TOP > 国内特許検索 > 哺乳類人工染色体

哺乳類人工染色体 実績あり

国内特許コード P08S000144
整理番号 A022P56
掲載日 2009年2月27日
出願番号 特願2004-534126
登録番号 特許第4293990号
出願日 平成15年9月1日(2003.9.1)
登録日 平成21年4月17日(2009.4.17)
国際出願番号 JP2003011134
国際公開番号 WO2004022741
国際出願日 平成15年9月1日(2003.9.1)
国際公開日 平成16年3月18日(2004.3.18)
優先権データ
  • 特願2002-258114 (2002.9.3) JP
  • 特願2002-338865 (2002.11.22) JP
発明者
  • 岡崎 恒子
  • 池野 正史
  • 伊藤 俊英
  • 鈴木 伸卓
出願人
  • 科学技術振興事業団
  • 独立行政法人科学技術振興機構
発明の名称 哺乳類人工染色体 実績あり
発明の概要

哺乳類細胞内で安定的に維持され、それが保持する目的遺伝子の発現が効率的に行われ得る哺乳類人工染色体を提供する。哺乳類セントロメア配列及び選択マーカー遺伝子を含む環状の第1ベクターと、機能配列を含む環状の第2ベクターとを哺乳類宿主細胞に導入し、前記選択マーカー遺伝子を利用して形質転換細胞を選択し、選択された形質転換細胞の中から哺乳類人工染色体を保有する細胞を選択することにより、哺乳類複製起点、哺乳類セントロメア配列、及び機能配列を有し、環状であって、哺乳類細胞中で複製され、宿主細胞の染色体外に維持され、及び細胞分裂の際に娘細胞に伝達される哺乳類人工染色体を構築する。

従来技術、競合技術の概要

有糸分裂において安定して維持されるヒト人工染色体(HAC(s))は数メガbpのサイズを有し、そしていくつものCENP-Bボックスを有する線状(YAC)又は環状(BAC又はPAC)であり、数10キロベースのヒトαサテライト(アルフォイド)を含む前駆体DNAコンストラクトの導入によってヒト線維芽細胞株HT1080内でしばしばde novoに形成される(Ikeno et al.1998;Henning et al.1999;Ebersole et al.2000)。そのようなHAC上には必須キネトコアタンパク質が検出されるので、導入されたアルファサテライトアレイは真のヒト染色体におけるものに類似した活性型セントロメア/キネトコア構造をde novoに組み立てることができる(Ikeno et al.1994;Ikeno et al.1998;Henning et al.1999;Ebersole et al.2000;Ando et al.2002)。HACは細胞内タンパク因子を利用して細胞周期ごとに複製されるので、HACはアルフォイド配列内に一つ又は複数の複製起点も有する。テロメア配列を有するアルフォイドYACから調製された線状のHACはその末端に機能的テロメア構造を獲得したが、BAC又はPACから調製された環状のHACはテロメア構造を有していなかった(Ikeno et al.1998;Ebersole et al.2000)。
遺伝子療法によるヒト疾患の治療は取り組む価値があり且つ将来有望な分野である。我々は、欠損ヒト遺伝子の修復やそれらの機能又は制御機構を詳細に特徴付けることに利用し得る数万もの遺伝子を手にしているが、効率的な遺伝子輸送技術の開発には依然として大きな障害が存在する。哺乳動物細胞用として現在利用可能なベクターはそのほとんどが小さなウイルス由来である(Mineta et al.1995;Fisher et al.1997;Pfeiter & Verna 2001)。これらのベクターは所望の遺伝子(導入遺伝子)を高い効率で遺伝子導入できるという利点を有するものの、そのクローニング許容サイズは限られている。これらのベクターは小さすぎるために組織特異的制御領域を含む長いゲノム断片を挿入することができない。さらには、導入遺伝子はたいていの場合、宿主細胞の染色体内へのランダムインテグレーションの後に限って安定して維持され、そのような場合の遺伝子発現は通常予測不可能であって(ほとんどの場合は抑制される)、導入遺伝子の真の制御領域による制御は行われない。更に悪いことには、このような導入遺伝子を組み込むステップは好ましくない突然変異(ミュータジェネシス)を伴うことがある。
一方HACは、制御領域を含み、100kbを越える大きさのDNAからなる大きな導入遺伝子を保持する能力を備える。導入遺伝子を含むHACは、導入遺伝子及びアルフォイド配列の両者を有する前駆コンストラクトから(Mejia et al.2001)、又はアルフォイド配列と導入遺伝子をそれぞれ別個に有した前駆コンストラクトからde novoに形成され得る(Grimes et al.2001)。したがって、HACは治療用途におけるベクターとしてだけでなく、大きなゲノム断片を用いることによってはじめて可能となる、組織又は器官特異的な遺伝子発現制御を解析するモデルシステムとしても利用できると考えられる。

