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分散光学システム

国内特許コード P08P006241
整理番号 21383
掲載日 2009年1月23日
出願番号 特願2007-176655
公開番号 特開2009-015014
登録番号 特許第5327731号
出願日 平成19年7月4日(2007.7.4)
公開日 平成21年1月22日(2009.1.22)
登録日 平成25年8月2日(2013.8.2)
発明者
  • 海老塚 昇
  • 和田 智之
  • 大谷 知行
  • 山下 幹雄
  • 佐藤 修二
出願人
  • 独立行政法人理化学研究所
発明の名称 分散光学システム
発明の概要

【課題】波長依存性が少なく、高効率で大きな分散が得られるような小型の分散光学システムを提供する。
【解決手段】入射光を入射して分散する分散プリズムと、上記分散プリズムの後段に配置され、上記分散プリズムから出射された光を入射して、該入射した光を出射して焦点面上に結像する結像レンズと、上記結像レンズの後段において上記結像レンズの上記焦点面近傍に配置され、上記結像レンズから出射された光を入射して、該入射した光の分散を拡大して出射する分散拡大レンズとを有し、上記分散拡大レンズは、上記結像レンズから出射される上記分散プリズムにより分散された光について、屈折角が大きいスペクトルの青側の光が上記分散拡大レンズの光軸近傍に入射して上記光軸近傍に結像し、屈折角が小さいスペクトルの赤側の光が上記分散拡大レンズのコバ側に入射して上記コバ側に結像するように配置した。
【選択図】 図3

従来技術、競合技術の概要


従来より、フェムト秒レーザー光を発生させる際には、非線形光学結晶により発生した広い波長領域のパルス光を位相整合してパルス幅の圧縮を行うようになされている。



図1には、こうした位相整合を行うための従来のフェムト秒レーザー用位相整合光学システムの一例の概念構成説明図が示されている。



即ち、この図1に示す従来のフェムト秒レーザー用位相整合光学システム100は、非線形光学結晶により発生した広い波長領域のパルス光を入射して当該入射したパルス光を反射させる第1ミラー102と、第1ミラー102により反射されたパルス光を分散させる第1回折格子104と、第1回折格子104により分散されたパルス光を反射させる第2ミラー106と、第2ミラー106により反射されたパルス光を反射させ波長ごとに平行光束にする第1凹面鏡108と、第1凹面鏡108の焦点位置に配置されるとともに第1凹面鏡108により波長ごとに平行光束にされたパルス光の位相を波長ごとに変調する空間光変調器(Spatial Light Modulator:SLM)110と、空間光位相変調器110により変調されたパルス光を反射して回折格子116上に集光する第2凹面鏡112と、第2凹面鏡112により集光されたパルス光を反射させる第3ミラー114と、第3ミラー114により集光された分散しているパルス光を合成する第2回折格子116と、第2回折格子116により合成されたパルス光を反射して外部へ出射する第4ミラー118とを有して構成されている。




以上の構成において、上記した従来のフェムト秒レーザー用位相整合光学システム100によれば、非線形光学結晶により発生した広い波長領域のパルス光を内部に取り込み、内部へ取り込んだパルス光を位相整合してパルス幅の圧縮を行って外部へ出射することにより、フェムト秒レーザー光を発生させることができる。



なお、非線形光学結晶により発生したパルス光の波長領域が広いほど、パルス幅を圧縮することが可能である。




しかしながら、上記した従来のフェムト秒レーザー用位相整合光学システム100のように回折格子を用いたシステムにおいては、回折格子自体が広い波長領域において高い効率を得ることが困難であり、また、回折格子の出射光として2倍の波長(1オクターブ)の光が2次回折光として重なってしまい、広帯域の波長領域において高効率でフェムト秒レーザー光を発生させることが困難であるという問題点があった。




一方、上記したフェムト秒レーザー用位相整合光学システム100のように回折格子を用いたシステムとは異なり、回折格子の代わりにプリズムを用いたフェムト秒レーザー用位相整合光学システムも知られている。



しかしながら、プリズムは分散の波長依存性が大きいため、長波長領域では大きな分散を得ることが困難であるという新たな問題点を招来するものであった。




具体的には、フェムト秒レーザー光を得るために、パルスレーザー光のパルス幅を数10フェムト秒に圧縮するには、波長300~1200nmの波長領域において効率約80%で2次回折光などの高次回折光が発生しないような分散素子あるいは分散光学システムが必要となる。



ところが、従来のフェムト秒レーザー用位相整合光学システム100において、第1回折格子104および第2回折格子116として、ブレーズ波長が500nmである格子数150本/mmの反射型回折格子を用いた場合には、波長500nmにおける効率は75%程度であるが、波長300nmにおける効率は15%程度と低く、また、波長1200nmにおける効率は25%程度と低いものであり、さらに、波長300~600nmの位置に波長600~1200nmの2次回折光が重なってしまうという問題点があった。




