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冬虫夏草の突然変異体及びその変異体の培養法 コモンズ 新技術説明会

国内特許コード P08P005965
整理番号 FU223
掲載日 2009年2月20日
出願番号 特願2007-201235
公開番号 特開2009-034045
登録番号 特許第5343264号
出願日 平成19年8月1日(2007.8.1)
公開日 平成21年2月19日(2009.2.19)
登録日 平成25年8月23日(2013.8.23)
発明者
  • 榊原 三樹男
  • 増田 美奈
  • 櫻井 明彦
  • 畑下 昌範
出願人
  • 国立大学法人福井大学
  • 公益財団法人若狭湾エネルギー研究センター
発明の名称 冬虫夏草の突然変異体及びその変異体の培養法 コモンズ 新技術説明会
発明の概要

【課題】冬虫夏草の変異株の製造方法、及びそれを利用してコルジセピンを高生産する方法の提供。
【解決手段】冬虫夏草の菌糸体に高エネルギーのイオンビームを照射し、当該照射処理を行った菌糸体の中から親株と菌学的性質、特に生理活性物質の生産能の異なる変異株を選抜する。さらにその中から、有効成分コルジセピンを高効率で生産する変異株を選抜し、得られた高生産株を、最適条件下で培養することで、コルジセピンの高生産を可能とする方法。
【選択図】なし

従来技術、競合技術の概要


冬虫夏草は、子嚢菌類に分類される菌類で、昆虫に寄生するキノコの総称である。寄生の形態は以下の通りである:(1)飛散した胞子が宿主である昆虫に取り付き、その体内に入り込む。(2)体内に入った胞子が、養分を吸収して菌糸をのばしながら成長し、菌糸の固まりである菌核を形成する。(3)成熟後、昆虫の体を突き破って、キノコ(子実体)を生じる。



中国においては、コウモリガの幼虫に寄生するCordyceps sinensis(学名)が、1700年代から、漢方薬として用いられてきた。近年では、Cordyceps sinensis以外の冬虫夏草についても抗菌、抗腫瘍、免疫増強、血糖降下、血管拡張作用など様々な薬理活性機能を有することが明らかにされてきており、その有効成分としてコルジセピン、エルゴステロールパーオキシド、ミリオシン、各種多糖及び糖タンパク質などの存在が報告されている。これらの有効成分のなかでも、ヌクレオシド(アデノシン)のアナログであるコルジセピンは、抗菌、抗腫瘍作用を示す物質として特に注目を集めている。このように、医薬品や保健食品への利用が期待されている冬虫夏草であるが、それらは極めて小さく、採集が困難であるため、天然に生育する冬虫夏草を採集収穫するだけでは、高まりつつある需要を十分に満たすことはできない。



そこで、近年、冬虫夏草の菌糸体や子実体を人工的に培養する方法、さらにはそこから有効成分を抽出する方法としていくつかの提案がなされている。例えば、培養する方法としては、水を用いて高温加熱下で抽出した蚕の蛹の組成成分の抽出液に、炭素源、アミノ酸類、ミネラル類、又はビタミン類の中から少なくとも一種を添加した培地で冬虫夏草の菌糸体と子実体を栽培する方法(特許文献1)、冬虫夏草の菌糸体を合成または天然の培地で培養するに際して、対象とする冬虫夏草の寄生した昆虫と同一種の昆虫の抽出エキスを培地に添加する方法(特許文献2)などが挙げられる。有効成分を抽出する方法としては、特許文献3~5などが挙げられる。すなわち、特許文献3には、無菌飼育した蚕の蛹あるいは蜘蛛の体内に該冬虫夏草菌株の胞子懸濁液を接種して子実体を形成させ、得られた子実体からエタノールや水を用いて有効成分を抽出する方法が記載されている。また、特許文献4には、玄米などの穀類と昆虫組織体(寄生した昆虫と同一目、同一科の昆虫を使用)を主成分とし、アミノ酸類、ミネラル類、又はビタミン類の中から少なくとも一種の添加物を添加した固体培地に冬虫夏草菌を接種し、18~26℃、湿度80%以上全暗で菌糸体を発育させた後、照度100Lux以上、1日6時間以上照射で子実体を栽培し、培養品をそのまま粉砕する、あるいは、必要に応じて有効成分を抽出する方法が記載されている。さらに、特許文献5には、350~550nmの波長域にピークをもつ光を連続又は間欠的に照射して冬虫夏草菌糸体を培養し、得られた菌糸体から、有機溶媒や水等で有効成分を抽出する方法が記載されている。



