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植物培養細胞塊の状態を判別する方法、そのための装置および植物培養細胞塊の状態を判別するためのプログラム 新技術説明会

国内特許コード P08P005857
整理番号 424
掲載日 2008年10月31日
出願番号 特願2007-073835
公開番号 特開2008-261631
登録番号 特許第4848520号
出願日 平成19年3月22日(2007.3.22)
公開日 平成20年10月30日(2008.10.30)
登録日 平成23年10月28日(2011.10.28)
優先権データ
  • 特願2007-069896 (2007.3.19) JP
発明者
  • 荊木 康臣
出願人
  • 国立大学法人山口大学
発明の名称 植物培養細胞塊の状態を判別する方法、そのための装置および植物培養細胞塊の状態を判別するためのプログラム 新技術説明会
発明の概要

【課題】培養器内で培養環境にあるカルスの状態がフライアブルであるか、コンパクトであるかについての客観的な指標を与え、簡便で再現性よく客観的にカルスの状態を判別できるようにする。
【解決手段】カルスのカラー画像をグレースケール変換した画像と、カルスのカラー画像の色成分画像をグレースケール変換した画像とを生成し、各々のグレースケール変換した画像についてそれぞれ濃度共起行列法によるテクスチャ解析を行って画像のエントロピー値を算出し、カラー画像をグレースケール変換した画像と少なくとも1種類の色成分画像をグレースケール変換した画像とのエントロピー値の相関対比を行う。カルスの画像を良好に取得するには、カルスを収容する培養器外から載置面内の側方の照明光を与えた場合と、斜め前方からの照明光を与えた場合とについて撮影し取得された画像についてそれぞれテクスチャ解析を行う。
【選択図】図10

従来技術、競合技術の概要


植物細胞培養の技術は、医学、農業、食品製造等に広く利用される植物の二次代謝産物の効率的な生産、種苗生産技術への利用、種子のできにくい植物や種子の発芽率が低いため長期保存に適していない植物の保存等に利用されている。植物は二次代謝産物として、アルカロイド、テルペノイド、フラボノイド等さまざまな有用物質を生産するが、生産する量が少ないので、それらの成分を抽出するには大規模な圃場が必要になり環境を破壊することにもなる。そこで、植物細胞培養技術を用いることにより二次代謝産物を効率的に得ることができる。また、植物細胞培養は不定胚生産への利用など種苗大量生産技術としても有用である。



このような植物細胞培養技術を最大限に利用するために、培養細胞を高品質に維持することが必要であり、特に植物の培養細胞は未分化細胞塊であるカルスを誘導し培養することから始められることが多く、このカルスの適正な評価、選抜が培養による増殖効率や代謝物の生産効率に大きな影響を与える。さらに、カルスの状態の評価は培養の再現性を高めるために不可欠である。



カルスの状態を評価するにあたり、カルスを分類するのに使われるフライアブル・カルス(friable callus)、コンパクト・カルス(compact callus)という指標が一般的に用いられおり、この指標での分類により評価を行うのが有効であるとされている。カルスの状態を表す「コンパクト」は細胞同士が硬くしっかりとくっついて細胞塊になっている状態であり、一方「フライアブル」は細胞が緩く集まってもろい、ないし柔らかい細胞塊になっている状態を表しており、培養細胞の利用技術においては、細胞塊のこのようなフライアブル、コンパクトの状態を判別することが重要な意義を有している。



しかしながら、実際にフライアブル・カルス、コンパクト・カルスの判別を行うにあたり、現状では目視で判別することになり、そのため評価する者の主観による個人差が避けられず、客観性、一般性をもつ評価を行うのは困難であった。



培養細胞を客観的に評価するのに培養細胞を撮影し得られた画像から培養細胞の質を表す情報を抽出する画像解析の手法が一般的に試みられており、これには顕微鏡撮影によるミクロ画像を用いたものと、巨視的状態で撮影されたマクロ画像を用いたものとがある。ミクロ画像は多くの情報を含んでおり、解析手法も多様な形が利用可能であるが、試料のサンプリングに問題があり、どうしても試料を培養器外に取り出した破壊的な形での評価とならざるを得ない。これに対し、マクロ画像の場合は試料が培養器内にある状態で撮影することができ、サンプリングが容易で、培養細胞を客観的で単純かつ非破壊的に評価できる可能性をもつ。



非特許文献1には、細胞懸濁培養における培養細胞の評価の重要性、細胞懸濁液のマクロ画像のテクスチャ解析がその中に含まれる懸濁培養細胞の評価に有効であることについて記載されており、培養器の底面から蛍光灯からの透過光下で撮影した懸濁培養細胞のマクロ画像における細胞塊に対応する画素の総数、画像中の全画素のB成分の値の合計値を用いて細胞懸濁液の圧縮細胞量を推定することができること、マクロ画像から濃度共起行列法により抽出したテクスチャ特徴量と懸濁培養細胞の不定胚形成能力との対応を調べることにより、細胞懸濁液中に不定胚になる能力を持つ比較的大きい細胞塊が多く含まれるか、比較的細かい細胞塊が多く含まれるかという細胞懸濁液中の細胞塊の大きさの分布の違いがテクスチャ特徴量としてのエントロピーの差として現れることが示されている。



しかしながら、非特許文献1において、液体培地中で培養している懸濁培養細胞の評価にテクスチャ解析が有効であり、評価について細胞塊(カルス)の大きさや色の分布の違いによるテクスチャの違いを評価するものではあるが、培養細胞におけるフライアブル、コンパクトの状態の評価を行うものではなく、評価の有効性について十分なものではなかった。

