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磁化状態制御装置および磁気情報記録装置

国内特許コード P08P006242
整理番号 21442
掲載日 2009年2月6日
出願番号 特願2007-186095
公開番号 特開2009-026354
登録番号 特許第5152712号
出願日 平成19年7月17日(2007.7.17)
公開日 平成21年2月5日(2009.2.5)
登録日 平成24年12月14日(2012.12.14)
発明者
  • 戸川 欣彦
  • 原田 研
  • 松田 強
  • 大谷 義近
  • 木村 崇
出願人
  • 独立行政法人理化学研究所
発明の名称 磁化状態制御装置および磁気情報記録装置
発明の概要

【課題】高集積化を可能とするとともに、確実に磁性体の磁化状態を制御する。
【解決手段】強磁性体に対して、外部から弱磁場を印加しつつ、パルス電流を印加することで、強磁性体の磁化状態を制御する。印加磁場の向き・強さとパルス電流の電流強度・パルス幅を制御することで、強磁性体を単一磁化状態と多磁区構造の切り替えが可能である。外部磁場をかけることで、パルス電流通電に対する磁化状態反転の発生確率はヒステリシスを有するようになり、確実に制御可能である。また、印加する磁場の強度は数ガウス程度の弱磁場でよい。また、このような磁気情報記録素子を利用して磁気情報記憶装置(メモリ)に適用することで、高集積化可能な磁気情報記憶装置が得られる。
【選択図】図4

従来技術、競合技術の概要


近年、新たな原理に基づく種々の情報記録素子の開発が進展している。とりわけ、エレクトロニクスの新たな展開として注目される電子のスピン特性を利用した様々な素子とそれらを用いる一連の分野については、スピントロニクスという名称が与えられ、新分野として独立するに至っている。中でもスピン偏極した電流を磁性体素子に注入することにより素子中の磁化を反転させる研究は、応用の多様性から大きな注目を集めている。



このようなスピン偏極した電流によって磁化を反転させる技術は、以下の理由により注目されている。すなわち、現在の磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM:Magnetoresistive Random Access Memory)のように外部磁場によって磁化反転を行う方法では、素子
の微細化を行うと磁化反転に要する磁場が大きくなる。また、磁場は遠距離まで到達するという特性がある。したがって、現在のMRAMの大容量化を進めていくにつれ、外部磁場による反転磁化領域の生成は、早晩限界に達すると考えられているからである。



このような理由から、スピン偏極した電流の注入による反転磁化の生成は、上記限界を破る可能性のある方法として精力的な研究が成されている。とりわけ、1990年代の終わりから、3層構造膜において低温での磁化反転が実験的に確認され(非特許文献1)、次いで2000年以降になると巨大磁気抵抗(GMR:Giant Magneto Resistance)膜による室温での反転磁化生成の確認(非特許文献2)に至り、実用を目指した研究がヨーロッパ、アメリカを中心に精力的に進められている。しかし、高集積化が進むに従って素子構造の複雑化など問題も現われ始めている。



単一磁化構造/反転磁化構造を用いた、情報の記録方法と読み出し方法について、以下
に、MRAMを例に取って説明する。



<情報の書き込み>
MRAMを構成するTMR(Tunneling Magneto-Resistance)素子は、原子数個程度の厚さの絶縁体薄膜を2層の強磁性体薄膜で挟んだ3層構造を有する。そして、一方の強磁性体薄膜内の電子スピンの向きは固定され、他方の強磁性体薄膜内の電子スピンの向きは外部から印加する磁場によって変えられるようになっている。例えば、両方の電子スピンの向きが平行の場合を「0」に対応させ、一方、電子スピンの向きが互いに反平行の場合を「1」に対応させる。したがって、固定されていない強磁性体薄膜内の電子スピンの向き(磁化状態)を制御することで、情報の記録が行える。



