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タンパク質の生産に用いることが可能なF9胚性腫瘍細胞、およびその利用 コモンズ

国内特許コード P08A014255
整理番号 E065P10
掲載日 2009年2月27日
出願番号 特願2005-130194
公開番号 特開2006-304668
登録番号 特許第4374454号
出願日 平成17年4月27日(2005.4.27)
公開日 平成18年11月9日(2006.11.9)
登録日 平成21年9月18日(2009.9.18)
発明者
  • 林 良敬
  • 関口 清俊
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 タンパク質の生産に用いることが可能なF9胚性腫瘍細胞、およびその利用 コモンズ
発明の概要 【課題】 各種細胞外マトリックス分子を組み込んだ細胞外基質や分泌タンパク質を、効率よく大量調製する用途に好適に用いることのできるF9胚性腫瘍細胞と、その代表的な利用技術を提供する。
【解決手段】 少なくともタンパク質の生産に用いることが可能なF9胚性腫瘍細胞であって、一対のラミニンα1遺伝子座のうち、一方の遺伝子座には、ラミニンα1遺伝子に代えて、ラミニンα1遺伝子のプロモーターの制御を受けて発現するように外来性遺伝子を挿入するための外来遺伝子挿入配列が設けられているF9胚性腫瘍細胞によれば、各種細胞外マトリックス分子を組み込んだ細胞外基質や分泌タンパク質を、効率よく大量調製する用途に好適に用いることができる。
【選択図】 なし
従来技術、競合技術の概要


基底膜は、ラミニン、IV型コラーゲン、ナイドジェンおよびパールカンを主成分として含む厚さ100nm程度の構造物である。近年、上皮細胞や実質細胞の極性の維持、増殖、生存および分化が、基底膜と細胞表面のレセプター分子との相互作用によって制御されていることを示す証拠が多く得られている。



基底膜の主要構成タンパク質の一つであるラミニンは、α鎖、β鎖、γ鎖の3本のサブユニットからなるヘテロ3量体タンパク質であって、それぞれのサブユニットには、5種類、3種類(または4種類)および3種類のアイソフォームの存在が知られている。それらの組み合わせによって、種々の機能を示すラミニンアイソフォームが構成される。



ラミニン-1は、α1β1γ1、ラミニン-2は、α2β1γ1、ラミニン-3は、α1β2γ1、ラミニン-4は、α2β2γ1、ラミニン-5は、α3β3γ2、ラミニン-6は、α3β1γ1、ラミニン-7は、α3β2γ1、ラミニン-8は、α4β1γ1、ラミニン-9は、α4β2γ1、ラミニン-10は、α5β1γ1、ラミニン-11は、α5β2γ1、ラミニン-12は、α2β1γ3、ラミニン-13は、α3β2γ3、ラミニン-14は、α4β2γ3、ラミニン-15は、α5β2γ3の各組み合わせである。



以上のように、ラミニンは、多くのラミニンアイソフォームからなり、他の基底膜主要構成タンパク質と比較して多様性に富む。したがって、各ラミニンアイソフォームが基底膜の多様性を規定する重要な分子であることが示唆されている。実際、これらラミニンアイソフォームは、様々の組織において発生段階に応じた特異的な発現パターンを示す。またラミニンの各サブユニットのノックアウトマウスは特異的な表現型を示す。以上のことは、各ラミニンアイソフォームが細胞の増殖、生存および分化の制御において、特異的な働きを有することを示している。



ラミニンアイソフォームの中には、研究および産業分野において多く用いられているものもある。そのため、生理活性を有するラミニンアイソフォームを含む基底膜様基質を大量に安定的かつ安価に調整する技術が求められている。



従来から、上記ラミニンアイソフォームを調製する技術として、生体組織や細胞培養液から直接精製する技術が知られている(非特許文献1および非特許文献2参照)。



また、ラミニン-1を調製する技術として、マウスのEngelbreth-Holm-Swarm(EHS)腫瘍を用いる技術が知られている。上記EHS腫瘍を用いると、基底膜成分を高濃度で含む粗抽出物(例えば、ラミニン-1を3-10mg/ml程度で含む粗抽出物)が容易に得られる。この粗抽出物は、ラミニン-1の精製原料としてのみならず、基底膜様基質として様々な細胞の培養やアッセイに広く使用され、組織工学、発生工学および再生医学の分野において非常に重要な材料となっている(非特許文献3参照)。



