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安定同位体標識芳香族アミノ酸、その標的蛋白質への組み込み方法並びに蛋白質のNMR構造解析方法 実績あり

国内特許コード P08S000153
整理番号 A202P04
掲載日 2009年2月27日
出願番号 特願2005-515191
登録番号 特許第5019280号
出願日 平成16年11月1日(2004.11.1)
登録日 平成24年6月22日(2012.6.22)
国際出願番号 JP2004016215
国際公開番号 WO2005042469
国際出願日 平成16年11月1日(2004.11.1)
国際公開日 平成17年5月12日(2005.5.12)
優先権データ
  • 特願2003-373304 (2003.10.31) JP
発明者
  • 甲斐荘 正恒
  • 寺内 勉
出願人
  • 独立行政法人科学技術振興機構
発明の名称 安定同位体標識芳香族アミノ酸、その標的蛋白質への組み込み方法並びに蛋白質のNMR構造解析方法 実績あり
発明の概要

アミノ酸残基に結合するフェニル基の炭素原子が13Cであり、該フェニル基を構成する残り5つの炭素原子のうち2~4個の炭素原子が12Cであり、これに重水素が結合し、残りの炭素原子が13Cであって、これに水素原子が結合している安定同位体標識フェニルアラニンや、アミノ酸残基に結合するフェニル基の炭素原子が13Cであり、該フェニル基のヒドロキシル基(OH基)に結合する炭素原子が12C又は13Cであり、該フェニル基を構成する残り4つの炭素原子のうち2~4個の炭素原子が12Cであり、これに重水素が結合し、残りの炭素原子が13Cであって、これに水素原子が結合している安定同位体標識チロシンなどを提供する。これにより、従来の均一標識アミノ酸残基がNMR解析を困難にする最も大きな理由であった芳香環NMRシグナルの複雑さを取り除き、その感度を著しく向上させることができる安定同位体標識芳香族アミノ酸を提供できる。

従来技術、競合技術の概要

NMRを用いて蛋白質の構造解析を行う時には、常にNMRシグナルの重なり合いや、緩和によるシグナル強度の減少などの問題を考慮しなければならない。この問題を解決するためにはNMR測定・解析技術の進歩が不可欠であったが、1990年代初頭に開発された多核種多次元NMR法の蛋白質への応用と、それとともに発展した安定同位体標識蛋白質の大量発現技術よって現在では分子量が2万程度であればほぼ誤りのない解析が可能になってきた。
しかしながら、これらの従来の手法は全て立体構造決定の精度を犠牲にして高分子量蛋白質の立体構造情報を得る手法であったため、その適用対象や有用性には限界があった。この従来の問題点を解消し、さらに蛋白質の重水素置換を残余水素核のNMR感度を損なうことなく達成し、従来の限界を越えた高分子量蛋白質のNMRスペクトルの迅速・確実な解析、立体構造の高精度決定を同時に達成することを可能にする発明を、特許文献1において開示した。しかしながら、この発明では芳香族アミノ酸の芳香環部位の標識パターンに関する指定はなかった。

一方、Phe、Tyr、Trpなどの芳香族アミノ酸は、Leu、Val、Ileなど長鎖アルキル基を持つアミノ酸類とともに球状蛋白質の疎水性コア部分の立体構造形成において重要な部分を担っている。また、これらの芳香族アミノ酸は、Tyrの水酸基、Trpのインドール窒素などの官能基、或いは芳香環に共通するパイ電子を利用し、蛋白質の立体構造形成のみならず、基質認識をはじめ蛋白質機能の発現に重要な役割を果たしている。しかしながら、特許文献1に記載の均一安定同位体(13C、15N、2H)試料、或いは天然存在比(非標識)試料を用いると、芳香族アミノ酸、特にPheやTrpなどでは環部分のプロトンNMRシグナルは互い化学シフトが近接し、またそれらの結合する炭素(13C)間の化学シフトも近接するために均一標識体においてはシグナルが極めて複雑となり、NMR測定感度が低下し、また各シグナルを個別に観測し、配列帰属を行うことを困難としている。
これらの困難さを乗り越え、立体構造決定にとって重要な距離制限情報である芳香環プロトンを含む核オーバーハウザー(NOE)効果を収集し、また芳香環の局所的構造情報を精密に計測するための手法が様々試みられてきた。しかしながら、従来の手法は全て試料調製が容易である均一安定同位体(13C、15N、2H)試料を対象に開発されてきたものばかりであり、実用的にみて優れた手法はこれまで存在していなかった。


