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極低温冷凍方法および極低温冷凍システム

国内特許コード P09A014449
整理番号 1360
掲載日 2009年5月8日
出願番号 特願2006-152407
公開番号 特開2007-321050
登録番号 特許第5017640号
出願日 平成18年5月31日(2006.5.31)
公開日 平成19年12月13日(2007.12.13)
登録日 平成24年6月22日(2012.6.22)
発明者
  • 中村 武恒
  • 東川 甲平
出願人
  • 国立大学法人京都大学
発明の名称 極低温冷凍方法および極低温冷凍システム
発明の概要

【課題】熱接触が良く、ドライアウトを回避するのに好適な極低温蓄冷媒体を提供し、さらに、それを用いた簡便かつランニングコストの低い、極低温冷凍方法および極低温冷凍システムを提供する。
【解決手段】被冷却体に接触して冷却する極低温蓄冷媒体であって、固体窒素と、当該固体窒素に対して0.1~50重量%であるネオンとの複合体からなり、当該ネオンの少なくとも一部が、固体または液体の状態で、上記被冷却体と上記固体窒素との間に挿入されていることを特徴とする極低温蓄冷媒体とした。
【選択図】なし

従来技術、競合技術の概要

従来、磁気共鳴断層撮影(MRI)装置や核磁気共鳴(NMR)分析装置等に用いられる超電導体や赤外線望遠鏡における赤外線検出器等、極低温に冷却されて使用されるものが存在する。

例えば、MRI装置等に用いられる超電導体は、従来、低温超電導(Low Tc Superconductor : LTS)線材から構成されており、液体ヘリウムを用いた浸漬冷却方式によって超電導状態とされていた。この液体ヘリウムを用いた浸漬冷却方式は、液体ヘリウムが高価であると共に取扱いに熟練を要するものであり、ランニングコストが非常に高いものであった。

これに対し、近年、液体ヘリウムよりも安価であって取扱いの容易な液体窒素により冷却可能なビスマス系やイットリウム系等の高温超電導(High Tc Superconductor : HTS)線材の開発が精力的に行われており、実用化に近づきつつある。しかし、液体窒素を用いた浸漬冷却方式であっても、依然として簡便性を欠き、ランニングコストの高いものであった。

一方、GM(Gifford-McMahon)冷凍機やパルス管冷凍機に代表される極低温冷凍機の性能が、近年、飛躍的に向上しており、当該極低温冷凍機を用いて超電導体を直接的に伝導冷却する所謂伝導冷却方式が提案されている。この伝導冷却方式によれば、液体ヘリウムや液体窒素を取り扱う必要がなく、電力だけで超電導状態を維持することができるため、非常に簡便でランニングコストの低いシステムとすることができる。さらに、極低温冷凍機を使用すれば、酸化物高温超電導体だけでなくMgB2超電導体の冷却も可能となる。

しかし、伝導冷却方式は、極低温冷凍機による冷却面以外は断熱状態であることから、熱的安定性を欠き、トラブル等で一旦停止したり運転中に超電導体に擾乱が生じたりした際、短時間で温度が上昇してしまい、最悪の場合焼損してしまう場合があった。

そこで、伝導冷却方式において、蓄冷媒体としての固体窒素によって超電導体を包み、熱容量を大きくして、上記の熱的不安定性を改善する方法が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。

この固体窒素を蓄冷媒体とした伝導冷却方式は、熱的不安定性を改善するだけでなく、以下の特長をも有している。
1.高い蓄冷効果によって冷凍機の断続運転が可能となる。
2.窒素は不活性で環境に優しい。
3.超伝導体が、運転中に生じる電磁力によって変形するのを防止し得る。

しかし、固体窒素を蓄冷媒体とする場合、クライオスタット内に窒素ガスを導入・液化するか、若しくは液体窒素を導入した後、固化させて、超電導体を接触しつつ包囲するように固体窒素を形成するのであるが、固化の際、その体積が約6%収縮してしまい、また一般に固体どうしを密着させることは困難であるため、図11Aの概念図に示す如く、超電導体との接触が部分的となって、熱接触が悪いという問題があった。
さらに、運転中に生じた擾乱によって超電導体が発熱すると、固体窒素の超電導体に対する接触部分が昇華し、熱接触が完全に消失する所謂ドライアウトが生じ(図11Bに示す概念図参照)、昇華した窒素ガスによる対流熱伝達のみとなって、冷却特性が極めて悪くなる場合もあった。

