TOP > 国内特許検索 > エマルションフローを利用した連続液-液抽出装置

エマルションフローを利用した連続液-液抽出装置 新技術説明会

国内特許コード P08A014214
整理番号 12954
掲載日 2009年1月30日
出願番号 特願2007-136496
公開番号 特開2008-289975
登録番号 特許第5565719号
出願日 平成19年5月23日(2007.5.23)
公開日 平成20年12月4日(2008.12.4)
登録日 平成26年6月27日(2014.6.27)
発明者
  • 長縄 弘親
  • 柳瀬 信之
  • 永野 哲志
出願人
  • 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
発明の名称 エマルションフローを利用した連続液-液抽出装置 新技術説明会
発明の概要 【課題】撹拌や遠心力などの機械的作用に頼る2液相混合の原理を応用した、既存の連続液-液抽出装置(ミキサセトラ、パルスカラム、遠心抽出器など)に共通する操作性の悪さ、運転・維持コスト高、安全面での不安などの問題を解決でき、種々の産業分野でさらに幅広く利用されると期待できる液-液抽出技術を提供する。
【解決手段】送液のみによってエマルション状態の流れ(エマルションフロー)を発生させる仕組みを作成した。これによって、機械的作用(振とう、撹拌、遠心力など)に依らず、2液相の最良な混合状態をつくりだすことに成功した。また、この方法を原理とする装置を製作した結果、既存の連続液-液抽出装置に共通する上記の問題点のすべてが解決でき、尚且つ、その他の重要項目(迅速性、大量処理能力、効率性、コンパクトさ)については、最良の既存装置(遠心抽出器)に匹敵することがわかった。
【選択図】 図1
従来技術、競合技術の概要



連続的に一定流量の水相と抽出溶媒相を導入しながら水相中の成分を抽出溶媒相に抽出する装置としては、撹拌機を利用するミキサセトラが広く普及している。また、パルス発生を液滴分散に利用したパルスカラム、遠心力を利用して分散・相分離を行う遠心抽出器といった比較的新しい連続液-液抽出装置も、様々な産業分野で利用されつつある。表1に、これらの既存の液-液抽出装置の間で比較されるいくつかの項目についてまとめた。いずれの液-液抽出装置も大量の溶液処理に適しており、総合的に判断すると、迅速性、混合状態の良好さ、コンパクトさのいずれについても良好と評価できる遠心抽出器が最も優れている。その一方で、どの既存装置も、操作性の悪さ、廃液の発生、流速・流量などの変化に対する弱さ、運転コスト及びメンテナンスコストの大きさ、安全面での不安など、いくつかの共通する問題点を抱えている(表2を参照)。





【表1】








【表2】








溶媒抽出法では、水相と抽出溶媒相を十分に混合して液-液界面の面積を大きくする必要がある。水相と抽出溶媒相が混じり合い白濁したエマルション状態は、物質の相間移動(すなわち、溶媒抽出)に最も適した状態である。従来、混じり合わない2液相をエマルション状態にするためには、振とう、撹拌、遠心力、あるいは超音波による微振動といった機械的作用を持続的に与える方法がとられる。たとえば、ミキサセトラや遠心抽出器では、持続的な撹拌もしくは遠心力によってエマルション状態を維持させる。バッチ式の溶媒抽出では、2液相の持続的な振とうによってエマルション状態を維持させる装置(水平式もしくは縦振り式の振とう機、ボルテックスミキサーなど)が用いられる。





一方、パルスカラムでは、振とうの替わりにパルスを与えることで多孔板から水相を抽出溶媒相に液滴として分散させるが、エマルション状態にまでは至らない。また、エマルションは両相に超音波を当てることによっても生じるが、エマルションのサイズが小さくなり過ぎるために超音波を止めてもすぐに相分離が起こらない(たとえば、静置状態で相分離に10時間以上を要する)。溶媒抽出では、十分な両相の混合だけではなく速やかな相分離も重要であるため、超音波によってエマルション状態をつくりだす方法は適切とは言えない。また、超音波による継続的な微振動は、装置の材質劣化や接合部の破損をもたらす点からも好ましくはない。





振とう、撹拌、あるいは遠心力を利用する方法は、通常の液-液抽出においてマクロ量の溶液を扱うほとんどの既存抽出装置に共通する原理である。しかしながら、2液相の混合に十分な機械的作用を絶えず一定に与え続けなければならないことは、必然的にいくつかのデメリットを派生させる。