産業上の利用分野

本発明は哺乳類人工染色体に関する。詳しくは、哺乳類人工染色体の作製方法、哺乳類人工染色体、及び哺乳類人工染色体の利用に関する。本発明において提供される哺乳類人工染色体は、例えば所望の遺伝子を哺乳類細胞内へと運搬するためのベクターとして遺伝子治療、細胞、組織、又は哺乳類個体の形質転換等に利用することができる。

特許請求の範囲 【請求項1】 哺乳類セントロメア配列を含む環状の第1ベクターと、所望の配列を特異的に挿入するための挿入用配列及びインスレーター配列を含む環状の第2ベクターと、を哺乳類宿主細胞に生体外で導入する第1工程と、
形質転換細胞を選択する第2工程と、及び
選択された形質転換細胞の中から哺乳類人工染色体を保有する細胞を選択する第3工程と、
を含み、前記哺乳類セントロメア配列は、以下の配列が規則的間隔で複数個配列される領域を含む、ことを特徴とする哺乳類人工染色体の作製方法、
5'-NTTCGNNNNANNCGGGN-3':配列番号1(但し、NはA,T,C,及びGのいずれかである)。
【請求項2】 哺乳類セントロメア配列及び哺乳類テロメア配列を含む酵母人工染色体からなる第1ベクターと、所望の配列を特異的に挿入するための挿入用配列及びインスレーター配列を含む酵母人工染色体からなる第2ベクターと、を哺乳類宿主細胞に生体外で導入する第1工程と、
形質転換細胞を選択する第2工程と、及び
選択された形質転換細胞の中から哺乳類人工染色体を保有する細胞を選択する第3工程と、
を含み、前記哺乳類セントロメア配列は、以下の配列が規則的間隔で複数個配列される領域を含む、ことを特徴とする哺乳類人工染色体の作製方法、
5'-NTTCGNNNNANNCGGGN-3':配列番号1(但し、NはA,T,C,及びGのいずれかである)。
【請求項3】 前記第1ベクターが選択マーカー遺伝子を有し、前記第2工程における形質転換細胞の選択は該選択マーカー遺伝子を利用して行われる、請求項1又2に記載の作製方法。
【請求項4】 前記哺乳類セントロメア配列はヒト染色体アルファサテライト領域由来の配列を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の作製方法。
【請求項5】 前記哺乳類セントロメア配列はヒト21番染色体由来の11量体繰返しユニットを含む、請求項に記載の作製方法。
【請求項6】 前記哺乳類セントロメア配列のサイズは約50kb以下である、請求項1~のいずれか一項に記載の作製方法。
【請求項7】 前記挿入用配列がloxPサイト若しくはFRTサイト又はこれらいずれかの配列の一部を改変した配列であって、前記所望の配列を挿入する機能を有する配列である、請求項1~のいずれか一項に記載の作製方法。
【請求項8】 前記第1工程において導入する、前記第1ベクターと前記第2ベクターの量比はモル比で約10:1~約1:10の範囲にある、請求項1~のいずれか一項に記載の作製方法。
【請求項9】 請求項1~のいずれか一項に記載の作製方法によって得られ、
哺乳類複製起点、哺乳類セントロメア配列、並びに所望の配列を特異的に挿入するための挿入用配列及びインスレーター配列を有し、
環状であって、哺乳類細胞中で複製され、宿主細胞の染色体外に維持され、及び細胞分裂の際に娘細胞に伝達され、
前記哺乳類セントロメア配列は、以下の配列が規則的間隔で複数個配列される領域を含む、哺乳類人工染色体、
5'-NTTCGNNNNANNCGGGN-3':配列番号1(但し、NはA,T,C,及びGのいずれかである)。
【請求項10】 請求項1~のいずれか一項に記載の作製方法によって得られ、
哺乳類複製起点、哺乳類セントロメア配列、哺乳類テロメア配列、並びに所望の配列を特異的に挿入するための挿入用配列及びインスレーター配列を有し、
線状であって、哺乳類細胞中で複製され、宿主細胞の染色体外に維持され、及び細胞分裂の際に娘細胞に伝達され、
前記哺乳類セントロメア配列は、以下の配列が規則的間隔で複数個配列される領域を含む、哺乳類人工染色体、
5'-NTTCGNNNNANNCGGGN-3':配列番号1(但し、NはA,T,C,及びGのいずれかである)。
【請求項11】 哺乳類複製起点、哺乳類セントロメア配列、並びに所望の配列を特異的に挿入するための挿入用配列及びインスレーター配列を有し、
環状であって、哺乳類細胞中で複製され、宿主細胞の染色体外に維持され、及び細胞分裂の際に娘細胞に伝達され、
