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溶融塩中における酸素発生装置および酸素発生方法

国内特許コード P09A014434
整理番号 931
掲載日 2009年5月8日
出願番号 特願2005-276762
公開番号 特開2007-084890
登録番号 特許第4802323号
出願日 平成17年9月22日(2005.9.22)
公開日 平成19年4月5日(2007.4.5)
登録日 平成23年8月19日(2011.8.19)
発明者
  • 萩原 理加
  • 後藤 琢也
  • 荒木 保博
出願人
  • 学校法人京都大学
発明の名称 溶融塩中における酸素発生装置および酸素発生方法
発明の概要

【課題】溶融塩中における酸化物の電解還元プロセスにおいて、二酸化炭素を発生させることがなく、かつ、電極が電解中に消耗することがない酸素発生方法および酸素発生装置を提供する。
【解決手段】電解還元装置20は、陰極1、陽極2、溶融塩3、前記溶融塩3を収容するための反応容器4、および、前記陰極1および前記陽極2に電流を流すための直流電源5とを備え、前記反応容器4内で溶融塩3に含まれる酸化物イオンを酸化して酸素を発生させる酸素発生装置であって、前記陽極2はダイヤモンド電極であることを特徴とする。また酸素発生方法は、陰極1および陽極2が挿入されており、かつ酸化物イオンを含む溶融塩3に対して、前記陰極1および陽極2に電流を流す工程を含み、前記陽極2としてダイヤモンド電極を用いることを特徴とする。当該ダイヤモンド電極上で前記酸化物イオンが電解酸化され酸素が発生する。
【選択図】 図1

従来技術、競合技術の概要


溶融塩は、熱的および化学的に安定した物質であり、電気化学窓が広い、電気伝導性が良い、比較的他の物質を溶解し易いなど、電気化学プロセスの電解質として非常に優れた性質を有している。よって、水溶液系では製造することが困難な金属の製造が可能となるために、溶融塩を用いて金属酸化物から純金属を得るプロセスが提案されている。このとき、従来の技術では溶融塩中で生成する酸化物イオンを除去するために炭素電極を用い、以下の反応式に基づいて電解を行なっている。以下のプロセスでは、炭素電極の消耗に伴って二酸化炭素が発生する。



2-+1/2C→1/2CO2+2e-
上記プロセスの一例としては、アルミニウム(Al)の電解製造が挙げられる。Alの電解製造で現在、主に用いられている方法は、A123を溶融した氷晶石(3NaF-AlF3)中に溶解させ、アノードに炭素電極を用いて電気分解を行なう、「ホール・エルー法」である(例えば、非特許文献1参照)。当該方法は、以下の反応によってAlが製造される。



アノード:O2-+1/2C→1/2CO2+2e-
カソード:Al3++3e-→Al
全反応 :2/3Al3++O2-+1/2C→2/3Al+1/2CO2
また溶融塩は上記金属の製造プロセスのほか、高いFP除染係数(「FP」とは「核分裂生成物」のことをいう)が得られる等の理由により、原子力発電の使用済酸化物燃料の再処理プロセスに利用することが知られている。例えば特許文献1には、上記電解還元プロセスに用いる電解還元装置、および電解還元方法が開示されている。当該電解還元装置は、還元対象である酸化物を保持する陰極と、陽極と、酸化物および陽極が浸される溶融塩と、当該溶融塩を収容する容器と、陰極および陽極に電流を通電して酸化物を還元する直流電源とを備えている。当該電解還元装置における上記陽極は、炭素製の本体と白金製のリードとを有するもの(いわゆる「炭素電極」)である。



上記を始めとする従来の技術では、電解中に炭素電極が消耗されるため、定期的に電極の取替えが必要であり、さらに電極面積が変化するため定電流電解を行なえば電解電圧が変化する等の問題点を有している。また炭素電極の消耗に伴って発生するCO2は地球温暖化の原因となる温室効果ガスであるとされ、その削減が必要とされている。



そこで、上記のごとく電解プロセスにおいて消耗してしまう炭素電極の替わりに、溶融塩中で安定的にO2-(酸化物イオン)をO2へ陽極酸化することができ、電解プロセスにおいて消耗することがない、または消耗が少ない電極(便宜上「不溶性酸素発生電極」という)が望まれている。しかし、当該不溶性酸素発生電極は、いまだ見出されていない。