【非特許文献1】Y.Ibaraki, K.Kurata「Application of image analysis to plant cell suspensioncultures」,Computers and Electronics in Agriculture 30(2001), pp193-203

産業上の利用分野


本発明は、植物培養細胞塊の状態を判別する方法、そのための装置および植物培養細胞塊の状態を判別するためのプログラムに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
載置面上に配置された透明な培養器内に培養環境において収容された植物培養細胞塊であるカルスを巨視的な大きさで撮影したカルスのカラー画像からカルスの状態がフライアブルであるかコンパクトであるかを判別する植物培養細胞塊の状態を判別する方法であって、前記カルスのカラー画像における背景部分を除去したカルスのカラー画像を生成することと、該背景部分を除去したカルスのカラー画像をグレースケール変換した画像と該背景部分を除去したカルスのカラー画像の少なくとも1種類の色成分画像をグレースケール変換した画像とを生成することと、前記カラー画像をグレースケール変換した画像と前記カラー画像の少なくとも1種類の色成分画像をグレースケール変換した画像とについてそれぞれ濃度共起行列法によるテクスチャ解析を行い各々のグレースケール変換したカルスの画像のエントロピー値を算出することと、算出された該エントロピー値を対比することによりカルスの状態がフライアブルであるかコンパクトであるかを定量的に判別することと、からなり、カルスの画像を撮影装置での撮影により取得する際に、前記カルスを収容する培養器の載置面内で側方からの照明光を前記培養器外から照射し撮影して側方照明によるカルスのカラー画像を取得するとともに、前記カルスを収容する培養器の載置面に斜め前方から照明光を前記培養器外から照射し撮影して斜め方向照明によるカルスのカラー画像を取得し、前記側方照明によるカルスのカラー画像と斜め方向照明によるカルスのカラー画像との両方についてそれぞれ前記濃度共起行列法によるテクスチャ解析を行いエントロピー値を対比するようにしたことを特徴とする植物培養細胞塊の状態を判別する方法。

【請求項2】
培養器載置台と、該培養器載置台上に配置され植物培養細胞塊であるカルスを培養環境において収容する透明な培養器に対し側方および斜め方向の照明光を前記培養器の外方から選択的に照射するための照明手段と、前記培養器載置台上に配置された培養器内に収容されたカルスを巨視的な大きさで撮影するための撮影部と、該撮影部により前記培養器載置台に配置されたカルスを収容する培養器の側方から前記照明手段により照明光を培養器外から照射し撮影して側方照明によるカルスのカラー画像を撮影し、また、前記培養器載置台に配置されたカルスを収容する培養器の斜め前方から照明光を培養器外から照射し撮影して斜め方向照明によるカルスのカラー画像を撮影するように撮影動作の制御を行う撮影動作制御部と、撮影により得られたカラー画像を取得しその背景部分を除去したカルスのカラー画像をグレースケール変換した画像と該背景部分を除去したカルスのカラー画像の少なくとも1種類の色成分画像をグレースケール変換した画像とを生成する画像取得前処理部と、該画像取得前処理部で生成されたカラー画像をグレースケール変換した画像とカラー画像の少なくとも1種類の色成分画像をグレースケール変換した画像とについてそれぞれ濃度共起行列法によるテクスチャ解析を行い各々のグレースケール変換したカルスの画像のエントロピー値を算出し相関対比を行うテクスチャ解析処理部と、からなり、前記テクスチャ解析処理部において前記側方照明によるカルスのカラー画像と斜め方向照明によるカルスのカラー画像との両方についてそれぞれ前記濃度共起行列法によるテクスチャ解析を行いエントロピー値を対比して、カルスの状態がフライアブルであるかコンパクトであるかを定量的に判別するようにテクスチャ解析処理を行うようにしたものであることを特徴とする植物培養細胞塊の状態を判別するための装置。

【請求項3】
載置面上に配置された透明な培養器内に培養環境において収容された植物培養細胞塊であるカルスを巨視的な大きさで撮影する際に前記カルスを収容する培養器の載置面内で側方からの照明光を前記培養器外から照射し撮影して取得された側方照明によるカルスのカラー画像と、前記載カルスを収容する培養器の載置面に斜め前方から照明光を前記培養器外から照射し撮影して取得された斜め方向照明によるカルスのカラー画像との両方について、カラー画像における背景部分を除去したカルスのカラー画像をグレースケール変換した画像と該背景部分を除去したカルスのカラー画像の少なくとも1種類の色成分画像をグレースケール変換した画像とをそれぞれ生成し、前記カラー画像をグレースケール変換した画像と前記カラー画像の少なくとも1種類の色成分画像をグレースケール変換した画像とについてそれぞれ濃度共起行列法によるテクスチャ解析を行い各々のグレースケール変換した画像のエントロピー値を算出し、前記カラー画像をグレースケール変換した画像と少なくとも1種類の色成分画像をグレースケール変換した画像とのエントロピー値の相関対比を行い、前記側方照明によるカルスのカラー画像と斜め方向照明によるカルスのカラー画像との両方についてそれぞれ前記濃度共起行列法によるテクスチャ解析を行いエントロピー値を対比し、カルスの状態がフライアブルであるかコンパクトであるかを定量的に判別することをコンピュータ上で実行するようにしたことを特徴とする植物培養細胞塊の状態を判別するためのプログラム。
産業区分
  • 試験、検査
  • 微生物工業
  • 治療衛生
国際特許分類(IPC)
画像

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出願権利状態 権利存続中
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