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eIF4H発現抑制による癌細胞の増殖阻害方法 コモンズ

国内特許コード P08A014229
整理番号 P05-115
掲載日 2009年2月20日
出願番号 特願2006-109310
公開番号 特開2007-277204
登録番号 特許第4806772号
出願日 平成18年4月12日(2006.4.12)
公開日 平成19年10月25日(2007.10.25)
登録日 平成23年8月26日(2011.8.26)
発明者
  • 島田 英昭
  • 松下 一之
  • 朝長 毅
  • 野村 文夫
  • 落合 武徳
出願人
  • 国立大学法人 千葉大学
発明の名称 eIF4H発現抑制による癌細胞の増殖阻害方法 コモンズ
発明の概要

【課題】癌、特に大腸癌に代表される消化器癌等のより有効で確実な検出・診断・治療を提供すること、及び、このような癌の遺伝子診断システムと遺伝子治療臨床研究システムの開発に利用される各種の生体分子の提供。
【解決手段】eIF-4Hの発現を抑制することから成る、癌細胞の増殖阻害方法、eIF-4Hに特異的な siRNAを活性成分として含有する医薬組成物、及び、eIF-4Hの発現量に基く、癌細胞増殖阻害活性を有する物質のスクリーニング方法等。
【選択図】 図2

従来技術、競合技術の概要


今までに、二次元電気泳動(2-DE)及び質量分析等の種々のプロテオミクス技術によって、癌の診断・治療に有用な癌特異的な蛋白質が同定されている。このような癌特異的な蛋白質に関する研究の多くは、疾患特異的な様式で増加調節又は減少調節されるものに焦点が当てられてきた。しかしながら、蛋白質の選択的スプライシング変異体及び蛋白質の翻訳後修飾に関する報告は余りない。



ヒト遺伝子の60%が少なくとも一つの選択的スプライシング変異体(バリアント)を有しているといわれており(Black, D.L. (2003). Mechanisms of alternative pre-messenger RNA splicing. Annu Rev Biochem 72, 291-336)、このような変異体が癌等のヒトの疾患において重要な役割を担っていることも報告されている(Brinkman, B.M. (2004). Splice variants as cancer biomarkers. Clin Biochem 37, 584-594)。従って、このような選択的スプライシング変異体は有力な診断ツール又は薬剤ターゲットに成る可能性があると考えられる。



真核生物翻訳開始因子4H(eucaryotic Initiation Factor 4H: eIF-4H)は最初にウサギ赤血球における翻訳を刺激する物質として同定された(Rogers, G.W., Jr., Richter, N.J., and Merrick, W.C. (1999). Biochemical and kinetic characterization of the RNA helicase activity of eukaryotic initiation factor 4A. J Biol Chem 274, 12236-12244)。eIF-4Hは真核生物における翻訳開始因子ファミリーの一員として、eIF-4F複合体のサブユニットであるeIF-4Aのヘリカーゼ活性を促進することによって蛋白質合成を刺激することが知られている(Richter-Cook, N.J., Dever, T.E., Hensold, J.O., and Merrick, W.C. (1998). Purification and characterization of a new eukaryotic protein translation factor. Eukaryotic initiation factor 4H. J Biol Chem 273, 7579-7587; )。更に、eIF-4Hは他の幾つかの開始因子の活性を促進して、4E-BP1による阻害等の負調節を打ち消している可能性も指摘されている(Lin, T.A., Kong, X., Haystead, T.A., Pause, A., Belsham, G., Sonenberg, N., and Lawrence, J.C., Jr. (1994). PHAS-I as a link between mitogen-activated protein kinase and translation initiation. Science 266, 653-656)。従って、eIF-4Hは、eIF-4E又は-4G の活性化を通じて直接的又は間接的に様々な悪性腫瘍(癌)関連mRNAの翻訳を変化させることによって、細胞増殖及び腫瘍形成に関与している可能性がある。



