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植物における二次代謝物の産生を増大せしめる方法 コモンズ 外国出願あり

国内特許コード P08A013982
整理番号 P05-062
掲載日 2008年10月31日
出願番号 特願2005-191783
公開番号 特開2007-006778
登録番号 特許第4686716号
出願日 平成17年6月30日(2005.6.30)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
登録日 平成23年2月25日(2011.2.25)
発明者
  • フォージア アフリーン
  • サイード エムディアクター ゾバイド
  • 古在 豊樹
出願人
  • 学校法人千葉大学
発明の名称 植物における二次代謝物の産生を増大せしめる方法 コモンズ 外国出願あり
発明の概要

【課題】植物由来の大量の二次代謝物であるハイペリシン、グリチルリチン酸またはその誘導体を、迅速に産生する方法の提供。
【解決手段】植物における二次代謝物の産生を増大せしめる方法であって、植物が、セイヨウオトギリソウ、Glycyrrhiza属である植物の生育に影響する要素である光合成光子量密度、二酸化炭素の濃度、光の波長、明期、温度、湿度および栄養分の量からの少なくとも1種の要素の制御を、成苗期を経過した植物体に対して行うことを含む、前記方法。
【選択図】図8

従来技術、競合技術の概要


二次代謝(secondary metabolism)とは、多くの生物に共通してみられる生化学的反応である、エネルギー代謝、アミノ酸・タンパク質・核酸の生合成のような一次代謝(primary metabolism)に対して、限られた範囲の生物でのみ特異的にみられる代謝である(非特許文献1)。二次代謝物(secondary metabolite)の中には、生命の維持の上で重要な役割を持つものも少なくない一方、各種の動植物や微生物でアルカロイド・テルペノイド・フェノール類・抗生物質・色素など、その生理的意義が必ずしも明確でないものが大量に蓄積されることがある。



植物の二次代謝物としては、植物は二次代謝産物としてアルカロイド、テルペノイド、フラボノイドなどのさまざまな有用物質が知られている。これらの物質は広く医学分野、農学分野、食品分野などで利用されている。そして植物そのものや、その抽出物が有用物質として開発され、利用されている(非特許文献2)。しかしながら、植物体内の含有量は非常に少なく、しかも植物の成長は遅く、発芽から二次代謝物採取までに数年を要することも少なくない。さらに、植物採取によって環境破壊につながることもあるうえに、採取された二次代謝物の品質は必ずしも均一なものではなく、ニッケル、カドミウムのような、土壌由来の有害物質の混入が生じることもある。したがって、十分な量の均質かつ純粋な二次代謝物を迅速に取得することが、その利用における重要な課題となっている。



かかる課題の解決を目的として、1930年代末にR.J.ゴートレ、P.R.ホワイト(米国)によって植物細胞培養の継代培養法が確立されて以来、植物細胞培養を行うことにより、植物の二次代謝物を生産させることが試みられている(非特許文献2)。かかる試みにおける代表的な例は、培養条件を至適化することであって、これにより生産性の向上が認められている。さらに、培地中に各種化学物質を添加したり、培養時にストレスを加えるといった、自然条件に近い環境を作出することによって生産効率を上げることもなされている。また、エリシターで刺激することで、二次代謝産物の生産が誘起されることも明らかになっている(非特許文献2)。



植物組織培養による二次代謝物質の生産方法は、細胞懸濁培養、器官培養、固定細胞による物質変換の3種類に分けることができる。
細胞を懸濁培養する方法は大型培養槽へのスケールアップが容易であるので工業的に有効な方法である。しかし、植物は二次代謝産物を特定の組織で生産、蓄積しているため、未分化細胞を用いた培養法では生産が見られないことも多い。
一方、器官培養は分化した細胞を用いるため、二次代謝物生産能を維持したまま培養することができる。アグロバクテリア(Agrobacterium tumefaciens)の感染により生じるクラウンゴール細胞は、一種の腫瘍細胞であり、通常のカルスと異なり植物ホルモン無添加で増殖し続けることができる。この特性は細胞培養を行う上で有効である。1985年にアグロバクテリア(Agrobacterium rhizogenes)の感染によって誘発された毛状根が植物ホルモン無添加で著しく速く増殖しこのことが植物の二次代謝物生産に利用できることが明らかになって以来、この分野の研究は著しい進展をみた。



