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水中受波アレイ用受波素子の感度比試験装置又は試験方法

国内特許コード P08A014158
掲載日 2008年12月19日
出願番号 特願2005-231617
公開番号 特開2007-049416
登録番号 特許第4065956号
出願日 平成17年8月10日(2005.8.10)
公開日 平成19年2月22日(2007.2.22)
登録日 平成20年1月18日(2008.1.18)
発明者
  • 三上 宏幸
  • 嶋村 英樹
出願人
  • 防衛装備庁長官
発明の名称 水中受波アレイ用受波素子の感度比試験装置又は試験方法
発明の概要 【課題】 受波感度と加速度感度の両方の測定を試験室内の大気中において行い、かつ、計測環境と計測条件の同一化と加速度感度と受波感度の測定を共通周波数領域において実施可能とする。
【解決手段】 内空部に受波素子11を支持する密閉構造の音響容器14と、音響容器14内に設けられる駆動音源26及び音圧センサ20と、音響容器14を振動させる加振手段と、加速度センサ23と、を具備し、音圧センサ20と受波素子11との出力電圧の比較演算により受波素子11の受波感度を得、加振手段による加振時の加速度センサ23と受波素子11との出力電圧の比較演算により受波素子11の加速度感度を得る。これにより受波素子11の受波感度の加速度感度に対する感度比を測定する。
【選択図】
図2
従来技術、競合技術の概要


例えば、付図1で示すように、試験船1を使って船尾2から水中に繰出し、船体から遠く離して観測機器をえい航しながら遠隔海中観測を行う観測装置など、水面下所要深度の遠隔水中観測を行う場合には、試験船1から遠方に向かって、長尺・小径・重比重で所要強度を有して、繰出し長さと船速によって所要の深度に至らせるためのえい航ケーブル3があり、さらに、電気的・機械的に接続された水中飛行体状を成すえい航体4があり、音波5を所要方向に送波すると共に水平翼に系着し、その後続に多数個の受波素子6を内装して高性能化した受波アレイ7を複数本えい航する観測器がある。



この受波アレイ7の受波素子は、微弱な音波を受波するために、高感度で広帯域、かつ、ほぼ平坦な受波感度周波数特性を有している必要がある。これらの受波素子は音波以外に低周波の機械的振動加速度によって圧電磁器の中に応力が生じて電圧が発生し、受波素子の雑音になる。
そのため、振動加速度による発生電圧を少なくする方法がとられている。その場合の受波素子構造は、二つの圧電素子を支持位置に対して相対するように取り付け、音圧には同相で受波し、振動に対しては逆相で電圧が発生するようにしたもので、振動で発生する電圧のみを電気的に相殺するものである。



海上等の振動環境下で使用する水中受波アレイ用センサの受波素子の性能指標である感度比(受波感度の加速度感度に対する比)は、性能設計に不可欠な音響定数であるが、以前には、感度比の概念も無かったので、上記のように受波素子を複数個用いて、機械的振動の抑制構造設計と加速度出力電圧を相殺する構造と加速度出力電圧のキャンセル方法等についての努力が払われていただけであった。



しかし、発明者等によって受波感度と雑音に関する理論的検討に基づく実験検証により、水中受波アレイ用受波素子の受波感度と加速度感度の比を大きくすることにより、S(信号)N(雑音)比が向上できることを実証して、感度比の概念が受波素子設計等に取り入れられるに至った。



感度比は、振動環境下で使用する水中受波アレイ用受波素子の受波感度の加速度感度に対する比として、水中受波アレイ用受波素子の音圧による出力電圧が振動により生ずる加速度出力電圧に対して、どの程度相当するかを表す。その値を得るには、受波素子の受波感度と加速度感度の両方を測定する必要がある。



水中受波アレイ用受波素子の端子からみた雑音が振動加速度に支配されている環境下の水中用受波器のS/N(信号対雑音比)は、Moを受波感度(V/μPa)、Goを加速度感度(V/G、G:重力加速度)、水中受波アレイ用受波素子の入力雑音をn、入力加速度をαとすると次式で表され、(Go/Mo)の逆数が感度比を与える。



