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近交系マウスC57BL/6由来生殖系列細胞分化能を有するES細胞株及び該細胞株を用いたキメラマウス コモンズ

国内特許コード P08A014235
整理番号 B21P01
掲載日 2009年2月27日
出願番号 特願2002-310328
公開番号 特開2004-141073
登録番号 特許第4456324号
出願日 平成14年10月24日(2002.10.24)
公開日 平成16年5月20日(2004.5.20)
登録日 平成22年2月12日(2010.2.12)
発明者
  • 崎村 建司
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 近交系マウスC57BL/6由来生殖系列細胞分化能を有するES細胞株及び該細胞株を用いたキメラマウス コモンズ
発明の概要 【課題】汎用近交系マウスC57BL/6由来の生殖系列細胞分化能を有するES細胞株、該細胞株を用いたキメラマウス、その樹立及び作製方法を提供すること。
【解決手段】近交系マウスC57BL/6の雌のマウスから、受精後胚盤胞形成前の胚を採取し、イン ビトロ、ES細胞用培地中で培養し、該培養胚のうち胚盤胞まで発生が進んだ胚を分離し、該胚をフィーダー細胞培地中に播種して培養し、該培養胚からES様形態で生育しているものの細胞塊を採取し、該細胞塊をトリプシンを含有するES細胞用培地を用いて分散処理し、該細胞をフィーダー細胞培地及びES細胞用培地を用いて継代培養して、生殖系列細胞分化能を有する汎用近交系マウスC57BL/6由来のES細胞株を樹立する。該ES細胞を用いてキメラマウスを作製することにより、生殖系列遺伝をする近交系マウスC57BL/6のキメラマウスを得ることができる。
従来技術、競合技術の概要


ES細胞は、胚幹細胞(embryonic stem cell:ES cell)と呼ばれ、胚盤胞の内部細胞塊より樹立される未分化な株化細胞をいう。ES細胞を初期胚に注入し、キメラマウスを作製すると、生殖細胞を含むすべての細胞に分化することができる。生殖系列のキメラマウスを交配すると、ES細胞由来の子孫を作り出すことができるため遺伝子ターゲッティングなどにより予め特定の遺伝子を操作しておけば、任意のノックアウトマウスやトランスジェニックマウスを作製することができる。



ES細胞を用いた遺伝子ノックアウト法等は、生命現象を分子レベルで解析するのに優れた方法である。とりわけ脳の機能は個体レベルで解析することが必須であり、遺伝子ノックアウト法は無くてはならない技術になってきている。しかし、現在ほとんどのノックアウトマウス作製に用いられているES細胞は129系統由来であるが、このマウス系統は脳梁の形成不全があり、脳高次機能を解析する上で必須の行動解析に向かない。そこで、これまで作製されたノックアウトマウスは、行動解析に実績がある近交系マウスC57BL/6系統に戻し交配され、行動学的な解析がなされてきた。ところが変異を指標に選択をする限り、変異導入領域を中心にした遺伝子領域を戻し交配で完全に入れ換えることは不可能であり、遺伝子背景の問題を克服するには、純系のマウス由来ES細胞を用いるしか方法がない。



これまでに、近交系C57BLマウス由来の細胞株で生殖系列細胞への分化能を維持している細胞株としては、いくつかの報告がされている。例えば、C57BLマウス由来の細胞株として、雄の細胞株(BL-111)(Experimental Cell Research 197, 254-258, 1991)が報告されている。また、その他の近交系マウスであるDBAに由来する細胞株として、これも雄の細胞株が報告されている(Experimental Cell Research 221, 520-525, 1995)。更に、近年、汎用近交系C57BL/6N系マウス由来の生殖系列細胞への分化能を有する細胞株として、該マウスの透明帯からイン ビトロで孵化させた胚盤胞から採取した汎用近交系C57BL/6N系マウス由来の雌のES細胞が開示されている(特開2001-61470号公報)。



