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ギ酸分解用触媒、ギ酸の分解方法、水素製造方法、ギ酸製造および分解用装置、水素貯蔵および発生方法 コモンズ 新技術説明会

国内特許コード P09P005940
整理番号 B73P04
掲載日 2009年4月17日
出願番号 特願2007-247549
公開番号 特開2009-078200
登録番号 特許第4875576号
出願日 平成19年9月25日(2007.9.25)
公開日 平成21年4月16日(2009.4.16)
登録日 平成23年12月2日(2011.12.2)
発明者
  • 福住 俊一
  • 末延 知義
  • 小林 岳史
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 ギ酸分解用触媒、ギ酸の分解方法、水素製造方法、ギ酸製造および分解用装置、水素貯蔵および発生方法 コモンズ 新技術説明会
発明の概要 【課題】高活性で、水素(H2)を安全に、効率良く、かつ低コストで提供することが可能なギ酸分解用触媒を提供する。
【解決手段】該ギ酸分解用触媒は、シクロペンタジエン置換体からなる配位子ならびに窒素含有複素環式化合物からなる配位子を有したロジウム単核金属錯体、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩を含む。該ギ酸分解用触媒を用いると、ギ酸を原料として極めて高効率で繰り返し水素の発生(製造)を行うこともできる。
【選択図】図2
従来技術、競合技術の概要


水素(H2)は、各種物質の合成、還元、石油の水素化脱硫、水素化分解等、多様な用途に用いられ、産業上のあらゆる分野で必要とされている。例えば、近年注目されている燃料電池は、外部から水素、酸素等の反応物を供給することで継続的に効率良く電力を供給することができる。実用燃料電池の燃料(反応物)としては、メタノールを用いる研究が主に行われている。しかし、メタノールを燃焼させた場合、不完全酸化物質である一酸化炭素や炭化水素類等の電極触媒表面での被毒物質の副生が問題となる。このため、クリーンな燃料である水素を燃料電池の電極に供給することが望ましい。これらのことから、水素の供給あるいは貯蔵技術は、産業上非常に重要である。しかし、水素は、室温で気体であること、反応性が高く空気中で発火等を起こしやすいことなどから、安定して供給あるいは貯蔵することは従来困難であった。



例えば、水素の貯蔵方法としては、圧縮ガスとして貯蔵する方法が一般に用いられている。しかし、この方法は、圧縮ガス輸送時の安全性、容器材料の水素脆性等の問題を克服するために、多大なコストがかかる。また、別の方法として、水素ガスを液化し、液体水素の形で貯蔵する方法がある。しかし、この方法は、水素ガスの液化工程で大量のエネルギーを必要とすること、液化水素の貯蔵に特殊で高価な容器が必要であること等の問題がある。さらに別の方法として、水素吸蔵合金に水素を取り込ませ、貯蔵する方法がある。しかし、水素吸蔵合金は、水素貯蔵放出を繰り返すと微粉化して性能劣化が起こり易くなること、重量の大きさ等のため取り扱いが困難であること、水素を取り込む時の反応熱の出入りが大きいこと等が問題である。



これらの問題を解決するため、水素を、H2としてでなく別の物質の形で貯蔵する方法が考えられる。例えば、ギ酸(HCOOH)は、強く加熱することにより水素(H2)と二酸化炭素(CO2)を発生することが知られている。これを利用して、水素を、安全な物質であるギ酸の形で貯蔵し、ギ酸を適宜加熱して水素を発生させることで、安定に水素を供給することができる。ギ酸は天然に豊富に存在し、生物生産も可能であるため、化石燃料を用いない環境調和型の水素源として有効であると言える。しかしながら、ギ酸を単に加熱して熱分解することは、ギ酸の沸点(101℃)や、ギ酸ナトリウムの融点(253℃)以上の高温を要するため、コスト面等で問題がある。従って、温和な条件でギ酸から水素を効率的に発生させることができる触媒の開発が望まれている。