【数1】




したがって、上式の(Go2 /Mo2 )項において、加速度感度(Go)を低減すること及び受波感度(Mo)を良くすることによって水中受波アレイ用受波素子のS/Nが向上出来ることを示すものであり、これは、特に、海上等の船舶から長尺のケーブルに連接されて海中をえい航され、カルマン渦等の振動環境下で使用されるえい航式の水中受波アレイ用受波素子に有効である。



上記の結果を踏まえると共に、感度比の実現以来、水中受波アレイ用受波素子の感度比を次のような方法で受波感度と加速度感度を各々別個の計測系によって測定・算出していた。



すなわち、水中受波アレイ用受波素子の受波感度は、比較的高い周波数域の測定には水槽、比較的低い周波数域の測定は海上、さらに低い周波数域の測定には試験施設設置の水密構造の音響カップラにおいて各々を実施していた。



なお、基本的な等価回路による計算から求める水中受波アレイ用受波素子の周波数特性において、共振周波数以下の周波数に依存しない平坦特性帯での使用が好適であり、受波感度は、空中と水中で同一である。



しかし、実際の感度校正結果において、圧電素子の支持方法、締め付け具合等で筺体を含めた構造物による機械的、電気的及び音響的な抵抗の影響によって疑似共振が表れるほか、さらに、非常に低い周波数域において、周波数が低くなるにつれて感度が低下する圧電素子の漏洩抵抗の影響によるカットオフ特性が現れる等、理想的なカーブになることはほとんど無いので、感度測定の実施は水中音響において必須である。



一方、水中受波アレイ用受波素子の加速度感度は、機械試験施設の室内に設置してある主目的が重量物用大型揺すり震動台の片隅に冶具で受波素子を横置きセットし、揺すり震動の機械的振動に対する出力電圧を測定していた。



加速度感度及び受波感度の個々の計測方法共に、個別の周波数特性の計測に問題等のないように留意して実施しているものの、運用時の実海面で観測される計測雑音は、低周波数域にあって速度に関係している。その主要因がカルマン渦によるものとされ、好ましくないえい航雑音源として扱われている。



このような低周波周波数域に対応する受波素子の加速度感度試験は、機械振動施設に設置してある大電力駆動の主目的が重量物用大型揺すり震動台の片隅に冶具で受波素子を横置きセットし、揺すり振動の機械的振動に対する出力電圧を測定している。この状況には、ガタツキ振動の混入、電気的誘導雑音の抑制が必要である。また、受波感度について実施ししている音響カプラ試験は、受波素子の水密化構造組立が必要であると共に、計測が煩雑で至難であるという問題点がある。



なお、音響カプラによる測定は、受波素子の外周面及び接続した計測用のキャブタイヤケーブルに付着した空気泡が音響計測に悪影響を及ぼすので、これを避けるために所要の水圧を印加する必要上、受波素子やケーブル部の水密防水処置を行っておかなければならないという計測技術の他にも難しさと煩雑さがある上、施設周辺の環境による振動絶縁等の対策が難しいので、限られた使用になっている。



さらに、海上、水槽及び音響カプラの各々による受波感度の運用周波数域の計測には、水中受波アレイ用受波素子の感度測定するために、受波素子に計測用のキャブタイヤケーブルを接続し、絶縁のためのモールド加工に必要な構造設計、組立作業及び途中工程での確認用インピーダンスの測定等、製作には多くの工数と煩雑な作業および組立熟練が必要である。
加えて、感度測定するための特別に構築設計し、かつ、高精度の性能を保持させた計測装置も不可欠である。



受波感度試験方法によっては、音源として厳密に感度校正された基準送波器も必要であり、それに加え、周波数が比較的高い周波数域の場合には、水槽測定によって計測できるが、長さ、幅及び深さ寸法が少なくとも、各面共に数メータの水槽施設が必要である。



