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錫メッキの針状ウィスカの発生を抑制する方法

国内特許コード P08A014182
掲載日 2009年1月9日
出願番号 特願2007-123976
公開番号 特開2008-280559
登録番号 特許第4986141号
出願日 平成19年5月8日(2007.5.8)
公開日 平成20年11月20日(2008.11.20)
登録日 平成24年5月11日(2012.5.11)
発明者
  • 森川 茂弘
  • 神谷 修
  • 大川 浩一
出願人
  • 国立大学法人秋田大学
発明の名称 錫メッキの針状ウィスカの発生を抑制する方法
発明の概要

【課題】錫又は錫を主体とした鉛を含有しない金属メッキが施された小型・高密度パッケージング電子部品であるコネクタや端子から、錫メッキの針状ウィスカの発生を抑制する方法を提供する。
【解決手段】錫又は錫を主体とした鉛を含まない金属メッキが施されたコネクタや端子2を還元反応場が形成される溶液7中で超音波を照射する。この方法によって、メッキ工程、加工工程の簡単な後処理として、従来の鉛を含有した金属メッキと同様に針状ウィスカが発生しないコネクタや端子部品を供給することが可能となる。
【選択図】図1

従来技術、競合技術の概要


電気・電子機器の実装部品等に鉛(特定有害物質)を含まない錫めっき(はんだメッキを含む)を施した場合、めっき部分から錫ウィスカが発生し、めっき初期に認められなくても時間経過と共に発生・成長するという現象が生じる。当該錫めっきをコネクタや端子に採用した場合、特に針状に成長するウィスカは、極間に接触することで電気回路の短絡という重大な障害を引き起こす心配があり、この予見が重要となっている。このような背景から、電子情報産業技術協会(JEITA)では、電子デバイスのウィスカ試験方法の標準化を行い、JIS原案の作成および国際電子技術委員会(IEC)国際提案が計画されている。
日米欧の研究機関・企業等では、この発生メカニズムの解明と抑制方法に取り組んでいるが、何れも抜本的な解決策が見出されていないという国際的緊急課題である。



これまで、鉛を含有する錫メッキが施された上述の部品からは針状ウィスカが発生し難いことが知られている。
しかし、昨今、地球環境問題に対する関心が高まる中、特に鉛の使用削減に対する要求が高くなってきている。
このような背景から鉛を含有しない錫メッキを施した部品の使用が急務になっているが、上述のウィスカ発生を完全に防止できる方法は未だ開示されていない。



そこで、当該ウィスカを抑制する方法として、メッキ下地にニッケルめっきを施し、表層にビスマスを含有した錫メッキを使用する方法(特許文献1を参照)、メッキ膜の膜厚方向の錫合金成分含有率が増加するように合金成分に濃度勾配をもたせて錫合金めっき膜を形成する方法(特許文献2を参照)、表面処理剤ベンズイミダゾール化合物およびその塩を含むハンダ用の錫メッキ表面処理剤(特許文献3を参照)、錫又は錫合金メッキ膜を作成するためのメッキ液に、サッカリンナトリウムを含有させると共にメッキ時の電流密度を15mA/cm2以上、カソード電位を飽和カロメル電極(SCE)に対して900mV以上に制御する方法(特許文献4を参照)、 錫又は錫合金メッキ液の添加剤として、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物及びビスフェノールFプロピレンオキサイド付加物からの群から選ばれた少なくとも一種を含むものを使用する方法(特許文献5を参照)が開示されている。
また、銅等を導体パターンとするフィルムキャリアを製造するに際し、メッキ後にウィスカが発生したフィルムキャリアを精製水もしくはその加温中にて超音波を15秒間照射して、当該ウィスカを根本から切断除去し、更にフィルムキャリアを乾燥・焼鈍する方法(特許文献6を参照)が開示されている。



以上のような方法が開示されているが、鉛が含有しない純錫メッキはもとより、ウィスカ発生を抑制するとされているビスマスや銀を含有した錫メッキにおいてもウィスカの発生は未だ完全に防止できていないことは、上述の電子情報産業技術協会(JEITA)・錫ウィスカ抑制技術研究委員会で周知されているとおりである。
また、この事実は、パナソニック四国エレクトロニクス株式会社が開発した銀含有量の最適化とメッキ膜厚(約1μm)の最適化による商品として公知となっているが、長さ10μm以下のウィスカは発生するものとしている。



また、メッキ液の添加剤として種々の付加物を加える方法は、メッキ膜厚が2μmを超える部品では当該ウィスカの発生を完全に抑制できない等の課題がある。



このように、上述の何れの方法も多品種の汎用電子部品であるコネクタや端子のメッキ部分に対する共通のウィスカ抑制方法としての採用が困難である。



本発明に類似した方法として、特許文献6に示した「フィルムキャリアのウィスカー除去方法及びその装置」がある。
当該特許では開示されていないが、メッキ処理後に発生成長したウィスカを低周波数の超音波振動によって除去しようとしているものである。更にその後、成長の遅いウィスカの発生を抑制する補完方法として焼鈍熱処理を行っているものと推察する。
しかしながら、例え、成長したウィスカを他方法によって完全に除去しても長時間経過すると共に新たにウィスカが発生成長することは発明者によって確認されている。
また、焼鈍熱処理温度は開示されていないが、当該熱処理によって新たなウィスカの発生を完全に抑制できないことは、電子情報産業技術協会(JEITA)の「ウィスカ試験方法分科会」報告結果から予測される。

【特許文献1】特開2006-319288号公報

【特許文献2】特開2000-174191号公報

【特許文献3】特開2004-156094号公報

【特許文献4】特開2006-322014号公報

【特許文献5】特開2002-275678号公報

【特許文献6】特開平06-77291号公報

産業上の利用分野


本発明は、錫又は錫を主体とする金属メッキが施された電気・電子部品であるコネクタや端子から発生する錫メッキの針状ウィスカの発生を抑制する方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
錫又は錫を主体とした鉛を含有しない金属メッキが施された電気・電子部品の後処理方法であって、当該電気・電子部品の金属メッキ部、クエン酸、シュウ酸若しくはそれらの塩類若しくはポリオール又はこれらの混合物が含まれる溶液中で超音波照射することによって、錫又は錫を主体とした鉛を含有しない金属メッキの針状ウィスカの発生を抑制する方法。

【請求項2】
クエン酸、シュウ酸若しくはそれらの塩類若しくはポリオール又はこれらの混合物が含まれる溶液として、グリセリンが含まれる溶液を用いることを特徴とする、請求項1に記載の錫又は錫を主体とした鉛を含有しない金属メッキの針状ウィスカの発生を抑制する方法。

【請求項3】
前記超音波照射方法として、錫又は錫を主体とした鉛を含有しない金属メッキ処理後のウィスカが出現するまでの潜伏期間中に超音波を照射することを特徴とする請求項1又は2に記載の錫又は錫を主体とした鉛を含有しない金属メッキの針状ウィスカの発生を抑制する方法。
産業区分
  • 表面処理
  • 電線ケーブル
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2007123976thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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