一方、テラヘルツ波を発生させるための光注入テラヘルツ波パラメトリック発生器(is-TPG方式)は、その内部に非線形光学結晶が配置されており、この非線形光学結晶にシード光およびポンプ光を入射してテラヘルツ光を得るものである。




図2には、従来の光注入テラヘルツ波パラメトリック発生器の概念構成説明図が示されている。



この図2に示す光注入テラヘルツ波パラメトリック発生器200においては、非線形光学結晶208に入射させるシード光の入射角調整光学システムとして、回折格子を用いた分散光学システム204が用いられている。



上記した従来の光注入テラヘルツ波パラメトリック発生器200は、シード光を発生するシード光発生用光源202と、シード光発生用光源202により発生されたシード光を分散させる分散光学システム204と、ポンプ光を発生するポンプ光発生用光源(図示せず)と、ポンプ光発生用光源により発生されたポンプ光を反射するミラー206と、入射されたシード光およびポンプ光からテラヘルツ波を生成する非線形光学結晶208と、非線形光学結晶208上に載置されるとともに非線形光学結晶208により生成されたテラヘルツ波を取り出すカップラ210とを有して構成されている。



また、上記した分散光学システム204は、シード光発生用光源202により発生されたシード光を分散する表面レリーフ型の回折格子204aと、回折格子204aにより分散された光を入射して各波長の光束を平行出射するレンズ204bと、レンズ204bより出射された各波長の光束後焦点に収斂するレンズ204cとを有して構成されている。



なお、非線形光学結晶としては、適宜の材料を選択すればよく、例えば、MgO:LiNbOを用いることができる。




ところで、こうした光注入テラヘルツ波パラメトリック発生器200の分散光学システム204に用いられる回折格子204aは、格子間隔を狭くすることにより大きな分散が得られるようになるものであるが、格子間隔が波長に近づくと回折効率が急激に低下してしまうことが知られている。



ここで、分散光学システムの各構成部材の寸法や配置は回折格子204aの格子間隔に依存するものであり、従ってその小型化には限界があるという問題点があった。



例えば、図2に示した光注入テラヘルツ波パラメトリック発生器200の分散光学システム204により約0.27°/nmの角度分散を得るためには、回折格子204aとして格子数1200本/mmを有する表面レリーフ型の回折格子と、焦点距離がf=750mmのレンズ204bと、焦点距離がf=250mmのレンズ204cとを用い、回折格子204aとレンズ204bとの間隔を750mmとし、レンズ204bとレンズ204cとの間隔を750mm+250mmとし、レンズ204cと非線形光学結晶208との間隔を250mmとする必要があるため、分散光学システム204の距離が約2mに及ぶ長さになり、装置全体が極めて大型化するという問題点があった。




なお、本願出願人が特許出願時に知っている先行技術は、上記において説明したようなものであって文献公知発明に係る発明ではないため、記載すべき先行技術情報はない。

産業上の利用分野


本発明は、分散光学システムに関し、さらに詳細には、フェムト秒レーザーの位相整合器用の分散光学ユニットやテラヘルツ波発生器の光注入テラヘルツ波パラメトリック発生器(is-TPG方式)の非線形光学結晶に入射させるシード光の分散光学ユニットなどとして用いて好適な分散光学システムに関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
入射光を分散する分散光学システムにおいて、
入射光を入射して分散する分散プリズムと、
前記分散プリズムの後段に配置され、前記分散プリズムから出射された光を入射して、該入射した光を出射して焦点面上に結像する結像レンズと、
前記結像レンズの後段において前記結像レンズの前記焦点面に配置され、前記結像レンズから出射された光を入射して、該入射した光の分散を拡大して出射する分散拡大レンズと、
前記分散拡大レンズの後段に配置された凸レンズまたは凹面鏡と
を有し、
前記凸レンズまたは凹面鏡は、前記分散拡大レンズからの出射光を結像する位置に配置され、
前記分散拡大レンズは、前記結像レンズから出射される前記分散プリズムにより分散された光について、屈折角が大きいスペクトルの青側の光が前記分散拡大レンズの光軸近傍に入射して前記光軸近傍に結像し、屈折角が小さいスペクトルの赤側の光が前記分散拡大レンズのコバ側に入射して前記コバ側に結像するように配置し
前記分散拡大レンズは、前記赤側の光の分散を前記青側の光の分散よりも大きくなるようにする
ことを特徴とする分散光学システム。

