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漆系塗料、その製造方法及び漆塗装材 実績あり

国内特許コード P08A014354
整理番号 2006-P06
掲載日 2009年3月27日
出願番号 特願2006-171980
公開番号 特開2008-001785
登録番号 特許第5013582号
出願日 平成18年6月21日(2006.6.21)
公開日 平成20年1月10日(2008.1.10)
登録日 平成24年6月15日(2012.6.15)
発明者
  • 宮腰 哲雄
出願人
  • 学校法人明治大学
発明の名称 漆系塗料、その製造方法及び漆塗装材 実績あり
発明の概要

【課題】従来品よりも乾燥時間が短く、光沢度及び耐久性に優れた漆塗膜を与える漆系塗料を製造する方法を提供すること。また、インクジェット用漆インクの製造に適した漆系塗料を製造する方法を提供すること。
【解決手段】本発明の漆系塗料の製造方法は、生漆又は精製漆の油性成分に対して水分が5~15重量%となるように調節する含水率調節工程を好ましくは経た後に、漆系塗料を媒体撹拌ミルを用いて、好ましくは20~40℃において、微細化して油中水滴型エマルションに含まれる水滴の平均粒径を約100nmの大きさまで小さくする微細化工程、を含むことを特徴とする。
【選択図】図1

従来技術、競合技術の概要


漆は、古くから利用されてきた植物由来の天然塗料である。漆の木から得られる樹液を利用した漆工芸品の製造は、まさに日本を代表する文化芸術であり、伝統工芸である。最近、生活様式の変化に伴い生活用品や家具・内装材の塗装は合成樹脂塗料が多用されている。その影響によるシックハウス症候群や有機溶媒によるVOC(揮発性有機化合物)やホルムアルデヒドが社会的な問題になっている。漆は天然塗料であり、ホルムアルデヒドを含まない塗料である。環境に優しい漆塗料の一層の性能向上と幅広い利用が望まれている。



漆は、ウルシ(Rhus verniciflua)の樹液から得られる油中水球型エマルションであり、ウルシオール(油成分)、多糖質(ゴム質)、含窒素物(糖蛋白)、ラッカーゼ酵素及び水で構成されている。漆は、ラッカーゼ酵素で酸化重合が進む特異な高分子塗料である。そのため漆液の乾燥硬化には高湿度環境が好ましく、ラッカーゼ酵素の作用でゆっくり酸化重合が進み、塗膜ができる。漆塗膜の特徴は、独特の光沢、美しさ、深み感、ふっくらした感じ、しっとりした質感と堅牢さにある。この漆の特性を有し、しかも自然乾燥する漆液を開発することは漆の用途や応用範囲を広げることになる。



生漆エマルションの水滴粒径は約10マイクロメータ(μm)であるが、「ナヤシ」によるかき混ぜて練る操作及び「クロメ」による加熱処理をして水分を低減した精製漆の平均水滴粒径は約1μmである。これを塗膜にして高湿度の漆室中に静置すると、水滴中に含まれるラッカーゼ酵素がウルシオールを酸化し、ウルシオールキノンの生成、ジベンゾフランの生成、キノン-オレフィン付加重合物の生成などが進行する。また、これらの反応による抗酸化力の減少により側鎖の不飽和結合の自動酸化反応も進行し、乾燥硬化した漆塗膜が得られる。ここで、側鎖の自動酸化反応は、実際には、ウルシオールオリゴマーやウルシオールポリマーの状態で進行する。得られた漆塗膜は粒子構造を有している。漆液の化学については、多くの報告があり、非特許文献1~4の報告が含まれる。また、本発明者らは、漆系塗料及びその製造方法に関する研究開発を行いその内容は出願公開されている(特許文献1~4)。



漆塗膜は数千年の保存に耐えることは周知の事実であるが、エマルションの分散粒径が比較的大きいために塗膜の光沢は低くなる。このために重合えの油やロジン変性重合アマニ油などを混合したり、乾燥塗膜表面の水研ぎ、胴刷りによる蝋色仕上げにより漆塗膜に光沢を付与することが行われている。




【特許文献1】特開2002-177754号公報

【特許文献2】特開2003-055558号公報

【特許文献3】特開2003-306640号公報

【特許文献4】特開2004-256696号公報

【非特許文献1】永瀬喜助、神谷幸男、木村徹、穂積賢吾、宮腰哲雄、日化、No.10, 587(2001)

【非特許文献2】永瀬喜助、神谷幸男、穂積賢吾、宮腰哲雄、日化、No.3, 377(2002)

【非特許文献3】永瀬喜助著、「漆の本」(研成社)昭和61(1986)年9月発行

【非特許文献4】宮腰哲雄、永瀬喜助、吉田孝編・著「漆化学の進歩」、(株式会社アイピーシー)平成12(2000)年5月発行

産業上の利用分野


本発明は、漆系塗料の製造方法、漆系塗料、インクジェット用漆インク及び漆系塗料の塗装方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
生漆又は精製漆の油性成分に対し水分が5~15重量%となるように含水率を調節する水分調節工程の後に、
前記生漆又は精製漆に、重合アマニ油、重合アマニ油及びロジン、エチレングリコール、グリセリン並びに界面活性剤よりなる群から選ばれた添加剤を添加する添加工程、及び、
得られた混合物を媒体撹拌ミルにより微細化して、油中水滴型エマルションに含まれる水滴の粒径範囲を50~150nmにする微細化工程を含み、
前記媒体撹拌ミルに媒体として比重が4.5以上で直径が0.3~0.8mmのビーズを使用する、
漆系塗料の製造方法。

【請求項2】
20~40℃において微細化する微細化工程である、請求項1に記載の漆系塗料の製造方法。

【請求項3】
精製漆が無油透漆又は有油透漆である、請求項1又は2に記載の漆系塗料の製造方法。

【請求項4】
請求項1~いずれか1つに記載の製造方法により製造された漆系塗料。

【請求項5】
アルコキシシラン類、ウレタン樹脂及びエポキシ樹脂よりなる群から選ばれた添加剤を含む、請求項に記載の漆系塗料。

【請求項6】
請求項又はに記載の漆系塗料を有機溶剤により希釈して得られるインクジェット用漆インク。

【請求項7】
請求項に記載の漆インクを基材にインクジェット方法により吐出する印刷工程を含む漆系塗料の塗装方法。

【請求項8】
基材上に吐出された漆インクから有機溶剤を揮発させる乾燥工程、及び、
漆インクの指触乾燥前に金属粉、金属箔、金属蒸着フィルム粉若しくは積層フィルム粉を蒔き付けるか又は金属箔を貼り付ける加飾工程を更に含む、請求項に記載の漆系塗料の塗装方法。
産業区分
  • 塗料・接着剤
  • 高分子化合物
  • 塗料・接着剤
  • 事務機
  • 事務機
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2006171980thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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