しかしながら、これまでにC57BL/6系統等から樹立されたES細胞株として、いくつかの報告はされてきたが、生殖系列キメラが得られる効率に問題がある等が指摘されている。実際、これまで発表されたC57BL/6由来ES細胞のうち、本発明者が入手できた細胞を調べたが、いずれも生殖系列キメラは得られなかった。しかし、Colin L. Stewartらが分与した、ES細胞Bruce株から細胞形態とカリオタイプを指標に樹立し直した亜株からは生殖系列キメラが得られた。そこで、現在行動解析などに日常的に用いられているC57BL/6NCrjのようなC57BL/6由来の生殖系列細胞への分化能を有するES細胞株の樹立が必要とされた。



【特許文献1】
特開2001-61470号公報
【非特許文献1】
Experimental Cell Research 197, 254-258, 1991
【非特許文献2】
Experimental Cell Research 221, 520-525, 1995

産業上の利用分野


本発明は、近交系マウスC57BL/6由来生殖系列細胞分化能を有するES細胞株、その樹立方法、及び該細胞株を用いたキメラマウス、その作製方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
(a)次の(b)工程における胚の発生段階及び採取時期を管理された条件で正確に行うために、近交系マウスC57BL/6NCrjの雌雄を交配するに際して、雌のマウスに性腺刺激ホルモンを投与して近交系マウスC57BL/6の雌雄を交配する工程、(b)該雌のマウスから受精後胚盤胞形成前の胚を2.5日胚の時期において採取し、イン ビトロ、KO-ES培地からなるES細胞用培地中で培養する工程、(c)該培養胚のうち胚盤胞まで発生が進んだ胚を分離し、フィーダー細胞培地中に播種して培養する工程、(d)該培養胚からES様形態で生育しているものの細胞塊を採取し、該細胞塊をトリプシンを含有するKO-ES培地からなるES細胞用培地を用いて分散した後、フィーダー細胞培地中に播種して培養する工程、(e)該(d)の工程を繰り返した後、周りに分化した細胞が認められないコロニーを選択する工程、及び(f)該コロニーをKO-ES培地からなるES細胞用培地を用いて継代培養し増殖した後、凍結保存する工程、からなることを特徴とする近交系マウスC57BL/6NCrj由来生殖系列細胞分化能を有するES細胞株の樹立方法。

【請求項2】
(g)請求項1に記載のES細胞株の樹立方法により近交系マウスC57BL/6NCrj由来生殖系列細胞分化能を有するES細胞株を樹立し、或いは該樹立したES細胞株を遺伝子工学的に形質転換し、該ES細胞株或いは該樹立したES細胞株を遺伝子工学的に形質転換したES細胞株を、ES細胞株の樹立において用いたES細胞用培地と同一の培地であるKO-ES培地及びフィーダー細胞を用いて培養・増殖する工程、(h)予め胚供給用雌雄のマウスを交配して採取した宿主胚を、ES細胞株の樹立において用いたES細胞用培地と同一の培地であるKO-ES培地を用いて培養する工程、(i)(g)工程で調製したES細胞株を、(h)工程で調製した宿主胚に導入する工程、及び(j)ES細胞株を導入した宿主胚を偽妊娠させた仮親用雌マウスの子宮に移植する工程によりキメラマウスを作製することを特徴とするキメラマウスの作製方法。

【請求項3】
ES細胞をフィーダー細胞上で培養・増殖する工程を、ICR系統マウスの14日胚より調製したネオマイシン耐性線維芽細胞フィーダー上で、播種する細胞数と継代時期を厳密に制御して分化を抑制した状態で行うことを特徴とする請求項2に記載のキメラマウスの作製方法。

【請求項4】
(i)工程において、ES細胞株を8細胞期の宿主胚へ注入することを特徴とする請求項2又は3に記載のキメラマウスの作製方法。

【請求項5】
ES細胞株を導入する宿主胚として、ICR系統のマウスの胚を用いることを特徴とする請求項2~4のいずれかに記載のキメラマウスの作製方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) SORST 平成13年度採択課題
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