ところで、従来、酸素発生電極は水の電気分解を小さな過電圧下で行なうために開発されてきた。水の電気分解等の水溶液系では、白金、ルテニウム酸化物、またはイリジウム酸化物などを電極として用いることによって、酸素発生時の過電圧が抑制され、低い電力で酸素発生を行なうことができるようになった。一方、溶融塩系においては、酸化物イオンを含む溶融塩中で白金電極を使用することによって、酸素を発生させることができるということが知られている(非特許文献2参照)。しかし上記白金電極であっても、酸化による電極の顕著な消耗が観察され、また貴金属であるため非常に高価である等の問題点がある。一方、ルテニウム酸化物、またはイリジウム酸化物からなる電極では、溶融塩を用いる系(溶融塩系)において、酸素を発生させることができずに溶解してしまう。よって上記した水溶液系の酸素発生電極は、溶融塩系において溶解することなく、安定的に酸素を発生させることができる電極とはいえない。



公知のダイヤモンド電極は、近年水溶液系での研究が多くなされてきている。しかしダイヤモンド電極は、高い化学的安定性を有しているものの、水溶液系では高い酸素発生過電圧が必要、すなわち酸素発生させるためには高い電圧が必要であり、酸素発生電極として期待されているものではなく、塩素発生など他の応用が期待されている(非特許文献3参照)。一方で、溶融塩は水溶液と異なり高温であるため、酸素に対するダイヤモンド電極の耐久性や、塩化物イオンとの反応が懸念され、これまで溶融塩中での検討がなされていなかった。また、水溶液系の結果から酸素発生用電極として不適当なものと類推されていた。



したがって、溶融塩中で溶解することなく、安定に酸素発生させ得る電極は得られておらず、かかる不溶性酸素発生電極の開発が求められている。

【特許文献1】特開2003-166094号公報(平成15年(2003)6月13日公開)

【非特許文献1】電気化学協会編、「電気化学便覧」、第4版、丸善、1985年1月、p261

【非特許文献2】Y. Kanzaki and M. Takahashi, Electroanalytical Chemistry and Interfacial Electrochem., 58, 339 (1975)

【非特許文献3】S. Ferro, A. De Battisti, I. Duo, Ch. Comninellis, W. Haenni, and A. Perret, J. Electrochem. Soc., 147 (7) 2614-2619 (2000)

産業上の利用分野


本発明は、sp3結合を有する炭素系材料を備える電極(例えば、いわゆるダイヤモンド電極)をアノードとして用い、酸化物イオンの存在する溶融塩中においてアノードの消耗および溶解を伴わずに、アノード上で安定に酸素(好ましくは酸素のみ)を発生させる方法、およびアノードの消耗および溶解を伴わずに、アノード上で安定に酸素(好ましくは酸素のみ)を発生させ得る酸素発生装置に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
陰極と、陽極と、溶融塩と、前記溶融塩を収容するための反応容器と、前記陰極および前記陽極に電流を流すための直流電源とを備え、前記反応容器内で溶融塩に含まれる酸化物イオンを酸化して酸素を発生させる酸素発生装置であって、
前記陽極は、sp3結合を有する炭素系材料を備えるsp3炭素系電極であることを特徴とする、酸素発生装置。

【請求項2】
上記sp3炭素系電極は、不純物がドープされているsp3炭素系材料を備える電極である、請求項1に記載の酸素発生装置。

【請求項3】
上記sp3炭素系材料が、ダイヤモンドである、請求項1または請求項2に記載の酸素発生装置。

【請求項4】
陰極および陽極が挿入されており、かつ酸化物イオンを含む溶融塩に対して、前記陰極および陽極に電流を流す工程を含む、酸素発生方法において、
前記陽極として、sp3結合を有する炭素系材料を備えるsp3炭素系電極を用いることを特徴とする、酸素発生方法。

【請求項5】
上記sp3炭素系電極は、不純物がドープされているsp3炭素系材料を備える電極である、請求項4に記載の酸素発生方法。

【請求項6】
上記sp3炭素系材料が、ダイヤモンドである、請求項4または5に記載の酸素発生方法。

【請求項7】
上記溶融塩に、酸化物イオン供給源を添加する工程をさらに含む、請求項4ないし6のいずれか1項に記載の酸素発生方法。
産業区分
  • 処理操作
  • 無機化合物
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2005276762thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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