他にも、最も重要な有効成分の1つであるコルジセピンの生産性を高めるため好適な培地・培養条件を検討した結果が、特許文献6及び7、非特許文献1~3等に記載されている。すなわち、特許文献6には、冬虫夏草用の培地として、1~6重量%のグルコース、スクロース、糖蜜、マルトースから選ばれた少なくとも1種、1~7重量%のペプトン、イースト、モルト、ミルクから選ばれた少なくとも1種、0.1~0.5重量%のアスパラギン、アスパラギン酸、グリシン、DNAから選ばれた少なくとも1種及び/又は微量のビオチン、ビタミン類を含有するものを用いて、コルジセピンの含有率を向上させる方法が記載されている。特許文献7には、冬虫夏草用培地にコルジセピンを産生する冬虫夏草菌を接種し、暗所、5~28℃で20~90日間培養する第一工程と、その培養後、照度100~150000Luxの光照射下において、35℃以下の範囲で第一工程より温度を上げて培養し、コルジセピンの含有量を向上させる方法が記載されている。また、非特許文献1には、通気攪拌槽を用いた深部培養において、培養開始から溶存酸素濃度(DO)を飽和の60%に制御し、コルジセピンの比生産速度が低下する時点で30%にするという2段階のDO制御方式により、高い生産量と生産性を得る方法が記載され、非特許文献2には、炭素源として、42g/lグルコース、窒素源として、15.8g/lペプトンを含む培地を用いて、25℃、110rpm、20日間振盪フラスコによる培養を行い、高いコルジセピン生産性を得る方法が記載されている。さらに、非特許文献3には、窒素源として、45g/lの酵母エキスを用い、8日間の振盪培養の後、8日間の静置培養を行うことにより、効率的にコルジセピンを得る方法が記載されている。



しかしながら、従来の冬虫夏草の人工培養法は、培地に蛹粉、蛹の抽出液、及び/又は昆虫の抽出液を用いたり、昆虫の体内に菌を接種したり、温度、pH、光照射を細かく制御したりするなど、操作が煩雑で実用化を考慮した大量生産は困難である。また、コルジセピンを得ようとした場合、その収量は、非特許文献1で培地中に0.195g/l、非特許文献2で0.345g/l、非特許文献3で2.2g/l、特許文献6では菌体1gあたり0.02~0.1g、特許文献7では菌体1gあたり0.05~0.1gと、いずれも十分とはいえない。



微生物が産生する有用物質を工業的規模で得るための試みとしては、変異体の誘導がよく行われており、変異原として、N-メチル-N’-ニトロ-N-ニトロソグアニジン(NTG)、エチルメタンスルホン酸(EMS)、紫外線、放射線などが用いられている。



放射線に分類されるイオンビームは、近年、植物育種の分野で適用され始めた技術である。例えば、カーボンビーム照射をしたシロイヌナズナ種子のtt,gl遺伝子座を解析したところ、電子線照射と比較して突然変異率が17倍、逆位や欠失などの大きな構造変化の点突然変異に対する割合が電子線照射の3倍であった(非特許文献4)。変異原としてイオンビームを用いた突然変異の誘導は、植物育種の分野ではいくつかの成功例が報告されているが(非特許文献5)、微生物に適用した例は知られていない

【特許文献1】特開平10-42691号公報

【特許文献2】特開平10-117770号公報

【特許文献3】特開2002-272267号公報

【特許文献4】特開2003-116522号公報

【特許文献5】特開2004-344027号公報

【特許文献6】特開2004-242506号公報

【特許文献7】特開2004-267004号公報

【非特許文献1】Biotechnol. Prog.20,1408-1413(2004)

【非特許文献2】Process Biochemistry 40,1667-1672(2005)

【非特許文献3】Biochem. Eng. J.33,193-201(2007)

【非特許文献4】Genetics 157,379-387(2001)

【非特許文献5】Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B 206,574-578(2003)

産業上の利用分野


本発明は冬虫夏草変異体の製造方法、それによって得られた変異体及びその有効利用法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
コルジセピン高生産能を有する、受領番号がFERM AP-21315である、冬虫夏草(Cordyceps militaris)NBRC 9787の変異株。

【請求項2】
受領番号がFERM AP-21315である冬虫夏草を好気的に培養する工程を含む、コルジセピンの生産方法。

【請求項3】
該冬虫夏草を、酵母エキスを含む培地中で培養することを含む、請求項記載の方法。

【請求項4】
全培地重量に対し、0.25~14重量%の酵母エキスを含む培地中で培養することを含む、請求項記載の方法。
産業区分
  • 微生物工業
  • 有機化合物
  • 薬品
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 権利存続中
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