【請求項2】
請求項1に記載の分散光学システムにおいて、
前記分散拡大レンズは、前記結像レンズの後段において前記結像レンズの前記焦点面近傍に配置されるとともに、前記結像レンズから出射される前記分散プリズムにより分散された光について、屈折角が大きいスペクトルの青側の光が前記分散拡大レンズの光軸上に入射して前記光軸上に結像するように配置された
ことを特徴とする分散光学システム。

【請求項3】
入射光を分散する分散光学システムにおいて、
入射光を入射して分散する回折格子と、
前記回折格子の後段に配置され、前記回折格子から出射された光を入射して、該入射した光を出射して焦点面上に結像する結像レンズと、
前記結像レンズの後段において前記結像レンズの前記焦点面に配置され、前記結像レンズから出射された光を入射して、該入射した光の分散を拡大して出射する分散拡大レンズと、
前記分散拡大レンズの後段に配置された凸レンズまたは凹面鏡と
を有し、
前記凸レンズまたは凹面鏡は、前記分散拡大レンズからの出射光を結像する位置に配置され、
前記分散拡大レンズは、前記結像レンズから出射される前記回折格子により分散された光について、前記分散拡大レンズに入射して回折角を拡大するように配置し
前記分散拡大レンズは、前記回折角の小さな光の分散を前記回折角の大きな光の分散よりも大きくなるようにする
ことを特徴とする分散光学システム。

【請求項4】
請求項3に記載の分散光学システムにおいて、
前記分散拡大レンズは、前記結像レンズの後段において前記結像レンズの前記焦点面近傍に配置されるとともに、前記結像レンズから出射される前記回折格子により分散された光について、長波長側の光が前記分散拡大レンズの光軸上あるいは光軸近傍に入射して、短波長側の光が前記分散拡大レンズのコバ側に入射するように配置された
ことを特徴とする分散光学システム。

【請求項5】
請求項1または2のいずれか1項に記載の分散光学システムにおいて、
前記分散プリズムは、三角プリズムであり、
前記分散プリズムが二等辺三角形あるいは正三角形の場合に前記分散プリズムに入射する入射光は、前記分散プリズムの底面と平行になるように入射角θ
θ=sin-1{n(λ)sin(α/2)}
(λ):λの屈折角
α:分散プリズムの角度
を有するものとし、
前記入射光のうち波長λの光は、前記分散プリズム中に入射の際の屈折角θ(λ)が
θ(λ)=sin-1{sinθ/n(λ)}
n(λ):λの屈折角
であり、
前記入射光が前記分散プリズムより出射する際の出射角θout(λ)は
θout(λ)=sin-1[n(λ)sin{α-θ(λ)}]
であり、
前記出射角θout(λ)を有する出射光は、前記結像レンズを出射後に、前記結像レンズの光軸から高さ方向における距離xだけ離れた結像位置から前記分散拡大レンズに入射するものであって、
前記xは、
x(λ)=f・tan{θout(λ)-θ}
θ:任意の角度
であり、
前記分散拡大レンズに入射する入射角φin(λ)は
φin(λ)=sin-1{(x+a)/R}
a:結像レンズと分散拡大レンズの光軸の距離
R:分散拡大レンズの曲率半径
であり、
前記分散拡大レンズ内における光軸となす角φ(λ)は
φ(λ)=sin-1 [sin{φin(λ)/n(λ)}]
(λ):λの分散拡大レンズに対する屈折率
であり、
前記分散拡大レンズより出射される光の出射角φout(λ)は
φout(λ)=sin-1[n(λ)sin{φin(λ)-φ(λ)}]
である
ことを特徴とする分散光学システム。

【請求項6】
請求項1、2、3、4または5のいずれか1項に記載の分散光学システムにおいて、
前記分散拡大レンズは、凸形状である
ことを特徴とする分散光学システム。

【請求項7】
請求項1、2、3、4または5のいずれか1項に記載の分散光学システムにおいて、
前記分散拡大レンズは、凹形状である
ことを特徴とする分散光学システム。

【請求項8】
請求項6または7のいずれか1項に記載の分散光学システムにおいて、
前記分散拡大レンズは、シリンドリカルレンズである
ことを特徴とする分散光学システム。

【請求項9】
請求項1、2、3、4または5のいずれか1項に記載の分散光学システムにおいて、
前記分散拡大レンズは、非球面や自由曲面を備えたレンズである
ことを特徴とする分散光学システム。

【請求項10】
請求項1、2、3、4または5のいずれか1項に記載の分散光学システムにおいて、
前記分散拡大レンズは、1または複数のレンズよりなる
ことを特徴とする分散光学システム。
産業区分
  • 光学装置
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 権利存続中
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