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インフルエンザ脳症の検査法、及び、ヒト髄液中に発現するタンパク質からなるマーカ、診断薬、診断キット コモンズ

国内特許コード P08A013938
整理番号 P04-012
掲載日 2008年10月31日
出願番号 特願2004-134869
公開番号 特開2005-292108
登録番号 特許第4399593号
出願日 平成16年4月1日(2004.4.1)
公開日 平成17年10月20日(2005.10.20)
登録日 平成21年11月6日(2009.11.6)
発明者
  • 藤井 克則
出願人
  • 学校法人千葉大学
発明の名称 インフルエンザ脳症の検査法、及び、ヒト髄液中に発現するタンパク質からなるマーカ、診断薬、診断キット コモンズ
発明の概要

【課題】 インフルエンザ脳症とくに小児インフルエンザ脳症の有効な検査法、マーカ、診断薬、診断キットを提供する。
【解決手段】 ヒト髄液、とくに小児髄液中に含まれる14-3-3タンパク質に特異的に結合する抗体、とくに一次抗体としてウサギ由来の抗体、二次抗体としてヤギ由来の抗体をマーカとして使用する。
【選択図】 図1

従来技術、競合技術の概要

ヒト髄液中にはアルブミンをはじめとして様々なタンパクが含有されている。髄液は脳表面および脳内部を循環することから、その成分はヒトの中枢神経疾患の病態を鋭敏に反映することが知られている。すなわち、脳出血では髄液中に赤血球が、髄膜炎や脳炎では白血球が、また多発性硬化症では免疫グロブリンが増加する。


14-3-3タンパク質は種を超えて高度に保存された2量体タンパク質であり、細胞の増殖分化、恒常性の維持、抗アポトーシス作用などを担っている。人体組織細胞中に広く存在するが、中でも脳神経細胞には細胞のタンパク重量の1%を占める程、豊富に含まれていることが知られている。


14-3-3タンパク質は正常髄液では検出されないが、異常プリオンタンパクによって発症するCreuzfeldt-Jakob(クロイツフェルトヤコブ)病(以下、CJD)の髄液において高率に検出されることから診断的価値が高いとされ、WHO(世界保健機関)が定めるCJDの診断基準にも14-3-3タンパク質の検出が含まれるようになった。


髄液中14-3-3タンパク質は、CJD以外にも脳腫瘍、脳出血、脳梗塞、血管性痴呆、髄膜炎、脊髄炎でも検出されることが報告されており、脳組織崩壊を反映する可能性が示唆されている。これらの報告はすべて成人領域であって、小児領域(おもに18歳以下)での集約された報告は現在までない。


14-3-3タンパク質はそのアミノ酸配列の差異から7つのアイソフォーム、β、γ、ζ、θ、ε、σ、ηが知られている。それぞれのアイソフォームはアポトーシスシグナル、増殖分化、細胞内輸送、細胞周期調節などの異なる機能を持つとされるが詳細は不明である。


14-3-3タンパク質の7つのアイソフォームの脳内における分布は、マウスの研究からβ、ζ、γ、ηは神経細胞体と神経核に、εは中枢神経灰白質に、ηは小脳核、視床下部核、神経細胞体、神経核に含まれることが報告されている。


髄液中に検出される14-3-3タンパク質のアイソフォームは疾患によって特異性があることが知られている。例えばCJDの髄液ではアイソフォームのうちβ、γ、η、εが検出され、またアルツハイマー病の髄液では常にηが検出されることが報告されているが、そのメカニズムについては不明であり、これらアイソフォームのパターン分析が臨床診断に結びつく可能性も示唆されている。


インフルエンザ脳症は、インフルエンザウイルス感染に伴っておきる急性脳症であって、インフルエンザ脳炎を含み、小児に頻発し予後不良の疾患である。脳組織および髄液中にウイルスゲノムがほとんど認められず、また治療法も確立されていないことから、小児難病の一つとされてきた。


小児神経疾患には、難治性神経疾患が数多くあるが、中でもインフルエンザ脳症はインフルエンザ感染に伴い小児にけいれんや意識障害が生じ、急性増悪して死の転帰を迎える予後不良疾患である。インフルエンザ感染時には高熱を来たすため、けいれん意識障害の初期には、良性である熱性けいれんか、あるいは予後不良のインフルエンザ脳症か臨床的に区別することが困難である。この初期の段階で明らかにインフルエンザ脳症であることを診断できれば、きわめて早期から集中治療を行い臨床的予後が改善できる可能性が考えられる。しかしながら現在まで初期にインフルエンザ脳症であることを診断できる方法は存在せず、早期診断のためのマーカーの開発が期待されている。