【特許文献1】国際公開WO03/053910A1公報

産業上の利用分野

本発明は蛋白質のNMR構造解析に有用な安定同位体標識芳香族アミノ酸、その標的蛋白質への組み込み方法並びに蛋白質のNMR構造解析方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
下記から選ばれる安定同位体標識芳香族アミノ酸。
式Aで表されるアミノ酸残基に結合するフェニル基の炭素原子が13Cであり、該フェニル基を構成する残り5つの炭素原子のうち2~4個の炭素原子が12Cであり、これに重水素が結合し、残りの炭素原子が13Cであって、これに水素原子が結合していることを特徴とする安定同位体標識フェニルアラニン、
式Aで表されるアミノ酸残基に結合するフェニル基の炭素原子が13Cであり、該フェニル基のヒドロキシル基(OH基)に結合する炭素原子が12C又は13Cであり、該フェニル基を構成する残り4つの炭素原子のうち2~4個の炭素原子が12Cであり、これに重水素が結合し、残りの炭素原子が13Cであって、これに水素原子が結合していることを特徴とする安定同位体標識チロシン、
式Aで表されるアミノ酸残基に結合するインドリル基の炭素原子が13Cであり、該インドリル基を構成する残り7つの炭素原子のうち1~5個の炭素原子が12Cであり、これらの炭素原子に更に水素原子又は重水素原子が結合可能である場合には、これに重水素が結合し、残りの炭素原子が13Cであって、これらの炭素原子に更に水素原子又は重水素原子が結合可能である場合には、これに水素原子が結合しており、該インドリル基を構成するNH基の窒素原子が15N又は14Nであることを特徴とする安定同位体標識トリプトファン、及び
式Aで表されるアミノ酸残基に結合するイミダゾリル基の炭素原子が13Cであり、該イミダゾリル基を構成する残り2つの炭素原子の両方の炭素原子が13Cであってこれに水素原子が結合しているか、片方の炭素原子が12Cであってこれに重水素が結合しており、残りの炭素原子が13Cであって、これに水素原子が結合しており、該イミダゾリル基を構成する2つの窒素の1つが15Nであり残りが14Nであって、NH基を構成する水素原子が重水素ではないことを特徴とする安定同位体標識ヒスチジン。
*1C(X)(Y)-*2C(Z)(15NH2)(*3COOH) - - - (A)
(式中、*1C、*2C及び*3Cは、それぞれ12C又は13Cを示し、X、Y及びZは、それぞれ水素原子又は重水素原子を示す。)
【請求項2】
式A中の*1C、*2C及び*3Cが、それぞれ13Cを示す、請求項1記載の安定同位体標識芳香族アミノ酸。
【請求項3】
下記一般式(1)~(15)で表される請求項1記載の安定同位体標識芳香族アミノ酸。






