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dsr-2タンパク質及びそれをコードする遺伝子、D-セリンシグナル調節薬をスクリーニングするための標的物質、及びD-セリンシグナル調節薬をスクリーニングする方法 コモンズ

国内特許コード P08A014242
整理番号 Y03-P061
掲載日 2009年2月27日
出願番号 特願2003-381299
公開番号 特開2005-143311
登録番号 特許第4408212号
出願日 平成15年11月11日(2003.11.11)
公開日 平成17年6月9日(2005.6.9)
登録日 平成21年11月20日(2009.11.20)
発明者
  • 西川 徹
  • 山本 直樹
  • 海野 麻未
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 dsr-2タンパク質及びそれをコードする遺伝子、D-セリンシグナル調節薬をスクリーニングするための標的物質、及びD-セリンシグナル調節薬をスクリーニングする方法 コモンズ
発明の概要 【課題】 D-セリンシグナル調節薬の開発に利用可能な新規なタンパク質、これをコードする遺伝子、D-セリンシグナル調節薬をスクリーニングするための標的物質、及び前記調節薬をスクリーニングする方法を提供する。
【解決手段】 特定のアミノ酸配列を有するdsr-2タンパク質、特定の塩基配列を有する新規遺伝子dsr-2、該遺伝子、特定の塩基配列を有する遺伝子dsr-1、前記dsr-2タンパク質、dsr-1Aタンパク質、又はdsr-1Bタンパク質を有効成分とするD-セリンシグナル調節薬をスクリーニングする標的物質、並びに実験用動物に対して前記調節薬の候補物質を投与し、該実験用動物の細胞からRNAを抽出してcDNAを合成し、該cDNA をPCR増幅し、新規遺伝子dsr-2又は遺伝子dsr-1の発現量を測定するスクリーニング方法。
【選択図】 なし
従来技術、競合技術の概要


統合失調症では既存の治療薬に抵抗する難治性症状が多く、又脊髄小脳変性症における運動失調は、現在のところ満足できる治療法が確立されていない。本発明者らは、実験動物でD-セリンが、1)NMDA型グルタミン酸受容体チャンネル(以下NMDA受容体と称する)遮断薬による統合失調症モデルと考えられる異常行動および小脳性の運動失調を改善すること、および2)脳に選択的かつNMDA受容体と類似した分布を示す内在性物質であることを発見した。そこで、内在性D-セリンの代謝と機能を明らかにし、統合失調症状発現および運動失調発現における意義や治療薬開発への応用について検討している。



統合失調症の薬物療法は、1952年以来現在まで、ドーパミン受容体阻害剤が用いられている。近年、新たな世代の治療薬としてドーパミン受容体と同時にセロトニン受容体等を阻害する非定型抗精神病薬が開発された。しかし、陰性症状と呼ばれる、自閉、感情平板化、意欲低下にはいまだ十分な治療効果が得られていないのが現状である。一方、大脳新皮質の高次機能において主要な役割を担うNMDA受容体に対してチャンネル阻害作用をもつフェンサイクリジンをヒトに単回または反復投与すると、陰性症状を含む統合失調症に酷似した病態が引き起こされる。本発明者らは1991年に非特許文献1で、動物実験において、NMDA受容体のグリシン調節部位を選択的に刺激するD-セリン(この作用は立体特異的でL-セリンはほとんど効果がない)がフェンサイクリジンによって引き起こされる行動異常を改善する効果があることを明らかにした。さらに、本発明者らは、1992年にNMDA受容体のコアゴニストであるD-セリンがほ乳動物の脳に局在する内在性物質であることをみいだした。実際に、非特許文献2において、米国ハーバード大学のグループから、D-セリンの経口投与が統合失調症の陰性症状に対して効果的であったという二重盲験法をもちいた臨床試験結果が近年報告されている。D-セリンの経口投与は、脳内在性D-セリンの制御に影響を与えている、すなわち、脳内のD-セリンシグナルを調節していると考えられる。これらの事実から、D-セリンの作用や脳内代謝を調節するD-セリンシグナル調節薬をスクリーニングすることによって、統合失調症の新たな治療法の開発が可能となると推定されるが、その手がかりは得られていなかった。