eIF-4H遺伝子は、7q11.23における隣接遺伝子群の欠損が原因である多重人格を発生する疾患であるウィリアムズ症候群で欠損していることが知られているが、これが該症候群の発生とどのような関係があるかについては未だ解明されていない。該遺伝子の選択的スプライシングによって2つ変異体、即ち、アイソフォーム1及びアイソフォーム2(エクソン5が欠失したもの)が生じ、これらは夫々、分子量27kDa及び25kDaを有する。これら2つのアイソフォームの特異的な機能は未だ判っていないが、分子量の小さいアイソフォーム2はヒト細胞においてはより多く存在していることが知られている(Martindale, D.W., Wilson, M.D., Wang, D., Burke, R.D., Chen, X., Duronio, V., and Koop, B.F. (2000). Comparative genomic sequence analysis of the Williams syndrome region (LIMK1-RFC2) of human chromosome 7q11.23. Mamm Genome 11, 890-898:非特許文献1)。



本発明者等は既に、原発大腸癌における蛋白質の発現をアガロース2-DEを用いて分析し、腫瘍組織とそれに隣接する正常組織の間で、幾つかの蛋白質に関するpI及び分子量が異なることを見出し、その一つとして、eIF-4Hの選択的スプライシング変異体であるアイソフォーム1の発現が殆どの腫瘍組織において増加していることを見出した(Tomonaga, T., Matsushita, K., Yamaguchi, S., Oh-Ishi, M., Kodera, Y., Maeda, T., Shimada, H., Ochiai, T., and Nomura, F. (2004). Identification of altered protein expression and post-translational modifications in primary colorectal cancer by using agarose two-dimensional gel electrophoresis. Clin Cancer Res 10, 2007-2014:非特許文献2)。

【非特許文献1】Martindale, D.W., Wilson, M.D., Wang, D., Burke, R.D., Chen, X., Duronio, V., and Koop, B.F. (2000). Comparative genomic sequence analysis of the Williams syndrome region (LIMK1-RFC2) of human chromosome 7q11.23. Mamm Genome 11, 890-898

【非特許文献2】Tomonaga, T., Matsushita, K., Yamaguchi, S., Oh-Ishi, M., Kodera, Y., Maeda, T., Shimada, H., Ochiai, T., and Nomura, F. (2004). Identification of altered protein expression and post-translational modifications in primary colorectal cancer by using agarose two-dimensional gel electrophoresis. Clin Cancer Res 10, 2007-2014

産業上の利用分野


本発明は、真核生物翻訳開始因子(eucaryotic Initiation Factor 4H: eIF-4H)、特にヒトのeIF-4H(以降、本明細書において、特に断わりのない限り、「eIF-4H」はヒト由来のeIF-4Hを意味する)の発現を抑制することから成る、癌細胞の増殖阻害方法、eIF4Hに特異的な siRNAのようなeIF4Hの発現を抑制し得る物質を活性成分として含有する癌細胞増殖阻害剤、及び、eIF-4Hの発現量に基く、癌細胞増殖阻害活性を有する物質のスクリーニング方法等に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】 以下に示すいずれかの塩基配列又はその一部の連続する塩基配列を含む21~23個の塩基から成るオリゴヌクレオチド及びその相補的オリゴヌクレオチドから成る二本鎖RNAである、eIF-4Hアイソフォーム1に特異的なsiRNAを活性成分として含有する癌細胞増殖阻害剤。
(R102)5’-aacccacagaagaggaaagag-3’;
(R103)5’-aatgggtagctctcgagaatc-3’;
(R104)5’-aatctagaggtggatgggatt-3’。
【請求項2】 癌が消化器癌である、請求項記載の癌細胞増殖阻害剤。
産業区分
  • 薬品
  • 薬品
  • 微生物工業
  • 治療衛生
  • 試験、検査
国際特許分類(IPC)
画像

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JP2006109310thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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