(式中、Cは12C又は13Cを示し、Nは14N又は15Nを示し、Zは水素原子又は重水素原子を示し、Rは下記の基



(式中、X、Y及びZは、それぞれ水素原子又は重水素原子を示す。)である。)
【請求項4】
一般式(1)、(2)、(3)、(4)、(7)又は(8)で表される請求項3記載の安定同位体標識芳香族アミノ酸。
【請求項5】
標的蛋白質を構成する芳香族アミノ酸が、請求項1~4のいずれか1項記載の安定同位体標識芳香族アミノ酸であり、標的蛋白質を構成する脂肪族アミノ酸が、次の標識パターン
(a)水素原子を2つ有するメチレン基が存在する場合には、メチレン水素のうちの一つが重水素化されている、
(b)プロキラルなgem-メチル基が存在する場合には、一方のメチル基の全ての水素が完全に重水素化され、他方のメチル基の水素が部分重水素化されている、
(d)上記以外のメチル基が存在する場合には、該メチル基の一つの水素を残して他は重水素化されているか、又は該メチル基の全てのメチル基が重水素化されている、
(e)上記(a)、(b)及び(d)において重水素化された後において、水素原子を持つメチレン基および/またはメチル基の炭素の全てが13Cに置換されている、
(f)窒素が全て15Nに置換されている
を満たす安定同位体標識脂肪族アミノ酸であることを特徴とする標的蛋白質を構成する安定同位体標識アミノ酸の組み合わせ。
【請求項6】
(e)上記(a)、(b)及び(d)において重水素化された後において、水素原子を持つメチレン基およびメチル基の炭素の全てが13Cに置換されている、請求項5記載の安定同位体標識アミノ酸の組み合わせ。
【請求項7】
安定同位体標識脂肪族アミノ酸のカルボニル基及びグアニジル基を構成する炭素が13Cに置換されている、請求項6記載の安定同位体標識アミノ酸の組み合わせ。
【請求項8】
標的蛋白質を構成する芳香族アミノ酸が、請求項1~4のいずれか1項記載の安定同位体標識芳香族アミノ酸であり、標的蛋白質を構成する脂肪族アミノ酸が、次の標識パターン
(a)水素原子を2つ有するメチレン基が存在する場合には、メチレン水素のうちの一つが重水素化されている、
(b)プロキラルなgem-メチル基が存在する場合には、一方のメチル基の全ての水素が完全に重水素化され、他方のメチル基の水素が部分重水素化されている、
(d)上記以外のメチル基が存在する場合には、該メチル基の一つの水素を残して他は重水素化されているか、又は該メチル基の全てのメチル基が重水素化されている、
(e)上記(a)、(b)及び(d)において重水素化された後において、水素原子を持つメチレン基および/またはメチル基の炭素の15原子%以上が13Cに置換されている、
(f)窒素が全て15Nに置換されている
を満たす安定同位体標識脂肪族アミノ酸であることを特徴とする標的蛋白質を構成する安定同位体標識アミノ酸の組み合わせ。
【請求項9】
標的蛋白質を構成する芳香族アミノ酸が、請求項1~4のいずれか1項記載の安定同位体標識芳香族アミノ酸であり、標的蛋白質を構成する脂肪族アミノ酸が、次の標識パターン
(a)水素原子を2つ有するメチレン基が存在する場合には、メチレン水素のうちの一つが重水素化されている、
(b)プロキラルなgem-メチル基が存在する場合には、一方のメチル基の全ての水素が完全に重水素化され、他方のメチル基の水素が部分重水素化されている、
(d)上記以外のメチル基が存在する場合には、該メチル基の一つの水素を残して他は重水素化されているか、又は該メチル基の全てのメチル基が重水素化されている、
(e)上記(a)、(b)及び(d)において重水素化された後において、水素原子を持つメチレン基および/またはメチル基の炭素の全てが12Cである、
(f)窒素が全て15Nに置換されている
を満たす安定同位体標識脂肪族アミノ酸であることを特徴とする標的蛋白質を構成する安定同位体標識アミノ酸の組み合わせ。
【請求項10】
請求項1~4のいずれか1項記載の安定同位体標識芳香族アミノ酸の標的蛋白質への組み込み方法であって、無細胞蛋白質合成により組み込むことを特徴とする安定同位体標識アミノ酸の標的蛋白質への組み込み方法。
【請求項11】
請求項5~9のいずれか1項記載の安定同位体標識芳香族アミノ酸の組み合わせの標的蛋白質への組み込み方法であって、無細胞蛋白質合成により組み込むことを特徴とする安定同位体標識アミノ酸の組み合わせの標的蛋白質への組み込み方法。
【請求項12】
標的蛋白質を構成する全てのアミノ酸として請求項5~9のいずれか1項の安定同位体標識アミノ酸の組み合わせを用いて、無細胞蛋白質合成を行うことを含む、安定同位体標識アミノ酸で構成される標的蛋白質の調製方法。
【請求項13】
請求項1~4のいずれか1項記載の安定同位体標識アミノ酸を標的蛋白質に組み込みNMRスペクトルを測定して構造解析することを含む蛋白質のNMR構造解析方法。
【請求項14】
標的蛋白質を構成する全てのアミノ酸が請求項5~9のいずれか1項記載の安定同位体標識アミノ酸の組み合わせで置換されてなる標的蛋白質の構造をNMRスペクトル測定により解析することを含む標的蛋白質のNMR構造解析方法。
産業区分
  • 有機化合物
  • 微生物工業
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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22710_04SUM.gif
出願権利状態 権利存続中
参考情報 (研究プロジェクト等) CREST たんぱく質の構造・機能と発現メカニズム(たんぱく質の機能発現メカニズムに基づく革新的な新薬、診断技術及び物質生産技術の創製を目指して) 領域
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