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窒化物半導体構造及びその製造方法 コモンズ

国内特許コード P08P005892
整理番号 NU-0169
掲載日 2008年12月19日
出願番号 特願2007-151792
公開番号 特開2008-305977
登録番号 特許第4913674号
出願日 平成19年6月7日(2007.6.7)
公開日 平成20年12月18日(2008.12.18)
登録日 平成24年1月27日(2012.1.27)
発明者
  • 澤木 宣彦
  • 本田 善央
  • 彦坂 年輝
  • 谷川 智之
出願人
  • 学校法人名古屋大学
発明の名称 窒化物半導体構造及びその製造方法 コモンズ
発明の概要

【課題】ピエゾ電界の発生を低減させるのに有利な半極性窒化物半導体を加工基材に選択成長させる際に、マスキング技術を利用することなくの特性ファセット面に選択成長させ、しかもその選択成長により形成された半極性窒化物半導体の結晶品質を高める。
【解決手段】(311)Si基材10の(311)面10aに、互いに平行に延びて対向する斜め上向き及び斜め下向きの側面たる(1-11)面31及び(-11-1)面32を有し、かつ(311)Si基材10の<1-1-2>方向に沿って延びる複数の溝30を形成する。次いで、窒化物半導体を結晶成長させて、(11-22)面20aを主面とする窒化物半導体膜(GaN膜20)を形成する。溝30の幅dを20μm以下、深さhを0.2μm以上にするとともに、1≦h/dに調整することにより、溝30のうち(1-11)面31に窒化物半導体を優先的に結晶成長させる。
【選択図】図1

従来技術、競合技術の概要


近年、青色発光ダイオード(青色LED)や青色レーザダイオード(青色LD)等、青色域の発光デバイスの形成材料として窒化物半導体が用いられている。



窒化物半導体、例えばGaNの任意の面を得るために、GaNのバルク単結晶から切り出すことが理想的ではあるが、バルク成長技術自体が確立されておらず、現状では困難である。このため、有機金属気相成長法(MOVPE)、ハイドライド気相成長法(HVPE)や分子線エピタキシャル成長法(MBE)を用いて、サファイア基板やSiC基板等の異種基板上に窒化物半導体を結晶成長させることが行われている。なお、半導体結晶の成長は、成長させる半導体と同種の基板に対して行うのが一般的であるが、窒化物半導体と同種の基板を作成することは現状では困難である。このため、窒化物半導体の結晶成長には、サファイア基板やSiC基板等の異種基板が一般に用いられている。



ところが、異種基板上に例えばGaNをヘテロ成長させて得られたGaNヘテロ構造においては、基板とGaNとで格子定数が大きく異なることに起因してピエゾ電界が発生する。このため、GaNヘテロ構造をもつ発光デバイスにおいては、この格子不整合に基づくピエゾ電界により、高組成In領域において電子と正孔とが大きく空間的に分離して、発光効率が低下するという問題がある。



ここに、GaNのような六方晶結晶におけるピエゾ電界は、C軸[0001]方向で最大となる。このため、GaNと基板とのヘテロ界面をC軸からずらして、極性方向とは異なる結晶面をもつGaNを作製すれば、ピエゾ電界を低減させることができる。これまでに、C軸と平行な(1-100)面や(11-20)面などの無極性面をもつGaNの結晶成長や、あるいは(1-101)面や(11-22)面などの半極性面をもつGaNの結晶成長が試みられている。(1-100)面や(11-20)面などの無極性面をもつGaNであれば、ピエゾ電界の発生を無くすことができ、また、(1-101)面や(11-22)面などの半極性面をもつGaNであってもピエゾ電界を大きく低減させることができる。なお、(11-22)面は、(1-101)面と比べて、ピエゾ電界を低減させる効果が大きいものである。



しかし、GaNは、温度や圧力等の成長条件によって形成されるファセット面が変化し、安定面でない(1-100)面や(11-20)面などの無極性面をフラット面として形成することが困難である。一方、(1-101)面や(11-22)面などの半極性面は、安定面である(0001)面に次ぐ準安定面として、比較的フラット面として形成され易い。



ここに、GaN結晶はSi(n11)面にC軸配向して成長する。このため、特定のファセット面にGaNを結晶成長させれば、GaNの成長軸を傾けることができる。例えば、Si基板において(311)面は(111)面に対して約58.5°傾斜している。一方、GaNにおける(0001)面と(11-22)面との角度差は58.4°である。このため、(311)Si基板の(111)面にGaNを結晶成長させれば、(11-22)面を主面として有するGaN結晶を直接得ることが可能となる。



そこで、特定のファセット面が形成されるように基板を加工し、その加工基板のファセット面に特定の半極性面をもつGaN結晶を選択成長させることが試みられている。



例えば、半極性面としての(1-101)面を主面として有するGaNを結晶成長させる方法として、7°オフの(001)Si基板を加工して(111)面を形成し、この(111面)にGaN結晶を選択成長させる技術が知られている(例えば、非特許文献1参照)。



この技術では、図5に示されるように、7°オフの(001)Si基板80上にSiO膜81をスパッタリングにより堆積した後に、フォトリソグラフィーによりSi基板80の<-110>方向に沿うストライプパターンを形成する。そして、水酸化カリウム(KOH)溶液により基板表面を異方性エッチングすることで、<-110>方向に沿って延び、(111)面82a及び(-1-11)面82bの両側面を有する溝82を基板表面に形成する。次いで、(-1-11)面82bのみにSiO膜83をスパッタリングにより形成する。こうして得られた加工基板に対してMOVPEを施し、(111)面82aにGaNを結晶成長させて、(1-101)面84aを主面として有するGaN膜84を得る。