また、植物細胞の持つ酵素を触媒として利用することにより、物質交換を行ない、有用物質を生産することも行われている。植物細胞を培養すると同時に前駆物質を加え物質交換を行わせたり、細胞を固定化することにより連続的に物質交換をさせることも可能である。



しかしながら、上記いずれの方法も、二次代謝物の量、質、純度および産生速度にかかる要求を十分に満足するものではない。また、培養器あるいはバイオリアクターを用いるインビトロ培養のために先進的なシステムを使用すると著しくコスト高になり、経済的にみてシステムが将来性のないものとなり得る(特許文献1)。



また、植物の二次代謝物として頻用されているものとして、医薬活性を有するものがあるが、これらについてもその産生は未だ不十分である。例えば、セイヨウオトギリソウにおいてCOの量や光子量を調節することによって、ハイペリシン等の産生が増大されることについて報告されている(非特許文献3~4)。しかし、これらの報告は、いずれもセイヨウオトギリソウの培養組織を用いたものにすぎないため、二次代謝物の産生量は極めて小さいものにすぎない。



近年、ストレスによって植物の遺伝形質が発現し,その発現量に応じて二次代謝物が誘導され,細胞機能が調節される点に着目し、ストレスを利用して二次代謝物にかかる上記課題の解決を試みた研究もなされている(非特許文献5)。例えば非特許文献5においては、イン・ビトロ系内に気流を導入することによって、セイヨウオトギリソウのハイペリシン、シュードハイペリシンの産生が増大することが明らかになっている。しかしながら、これら研究における方法において用いられたのもカルス・細胞等の矮小な非組織化生体であるため、一定時間において得られる二次代謝物の量は不十分である。



上記のとおり植物の二次代謝物の大量生産を妨げる障害となっている要因として、外部環境に対する植物の反応の複雑さが挙げられる。例えば、光合成量との関係をみても、二次代謝物の産生は、光の照射強度を増大させると光合成量の増加に伴って増大するとする報告がある一方(非特許文献4)、光合成を行い得ない、細胞においても、光の照射強度を増大に伴って増大する場合もある(非特許文献6)。
また、上記のとおり二次代謝物は植物にストレスを与えるといった、劣悪な環境において産生が増大する一方、かかる劣悪な環境においては植物体の生育が損なわれるため、二次代謝物の総産生量を増大せしめることはできない。




【特許文献1】特表2004-500053号公報

【非特許文献1】「岩波生物学辞典」、第3版、岩波書店、1983年3月10日、957頁

【非特許文献2】「細胞利用技術」http://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/map/kagaku17/2/2-6-1.htm

【非特許文献3】Zobayed et al., In Vitro Dev. Biol.-Plant. 40 (2004) 108-114

【非特許文献4】Briskin et al., Plant Physiol. Biochem. 39 (2001) 1075-1081

【非特許文献5】Zobayed et al., Plant Science 166 (2004) 333-340

【非特許文献6】Zhong et al., Biotechnol. Bioeng. 38 (1991) 653-658

産業上の利用分野


本発明は、植物における二次代謝物の産生を増大せしめる方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
Glycyrrhiza属の植物におけるグリチルリチン酸またはその誘導体の産生を増大せしめる方法であって、
成苗期を経過した植物体に対して、600nm~700nmの波長の光を含む単色光または複色光の照射を行い、さらにUV-Bの照射でストレスを与えることを含む、前記方法。

【請求項2】
室内で行われる、請求項1に記載の方法。

【請求項3】
UV-Bの照射量が、全照射量として、2.5~7.5Wm-2である、請求項1または2に記載の方法。

【請求項4】
UV-Bの照射が、2日~20日の範囲で行われる、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。

【請求項5】
植物が、Glycyrrhiza uralensisである、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
産業区分
  • 農林
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2005191783thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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