金属錯体を用いたギ酸分解用触媒は種々研究されているが(非特許文献1~4等)、触媒の活性等の点で、特に燃料電池への適用には問題があった。一方、固体触媒であるギ酸分解用触媒の研究は、最近になってギ酸燃料電池の実用化を目的として盛んに行われている。例えば、モバイルコンピュータ用のギ酸燃料電池の市場供給が、BASF系列のTekion社によって2006年に始まった(非特許文献5~6)。しかし、これら固体触媒は、高価な貴金属である白金やパラジウム、またはそれらの合金等を用いるため、コストが高い(例えば、非特許文献7参照)。



本発明者等は、活性が高く、かつ低コストなギ酸分解用触媒を見出すために鋭意研究を重ねた。その結果、イリジウムとルテニウムを含む複核金属錯体が、それまでの触媒よりも高活性で低コストなギ酸分解用触媒として使用できることを見出した(非特許文献8~10)。しかし、さらに高活性かつ低コストな触媒が求められている。



【非特許文献1】
Ford, P. C. et al., J. Am. Chem. Soc. 1977, 99, 252
【非特許文献2】
Otsuka, S. et al., J. Am. Chem. Soc. 1978, 100, 3941
【非特許文献3】
Lau, C. P. et al., Dalton 2003, 3727
【非特許文献4】
Puddephatt, R. J. et al., Dalton 2000, 3212; Chem. Commun. 1998, 2365
【非特許文献5】
[online]、平成18年3月13日、BASF社、[平成18年11月6日検索]、インターネット〈URL:http://www.corporate.basf.com/en/presse/mitteilungen/pm.htm?pmid=2188&id=V00-PCnAH9TaSbcp2Hn〉
【非特許文献6】
[online]、平成18年、Tekion社、[平成18年11月6日検索]、インターネット〈URL:http://www.tekion.com/main.htm〉
【非特許文献7】
Masel, R. I. et al., Fuel Cells 2004, 4, 337
【非特許文献8】
末延 知義、小江 誠司、福住 俊一「イリジウムヒドリド複核錯体の可視光脱プロトン化反応と触媒的水素発生」、SORSTジョイントシンポジウム(5) 誘起導電材料と電子伝達制御 講演要旨集、独立行政法人科学技術振興機構、平成18年5月17日発行、第68ページ
【非特許文献9】
末延 知義、小江 誠司、福住 俊一「イリジウム複核錯体触媒を用いる常温水中高効率水素発生」、第19回配位化合物の光化学討論会 講演要旨集、第19回配位化合物の光化学討論会、平成18年8月2日発行、第29~30ページ
【非特許文献10】
末延 知義、小江 誠司、福住 俊一「イリジウム複核錯体を用いる水中常温ギ酸分解による触媒的水素発生」、第56回錯体化学討論会 講演要旨集、錯体化学会、平成18年9月8日発行、第361ページ

産業上の利用分野


本発明は、ギ酸分解用触媒、ギ酸の分解方法、水素製造方法、ギ酸製造および分解用装置、水素貯蔵および発生方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
下記式(1)で表されるロジウム単核金属錯体、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩を含むギ酸分解用触媒。
【化1】


前記式(1)中、
Rhは、ロジウムの原子またはイオンであり、
Arは、芳香族性を有する配位子であり、置換基を有していても有していなくても良く、置換基を有する場合、前記置換基は1でも複数でも良く、
R1~R5は、それぞれ独立に、水素原子または任意の置換基であり、
Lは、任意の配位子であるか、または存在せず、
mは、正の整数、0、または負の整数である。

【請求項2】
前記式(1)中、
R1~R5が、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、フェニル基、またはシクロペンタジエニル基である、請求項1記載のギ酸分解用触媒。

【請求項3】
前記式(1)中、
R1~R5が全てメチル基である請求項1または2記載のギ酸分解用触媒。

【請求項4】
前記式(1)中、
Lが、水分子、水素原子、アルキコシドイオン、水酸化物イオン、ハロゲン化物イオン、炭酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、ギ酸イオン、酢酸イオン、もしくはヒドリドイオンであるか、または存在しない請求項1から3のいずれか一項に記載のギ酸分解用触媒。

