該第43番目のフェニルアラニンを含む結合関与領域と結合する物質
(ii)第106番目のロイシンと相互作用し、当該第106番目のロイシンを含む結合関与領域と結合する物質、又は
(iii)第138番目のセリンと相互作用し、当該第138番目のセリンを含む結合関与領域と結合する物質
を探索することを特徴とし、
前記NS3のアミノ末端領域は配列番号1のアミノ酸配列からなり、
前記結合関与領域が、NS3のアミノ末端領域における30から80のアミノ酸残基である、
スクリーニング方法。

【請求項2】
C型肝炎ウイルスによる肝炎もしくは肝癌の治療または発症予防に使用される医薬のスクリーニング方法であって、
C型肝炎ウイルスの非構造蛋白NS3のアミノ末端の領域における第138番目のセリンをプロリンに置換したNS3変異蛋白を作製し、当該変異蛋白とp53蛋白との結合を阻害する物質を探索することを特徴とし、
前記NS3のアミノ末端領域は配列番号1のアミノ酸配列からなる、
スクリーニング方法。
産業区分
  • 微生物工業
  • 薬品
  • 薬品
  • 治療衛生
  • 工業用ロボット
  • 試験、検査
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 権利存続中
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