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毒素中和性ペプチドのスクリーニング方法とSTX2阻害性ペプチド並びにベロ毒素中和剤 コモンズ 新技術説明会

国内特許コード P08S000173
整理番号 K054P06
掲載日 2009年2月27日
出願番号 特願2006-528873
登録番号 特許第4744443号
出願日 平成17年6月28日(2005.6.28)
登録日 平成23年5月20日(2011.5.20)
国際出願番号 JP2005012286
国際公開番号 WO2006001542
国際出願日 平成17年6月28日(2005.6.28)
国際公開日 平成18年1月5日(2006.1.5)
優先権データ
  • 特願2004-189801 (2004.6.28) JP
  • 特願2004-295405 (2004.10.7) JP
発明者
  • 西川 喜代孝
出願人
  • 独立行政法人科学技術振興機構
発明の名称 毒素中和性ペプチドのスクリーニング方法とSTX2阻害性ペプチド並びにベロ毒素中和剤 コモンズ 新技術説明会
発明の概要

次のステップ:(1)ミューテーションの導入による受容体結合サイトの特定(2)ペプチドライブラリー法により野性型サブユニットに結合するペプチドモチーフと前記結合サイトが機能的に欠損したミュータントに結合するペプチドモチーフとの対比によるアミノ酸選択比に基づく結合サイト特異性ペプチドモチーフの特定を含むスクリーニング方法とする。受容体結合部がサブユニット構造をもつ毒素を阻害するペプチドをスクリーニングする。これによってリジン(Lys)3分子がペプチド結合された分子核構造部に、STX2阻害性ペプチドが組込まれて、合成が容易で、ベロ毒素を阻害することのできるSTX2阻害剤が提供される。

従来技術、競合技術の概要

腸管出血性大腸菌O157:H7が産生するベロ毒素は、赤痢菌由来志賀毒素と類似した細菌毒素のABファミリーに属するタンパク質であって、これらの毒素は、各種標的臓器の血管内皮細胞上のグロボトリオシルセラミド(Gb,Galα1-4Galβ1-4Glcβ1-Cer)中のグロボ3糖部分を認識し、接着することにより細胞内に取込まれ毒性を示すことが知られている。
そして、このような志賀様毒素は二種類存在し、これらの毒素が出血性大腸炎やその後の一連の微小血管障害である重症合併症〔たとえば、溶血性尿毒症症候群(HUS)〕などを引き起こす。STX1として表記される毒素は、志賀赤痢菌(Shigella dysenteriae Type I)の産生する志賀毒素とアミノ酸配列が同一である。一方、STX2と表記される毒素は、STX1とアミノ酸配列が50~60%の相同性が認められている。これらの毒性は、そのアミノ酸配列のわずかな違いがあるものの、タンパク質合成阻害による細胞毒性や腸管毒性などの活性を示す。Stxは、二種類のサブユニット(AとB)から構成されるAB型の毒素であり、Aサブユニット1分子の周りにBサブユニット5分子が疎水性結合により取り囲んでいる。毒素活性を担っているのがAサブユニットであり、Bサブユニットは、細胞表層上に存在する糖鎖受容体に結合する役目を担っている。毒素のX線結晶構造解析などによる詳細な検討により、Bサブユニット1分子中に糖鎖の結合部位が3ケ所存在していることが解明されてきている。すなわち、1分子中のSTX2中には、5分子のBサブユニットが存在することから、合計15箇所の結合部位を提示していると推定される。
すなわち、STXはSTX1,2の2つのファミリーに分類されるが、重篤な合併症を引き起こすのはSTX2産生菌がほとんどであり、臨床的にはSTX2のほうがより重要である。従って、STX2に対する阻害剤の開発が急務である。これらSTXはA-B型の毒素で、Bサブユニットが細胞膜上の受容体、Gb(globotriaosylceramide:Galα(1-4)-Galβ(1-4)-Glcβ1-Ceramide)に結合することにより細胞内に取り込まれる。またBサブユニットペンタマーはGb3の糖鎖部(グロボ3糖:Galα(1-4)-Galβ(1-4)-Glcβ1-)を特異的に認識する。従って、グロボ3糖を高密度で集積させた化合物は、STXに高親和性で結合し、その作用を阻害するSTX阻害剤となりうる。
このような毒素のサブユニット構成とその機能が解明されるにともなって、細胞表層上の糖鎖受容体への結合機能を有しているBサブユニットの結合を選択的に阻害する方法が注目され、様々な観点からの検討が進められている。
この出願の発明者も前記のような毒素の糖鎖結合部位に対して効果的に糖鎖を結合させ、毒素の宿主細胞への接着を阻害する人工糖鎖クラスターの構築を行ってきた。そして、これまでに、カルボシランを糖鎖担持骨格としたデンドリマー型化合物群や、水溶性のポリマー化合物を提案している(特許文献1-2、非特許文献1)。
たとえば、次式で表わされるSUPER TWIG(1)6等である。このものはO157:H7感染実験において有効性が証明された初めての化合物である。