低周波数域の場合、海上等での測定に際しては、計測船のほか、水中受波器や基準送波器を舷側から吊下・展張するための作業員、計測装置の搭載設置、結線調整、総合調整の各作業、泊地から洋上への進出等、多くの日数、工数、経費が必要となる。

産業上の利用分野


本発明は、海上等の振動環境下で使用する音響探査装置等に用いる水中受波アレイ用受波素子の受波感度の加速度感度に対する感度比を測定する水中受波アレイ用受波素子の感度比試験装置又は該試験装置を用いる試験方法に関するものである。



本発明では、水中受波アレイ用受波素子の性能指標である感度比(受波感度の加速度感度に対する比)を海上へ進出すること無く、また、水槽施設や水密容器による受波感度測定を不要とし、かつ、試験室内の大気中において受波感度と加速度感度の両方の測定を別箇の計測施設で行うこと無く、計測環境と計測条件の同一化と加速度感度と受波感度の測定を共通周波数領域で計測実施可能とする。

特許請求の範囲 【請求項1】
海上等の振動環境下で使用する音響探査装置等の水中受波アレイ用受波素子の受波感度の加速度感度に対する感度比を測定する水中受波アレイ用受波素子の感度比試験装置において、
内空部に供試品としての前記受波素子を支持する密閉構造の音響容器と、
前記音響容器内に設けられる駆動音源及び音圧センサと、
前記音響容器を振動させる加振手段と、
前記音響容器若しくはその連続部分又は前記加振手段の側に設けられる加速度センサと、
を具備し、
前記駆動音源からの駆動音を前記受波素子及び前記音圧センサで受波して、音圧センサと受波素子との出力電圧の比較演算により受波素子の受波感度を得、前記加振手段による加振時の加速度センサと受波素子との出力電圧の比較演算により受波素子の加速度感度を得、これにより受波素子の受波感度の加速度感度に対する感度比を測定するようにした水中受波アレイ用受波素子の感度比試験装置。

【請求項2】
前記音響容器は、略密閉円筒形をなし、その内空部の略中央に前記供試品としての受波素子を着脱自在に設置し、
前記加振手段は、略U形乃至略コ形の二股状傾動治具と、傾動治具の底部に取り付けられた加振体とを有し、
前記傾動治具の二股状腕部の間に、前記音響容器の略中央外側部を挟持して、保持具により所定角度に回動固定自在に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の水中受波アレイ用受波素子の感度比試験装置。

【請求項3】
前記音響容器は、略密閉円筒形をなし、その筒形主筒の両端面に蓋体を開閉自在に設け、その内空部の略中央に前記供試品としての前記受波素子を着脱自在に設置し、容器の外壁から、受波素子出力系導線、音圧センサ出力系導線、駆動音源系導線を導出させるようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の水中受波アレイ用受波素子の感度比試験装置。

【請求項4】
前記保持具は、前記傾動治具の二股状腕部の外側から、前記音響容器の略中央外側壁部内に螺締されるボルト保持具よりなり、該ボルト保持具を緩めることにより前記音響容器を所定角度回動させて、螺締固定させるようにしたことを特徴とする請求項2に記載の水中受波アレイ用受波素子の感度比試験装置。

【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項記載の水中受波アレイ用受波素子の感度比試験装置を用い、前記駆動音源の駆動音を受波素子と音圧センサで受波してレベル計測を行うと共に、音圧センサからの基準音圧に対する受波素子出力電圧との比較によって受波素子の受波感度を算出させ、前記加振手段による加振時の受波素子と加速度センサの各出力電圧を計測し、加速度センサからの基準加速度に対する受波素子出力電圧によって受波素子の加速度感度を算出し、前記受波素子の受波感度の加速度感度に対する感度比の測定を行わせることを特徴とする水中受波アレイ用受波素子の感度比試験方法。
国際特許分類(IPC)
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出願権利状態 登録
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