TOP > 国内特許検索 > ヒール効果補正フィルタ、X線照射装置、X線CT装置及びX線CT撮像方法

ヒール効果補正フィルタ、X線照射装置、X線CT装置及びX線CT撮像方法

国内特許コード P08S000127
整理番号 NIRS-190P
掲載日 2008年12月12日
出願番号 特願2006-511587
登録番号 特許第4487032号
出願日 平成17年3月29日(2005.3.29)
登録日 平成22年4月9日(2010.4.9)
国際出願番号 JP2005005972
国際公開番号 WO2005092195
国際出願日 平成17年3月29日(2005.3.29)
国際公開日 平成17年10月6日(2005.10.6)
優先権データ
  • 特願2004-095887 (2004.3.29) JP
発明者
  • 森 慎一郎
  • 遠藤 真広
出願人
  • 国立研究開発法人放射線医学総合研究所
発明の名称 ヒール効果補正フィルタ、X線照射装置、X線CT装置及びX線CT撮像方法
発明の概要 ヒール効果によって不均一になるX線束の照射強度分布を均一にして、被検体への必要以上の被ばくを防ぐ。さらには、X線CT装置による画像データの画質を体軸線方向に均一かつ良好にする。
陰極から陽極に熱電子ビーム束を照射して陽極で発生するX線束を被検体に向け照射する際に、X線束が陽極から被検体の体幅方向に広がりつつヒール効果によって体軸線方向に略扇形に広がって形成されるX線束照射領域で、被検体の体軸線方向に不均一となるX線強度角度分布を均一とする厚さに形成されているヒール効果補正フィルタであって、この厚さは、所定の計算式によって求めることができる。
従来技術、競合技術の概要


一般に、X線発生装置は、陰極から陽極に向け熱電子ビーム束を照射し、陽極でX線束を発生する装置である。X線発生装置から発生するX線束を被検体に向け照射し、被検体を透過したX線束を所定の検出手段で検出すると、その透過部の断層状態の情報を得ることができる。また、X線断層撮像装置は、X線発生装置からX線束を被検体に向け照射し、被検体を透過したX線束を面状に配設した検出手段で検出し、その検出した情報に基づき作成した断層データを作成する装置であり、その断層データを見て断層の状態を診断するのに使用されている。



また、X線照射装置を使用する最も代表的な装置としてX線CT装置(以下、「CT(Computed Tomography)」という。)が知られている。CTは、例えば、X線照射装置と、シンチレータと半導体とを組み合わせた検出手段とで構成されているが、X線を検出できるものなら何でもX線照射装置と組み合わせてCTとして用いることが可能である。このようなX線CT装置において、シンチレータと半導体とを組み合わせた多数の検出器が被検体を挟むようにその体軸線周りを周回しながら被検体の体幅方向の断層を体軸線方向に連続的に撮像するX線診断装置である。
なお、体軸線方向と体幅方向とは直交する関係にあり、X線束の照射軸線は、体軸線方向と体幅方向とに直交している。



このCTはガントリーと寝台とを有し、ガントリーは薄い円筒状に形成されており、そのガントリーの中空部の中心軸線は熱電子線の入射軸線とX線束の照射軸線とを含む平面(以下、「軸平面」という。)と重なるように設定されている。寝台はX線束照射を受ける被検体の体軸線がガントリーの中心軸と重なるように、ガントリーの中空部内に進退可能に設けられている。さらに、ガントリーの内部にはX線管と、中空部を挟んだその対向位置に多数の検出器とがあり、両者が寝台に横たわって中空部に挿入された被検体の体軸線周りを一体に回転し、一方寝台もそれに伴い進退し、その間にX線管から照射されて被検体を透過したX線束を各検出器が検出して被検体の体軸線方向の所定長さにわたる断層データを得る。その断層データをコンピュータ解析して多数の断層の画像データを作成することで、被検体内の診断を行っている。
従って、被検体を透過して各検出器に入射するX線束の強度の相違から透過した断層部の状態が判定できるわけであるが、被検体の被ばくを軽減するためには、検出器が最低検知可能な範囲まで、X線束のX線強度角度分布をできるだけ低くすると共に、X線束強度の相違の幅をできるだけ狭くすることが好ましい。