また急性期の脳障害の指標となる髄液タンパクは、NSE(Neuron Specific Enolase:神経特異性エノラーゼ)、MBP(Myelin Basic Protein)が知られているが、必ずしも病態を鋭敏に反映するとは言えず、適切な病態把握および予後判定のための信頼性の高い髄液タンパクの確立が急務とされている。

【特許文献1】 PCT国際公開番号:WO01/035093
【非特許文献1】 Berg D, Holzman C, Riess O. 14-3-3 proteinsin the nervous system. Nat Rev Neurosci. 2003 Sep;4(9):752-762.
【非特許文献2】 Masters SC, Subramanian RR, Truong A, YangH,Fujii K, Zhang H, Fu H. Survival-promoting functions of 14-3-3 proteins. Biochem Soc Trans. 2002 Aug;30(4)360-365.
【非特許文献3】 Baxter HC, Liu WG, Forster JL,Aitken A, Fraser JR. Immunolocalisation of 14-3-3 isoforms in normal and scrapie-infected murine brain. Neuroscience.2002;109(1):5-14.

産業上の利用分野

本発明は、インフルエンザ脳症の検査法、及び、ヒト髄液中に発現する14-3-3タンパク質からなるマーカ、診断薬、診断キット関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
ヒト髄液中に含まれる14-3-3タンパク質を指標としたインフルエンザ脳症の検査法。

【請求項2】
14-3-3タンパク質のアイソフォームにおいて、β
、θ 、γ
、ζ 、ε
の順に強く検出された場合に、インフルエンザ脳症であると判断する請求項1記載の検査方法。

【請求項3】
検査対象が、小児インフルエンザ脳症であり、ヒト髄液が小児髄液である請求項1または2記載の検査方法。

【請求項4】
インフルエンザ脳症の診断に用いるタンパク質マーカであって、ヒト髄液中に発現する14-3-3タンパク質からなるマーカ。

【請求項5】
14-3-3タンパク質が、β 、θ 、γ
、ζ およびε
のアイソフォームである請求項4記載のマーカ。

【請求項6】
診断対象が、小児インフルエンザ脳症であり、ヒト髄液が小児髄液である請求項4または5記載のマーカ。

【請求項7】
インフルエンザ脳症の診断薬であって、ヒト髄液中に発現する14-3-3タンパク質に特異的に結合する抗体を含む診断薬。

【請求項8】
インフルエンザ脳症の診断薬であって、14-3-3タンパク質におけるβ、θ、γ、ζおよびεのアイソフォームのそれぞれに特異的に結合する抗体を含む診断薬。

【請求項9】
14-3-3タンパク質が、小児髄液中に発現するタンパク質である請求項7または8記載の診断薬。

【請求項10】
抗体がモノクローナル抗体である請求項7から9のいずれかに記載の診断薬。

【請求項11】
インフルエンザ脳症の診断キットであって、ヒト髄液中に発現する14-3-3タンパク質に特異的に結合する一次抗体と、この一次抗体に特異的に結合し、かつ識別標識を有する二次抗体とを含み、前記識別標識の検出により前記14-3-3タンパク質を検出する診断キット。

【請求項12】
一次抗体が、14-3-3タンパク質におけるβ
、θ 、γ
、ζ およびεのアイソフォームのそれぞれに特異的に結合する抗体を含む請求項11記載の診断キット。

【請求項13】
14-3-3タンパク質が、小児髄液中に発現するタンパク質である請求項11または12記載の診断キット。

【請求項14】
一次抗体が、ウサギ由来の抗体であり、前記二次抗体がヤギ由来の抗体である請求項11から13のいずれかに記載の診断キット。

【請求項15】
一次抗体および二次抗体が、それぞれモノクローナル抗体である請求項11から14
のいずれかに記載の診断キット。

【請求項16】
識別標識が、酵素標識若しくは蛍光標識である請求項11から15のいずれかに記載の診断キット。
産業区分
  • 試験、検査
  • 治療衛生
国際特許分類(IPC)
画像

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出願権利状態 権利存続中
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