さらに、所望のラミニンアイソフォームを生産するために、培養細胞中で各種ラミニンサブユニットを組換え蛋白質として強制発現する技術も用いられている。この技術では、培養細胞として、ヒト腎由来293細胞などを用い、発現ベクターとしては、CMVプロモーター、EF-1プロモーターを有する発現ベクター等が用いられる(非特許文献4乃至7参照)。
【非特許文献1】
Wewer UM et al, Methods Enzymol 1994;245:85-104
【非特許文献2】
Kikkawa Y et al, J. Biol. Chem 1998,273,15854-9
【非特許文献3】
Kleinman HK et al, Biochemistry, 1986, 25:312-8
【非特許文献4】
Kortesmaa J, J. Biol Chem, 2000,275:14853-9
【非特許文献5】
Doi M et al, J Biol Chem, 2002,277:12741-8
【非特許文献6】
Hayashi Y et al , Biochem Biophys Res Commun 2002,299:498-504
【非特許文献7】
Ido H et al, J. Biol. Chem, 2004, 279:10946-54

産業上の利用分野


本発明は、少なくともタンパク質の生産に用いることが可能なF9胚性腫瘍細胞とその利用とに関するものであり、特に、ラミニンα1遺伝子を改変することにより、ラミニンをはじめとするさまざまなタンパク質や組み換えタンパク質を組み込んだ細胞外マトリックスや分泌タンパク質等を大量かつ安価に生産する用途に好適に用いることができるF9胚性腫瘍細胞とその代表的な利用技術とに関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
少なくともタンパク質の生産に用いることが可能なF9胚性腫瘍細胞であって、
一対のラミニンα1遺伝子座のうち、一方の遺伝子座には、ラミニンα1遺伝子に代えて、ラミニンα1遺伝子のプロモーターの制御を受けて発現するように外来性遺伝子を挿入するための外来遺伝子挿入配列が設けられていることを特徴とするF9胚性腫瘍細胞。

【請求項2】
他方の遺伝子座では、ラミニンα1遺伝子が破壊されていることを特徴とする請求項1に記載のF9胚性腫瘍細胞。

【請求項3】
前記外来遺伝子挿入配列には、基底膜を構成するタンパク質または分泌タンパク質をコードする遺伝子を挿入することを特徴とする請求項1または2に記載のF9胚性腫瘍細胞。

【請求項4】
前記基底膜を構成するタンパク質または分泌タンパク質をコードする遺伝子が、ラミニンα1、α2、α3、α4またはα5遺伝子であることを特徴とする請求項3に記載のF9胚性腫瘍細胞。

【請求項5】
前記外来遺伝子挿入配列には、マーカー遺伝子が含まれることを特徴とする請求項1ないし4の何れか1項に記載のF9胚性腫瘍細胞。

【請求項6】
前記マーカー遺伝子が、蛍光蛋白質をコードする遺伝子、ルシフェラーゼ遺伝子または分泌型アルカリフォスファターゼ遺伝子であることを特徴とする請求項5に記載のF9胚性腫瘍細胞。

【請求項7】
請求項1ないし6の何れか1項に記載のF9胚性腫瘍細胞を用いる細胞外マトリックスの生産方法。

【請求項8】
請求項1ないし6の何れか1項に記載のF9胚性腫瘍細胞を用いて、細胞分化誘導因子、分化阻害因子または抗癌剤をスクリーニングする方法。

【請求項9】
少なくともタンパク質の生産に用いることが可能なF9胚性腫瘍細胞の作製方法であって、
一対のラミニンα1遺伝子座のうち、一方の遺伝子座に、ラミニン遺伝子に代えて、ラミニンα1遺伝子のプロモーターの制御を受けて発現するように外来性遺伝子を挿入するための外来遺伝子挿入配列を組み込む工程を含むことを特徴とするF9胚性腫瘍細胞の作製方法。

【請求項10】
さらに、上記外来遺伝子挿入配列に、基底膜を構成するタンパク質または分泌タンパク質をコードする遺伝子を挿入する工程を含むことを特徴とする請求項に記載のF9胚性腫瘍細胞の作製方法。

【請求項11】
さらに、一対のラミニンα1遺伝子座のうち、他方の遺伝子座のラミニンα1遺伝子を破壊する工程を含むことを特徴とする請求項9または10に記載のF9胚性腫瘍細胞の作製方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) ERATO 関口細胞外環境プロジェクト 領域
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