【請求項5】
前記式(1)中、
mが、0、1、2、3、4、5または6である請求項1から4のいずれか一項に記載のギ酸分解用触媒。

【請求項6】
前記式(1)で表されるロジウム単核金属錯体が、下記式(2)で表されるロジウム単核金属錯体である請求項1から5のいずれか一項に記載のギ酸分解用触媒。
【化2】


前記式(2)中、
R6~R13は、それぞれ独立に、水素原子もしくは任意の置換基であり、
または、R9およびR10は、一体となって -CH=CH- を形成しても良く、前記 -CH=CH- におけるHは、それぞれ独立に、任意の置換基で置換されていても良く、
Q6~Q13は、それぞれ独立に、CまたはN+であり、
または、同一のX(Xは、6~13のいずれかの整数)を有するQXとRXのうち少なくとも一つが、一体となってNであっても良く、
Rh、R1~R5、Lおよびmは、前記式(1)と同じである。

【請求項7】
前記式(2)中、
R6~R13が、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、フェニル基、ベンジル基、ニトロ基、ハロゲン基、スルホン酸基(スルホ基)、アミノ基、カルボン酸基(カルボキシ基)、ヒドロキシ基、もしくはアルコキシ基であるか、
または、R9およびR10は、一体となって -CH=CH- を形成しても良く、前記 -CH=CH- におけるHは、それぞれ独立に、アルキル基、フェニル基、ベンジル基、ニトロ基、ハロゲン基、スルホン酸基(スルホ基)、アミノ基、カルボン酸基(カルボキシ基)、ヒドロキシ基、またはアルコキシ基で置換されていても良い、請求項6記載のギ酸分解用触媒。

【請求項8】
前記式(2)中、
R6~R13が全て水素原子である請求項6または7記載のギ酸分解用触媒。

【請求項9】
前記式(2)中、
Q6~Q13が全てC(炭素原子)である請求項6から8のいずれか一項に記載のギ酸分解用触媒。

【請求項10】
前記式(2)で表されるロジウム単核金属錯体が、下記式(3)で表されるロジウム金属錯体である請求項6記載のギ酸分解用触媒。
【化3】


前記式(3)中、
Rh、Lおよびmは、前記式(2)と同じである。

【請求項11】
前記式(3)で表されるロジウム単核金属錯体が、下記式(4)~(6)のいずれかで表されるロジウム単核金属錯体である請求項10記載のギ酸分解用触媒。
【化4】


【化5】


【化6】




【請求項12】
ギ酸の分解方法であって、請求項1から11のいずれか一項に記載のギ酸分解用触媒とギ酸を含む溶液をそのまま静置する工程、前記溶液を加熱する工程、および前記溶液に光照射する工程からなる群から選択される少なくとも一つの工程を含む方法。

【請求項13】
前記溶液が水溶液である請求項12記載の方法。

【請求項14】
請求項12または13記載の方法によりギ酸を分解し、水素(H2)を発生させる工程を含む水素(H2)製造方法。

【請求項15】
ギ酸を分解して水素(H2)および二酸化炭素(CO2)を発生させるギ酸分解部と、水素(H2)および二酸化炭素(CO2)からギ酸を製造するギ酸製造部とを含み、
前記ギ酸分解部は、請求項1から11のいずれか一項に記載のギ酸分解用触媒を含み、
前記ギ酸製造部は、水素(H2)および二酸化炭素(CO2)を反応させてギ酸を製造するギ酸製造用触媒を含む、
ギ酸製造および分解用装置。

【請求項16】
ギ酸製造用触媒により水素(H2)および二酸化炭素(CO2)を反応させてギ酸を製造し、前記水素をギ酸の形態で貯蔵する水素貯蔵工程と、請求項1から11のいずれか一項に記載のギ酸分解用触媒によりギ酸を分解して水素(H2)および二酸化炭素(CO2)を発生させる水素発生工程を含む、水素貯蔵および発生方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2007247549thum.jpg
出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) SORST 平成16年度採択課題
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