ここに、(-1-11)面82bをSiO膜83でマスキングするのは、溝82の両側面の(111)面82a及び(-1-11)面82bがいずれも、六方晶GaNが結晶成長し易い(n11)面だからである。すなわち、(-1-11)面82bに成長するGaN結晶と、(111)面82aに成長するGaN結晶とが干渉することによって、(111)面82aに結晶成長して得られるGaN膜84の結晶品質が低下することを防止すべく、(-1-11)面82bにGaN結晶を成長させないようにするためである。なお、溝82の底面82cは(001)面であり、六方晶GaNが結晶成長し易い(n11)面ではないため、SiO膜83でマスキングしていない。



また、半極性面としての(11-22)面を主面として有するGaNを結晶成長させる方法として、(311)Si基板を加工して(1-11)面を形成し、この(1-11)面にGaNを選択成長させる技術が知られている(例えば、非特許文献2参照)。



この技術では、図6に示されるように、(311)Si基板90上にSiO膜91をスパッタリングにより堆積した後に、フォトリソグラフィーによりSi基板90の<1-1-1>方向に沿うストライプパターンを形成する。なお、非特許文献2には(113)Si基板と記載されているが、(113)Si基板と(311)Si基板とは表現の仕方が異なるだけで同じものである。そして、水酸化カリウム(KOH)溶液により基板表面を異方性エッチングすることで、<1-1-1>方向に沿って延び、(1-11)面92a及び(-11-1)面92bの両側面と底面92cとを有する溝92を基板表面に形成する。次いで、底面92cにSiO膜93をスパッタリングにより形成する。こうして得られた加工基板に対してMOVPEを施し、(1-11)面92aにGaNを結晶成長させて、(11-22)面94aを主面として有するGaN膜94を得る。



ここに、底面92cをSiO膜93でマスキングするのは、この底面92cが、六方晶GaNが結晶成長し易い(n11)面たる(311)面だからである。すなわち、底面92cに成長するGaN結晶と、(1-11)面92aに成長するGaN結晶とが干渉することによって、(1-11)面92aに結晶成長して得られるGaN膜94の結晶品質が低下することを防止すべく、底面92cにGaN結晶を成長させないようにするためである。



一方、(-11-1)面92bも六方晶GaNが結晶成長し易い(n11)面である。このため、GaN膜94の結晶品質の低下を防止する観点からは、この(-11-1)面92bにもSiO膜93をマスキングするのが望ましい。しかし、この(-11-1)面92bは斜め下向きの側面であるため、スパッタリングにより(-11-1)面92bにSiO膜93を形成することは極めて困難である。このため、下向き側面たる(-11-1)面92bはSiO膜93でマスキングしていない。

【非特許文献1】JOURNAL OF CRYSTAL GROWTH 242 (2002) 82-86, “Growth of (1-101) GaN on a 7-degree off-oriented (001)Si substrate by selective MOVPE, Yoshio Honda, Norifumi Kameshiro, Masahito Yamaguchi, Nobuhiko Sawaki

【非特許文献2】第53回応用物理学関係連合講演会 講演予稿集、347頁、“加工(113)Si基板上への(11-22)面GaNのMOVPE成長”、彦坂年輝、黒木俊行、本田善央、山口雅史、澤木宣彦

産業上の利用分野


本発明は窒化物半導体構造及びその製造方法に関し、詳しくはSi基材上に窒化物半導体膜を結晶成長させてなる窒化物半導体構造及びその製造方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】 [手続補正20111216]  (311)Si基材の(311)面に、互いに平行に延びて対向する斜め上向き及び斜め下向きの側面たる(1-11)面及び(-11-1)面を有し、かつ該(311)Si基材の<1-1-2>方向に沿って延びる複数の溝を形成する基材加工工程と、前記溝が形成された前記(311)基材の前記(311)面に窒化物半導体を結晶成長させて、(11-22)面を主面とする窒化物半導体膜を形成する結晶成長工程と、を備え、 前記溝の幅dを20μm以下にし、かつ該溝の深さhを0.2μm以上にするとともに、該溝の幅d及び深さhの関係を1≦h/dに調整することにより、溝内面のうち前記(1-11)面に前記窒化物半導体を優先的に結晶成長させることを特徴とする窒化物半導体構造の製造方法。
【請求項2】 [手続補正20111216]  前記基材加工工程では、前記溝の幅d及び深さhの関係を3/2≦h/dに調整することを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導体構造の製造方法。
【請求項3】 [手続補正20111216]  前記基材加工工程では、前記溝の幅dを5μm以下にすることを特徴とする請求項2に記載の窒化物半導体構造の製造方法。
【請求項4】 [手続補正20111216]  前記結晶成長工程では、前記溝のうち前記(1-11)面のみに前記窒化物半導体を結晶成長させることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一つに記載の窒化物半導体構造の製造方法。
【請求項5】 [手続補正20111216]  (311)面に<1-1-2>方向に沿って延びる複数の溝であって、該溝の幅dを20μm以下、該溝の深さhを0.2μm以上、及び、該溝の幅dに対する該溝の深さhの比(h/d)を1≦h/dとする該溝を有する(311)Si基材と、 前記(311)Si基材の前記(311)面に形成された(11-22)面を主面とする窒化物半導体膜と、を備え、 前記溝は、互いに平行に延びて対向する斜め上向き及び斜め下向きの側面たる(1-11)面及び(-11-1)面を有し、 前記窒化物半導体膜は、溝内面のうち前記(1-11)面のみに窒化物半導体が結晶成長することで形成されていることを特徴とする窒化物半導体構造。
産業区分
  • 固体素子
  • 表面処理
  • 処理操作
  • 無機化合物
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2007151792thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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