たとえば、1)機械的作用の持続的発生に大きなエネルギー負担を強いられるため、運転コストが大きい、2)持続的機械力を発生させる駆動部の負担が大きく、メンテナンスコストが大きい、3)連続抽出では、機械的作用を一定且つ精度良くコントロールしなければ抽出装置を安定に運転できないことから、常に調整作業を要するので、操作性が悪い、4)駆動部に強度の高い材料(たとえば、ステンレススチール)を必要とする、5)振とう、撹拌、あるいは高速回転に伴う騒音が発生する、が挙げられる(表2を参照)。現時点において、持続的機械力に依らず2液相をエマルション状態のまま保持する方法及びその方法を利用した連続液-液抽出装置は、まだ知られていない。

産業上の利用分野



水溶液に含まれる金属イオンなどの成分を、抽出剤を含む水と混じり合わない溶媒(有機溶媒など)に抽出する液-液抽出法(溶媒抽出法)は、金属の精製、核燃料の再処理、廃水中の微量有害成分の除去、有価物質の分離・回収による再資源化など、広く産業で利用されている。水溶液中の目的成分を効率的に溶媒抽出するためには、水相と抽出溶媒相をよく混合することによって液-液界面の面積を大きくすることで、界面反応を促進させる必要がある。そこで、通常は、振とう、撹拌などを持続的に行って、エマルション状態(水と有機溶媒などが混じりあって白濁した状態)を十分な時間、維持させることにより、液-液間の物質移行を平衡状態に達せしめる。





本発明は、振とう、撹拌などを用いることなく連続的にエマルション状態を発現させ、尚且つエマルション状態の流れ(エマルションフローと称する)を利用することで、水相と抽出溶媒相との効率的な接触を迅速に完了させる方法、及びエマルションフローによる2液相接触を利用した連続液-液抽出装置に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
送液ポンプによる水溶液の送液のみを利用して、筒状のカラム部内に設けられた微細化ヘッドを通じて水溶液を微細化して、当該カラム部内の抽出溶媒の中に噴出することにより、水相と抽出溶媒相が混合してエマルション状態の流れであるエマルションフローを作り、
筒状のカラム部内で、水相と抽出溶媒相の間の液-液界面反応が促進され、水相中の目的成分が迅速且つ効率的に抽出溶媒相に抽出され、
次いで、カラム部の径よりも拡径した径を有し、カラム部の体積よりも大きな体積を有する相分離部にエマルションフローを流入させて、縦方向の一定の流れを乱すとともに流速を減少させることで、エマルション状態を即座に解消させる、
ことを特徴とするエマルションフローを利用した、送液と同時に2液相混合を進行させる連続液-液抽出装置。

【請求項2】
エマルションフローによる抽出及びエマルションの消失による相分離を1つの容器内でほとんど同時に進行させることで、迅速な連続的抽出を可能とする、請求項1に記載の連続液-液抽出装置。

【請求項3】
水溶液を微細化して噴出する機能を有する微細化ヘッド、エマルション状態を維持するための筒状のカラム部、水相と抽出溶媒相の相分離を促す形状の部分の相分離部、及び送液ポンプから成り、
カラム部と相分離部の間に仕切りはなく容器として一体であり、
微細化ヘッドからの微細化された水溶液がカラム部内の抽出溶媒中に噴出されるように、微細化ヘッドは筒状のカラム部内に位置づけられている、
請求項1又は2に記載の連続液-液抽出装置。

【請求項4】
微細化ヘッドが、耐溶媒性樹脂を素材とする円筒の一端を10μmから200μmのメッシュを有する耐溶媒性樹脂製のシートで覆った構造、又は耐溶媒性樹脂を素材とする一端の閉じた円筒の回りに適当数の穴をあけ、その表面を耐溶媒性樹脂のシートで覆った構造であるところの、請求項3に記載の連続液-液抽出装置。

【請求項5】
カラム部が、エマルション状態を長く維持させるための筒状部分を有し、筒壁における微細化水滴どうしの会合を防ぐため、疎水性樹脂を材料とする筒、又は内側を疎水加工もしくは疎水性シートで覆ったガラス筒を用いる、請求項4に記載の連続液-液抽出装置。

【請求項6】
相分離部が、エマルション状態における液-液界面反応が十分に達成できた後、速やかに水相と抽出溶媒相とを相分離させる部分であり、カラム部の径よりも拡径した径を有し、カラム部の体積よりも大きな体積を有する相分離部にエマルションフローを流入させて、縦方向の一定の流れを乱すとともに流速を減少させることで、エマルション状態を即座に解消させることを特徴とする、請求項4に記載の連続液-液抽出装置。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

JP2007136496thum.jpg
出願権利状態 登録
ライセンスをご希望の方、特許の内容に興味を持たれた方は、下記問合せ先にご相談下さい。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close