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安定同位体標識アミノ酸とその標的蛋白質への組み込み方法、蛋白質のNMR構造解析方法並びに位置選択的安定同位体標識フマル酸と酒石酸の製造方法 実績あり

国内特許コード P08S000142
整理番号 A021P55
掲載日 2009年2月27日
出願番号 特願2003-554627
登録番号 特許第4340538号
出願日 平成14年12月19日(2002.12.19)
登録日 平成21年7月10日(2009.7.10)
国際出願番号 JP2002013303
国際公開番号 WO2003053910
国際出願日 平成14年12月19日(2002.12.19)
国際公開日 平成15年7月3日(2003.7.3)
優先権データ
  • 特願2001-386823 (2001.12.19) JP
  • 特願2002-022446 (2002.1.30) JP
発明者
  • 甲斐荘 正恒
  • 寺内 勉
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 安定同位体標識アミノ酸とその標的蛋白質への組み込み方法、蛋白質のNMR構造解析方法並びに位置選択的安定同位体標識フマル酸と酒石酸の製造方法 実績あり
発明の概要 蛋白質を構成するアミノ酸の少なくとも一種であって、次の標識パターン;
(a)1または2以上のメチレン基においてメチレン水素のうちの少なくとも一つの水素を残して他は重水素化されている
(b)プロキラルなgem-メチル基において一方のメチル基の水素は完全に重水素化されている
(c)プロキラルメチル基においてメチル基の水素は部分重水素化されている
(d)メチル基は一つの水素を残して他は重水素化され、芳香環水素は部分重水素化されている
の少なくともいずれかを有していることを特徴とする安定同位体標識アミノ酸を提供する。この安定同位体標識アミノ酸を用いると、蛋白質の重水素置換を、残余水素核のNMR感度を損うことなく達成し、従来の限界を越えた高分子量蛋白質のNMRスペクトルの迅速・確実な解析、立体構造の高精度決定を同時に達成することができる。
従来技術、競合技術の概要


本発明は、安定同位体標識アミノ酸とその標的蛋白質への組み込み方法並びに蛋白質のNMR構造解析方法に関するものである。本発明は、又、位置選択的に安定同位体標識されたフマル酸と酒石酸の製造方法に関するものである。さらに詳しくは、安定同位体標識酢酸を原料として、対称性および非対称性の安定同位体標識フマル酸を効率的に製造する方法と、高い光学純度で安定同位体標識酒石酸を製造する方法に関するものである。
従来、蛋白質のNMRによる立体構造決定は13C/15N等の安定同位体により均一に標識した試料を用いて行われてきたが、この手法では分子量が2万を越えると急速に適用が困難となる。これらの問題を解決する手法として、13C/15Nに加えて蛋白質中の水素を50-80%程度ランダムに重水素(H)置換し、残余水素(H)核のNMR信号を利用する手法や、あるいはアミノ酸残基中のメチル基と芳香環部分の水素のみを残し全ての水素を重水素置換する方法などが提案されている。だが、これらの従来の手法は全て立体構造決定の精度を犠牲にして高分子量蛋白質の立体構造情報を得る手法であることから、その適用対象や有用性が限られている。
1990年11月15日東京化学同人発行の新生化学実験講座1タンパク質III高次構造の主鎖カルボニル13C-NMRによる高次構造解析の項には、[1-13C,2,3-]フェニルアラニン、[]セリン及び[]アラニンが記載されているが、これは、特異的多重標識法による側面二面角χの決定法で用いるものであって、これらの標識アミノ酸だけではなくて他のアミノ酸についても標識しこれらを標的たんぱく質に組み込んでその立体構造を解析しようとする試みは未だなされていない。
一方、NMRや質量分析による核酸や蛋白質等の生体内有機化合物の解析においては、13CやHなどの安定同位体で標識されたフマル酸や酒石酸が幅広く利用されている。最近では、安定同位体標識されたフマル酸や酒石酸から、高度に安定同位体標識されたアミノ酸を誘導し、これを用いてNMRによる蛋白質の構造解析が行われている。したがって、安定同位体標識フマル酸や安定同位体標識酒石酸の需要は、今後も拡大することが予想される。
しかし、フマル酸の安定同位体標識体は極めて高価(例えば、1,2,3,4-13フマル酸0.1gで10万円以上)であり、安定同位体標識酒石酸に関しては、市販されていないのが実状である。
同位体標識フマル酸の合成に関しては、これまでに様々な合成方法が報告されている。たとえば、マロン酸エステル合成による方法(E.C.Jorgensen et al.,J.Am Chem.Soc.,74,2418,1952)、ジブロモコハク酸の脱離反応を用いる合成法(R.F.Nystrom et al.,J.Am.Chem.Soc.,74,3434,1952)、アセチレンジカルボン酸の還元を経由する方法(Y.J.Topper et al.,J.Biol.Chem.177,303,1949)などが知られている。
また、同位体標識酒石酸の合成に関しては、フマル酸のオスミウム酸化によるジヒドロキシル化(H.Erlenmyer et al.,Helv.Chim.Acta.,22,701,1939;E.C.Jorgensen et al.,J.Am.Chem.Soc.,74,2418,1952)などが知られている。
しかし、これら公知の方法は、いずれも安定同位体標識フマル酸や酒石酸の大量合成には適さない、あるいは位置選択性が低いという問題があった。例えば、E.C.JorgensenらやR.F.Nystromらによる同位体標識フマル酸の合成法は、いずれも小スケールでの合成に適した反応であるが、スケールアップが困難である。また、Y.J.Topperの方法は、1,4-13体や2,3-13体、あるいは1,2,3,4-13体などの対称性を有する標識フマル酸の合成には適しているものの、非対称のフマル酸、すなわち1-13C体や2-13C体などの合成には適さない。
一方、H.Erlenmeyerらによる標識酒石酸の合成では、得られる酒石酸はラセミ体であるためL-酒石酸あるいはD-酒石酸を単離するためには光学分割を行う必要がある。しかし、光学分割を行えば生成物の収率が低下するため、高価な安定同位体を用いる合成法としては有用とは言い難かったのが実状である。