なお、断層データとは、被検体を透過して各検出器に入射するX線束の強度の相違から被検体の断層部の状態を電気的なデータとして生成されたものである。
また、画像データとは、この断層データを画像として視覚的に表したデータである。



そこで、CTには被検体に対する過剰な被ばく量を少しでも少なくするために次の手段が講じられている。すなわち、例えば、被検体が人間(以下、「被検者」という。)である場合に、照射位置の被検者は、その体軸線方向に見た場合、体幅方向においてその中央部の厚さが最も厚く、両端部の厚さが最も薄くなっている。したがって、被検者の身体におけるX線束照射時のX線の吸収は、身体中央部が最も大きく、両端部に寄るほど少なくなる。そこで、そのような被検者の厚さの影響による体幅方向位置でのX線束の吸収の相違を補正して前記検出器が最低検知可能な範囲(以下「適正範囲」という)に納めるため、X線管と被検者間にウェッジフィルタを設けることが従来から行われている。このウェッジフィルタはアルミ材などからなり、その透過面は体軸線方向に見たその縦断面が照射軸線と軸対象な凹レンズ状となる凹円筒状の曲面になっている。これにより、凹円筒状のウェッジフィルタの厚さの薄い中央部分を透過した比較的強いX線が身体中央部に到達し、凹円筒状のウェッジフィルタの両端側の厚さの厚い部分を透過した比較的弱いX線が身体の薄い両端部に到達するので、X線束の強度がウェッジフィルタを透過する間に厚さの相違により相殺されて身体の厚みの変化に対応させている。
なお、ウェッジフィルタはX線検出器及び検出器と一体に回転するので、実際には被検者の体の断面を真円として設計することが行われている。



一方、被検者の体軸線方向へのX線束照射では、X線発生装置によってX線束を照射すると、熱電子ビーム束のビーム照射軸線とX線束の照射軸線とを含む軸平面上において、陽極から所定距離離れた照射軸線と直交する軸上でのX線強度角度分布がコーンアングル(略扇形状)になる、いわゆるヒール効果という現象が生じる。このヒール効果により、X線束のX線強度角度分布が体軸線方向に不均一な状態で被検者に照射される。すなわち、体軸線方向にわたる断層データを得る際は、被検者の身体の厚さを体軸線方向に均等とみなすので、その方向の照射量は均一でよく、従ってX線照射強度の強い部分が必要以上の照射量となってしまい、被検者の身体の一部に過剰な被ばくが生じることとなる。



しかしながら、従来からこのヒール効果による過剰な被ばくは考慮されておらず、また、透過したX線束を検出器で検出して得られる断層データが一部不鮮明となっていたが、鮮明な断層データを得るために、得られた断層データ自体を補正することによりヒール効果の影響をキャンセルしていたにすぎなかった。一例としては、被検者が寝台にいない状態であらかじめセンサーなどでX線束の照射範囲の各部位の強度分布を測定しておき、X線画像を得るたびに事前に得ておいたデータを参照して、その強度分布のばらつきをキャンセルするようにコンピュータプログラムで補正のみすることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。



最近になって、金属性のフィルタを介することによってX線を均一に照射するX線均一照射装置が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
具体的には、特許文献2に開示される発明は、ターゲットに電子線を照射することにより発生するX線をX線照射口から外部に出力するX線管と、そのX線管のX線照射口に装着され、当該X線間の照射口から出力されるX線の線量分布の測定結果に基づき、線量の強い部位ほど厚く形成された金属性のフィルタと、を有するX線均一照射装置である。



また、X線CT撮像において常に問題となるのが、アーチファクト(障害陰影)である。アーチファクトは、装置の故障、画像再構成系に起因するもの、スキャン状況など様々な要因によって、断層の画像データに虚像が入り込んでしまうものである。例えば、リングアーチファクトは検出器の不具合に起因し、ビームハードニングアーチファクトはX線束が被検体を透過する際にエネルギが吸収されることによる出射X線のエネルギの相違に起因すると言われている。アーチファクトの発生によって、断層の画像データに基づいて行われる被検体の診断精度などが低下する。
そこで、一度撮像した後にアーチファクトの種類、形状から発生源を特定して原因を取り除いたり、画像データをコンピュータプログラムで補正することによって、アーチファクトの発生を低減させる工夫がなされている(例えば、非特許文献1参照)。
【特許文献1】
特開2000-079114号公報(段落0008~0029、図2)
【特許文献2】
特開2004-214130号公報(請求項1)
【非特許文献1】
辻岡 勝美、“X線CT装置の機器工学(5)-アーチファクト-”(PDFファイル)、p737、6.マルチスライスCTのコーン角によるアーチファクト、[online]、藤田保健衛生大学衛生学部、[平成17年3月16日検索]、インターネット<URL:http://www.fujita-hu.ac.jp/~tsujioka/education.html>

