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ドコサヘキサエン酸(DHA)の生産性の高い新規ラビリンチュラ類微生物およびその利用 新技術説明会

国内特許コード P08A014166
整理番号 P2005-235
掲載日 2008年12月25日
出願番号 特願2006-022187
公開番号 特開2006-230403
登録番号 特許第4047354号
出願日 平成18年1月31日(2006.1.31)
公開日 平成18年9月7日(2006.9.7)
登録日 平成19年11月30日(2007.11.30)
優先権データ
  • 特願2005-024491 (2005.1.31) JP
発明者
  • 奥山 英登志
  • 安藤 ひとみ
  • 上野 晃生
  • ザキア パービン
  • 小亀 一弘
  • 山本 祐輔
  • 伊藤 征也
  • 山田 陽子
出願人
  • 国立大学法人 北海道大学
  • 株式会社ロム
発明の名称 ドコサヘキサエン酸(DHA)の生産性の高い新規ラビリンチュラ類微生物およびその利用 新技術説明会
発明の概要

【課題】これまでに無い新規な性質を有し、DHAの供給源として、従来とは異なる形態での利用が可能なラビリンチュラ類微生物と、その代表的な利用技術とを提供する。
【解決手段】本発明にかかる新規微生物は、ドコサヘキサエン酸(DHA)の生産能を有する新規ラビリンチュラ類微生物であり、ヤブレツボカビ類微生物12B株(thraustochytrid strain 12B、受託番号NITE P-68)である。この12B株は、既知の種とは形態学的・生理学的性質、および18S rRNA遺伝子の塩基配列が異なるため、既存のいずれの属にも属さない新しい種であると考えられる。この12B株を用いることにより、DHAおよびDHAを含有する組成物を効率的に製造することができる。
【選択図】 図7

従来技術、競合技術の概要


ドコサヘキサエン酸(DHA)は、記憶改善作用や視力低下抑制作用等、種々の作用を有すると期待されており、栄養的価値が高い。そのためDHAは、各種食品の添加物として用いられたり、いわゆるサプリメント等の健康補助食品または健康食品として製品化されたりしている。また、医薬品への応用も期待される。



現在、上記DHAの最も主要な供給源としては魚油が挙げられる。しかしながら、魚油をDHAの供給源とするには次のような課題が存在する。まず、(1)魚油には独自の臭気(いわゆる魚臭さ)があるため、食品への添加した場合等、この臭気が製品としての品質や価値を損なう場合がある。(2)魚油中に含まれる各種長鎖高度不飽和脂肪酸は構造が類似しているため、高濃度のDHAを得ることが困難である。(3)魚油は漁獲高が変動することが避けられないために、油脂原料の供給源として安定性に欠ける上、海洋汚染による油脂原料そのものの汚染の可能性が大きい。



そこで最近では、DHAの供給源として各種の微生物を用いることが広く試みられている。このような微生物の中でも、ラビリンチュラ類と呼ばれる非光合成性の単細胞微生物が最も有用であると考えられている。



ラビリンチュラ類は、狭義のラビリンチュラ類とヤブレツボカビ類とに大別される。以前は、狭義のラビリンチュラ類は原生動物界や菌界の生物等として認識される等しており、ヤブレツボカビ類は菌界のツボカビ類やミズカビ類等に分類されたりしていたが、最近では、クロミスタ界と呼ばれる新しい界に分類されることが一般的である。ただし、狭義のラビリンチュラ類とヤブレツボカビ類とがどの分類階級で分割されることが適当であるのかについては、研究者によって見解が異なっている。このように、ラビリンチュラ類(広義)は、最近になって研究が進んできた生物であって、分類も確立したとは言いがたい状況にある(非特許文献1参照)。



上記ラビリンチュラ類をDHAの供給源として用いる技術は、すでに、アメリカ合衆国等では実用化されており、DHA含有脂質の原料や、高DHA含有飼料等が製品化されている。具体的には、例えば、トラウストキトリウム属、シゾキトリウム属の生育技術(特許文献1参照)、トロウストチトリアレ類、トロウストチトリアレ類から抽出されるω-3HUFA(高度不飽和脂肪酸)の利用技術(特許文献2参照)等が挙げられる。



一方、日本国内においても、ラビリンチュラ類をDHAの供給源として用いる技術は種々開発されている。具体的には、例えば、ラビリンチュラ属の微生物であるS3-2株を利用する技術(特許文献3・4参照)、シゾキトリウム属の微生物であるSR21株およびその利用技術(特許文献5~7参照)等が挙げられる。