<情報の読み出し>
MRAMにおける情報の読み出しは、電子スピンの向きの違いによってTMR素子の電気抵抗が変化する特性を利用している。TMR素子において、両方の強磁性体薄膜内の電子スピンの向きが平行の場合には電気抵抗は小さくなり、逆に両方の電子スピンの向きが反平行の場合には電気抵抗が大きくなる。従って、この電気抵抗値の変化を検出することでTMR素子のスピン状態を知ることができる。



MRAMのアドレスアクセスタイムは10ns台、サイクルタイムは20ns台とDRAM(Dynamic Random Access Memory)の5倍程度で、SRAM(Static Random Access
Memory)並みの高速な読み書きが可能である。また、フラッシュメモリの10分の1程
度の低消費電力、高集積が可能などの長所がある。



また、ごく最近、レーストラック型磁化情報記録装置(Racetrack Random Access Memory)の概念が発表された(非特許文献3、特許文献1)。これは、1つの強磁性構造体を1個の記憶素子として取り扱うのではなく、複数の磁区構造を含む程度に大きな磁性材料を情報記録部(たとえばテープ状)として用意しておき、その中に反転磁化状態を書き込んで行くものである。いわば磁気テープと同じ様な考え方であるが、根本的に異なるのは磁気テープのごとく磁気ヘッド、もしくは磁気テープが移動することによって隣接した記録情報にアクセスするのではなく、読み出し、記録部位は機械的に固定されており、磁性材料中に記録された磁化状態がスピン偏極電流によって駆動され、磁区構造がその位置を移動させて記録・読み出し操作に供される点である。従来の機械的に固定された1bitと
しての各素子とその各部分への個別情報記録・消去ではなく、強磁性体中の磁区構造がそのままbitとして利用し得る可能性を持った全く新しい概念に基づくものである。従来の
隣接素子間の距離は、隣り合う磁区構造のサイズとなり究極のスケールダウンが実現され、集積密度の向上とそれに伴う高速演算性能が期待されている。



本発明は、これらの背景の元に成された、弱磁場中の強磁性体に対するパルス電流の通電による反転磁化領域の生成実験(非特許文献4、5)に基づくものである。

【特許文献1】米国特許第6834005号明細書

【特許文献2】特開2006-196708号公報

【非特許文献1】E. B. Myers et al., "Current-Induced Switching of Domains in Magnetic Multilayer Devices", Science. Vol. 285, (1999) 867.

【非特許文献2】J. A. Katine et al., "Current-Driven Magnetization Reversal and Spin-Wave Excitations in Co/Cu/Co Pillars", Phys. Rev. Lett. Vol. 84, (2000) 3149.

【非特許文献3】"Spintronics Devices Research: Magnetic Racetrack Memory Project", [online], IBM, URL<http://www.almaden.ibm.com/spinaps/research/sd/?racetrack>

【非特許文献4】Y. Togawa et al., "Current-Excited Magnetization Dynamics in Narrow Ferromagnetic Wires", Japan. J. Appl. Phys. Vol. 45, (2006) L683.

【非特許文献5】Y. Togawa et al., "Domain Nucleation and Annihilation in Uniformly Magnetized State Under Current Pulses in Narrow Ferromagnetic Wires", Japan. J. Appl. Phys. Vol. 45, (2006) L1322.

産業上の利用分野


本発明は、電流駆動によって磁性体の磁化状態を制御する磁化状態制御装置および磁気情報記録装置に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
複数の磁性体の磁化状態を制御する磁化状態制御装置であって、
前記複数の磁性体全体に対して、前記磁性体の磁化方向と略平行または略反平行な向きに磁場を印加する磁場印加手段と、
前記複数の磁性体の各々に対して、パルス電流を印加する電流印加手段と、を有し、
前記磁場印加手段は、複数の磁性体全体に対して磁場を印加する第1の磁場印加手段と、それぞれが対応する一部の磁性体に対して磁場を印加する複数の第2の磁場印加手段と、から構成され、
前記磁性体に磁場を印加しつつパルス電流を印加することによって、前記磁性体の磁化状態を制御する
ことを特徴とする磁化状態制御装置。