産業上の利用分野


本発明は、被検体にX線束を照射する際に、ヒール効果によるX線束のX線強度角度分布の不均一を均一に補正するヒール効果補正フィルタ及びX線照射装置並びにX線CT装置に関する。さらには、X線CT装置による画像データの画質を体軸線方向に均一かつ良好にするヒール効果補正フィルタ、X線照射装置、X線CT装置及びX線CT撮像方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
陰極から陽極に熱電子ビーム束を照射して陽極で発生するX線束を、被検体の体幅方向に凹円筒状の曲面となるウェッジフィルタを介して前記被検体に向け照射する際に、
前記X線束が前記陽極から前記被検体の体幅方向に広がりつつヒール効果によるX線強度角度分布によって前記被検体の体幅方向と直交する体軸線方向に略扇形に広がって形成されるX線束照射領域で前記被検体の体軸線方向に不均一となる前記X線強度角度分布を均一とする厚さに形成されているヒール効果補正フィルタであって、
前記厚さは、
前記X線束の照射軸線と前記熱電子ビーム束のビーム照射軸線とを含む平面において、X線束の照射軸線をY軸とし、X線束の照射方向にY軸に沿って距離FCD離れた位置でY軸と直交する軸をZ軸とし、z´とy´が各々Z軸とY軸との交点を原点とする各軸方向の位置とし、FFDが前記陽極位置からY軸に沿った所定距離を示し、θが前記陽極位置からこのX線束の照射軸線に対して対称に広がって成すコーンアングルの範囲内の所定の角度であり、La(θ)が前記角度θにおけるy´の方向の長さを示す場合において、次の式1の計算式で求められることを特徴とするヒール効果補正フィルタ。
【数1】



【請求項2】
複数に分割可能に構成され、使用時において前記X線束が前記ヒール効果補正フィルタを透過する距離が、前記厚さに一致することを特徴とする請求項1に記載のヒール効果補正フィルタ。

【請求項3】
前記X線束の入射側透過面又は出射側透過面の一方が前記被検体の体軸線方向に延びる凸円筒状の曲面に形成され、他方が平面に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のヒール効果補正フィルタ。

【請求項4】
前記X線束の入射側透過面又は出射側透過面のいずれか一方が前記体軸線方向に延びる凸円筒状の曲面に形成され、他方が前記体軸線方向と直交する体幅方向に延びる凹円筒状の曲面に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のヒール効果補正フィルタ。

【請求項5】
X線検出器を32列以上備えたX線CT装置に用いられることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のヒール効果補正フィルタ。

【請求項6】
陰極から陽極に熱電子ビーム束を照射し、陽極で発生するX線束を被検体に向け照射するX線照射装置において、
前記X線束が前記陽極から前記被検体の体幅方向に広がりつつヒール効果によって前記被検体の体幅方向と直交する体軸線方向に略扇形に広がるX線束照射領域で前記被検体の体軸線方向に不均一となるX線束のX線強度角度分布を均一に補正する請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のヒール効果補正フィルタを、陽極と被検体との間に所定の距離で設けたことを特徴とするX線照射装置。

【請求項7】
請求項6に記載のX線照射装置を採用したことを特徴とするX線CT装置。

【請求項8】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のヒール効果補正フィルタをX線CT装置に適用し、体軸線方向に沿って撮像される画像データのCT値の差を低減することによって、前記X線CT装置で撮像される画像データのアーチファクトを低減させることを特徴とするX線CT撮像方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

22428_08SUM.gif
出願権利状態 登録
放医研が保有する特許に、ご関心のある企業等はお問合せ下さい。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close