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新規高等植物の作出方法、及び高等植物の生長促進方法

国内特許コード P08S000183
整理番号 NUBIC-2004JP0095
掲載日 2009年4月3日
出願番号 特願2007-501678
登録番号 特許第5229453号
出願日 平成18年2月1日(2006.2.1)
登録日 平成25年3月29日(2013.3.29)
国際出願番号 JP2006302104
国際公開番号 WO2006082992
国際出願日 平成18年2月1日(2006.2.1)
国際公開日 平成18年8月10日(2006.8.10)
優先権データ
  • 特願2005-027012 (2005.2.2) JP
発明者
  • 奥 忠武
  • 西尾 俊幸
  • 河内 隆
  • 千田 浩隆
  • 中沢 愛子
出願人
  • 学校法人日本大学
発明の名称 新規高等植物の作出方法、及び高等植物の生長促進方法
発明の概要

本発明は、葉緑体のチラコイド内腔にシトクロムcを有する高等植物の作出方法であって、シトクロムcタンパク質に50~80アミノ酸残基のシグナルペプチドが付加された融合タンパク質をコードする遺伝子を高等植物のゲノム中に導入することを特徴とする前記作出方法を提供する。

従来技術、競合技術の概要


従来、陸上植物等のいわゆる高等植物の生長促進に関する技術としては、リブロースビスリン酸カルボキシラーゼ等の酵素の活性を高めるなど、光合成暗反応(カルビン・ベンソンサイクル)に関する報告例、具体的には、関連酵素遺伝子の導入により葉を大きくした報告例(Shigeoka et al.,Nature biotechnology,19,965-969(2001))等がある。しかしこのような技術は、様々な高等植物への適用の面で、汎用性に非常に乏しいものであった。
シトクロムcは、光合成明反応における電子伝達タンパク質であって、本来、一部の藻類(ラン藻類等)にのみ存在するものであり、その電子伝達能力が極めて優れている(すなわち酸化還元電位が高電位である)ことが知られている(図1)。このため、様々な高等植物において、その葉緑体中に(詳しくはチラコイド内腔に)シトクロムcを発現及び機能させ、光合成能を向上させる、汎用性に優れた技術の開発が強く望まれている。
ところで、シトクロムcを細胞内で発現させるようにする技術としては、例えば、F.P.Molina-Heredia et al.,Biochem.Biophys.Res.Commun.,243,302-306(1998);T.Satoh et al.,FEBS lett.,531,543-547(2002);R.Gupta et al.,Nature,417,567-571(2002);D.R.Hickey et al.,Gene,105,73-81(1991)等の文献に記載の技術が知られている。しかし、これら技術はいずれも、大腸菌、酵母あるいはラン藻といった高等植物ではない宿主細胞を用い、単に、上記シトクロムc又はそれに類するタンパク質の大量生産や機能解析を目的としてなされたものであり、従来より当業者において通常行われている遺伝子発現法に含まれるものである。
そして、高等植物において光合成明反応の電子伝達体としてシトクロムcを機能させること、つまり、高等植物細胞内の葉緑体中にあるチラコイドの内腔にシトクロムcを存在させることに成功した報告例は全く無く、極めて困難であると考えられていた。

産業上の利用分野


本発明は、葉緑体のチラコイド内腔にシトクロムcを有する新規な高等植物の作出方法、及び、上記チラコイド内腔にシトクロムcを存在させ高等植物の生長を促進させる方法又は高等植物の炭素固定能を促進させる方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
シトクロムc6タンパク質に50~80アミノ酸残基のシグナルペプチドが付加された融合タンパク質をコードする遺伝子を高等植物のゲノム中に導入することを含む、葉緑体のチラコイド内腔にシトクロムc6を有する高等植物の作出方法であって、前記融合タンパク質が以下の(a)、(b)、(c)又は(d)のタンパク質であることを特徴とする、前記方法。
(a) 配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むタンパク質
(b) 配列番号6に示されるアミノ酸配列のうちの前記シグナルペプチドに相当するアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、かつ高等植物の葉緑体包膜及びチラコイド膜の通過能を有するタンパク質
(c) 配列番号6に示されるアミノ酸配列のうちの前記シトクロムc6タンパク質に相当するアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、かつ電子伝達能を有するタンパク質
(d) 配列番号6に示されるアミノ酸配列のうちの前記シグナルペプチドに相当するアミノ酸配列及び前記シトクロムc6タンパク質に相当するアミノ酸配列においてそれぞれ1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、かつ高等植物の葉緑体包膜及びチラコイド膜の通過能、並びに電子伝達能を有するタンパク質

【請求項2】
シトクロムc6タンパク質に50~80アミノ酸残基のシグナルペプチドが付加された融合タンパク質をコードする遺伝子を高等植物のゲノム中に導入して発現させ、葉緑体のチラコイド内腔にシトクロムc6を存在させることを含む、高等植物の生長促進方法であって、前記融合タンパク質が以下の(a)、(b)、(c)又は(d)のタンパク質であることを特徴とする、前記方法。
(a) 配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むタンパク質
(b) 配列番号6に示されるアミノ酸配列のうちの前記シグナルペプチドに相当するアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、かつ高等植物の葉緑体包膜及びチラコイド膜の通過能を有するタンパク質
(c) 配列番号6に示されるアミノ酸配列のうちの前記シトクロムc6タンパク質に相当するアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、かつ電子伝達能を有するタンパク質
(d) 配列番号6に示されるアミノ酸配列のうちの前記シグナルペプチドに相当するアミノ酸配列及び前記シトクロムc6タンパク質に相当するアミノ酸配列においてそれぞれ1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、かつ高等植物の葉緑体包膜及びチラコイド膜の通過能、並びに電子伝達能を有するタンパク質