産業上の利用分野


本発明は、安定同位体標識アミノ酸とその標的蛋白質への組み込み方法並びに蛋白質のNMR構造解析方法に関するものである。本発明は、又、位置選択的に安定同位体標識されたフマル酸と酒石酸の製造方法に関するものである。さらに詳しくは、安定同位体標識酢酸を原料として、対称性および非対称性の安定同位体標識フマル酸を効率的に製造する方法と、高い光学純度で安定同位体標識酒石酸を製造する方法に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
蛋白質を構成するアミノ酸の少なくとも一種であって、次の標識パターン;
(a)1または2以上のメチレン基においてメチレン水素のうちの少なくとも一つの水素を残して他は重水素化されている
(b)プロキラルなgem-メチル基において一方のメチル基の水素は完全に重水素化されている
(c)プロキラルメチル基においてメチル基の水素は部分重水素化されている
(d)メチル基は一つの水素を残して他は重水素化され、芳香環水素は部分重水素化されている
の少なくともいずれかを有していること、及び
(i)窒素が全て15Nに置換されていること、及び
(ii)メチレン基および/またはメチル基において残余の水素を持つ炭素の全てが13Cに置換されていること
を有していることを特徴とする安定同位体標識アミノ酸。

【請求項2】
標的蛋白質を構成する全てのアミノ酸が、次の標識パターン
(a)水素原子を2つ有するメチレン基が存在する場合には、メチレン水素のうちの一つが重水素化されている、
(b)プロキラルなgem-メチル基が存在する場合には、一方のメチル基の全ての水素が完全に重水素化され、他方のメチル基の水素が部分重水素化されている、
(d)上記以外のメチル基が存在する場合には、該メチル基の一つの水素を残して他は重水素化されているか、又は該メチル基の全てのメチル基が重水素化されている、
(e)芳香環水素が存在する場合には、該芳香環水素は部分重水素化されていてもよい、
(f)上記(a)、(b)及び(d)において重水素化された後において、水素原子を持つメチレン基および/またはメチル基の炭素の全てが13Cに置換されている、
(g)窒素が全て15Nに置換されている
を満たすことを特徴とする標的蛋白質を構成する安定同位体標識アミノ酸の組み合わせ。

【請求項3】
(e)芳香環水素が存在する場合には、該芳香環水素が部分重水素化されている、請求項記載の安定同位体標識アミノ酸の組み合わせ。

【請求項4】
(f)上記(a)、(b)及び(d)において重水素化された後において、水素原子を持つメチレン基およびメチル基の炭素の全てが13Cに置換されている、請求項記載の安定同位体標識アミノ酸の組み合わせ。

【請求項5】
アミノ酸のカルボニル基及びグアニジル基を構成する炭素が13Cに置換されている、請求項記載の安定同位体標識アミノ酸の組み合わせ。

【請求項6】
請求項1記載の安定同位体標識アミノ酸の標的蛋白質への組み込み方法であって、無細胞蛋白質合成により組み込むことを特徴とする安定同位体標識アミノ酸の標的蛋白質への組み込み方法。

【請求項7】
標的蛋白質を構成する全てのアミノ酸として請求項記載の安定同位体標識アミノ酸の組み合わせを用いて、無細胞蛋白質合成を行うことを含む、安定同位体標識アミノ酸で構成される標的蛋白質の調製方法。

【請求項8】
標的蛋白質を構成する全てのアミノ酸として請求項記載の安定同位体標識アミノ酸の組み合わせを用いる、請求項記載の標的蛋白質の調製方法。

【請求項9】
標的蛋白質を構成する全てのアミノ酸として請求項記載の安定同位体標識アミノ酸の組み合わせを用いる、請求項記載の標的蛋白質の調製方法。

【請求項10】
標的蛋白質を構成する全てのアミノ酸として請求項記載の安定同位体標識アミノ酸の組み合わせを用いる、請求項記載の標的蛋白質の調製方法。

【請求項11】
請求項1記載の安定同位体標識アミノ酸を標的蛋白質に組み込みNMRスペクトルを測定して構造解析することを含む蛋白質のNMR構造解析方法。

【請求項12】
標的蛋白質を構成する全てのアミノ酸が請求項記載の安定同位体標識アミノ酸で置換されてなる標的蛋白質の構造をNMRスペクトル測定により解析することを含む標的蛋白質のNMR構造解析方法。

【請求項13】
標的蛋白質を構成する全てのアミノ酸が請求項記載の安定同位体標識アミノ酸で置換されてなる請求項12記載の標的蛋白質のNMR構造解析方法。

【請求項14】
標的蛋白質を構成する全てのアミノ酸が請求項記載の安定同位体標識アミノ酸で置換されてなる請求項12記載の標的蛋白質のNMR構造解析方法。

【請求項15】
標的蛋白質を構成する全てのアミノ酸が請求項記載の安定同位体標識アミノ酸で置換されてなる請求項12記載の標的蛋白質のNMR構造解析方法。
国際特許分類(IPC)
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