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微生物に対する突然変異誘発方法

国内特許コード P08P006234
整理番号 21430
掲載日 2008年12月25日
出願番号 特願2007-158580
公開番号 特開2008-306991
登録番号 特許第5257875号
出願日 平成19年6月15日(2007.6.15)
公開日 平成20年12月25日(2008.12.25)
登録日 平成25年5月2日(2013.5.2)
発明者
  • 阿部 知子
  • 市田 裕之
  • 福西 暢尚
  • 龍頭 啓充
出願人
  • 独立行政法人理化学研究所
発明の名称 微生物に対する突然変異誘発方法
発明の概要

【課題】微生物に対し、突然変異率が高く、かつ幅広い突然変異を効率的に誘発することのできる新たな手段を提供すること。
【解決手段】微生物菌体に、500~1200keV/μmの線エネルギー付与(LET)を有する重イオンビーム(鉄イオンビーム、キセノンイオンビーム、またはクリプトンイオンビームなど)を照射し、該微生物の遺伝子に、挿入変異、欠失変異、点変異などの変異を導入することを特徴とする、微生物に対する突然変異誘発方法。
【選択図】なし

従来技術、競合技術の概要


品種改良や学術研究を目的として突然変異体の作出が従来から行われており、突然変異誘発の変異原として、アルキル化剤などの化学的変異原やX線・ガンマー線・中性子線などの物理的変異原が古くから用いられてきた。また、近年では炭素やネオンなどのイオン原子を加速器にて高速に加速した重イオンビーム(重粒子線)を照射する変異誘発方法が新たに開発され、すでに植物(特許文献1~5)や動物(特許文献6)において重イオンビーム照射による変異体が作出されている。また、微生物についても、酵母(非特許文献1)、糸状菌(非特許文献2)について重イオンビーム照射による変異体作出の報告がある。しかしながら、これらの従来から用いられている化学的・物理的変異原によって得られる突然変異は、いずれも塩基置換や200bp程度までの比較的小さな欠失型変異や染色体レベルでの大規模な転座が大部分を占めており、任意の一遺伝子全体の破壊を達成できるものではない。



また、上記の種々の生物種の重イオンビーム照射による突然変異誘発例において用いられている重イオンビームはいずれもLETが比較的小さい炭素イオンビーム(LET:23-281keV/μm)が主流であり、LETの高い鉄イオンビームを照射したものはない。一般に、鉄よりも重いクリプトン以上の高エネルギー重イオンビームでは、LETが高くなると超伝導体など無機材料中のイオントラック(電離領域)が広くなることは知られているが、それらも含め鉄イオンビームなどの重い核種の重イオンビームの変異原として有効性は他のイオンビームに比べて未だ解明されていない点が多い。それは、高エネルギーまで重い鉄イオンを加速できる施設が限られ、また、飛程が短いため薄い材料に限られるなどの事情により、照射実験が難しいという点に原因がある。例えば微生物については、鉄イオンビーム照射に関する報告はまったくなく、また、微生物以外の生物種については、植物において鉄イオンビームを照射して葉緑体変異株を出現させた例があるものの、炭素、窒素、ネオンビームに比較して変異率は低かったことが報告される(非特許文献3、4)。



一方、微生物は、植物とは異なって、突然変異体を形態変化によって確認することは困難であるため、その変異部位を塩基配列レベルで同定し、解析することが必要である。そのため、特定の形質に関する突然変異体を収集し、それら変異体における変異部位(原因遺伝子)を同定することが一般的である。しかし、現在の技術水準では突然変異体の変異部位を塩基配列レベルで同定することは多大な労力を要する作業であり、重イオンビームによって誘発される微生物における突然変異の特徴を解析する上で大きな障害となっていた。本発明者らは、微生物における重イオンビームによる変異誘発を検出するためのツールとして、ゲノムに単一の致死遺伝子(ショ糖含有培地において致死性を付与するsacB遺伝子)を導入したモデル根粒菌系統を確立し、その系統に重イオンビームを照射した後、ショ糖含有培地における耐性を指標として選抜した株の遺伝子解析を行うことによって、重イオンビーム照射によって遺伝子変化の生じた変異体を選出できることを証明している(非特許文献5~7)。




【特許文献1】特開平9-28220「突然変異体植物の作出方法」

【特許文献2】特開平10-127195「イネ科植物における耐病性品種の作出方法及びその耐病性品種」

【特許文献3】特開2002-125496「不稔植物の作製方法」

【特許文献4】特開2003-199447「重イオンビーム照射によるキメラ植物の作出方法」

【特許文献5】特開2004-321057「イオンビーム照射によるキク科植物の突然変異育種法

【特許文献6】特開2001-95423「突然変異体非ヒト動物及びその作出方法」

【非特許文献1】JAERI-Review (2004-025) 565-569

【非特許文献2】RIKEN Accel. Prog. Rep. 39, 134 (2006) “Study on mutants of Monascus pilosus induced by heavy-ion beam”

【非特許文献3】RIKEN Accel. Prog. Rep. 37:147 (2004). “Effect of heavy-ion beam irradiation on mutation induction in Arabidopsis thaliana”

【非特許文献4】RIKEN Accel. Prog. Rep. 36:137 (2003). “Biological effects of ion beams on buckwheat”

【非特許文献5】日本DNA多型学会 第15回学術集会「重イオンビームによって誘発されるDNA多型の解析」2006年11月

【非特許文献6】植物微生物研究会 第16回研究交流会「根粒菌における突然変異誘発とその網羅的検出」2006年9月

【非特許文献7】2006年度 日本農芸化学会大会「微生物における重イオンビーム突然変異誘発法の開発」2006年3月

産業上の利用分野


本発明は、線エネルギー付与(LET:linear energy transfer)の高い重イオンビームを変異原として用いることを特徴とする、微生物に対する突然変異誘発方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
L-乾燥法による乾燥微生物菌体に、500~1200keV/μmの線エネルギー付与(LET)を有するイオンビームを照射し、該微生物の遺伝子に変異を導入することを特徴とする、微生物に対する突然変異誘発方法であって、200bp以上の大きさの欠失変異が得られる、方法
産業区分
  • 微生物工業
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 権利存続中
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