前記哺乳類セントロメア配列は、以下の配列が規則的間隔で複数個配列される領域を含む、哺乳類人工染色体、
5'-NTTCGNNNNANNCGGGN-3':配列番号1(但し、NはA,T,C,及びGのいずれかである)。
【請求項12】 哺乳類複製起点、哺乳類セントロメア配列、哺乳類テロメア配列、並びに所望の配列を特異的に挿入するための挿入用配列及びインスレーター配列を有し、
線状であって、哺乳類細胞中で複製され、宿主細胞の染色体外に維持され、及び細胞分裂の際に娘細胞に伝達され、
前記哺乳類セントロメア配列は、以下の配列が規則的間隔で複数個配列される領域を含む、哺乳類人工染色体、
5'-NTTCGNNNNANNCGGGN-3':配列番号1(但し、NはA,T,C,及びGのいずれかである)。
【請求項13】 前記挿入用配列がloxPサイト若しくはFRTサイト又はこれらいずれかの配列の一部を改変した配列であって、前記所望の配列を挿入する機能を有する配列である、請求項11又は12に記載の作製の哺乳類人工染色体。
【請求項14】 前記哺乳類セントロメア配列はヒト染色体アルファサテライト領域由来の配列を含む、請求項13のいずれか一項に記載の哺乳類人工染色体。
【請求項15】 前記哺乳類セントロメア配列はヒト21番染色体由来の11量体繰返しユニットを含む、請求項14に記載の哺乳類人工染色体。
【請求項16】 前記挿入用配列及び前記インスレーター配列を複数個有する、請求項15のいずれか一項に記載の哺乳類人工染色体。
【請求項17】 請求項16のいずれか一項に記載の哺乳類人工染色体を自己の染色体外に保有する哺乳類細胞。
【請求項18】 請求項16のいずれか一項に記載の哺乳類人工染色体を自己の染色体外に保有するヒト細胞。
【請求項19】 請求項16のいずれか一項に記載の哺乳類人工染色体を自己の染色体外に保有する胚性幹細胞。
【請求項20】 請求項1~のいずれか一項に記載の作製方法によって得られる哺乳類人工染色体又は請求項16のいずれか一項に記載の哺乳類人工染色体をターゲット細胞としての哺乳類細胞に生体外で導入する工程を含む、
ことを特徴とする、前記機能配列又は前記挿入用配列が長期間安定して維持可能な状態に導入された哺乳類細胞の作製方法。
【請求項21】 哺乳類セントロメア配列を含む環状の第1ベクターと、所望の配列を特異的に挿入するための挿入用配列及びインスレーター配列を含む環状の第2ベクターと、を哺乳類宿主細胞に生体外で導入する第1工程と、
形質転換細胞を選択する第2工程と、
選択された形質転換細胞の中から、哺乳類人工染色体を保有する細胞を選択する第3工程と、
選択された細胞から前記哺乳類人工染色体を分離する第4工程と、及び
分離された前記哺乳類人工染色体をターゲット細胞としての哺乳類細胞に生体外で導入する第5工程と、
を含み、
前記哺乳類セントロメア配列は、以下の配列が規則的間隔で複数個配列される領域を含む、哺乳類人工染色体を保有する哺乳類細胞の作製方法、
5'-NTTCGNNNNANNCGGGN-3':配列番号1(但し、NはA,T,C,及びGのいずれかである)。
【請求項22】 哺乳類セントロメア配列及び哺乳類テロメア配列を含む酵母人工染色体からなる第1ベクターと、所望の配列を特異的に挿入するための挿入用配列及びインスレーター配列を含む酵母人工染色体からなる第2ベクターと、を哺乳類宿主細胞に生体外で導入する第1工程と、
形質転換細胞を選択する第2工程と、
選択された形質転換細胞の中から哺乳類人工染色体を保有する細胞を選択する第3工程と、
選択された細胞から前記哺乳類人工染色体を分離する第4工程と、及び
分離された前記哺乳類人工染色体をターゲット細胞としての哺乳類細胞に生体外で導入する第5工程と、
を含み、
前記哺乳類セントロメア配列は、以下の配列が規則的間隔で複数個配列される領域を含む、哺乳類人工染色体を保有する哺乳類細胞の作製方法、
5'-NTTCGNNNNANNCGGGN-3':配列番号1(但し、NはA,T,C,及びGのいずれかである)。
【請求項23】 哺乳類セントロメア配列を含む環状の第1ベクターと、所望の配列を特異的に挿入するための挿入用配列及びインスレーター配列を含む環状の第2ベクターと、を哺乳類宿主細胞に生体外で導入する第1工程と、
形質転換細胞を選択する第2工程と、
選択された形質転換細胞の中から、哺乳類人工染色体を保有する細胞を選択する第3工程と、