【請求項3】
シトクロムc6タンパク質に50~80アミノ酸残基のシグナルペプチドが付加された融合タンパク質をコードする遺伝子を高等植物のゲノム中に導入して発現させ、葉緑体のチラコイド内腔にシトクロムc6を存在させることを含む、高等植物のATP、NADPH、デンプン及びタンパク質からなる群から選ばれる少なくとも1つの合成促進方法であって、前記融合タンパク質が以下の(a)、(b)、(c)又は(d)のタンパク質であることを特徴とする、前記方法。
(a) 配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むタンパク質
(b) 配列番号6に示されるアミノ酸配列のうちの前記シグナルペプチドに相当するアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、かつ高等植物の葉緑体包膜及びチラコイド膜の通過能を有するタンパク質
(c) 配列番号6に示されるアミノ酸配列のうちの前記シトクロムc6タンパク質に相当するアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、かつ電子伝達能を有するタンパク質
(d) 配列番号6に示されるアミノ酸配列のうちの前記シグナルペプチドに相当するアミノ酸配列及び前記シトクロムc6タンパク質に相当するアミノ酸配列においてそれぞれ1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、かつ高等植物の葉緑体包膜及びチラコイド膜の通過能、並びに電子伝達能を有するタンパク質

【請求項4】
シトクロムc6タンパク質に50~80アミノ酸残基のシグナルペプチドが付加された融合タンパク質をコードする遺伝子を高等植物のゲノム中に導入して発現させ、葉緑体のチラコイド内腔にシトクロムc6を存在させることを含む、高等植物の炭素固定促進方法であって、前記融合タンパク質が以下の(a)、(b)、(c)又は(d)のタンパク質であることを特徴とする、前記方法。
(a) 配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むタンパク質
(b) 配列番号6に示されるアミノ酸配列のうちの前記シグナルペプチドに相当するアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、かつ高等植物の葉緑体包膜及びチラコイド膜の通過能を有するタンパク質
(c) 配列番号6に示されるアミノ酸配列のうちの前記シトクロムc6タンパク質に相当するアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、かつ電子伝達能を有するタンパク質
(d) 配列番号6に示されるアミノ酸配列のうちの前記シグナルペプチドに相当するアミノ酸配列及び前記シトクロムc6タンパク質に相当するアミノ酸配列においてそれぞれ1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、かつ高等植物の葉緑体包膜及びチラコイド膜の通過能、並びに電子伝達能を有するタンパク質

【請求項5】
シトクロムc6タンパク質に50~80アミノ酸残基のシグナルペプチドが付加された融合タンパク質をコードする遺伝子を高等植物のゲノム中に導入することを含む、葉緑体のチラコイド内腔にシトクロムc6を有する高等植物の作出方法であって、前記遺伝子が以下の(a)又は(b)のDNAを含む遺伝子であることを特徴とする、前記方法。
(a) 配列番号5に示される塩基配列を含むDNA
(b) 配列番号5に示される塩基配列を含むDNAと90%以上の相同性を有する塩基配列を含むDNAであって、かつ高等植物の葉緑体包膜及びチラコイド膜の通過能、並びに電子伝達能を有するタンパク質をコードするDNA

【請求項6】
シトクロムc6タンパク質に50~80アミノ酸残基のシグナルペプチドが付加された融合タンパク質をコードする遺伝子を高等植物のゲノム中に導入して発現させ、葉緑体のチラコイド内腔にシトクロムc6を存在させることを含む、高等植物の生長促進方法であって、前記遺伝子が以下の(a)又は(b)のDNAを含む遺伝子であることを特徴とする、前記方法。
(a) 配列番号5に示される塩基配列を含むDNA
(b) 配列番号5に示される塩基配列を含むDNAと90%以上の相同性を有する塩基配列を含むDNAであって、かつ高等植物の葉緑体包膜及びチラコイド膜の通過能、並びに電子伝達能を有するタンパク質をコードするDNA

【請求項7】
シトクロムc6タンパク質に50~80アミノ酸残基のシグナルペプチドが付加された融合タンパク質をコードする遺伝子を高等植物のゲノム中に導入して発現させ、葉緑体のチラコイド内腔にシトクロムc6を存在させることを含む、高等植物のATP、NADPH、デンプン及びタンパク質からなる群から選ばれる少なくとも1つの合成促進方法であって、前記遺伝子が以下の(a)又は(b)のDNAを含む遺伝子であることを特徴とする、前記方法。
(a) 配列番号5に示される塩基配列を含むDNA
(b) 配列番号5に示される塩基配列を含むDNAと90%以上の相同性を有する塩基配列を含むDNAであって、かつ高等植物の葉緑体包膜及びチラコイド膜の通過能、並びに電子伝達能を有するタンパク質をコードするDNA

【請求項8】
シトクロムc6タンパク質に50~80アミノ酸残基のシグナルペプチドが付加された融合タンパク質をコードする遺伝子を高等植物のゲノム中に導入して発現させ、葉緑体のチラコイド内腔にシトクロムc6を存在させることを含む、高等植物の炭素固定促進方法であって、前記遺伝子が以下の(a)又は(b)のDNAを含む遺伝子であることを特徴とする、前記方法。
(a) 配列番号5に示される塩基配列を含むDNA
(b) 配列番号5に示される塩基配列を含むDNAと90%以上の相同性を有する塩基配列を含むDNAであって、かつ高等植物の葉緑体包膜及びチラコイド膜の通過能、並びに電子伝達能を有するタンパク質をコードするDNA
産業区分
  • 微生物工業
  • 農林
  • 有機化合物
国際特許分類(IPC)
Fターム
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出願権利状態 権利存続中
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