【請求項2】
前記磁性体は、括れ部を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の磁化状態制御装置。

【請求項3】
前記磁性体は、屈曲部を有する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の磁化状態制御装置。

【請求項4】
前記磁場印加手段が印加する磁場の向きと前記磁性体の磁化方向とのなす角度は、30度以内である、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の磁化状態制御装置。

【請求項5】
前記磁場印加手段が印加する磁場の大きさは、装置内に恒常的に存在する磁場よりも大きく、前記磁性体の磁化状態を磁場だけで変化させるために必要な磁場よりも小さい
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の磁化状態制御装置。

【請求項6】
前記磁場印加手段は、前記複数の磁性体の外部から磁場を印加することを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の磁化状態制御装置。

【請求項7】
前記複数の磁性体は平面内に格子状に配列されており、
前記第1の磁場印加手段は、前記複数の磁性体が格子状に配列された平面全体に均一な
磁場を印加することを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の磁化状態制御装置。

【請求項8】
複数の磁性体の磁化状態を制御する磁化状態制御装置であって、
前記複数の磁性体全体に対して、磁場を印加する磁場印加手段と、
前記複数の磁性体の各々に対して、パルス電流を印加する電流印加手段と、を有し、
前記磁場印加手段は、複数の磁性体全体に対して磁場を印加する第1の磁場印加手段と、それぞれが対応する一部の磁性体に対して磁場を印加する複数の第2の磁場印加手段と、から構成され、
前記磁性体に磁場を印加しつつパルス電流を印加することによって、前記磁性体の磁化状態を制御する
ことを特徴とする磁化状態制御装置。

【請求項9】
複数の磁気情報記録素子と、
前記複数の磁気情報記録素子全体に対して、前記磁気情報記録素子の磁化方向と略平行または略反平行な向きに磁場を印加する磁場印加手段と、前記複数の磁気情報記録素子の各々に対してパルス電流を印加する電流印加手段とから構成され、前記磁気情報記録素子に磁場を印加しつつパルス電流を印加することで磁気情報を書き込む情報書き込み手段と、
前記磁気情報記録素子に記録された情報を読み込む情報読み込み手段と、
を備え
前記磁場印加手段は、複数の磁気情報記録素子全体に対して磁場を印加する第1の磁場印加手段と、それぞれが対応する一部の磁気情報記録素子に対して磁場を印加する複数の第2の磁場印加手段と、から構成される、
磁気情報記録装置。

【請求項10】
前記磁場印加手段が印加する磁場の向きと前記磁性体の磁化方向とのなす角度は、30度以内である、
ことを特徴とする請求項に記載の磁気情報記録装置。

【請求項11】
前記磁場印加手段は、複数の磁気情報記録素子の外部から磁場を印加するものであることを特徴とする請求項9または10に記載の磁気情報記録装置。

【請求項12】
前記複数の情報記録素子は平面内に格子状に配列されており、
前記第1の磁場印加手段は、前記複数の情報記録素子が格子状に配列された平面全体に均一な磁場を印加することを特徴とする請求項9~11のいずれかに記載の磁気情報記録装置。

【請求項13】
複数の磁気情報記録素子と、
前記複数の磁気情報記録素子全体に対して磁場を印加する磁場印加手段と、前記複数の磁気情報記録素子の各々に対してパルス電流を印加する電流印加手段とから構成され、前記磁気情報記録素子に磁場を印加しつつパルス電流を印加することで磁気情報を書き込む情報書き込み手段と、
前記磁気情報記録素子に記録された情報を読み込む情報読み込み手段と、
を備え、
前記磁場印加手段は、複数の磁気情報記録素子全体に対して磁場を印加する第1の磁場印加手段と、それぞれが対応する一部の磁気情報記録素子に対して磁場を印加する複数の第2の磁場印加手段と、から構成される、
磁気情報記録装置。
産業区分
  • 記憶装置
  • 磁性材料
  • 固体素子
  • 電子応用機器
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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