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成体膵由来膵幹細胞の製造方法 コモンズ

国内特許コード P08A013974
整理番号 P05-043
掲載日 2008年10月31日
出願番号 特願2005-116309
公開番号 特開2006-288327
登録番号 特許第5584875号
出願日 平成17年4月13日(2005.4.13)
公開日 平成18年10月26日(2006.10.26)
登録日 平成26年8月1日(2014.8.1)
発明者
  • 鈴木 一史
  • 浅野 武秀
出願人
  • 国立大学法人 千葉大学
発明の名称 成体膵由来膵幹細胞の製造方法 コモンズ
発明の概要 【課題】
成体膵由来膵幹細胞を簡便に製造する方法を提供すること、更には、その成体由来膵幹細胞を他の細胞種への分化に貢献すること。
【解決手段】
血清と増殖因子を含有する完全細胞培養液を、細胞外器質がコーティングされた細胞培養皿に塗布し、膵腺房細胞を培養して成体膵由来膵幹細胞を製造する方法とする。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要



人体における再生現象は古くから知られており、この現象には各臓器、組織に存在する幹細胞が大きな役割を果たしている。





幹細胞は胚性幹細胞(ES Cell)と成体幹細胞(Adult stem cell、organ stem cell、tissue stem cell)に大別される。





胚性幹細胞は人体又は動物のあらゆる細胞になりうる細胞であって、精子と卵子が受精してまもなくのblastcystと呼ばれる段階で、内細胞塊(inner cell mass)から得られる細胞をシャーレの上で(in Vitroで)培養したものである。マウス胚性幹細胞は1981年にEvansらによって、ヒト胚性幹細胞は1994年Bongsoらによって、初めて培養に成功した。





胚性幹細胞は上述のようにあらゆる細胞に分化しうる潜在能力をもっているため、この性質を利用して、神経細胞を作製しParkinson病やAlzheimer病、脊髄損傷などの治療や、膵β細胞を作製し糖尿病の治療に役立てようとする試みが行われている。実験段階で神経細胞やβ細胞を作製することに成功したとの報告は複数存在する。





しかしながら、胚性幹細胞は以下の技術的問題を抱えている。

(1)胚性幹細胞を未分化な状態で移植すると腫瘍(teratoma)が発生しやすい。

(2)ヒト胚性幹細胞株は染色体異常を起こしやすい。

(3)2001年以前に確立された胚性幹細胞株はマウス細胞(Feeder cells)とともに培養されており、マウスの細胞とのコンタミネーションが生じる可能性がある。

(4)完全に分化した細胞を作製するには多くのステップとコストが必要となる、という課題を有している。





また、胚性幹細胞研究の是非にはコンセンサスが得られておらず、アメリカでは2001年以前に確立された細胞株以外を利用した実験以外には連邦予算が交付されないなど新規の胚性幹細胞株の利用は非常に難しい状況にある。日本においても、実験に際しては文部科学省の承認が必要となる等の制限も多い。つまり胚性幹細胞研究は上記技術的問題に加え社会的課題をも抱えている。





一方、成体幹細胞は各臓器、組織に少数ではあるが存在し、組織再生のもとになると考えられている細胞であって、上記の胚性幹細胞研究における技術的課題、社会的課題を回避することができると期待されている。実際に成体幹細胞が分離されている臓器、組織としては骨髄(骨髄幹細胞)、神経(神経幹細胞)、骨格筋(衛星細胞)などが挙げられ、近いうちに各種臓器から幹細胞が分離されることが期待されている。





ところで、現在日本において糖尿病患者は約800万人いるといわれており、このうちインスリン注射が必要なインスリン依存型(IDDM)患者はそのうち約40~50万人程度と考えられている。そしてインスリン依存型患者に対して行われている一般的な治療法はインスリン投与であり、これは不足したインスリンを補充するいわゆる“補充療法”である。この療法は患者に毎日のインスリン注射という負担を強いる上、合併症の発生率も決して少なくないため、根治的な治療(根治的治療)が望ましい。





現在糖尿病の根治的治療としては膵臓移植や膵島移植があるが、この治療を受けた患者は平成16年まででわずかに17例(脳死13例、生体2例、心停止2例)に過ぎず、ドナー臓器の逼迫も深刻な問題であり、またドナー臓器が今後大幅に増加することも期待できない。





一方これに対し、同じく根治的治療であるが、機能を果たさなくなった膵β細胞の代わりになる細胞を移植する治療(cell replacement therapy)が考えられており、上述の膵臓移植や膵島移植のようなドナー臓器に関する上記課題も少ない。





なお、発癌に関する研究ではあるが、膵腺房細胞の可塑性が報告されている。例えば下記非特許文献1には、膵腺房細胞をTGFα(Transforming Growth Factorα)刺激下でコラーゲンゲル三次元培養を行う際に腺房細胞から管上皮細胞に変化する現象が観察され、この過程の途中で成体膵由来膵幹細胞が検出できたという記載がある。この実験で生じた成体膵由来膵幹細胞は膵腺房細胞に由来しながら、別の種類の細胞である膵管上皮細胞に変化していることから、この成体膵由来膵幹細胞は、膵幹細胞の性質を持つと考えられる。下記非特許文献1に記載された方法は、コラーゲンゲル中に含まれている細胞を、コラゲネース酵素を用いてゲルを溶かして取り出し、スライドガラスの上で乾燥させた後(cytologic smer法)、管上皮細胞に特異的な抗体、抗サイトケラチン20抗体を用いて、免疫染色法で検出するものである。

【非特許文献1】

iyamotoら、Cancer Cell、2003年、3(6)、pp565-576

産業上の利用分野



本発明は、成体膵由来膵幹細胞の製造方法に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
血清と、TGFα、EGF、FGF10の少なくともいずれかを含む増殖因子と、を含有する完全細胞培養液を、ゼラチンを含んでなる細胞外器質がコーティングされた細胞培養皿に塗布し、膵腺房細胞を脱分化させてNestin陽性の成体膵由来膵幹細胞を製造する方法。

【請求項2】
前記血清は、前記完全培養液に対して1~20%の範囲内で含有されていることを特徴とする請求項1記載の成体膵由来膵幹細胞を製造する方法。

【請求項3】
前記増殖因子は、前記完全培養液に対し1ng/ml~100ng/mlの範囲内で含有されていることを特徴とする請求項1記載の成体膵由来幹細胞を製造する方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2005116309thum.jpg
出願権利状態 登録
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