ところで、公知のラビリンチュラ類微生物には海洋から発見されたものがほとんどであるため、その培養には、ある程度の塩化ナトリウム濃度が必要となる。言い換えれば、公知のラビリンチュラ類微生物においては、一般的には、その増殖に際して、培地中の塩化ナトリウム濃度を比較的高くする必要がある。そこで、ラビリンチュラ類微生物のこの性質を利用することにより、例えば、食品廃棄物を発酵処理して動物飼料とする技術が知られている(特許文献8)。



この技術では、特許文献3・4に開示されているS3-2株を用いて、残飯を培地代わりとして培養する。残飯等の食品廃棄物は塩分や油脂を多く含んでいるが、これらの成分は通常微生物処理が困難とされている。これに対して残飯を培地として用い、かつ、残飯中の塩化ナトリウム濃度を所定濃度以上に調節すれば、S3-2株を増殖させることができるとともに、DHAも生産される。その結果、この技術によれば、S3-2株で処理した残飯は、DHAを含む動物飼料として利用することが可能であるとされる。

【特許文献1】特表平8-502405号公報(平成8年(1996)3月19日公表、国際公開番号:WO94/08467、平成6年(1994)4月28日国際公開、特許3127161号公報、平成12年(2000)11月2日登録)

【特許文献2】特表平8-509355号公報(平成8年(1996)10月8日公表、国際公開番号:WO91/07498、平成3年(1991)5月30日国際公開)

【特許文献3】特開2001-275656(平成13年(2001)10月9日公開、特許第3425622号公報、平成15年(2003)5月9日登録)

【特許文献4】特開2003-000292(平成15年(2003)1月7日公開)

【特許文献5】特開平9-000284号公報(平成9年(1997)1月7日公開、特許第2764572号、平成10年(1998)4月3日登録)

【特許文献6】特開平10-072590号公報(平成10年(1998)3月17日公開)

【特許文献7】特開平10-310556号公報(平成10年(1998)11月24日公開)

【特許文献8】特開2004-298798号公報(平成16年(2004)10月28日公開)

【非特許文献1】海洋と生物132(vol. 23 no. 1),4-17,2001

産業上の利用分野


本発明は、多価不飽和脂肪酸の一種であるドコサヘキサエン酸(DHA)の生産性に優れた新規ラビリンチュラ類微生物とその代表的な利用技術とに関するものであり、例えば、米ヌカ等の固形または半固形状の培地に接種しても十分な培養が可能であり、培養後に得られる固形または半固形培地を、そのままDHA含有組成物またはその原料として利用することが可能な新規ラビリンチュラ類微生物と、これを用いたDHAおよびDHA含有組成物の製造方法とに関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
ドコサヘキサエン酸の生産能を有する新規ラビリンチュラ類微生物12B株(受託番号NITE P-68)。

【請求項2】
配列番号1に示す18S rRNA遺伝子を有する請求項1に記載のラビリンチュラ類微生物。

【請求項3】
ドコサヘキサエン酸(DHA)を含有する組成物の製造方法であって、
培地にラビリンチュラ類微生物12B株(受託番号NITE P-68)を接種して培養する培養工程を含むことを特徴とするDHA含有組成物の製造方法。

【請求項4】
上記培養工程で用いられる培地は、液体、固形、または形状保持性を有する半固形の何れかの形状を有していることを特徴とする請求項3に記載のDHA含有組成物の製造方法。

【請求項5】
上記培養工程では、培地の形状が固形である場合に、当該培地に添加する水分量の下限を45%(v/w)以上とすることを特徴とする請求項4に記載のDHA含有組成物の製造方法。

【請求項6】
上記培養工程では、培地の形状が固形である場合に、当該培地に添加する水分量の上限を60%(v/w)以下とすることを特徴とする請求項4または5に記載のDHA含有組成物の製造方法

【請求項7】
上記培養工程では、静置培養または振盪培養の何れかが選択されることを特徴とする請求項3ないし6の何れか1項に記載のDHA含有組成物の製造方法。

【請求項8】
上記培養工程では、上記培地として食品または飼料を用い、これに対して、上記ラビリンチュラ類微生物12B株を接種して培養することにより、当該食品または飼料にDHAを含有させることを特徴とする請求項3ないし7の何れか1項に記載のDHA含有組成物の製造方法。

【請求項9】
上記食品または飼料が、米ヌカであることを特徴とする請求項8に記載のDHA含有組成物の製造方法。

【請求項10】
上記ドコサヘキサエン酸含有組成物が、DHA含有油脂またはDHA含有リン脂質であることを特徴とする請求項3ないし9の何れか1項に記載のDHA含有組成物の製造方法。

【請求項11】
培地にラビリンチュラ類微生物12B株(受託番号NITE P-68)を接種して培養し、得られる微生物細胞、および、培養後の培地の少なくとも一方から、ドコサヘキサエン酸(DHA)を取得することを特徴とするDHAの製造方法。
産業区分
  • 微生物工業
  • 畜産
  • 食品
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2006022187thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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