SUPER TWIGをはじめ、これまでのSTX阻害剤開発は、生体内における阻害活性を発揮させるためにSTX結合ユニットであるグロボ3糖をいかに集積させるか、というコンセプトに基づいていた。しかしながら、グロボ3糖単独でのSTXとの親和性(Kd)は10-3Mと必ずしも高くはなく、またその化学合成は非常に困難である。このことが臨床応用のための大きな障害となっている。従って臨床応用可能な治療薬開発のためには、グロボ3糖よりも合成が容易で、STXに対する結合能力に優れた新たなSTX結合ユニットの開発が必要である。
そしてまた、以上のような課題は、ベロ毒素特有のものではなく、ベロ毒素STXの他に受容体結合部がサブユニット構造をもつと考えられるコレラ毒素(A-B5型)受容体:GM1、毒素原性大腸菌易熱性下痢原因毒素LT(A-B5型)受容体:GM1、百日咳毒素(A-B5型)受容体、炭疽菌毒素(7量体型)受容体:VWAドメインを有する蛋白(anthrax toxin receptor)等の場合には共通すると推察される。
このような状況において、この出願の発明者は、これら毒素のレセプターとしての処方物質を構築すべく検討を進めてきた。

【特許文献1】WO 02/02588
【特許文献2】特願2004-108483号出願
【非特許文献1】Proc.Natl.Acad.Sci.USA 2002;99:7669-74

産業上の利用分野

本発明はベロ毒素やコレラ毒素、百日咳毒素等の毒素を阻害することのできる毒素中和性ペプチドのスクリーニング方法に関するものである。
また、本発明はSTX2阻害性ペプチドとベロ毒素中和剤に関するものである。さらに詳しくは、ベロ毒素の細胞への接着を競合的に阻害してベロ毒素を効果的に阻害することのできるSTX2阻害性ペプチドと、経口投与も可能な新しいベロ毒素中和剤に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】 複数の受容体結合サイトを有し、この受容体結合サイトが細胞の受容体と多価結合する毒素を中和することのできるペプチドのスクリーニング方法であって、以下のステップ:
(1)毒素の受容体結合サイトのうちの一つにミューテーションを導入し、ミュータントを作成するステップ;
(2)野性型毒素と前記ミュータントに、degenerate positionを含むペプチドモチーフを複数有する多価ペプチドライブラリーを反応させるステップ;および
(3)野性型毒素と結合した多価ペプチドライブラリーのペプチドモチーフと、前記ミュータントと結合した多価ペプチドライブラリーのペプチドモチーフとを対比し、アミノ酸選択比の高いアミノ酸をペプチドモチーフのdegenerate position のアミノ酸として特定するステップ
を含むことを特徴とするスクリーニング方法。
【請求項2】 前記(3)のステップは、アミノ酸選択比の高いアミノ酸をペプチドモチーフにおけるfixed positionとした多価ペプチドライブラリーを作成し、この多価ペプチドライブラリーを再び野性型毒素と前記ミュータントに反応させて、アミノ酸選択比の高いアミノ酸をペプチドモチーフのdegenerate position のアミノ酸として特定するステップを含むことを特徴とする請求項1のスクリーニング方法。
【請求項3】 多価ペプチドライブラリーは、リジン(Lys)が複数個結合した分子核構造の末端にペプチドモチーフを有することを特徴とする請求項1または2のスクリーニング方法。
【請求項4】 多価ペプチドライブラリーは、分子核構造とペプチドモチーフが、スペーサーを介して結合していることを特徴とする請求項3のスクリーニング方法。
【請求項5】 毒素がベロ毒素STX1またはSTX2であることを特徴とする請求項1のスクリーニング方法。
【請求項6】 リジン(Lys)3分子によって形成された以下の分子核構造、

における末端のNH-の各々に、以下の(1)から(4)のペプチドモチーフ
(1)FRRNRRN(配列番号1)
(2)PPPRRRR(配列番号2)
(3)PPRRNRR(配列番号3)
(4)KRRNPRR(配列番号4)
のいずれかが結合していることを特徴とするSTX2阻害性ペプチド。
【請求項7】 前記(1)から(4)のペプチドモチーフは、スペーサー分子を介して分子核構造と結合していることを特徴とする請求項6のSTX2阻害性ペプチド。
【請求項8】 スペーサー分子は、ペプチドまたはアミノ基とカルボキシル基とを有し、炭素数4~10の炭化水素鎖構造を持つ分子であることを特徴とする請求項のSTX2阻害性ペプチド。
【請求項9】 ペプチドモチーフが末端修飾分子を有していることを特徴とする請求項からのいずれかSTX2阻害性ペプチド。
【請求項10】 末端修飾分子は電荷を有していない分子であることを特徴とする請求項のSTX2阻害性ペプチド。
【請求項11】 ペプチドモチーフは、N末端にMet-Alaを有していることを特徴とする請求項6から10のいずれかのSTX2阻害性ペプチド。
【請求項12】 分子核構造の末端のNH-の各々に、次式(a)(b)のいずれかが結合していることを特徴とする請求項5のSTX2阻害性ペプチド。
Met-Ala-Xo-Ala-AHA- (a)
acetyl-Xo-AHA- (b)
〔式中のAHAは、アミノ-ヘキサンカルボン酸基を示し、Xoは、前記のペプチドモチーフ(1)(2)(3)(4)のいずれかを示す。
【請求項13】 請求項6から12のうちのいずれかのペプチドを有効成分として含有することを特徴とするベロ毒素STX2中和剤。
産業区分
  • 治療衛生
  • 有機化合物
  • 薬品
  • 試験、検査
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 権利存続中
参考情報 (研究プロジェクト等) さきがけ 生体と制御 領域
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