選択された細胞と、微小核形成能を有する哺乳類細胞とを生体外で融合させる第4工程と、
融合細胞の中から、微小核形成能を有し、かつ前記哺乳類人工染色体を保有するハイブリッド細胞を選択する第5工程と、及び
選択されたハイブリッド細胞から微小核を形成させる第6工程と、
を含み、
前記哺乳類セントロメア配列は、以下の配列が規則的間隔で複数個配列される領域を含む、哺乳類人工染色体を含有する微小核体の作製方法、
5'-NTTCGNNNNANNCGGGN-3':配列番号1(但し、NはA,T,C,及びGのいずれかである)。
【請求項24】 哺乳類セントロメア配列及び哺乳類テロメア配列を含む酵母人工染色体からなる第1ベクターと、所望の配列を特異的に挿入するための挿入用配列及びインスレーター配列を含む酵母人工染色体からなる第2ベクターと、を哺乳類宿主細胞に生体外で導入する第1工程と、
形質転換細胞を選択する第2工程と、
選択された形質転換細胞の中から哺乳類人工染色体を保有する細胞を選択する第3工程と、
選択された細胞と、微小核形成能を有する哺乳類細胞とを生体外で融合させる第4工程と、
融合細胞の中から、微小核形成能を有し、かつ前記哺乳類人工染色体を保有するハイブリッド細胞を選択する第5工程と、及び
選択されたハイブリッド細胞から微小核を形成させる第6工程と、
を含み、
前記哺乳類セントロメア配列は、以下の配列が規則的間隔で複数個配列される領域を含む、哺乳類人工染色体を含有する微小核体の作製方法、
5'-NTTCGNNNNANNCGGGN-3':配列番号1(但し、NはA,T,C,及びGのいずれかである)。
【請求項25】 請求項23又は24に記載の作製方法によって得られる微小核体とターゲット細胞としての哺乳類細胞とを生体外で融合させる工程、
を含む、哺乳類人工染色体を保有する哺乳類細胞の作製方法。
【請求項26】 請求項16のいずれか一項に記載の哺乳類人工染色体を保有する宿主細胞から哺乳類人工染色体を分離する工程と、及び
分離された前記哺乳類人工染色体をターゲット細胞としての哺乳類細胞に生体外で導入する工程と、
を含む、哺乳類人工染色体を保有する哺乳類細胞の作製方法。
【請求項27】 請求項16のいずれか一項に記載の哺乳類人工染色体を保有する宿主細胞と、微小核形成能を有する哺乳類細胞と、を生体外で融合させる工程と、
融合細胞の中から、微小核形成能を有し、かつ前記哺乳類人工染色体を保有するハイブリッド細胞を選択する工程と、及び
選択されたハイブリッド細胞から微小核を形成させる工程と、
を含む、哺乳類人工染色体を含有する微小核体の作製方法。
【請求項28】 請求項27に記載の作製方法によって得られる微小核体とターゲット細胞としての哺乳類細胞とを生体外で融合させる工程、
を含む、哺乳類人工染色体を保有する哺乳類細胞の作製方法。
【請求項29】 前記ターゲット細胞としての哺乳類細胞は、胚性幹細胞、胚性生殖細胞、又は組織幹細胞である、請求項2021222526及び28のいずれか一項に記載の哺乳類細胞の作製方法。
【請求項30】 前記ターゲット細胞としての哺乳類細胞は、胚性幹細胞、胚性生殖細胞、又は組織幹細胞を、特定の組織の細胞へと分化するように誘導してなる細胞である、請求項2021222526及び28のいずれか一項に記載の哺乳類細胞の作製方法。
【請求項31】 前記ターゲット細胞としての哺乳類細胞は、哺乳類の受精卵である、請求項2021222526及び28のいずれか一項に記載の哺乳類細胞の作製方法。
【請求項32】 請求項又は10に記載の哺乳類人工染色体が導入されてなる、非ヒト形質転換動物。
【請求項33】 請求項又は10に記載の哺乳類人工染色体が導入されてなる、XO型マウス胚性幹細胞。
【請求項34】 請求項又は10に記載の哺乳類人工染色体が導入されてなる、メスキメラマウス。
産業区分
  • 微生物工業
  • 畜産
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

JP2004534126thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
参考情報 (研究プロジェクト等) CREST 生命活動のプログラム 領域
ライセンスをご希望の方、特許の内容に興味を持たれた方は、問合せボタンを押してください。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close