発明者らは、非特許文献3において、D-セリンは、NMDA受容体のグリシン調節部位を立体選択的に刺激することから(L-セリンは無効)、同様の性質をもつD-セリンエチルエステルおよびD-サイクロセリンを腹腔内投与し、遺伝性の小脳変性モデルマウスあるいは薬物誘発性の小脳変性モデルマウス(例えば、核酸合成阻害作用をもつシトシンアラビノシドAを全身的に投与する処理を行うと小脳に顆粒細胞脱落を中心とする変性が生じ、運動失調が発現する)に認められる運動失調症を改善することを見出した。この抗運動失調効果は立体選択的で、L-セリンエチルエステルおよびL-サイクロセリンには認められず、グリシン調節部位の刺激によることも確認した。したがって、D-セリンエチルエステルおよびD-サイクロセリンは小脳性運動失調の治療薬として役立つと考えられる。ただし、治療用量の設定がむずかしく、D-セリン自身も腎臓等への毒性が懸念されるため、内在性D-セリンのシグナルを調節する新しいタイプの治療薬の開発が待たれる。そこで、D-セリンのシグナルを調節する薬剤をスクリーニングすることにより、脊髄小脳変性症の新たな治療法の開発が可能となると推定されるが、その手がかりは得られていなかった。
【非特許文献1】
(Nishikawa T, Tanii Y et al. Brain Res. Vol 563, p. 281-284, 1991.)
【非特許文献2】
(Nishikawa T, Hashimoto A et al. FEBS Lett. Vol 296, p. 33-36, 1992)
【非特許文献3】
(Nishikawa T, Saigoh K et al. Brain Res. Vol 808, p. 42-47, 1998)

産業上の利用分野


本発明は、D-セリンシグナル調節薬を開発するために有用な新規タンパク質、これをコードする新規遺伝子、D-セリンシグナル調節薬をスクリーニングするための標的物質、及びD-セリンシグナル調節薬をスクリーニングする方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
配列番号3のアミノ酸配列を有するdsr-2タンパク質。

【請求項2】
配列番号1の塩基配列を有するdsr-2タンパク質をコードする遺伝子。

【請求項3】
配列番号3のアミノ酸配列を有するdsr-2タンパク質を有効成分として含有することを特徴とするdsr-2タンパク質と相互作用を有する物質をスクリーニングすることにより、D-セリンシグナル調節薬をスクリーニングするための標的物質。

【請求項4】
前記D-セリンシグナル調節薬が、脊髄小脳変性症又は統合失調症の治療薬であることを特徴とする請求項3に記載の標的物質。

【請求項5】
配列番号1の塩基配列を有するdsr-2タンパク質をコードする遺伝子を有効成分として含有することを特徴とするdsr-2タンパク質をコードする遺伝子の発現量を変化させる治療薬をスクリーニングすることにより、D-セリンシグナル調節薬をスクリーニングするための標的物質。

【請求項6】
前記D-セリンシグナル調節薬が、脊髄小脳変性症又は統合失調症の治療薬であることを特徴とする請求項5に記載の標的物質。

【請求項7】
実験用動物に対してD-セリンシグナル調節薬の候補物質を投与する投与工程を行い、該実験用動物の中枢神経系細胞からRNAを抽出する抽出工程を行い、逆転写酵素により前記RNA からcDNAを合成する合成工程を行い、次いで遺伝子特異的プライマーにより前記cDNA をPCR増幅し、配列番号1の塩基配列を有するdsr-2タンパク質をコードする遺伝子の発現量を測定する発現測定工程を行うことを特徴とするD-セリンシグナル調節薬をスクリーニングする方法。

【請求項8】
中枢神経系細胞が、大脳新皮質、大脳辺縁系前脳部、線条体、海馬、視床、視床下部、小脳の細胞であることを特徴とする請求項に記載のスクリーニングする方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
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