そこで、本件出願人は、図12の概念図に示す如く、固体窒素SNに若干量の液体ネオンLNeを導入し、液体ネオンLNeが、固体窒素SNと超電導体2との隙間部分を満たすようにすることで、熱接触を向上すると共にドライアウトを回避する極低温蓄冷媒体Rについて提案した(非特許文献2、3参照)。
【非特許文献1】Y. Iwasa, "A ' Permanent ' HTS Magnet System : Key Design & Operational Issues ", Advances in Superconductivity X [Proc. ISS' 97](Springer-Verlag, Tokyo), 1998-05
【非特許文献2】中村武恒 他3名、「固体窒素含浸高温超電導線材の熱損失と液体ネオンによる特性向上」、電気学会超電導応用電力機器・リニアドライブ合同研究会資料、2004年1月、P55-60
【非特許文献3】T. Nakamura, K. Higashikawa, I. Muta and T. Hoshino “Performance of Conduction-Cooled HTS Tape with the Aid of Solid,Nitrogen-Liquid Neon Mixture” , Physica C, vol. 412-414 (2004),pp. 1221-1224.

産業上の利用分野

本発明は、高温超電導体や高温超電導体を適用した機器、および赤外線望遠鏡における赤外線検出器の冷却に用いる極低温蓄冷媒体、ならびにそれを用いた極低温冷凍方法および極低温冷凍システムに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
被冷却体を冷却する極低温冷凍方法であって、
(A)クライオスタット内に収容された被冷却体に接触する固体窒素を形成するステップと、
(B)前記固体窒素に液体ネオンを浸透させ、その少なくとも一部を前記被冷却体と前記固体窒素との間に挿入するステップと、
(C)前記液体ネオンを固化させて、固体窒素および固体ネオンからなる複合体を形成するステップと、
(D)前記複合体の寒冷のみにより、前記被冷却体を冷却するステップと、
(E)前記ステップ(D)において、前記固体ネオンが液体状態となった後、前記ステップ(C)以降のステップを再度実行するステップと、
を含むことを特徴とする極低温冷凍方法。
【請求項2】
前記ステップ(A)は、
(A1)極低温冷凍機により、前記クライオスタット内を窒素が液体状態を保つ温度まで冷却するステップと、
(A2)窒素が液体状態を保つ温度まで冷却された前記クライオスタット内に、窒素ガスを導入して液化させ、若しくは液体窒素を導入し、前記被冷却体が当該液体窒素によって浸漬されるようにするステップと、
(A3)前記極低温冷凍機により、前記クライオスタット内を前記液体窒素が固化する温度までさらに冷却するステップと、により実行され、
前記ステップ(B)は、
(B1)前記極低温冷凍機により、固体窒素が形成された前記クライオスタット内をネオンが液体状態を保つ温度までさらに冷却するステップと
(B2)ネオンが液体状態を保つ温度まで冷却された前記クライオスタット内に、ネオンガスを少なくともそれが液化するまで導入する、若しくは液体ネオンを導入するステップと、により実行され、
前記ステップ(C)は、
前記極低温冷凍機により、前記クライオスタット内をネオンが固化する温度よりも低い第1の温度までさらに冷却することによって実行され、
前記ステップ(E)は、前記ステップ(D)において、前記クライオスタット内の温度が、ネオンが液化する温度以上の第2の温度まで達したとき、前記ステップ(C)以降のステップを再度実行する、
ようになっていることを特徴とする請求項1に記載の極低温冷凍方法。
【請求項3】
被冷却体を冷却する極低温冷凍システムであって、
前記被冷却体を収容するためのクライオスタットと、
前記被冷却体を冷却するための極低温冷凍機と、
前記クライオスタット内に窒素ガス若しくは液体窒素を導入するための窒素導入手段と、
前記クライオスタット内にネオンガス若しくは液体ネオンを導入するためのネオン導入手段と、
前記クライオスタット内部に関する温度を測定するための温度測定器と、
前記クライオスタット内部に関する圧力を測定するための圧力測定器と、
前記温度測定器が測定した温度ならびに前記圧力測定器が測定した圧力に基づいて、前記極低温冷凍機、前記窒素導入手段および前記ネオン導入手段を制御する制御器と、
を含み、
前記制御器は、
前記クライオスタット内に前記被冷却体が収容された際、前記極低温冷凍機を制御して、前記クライオスタット内を窒素が液体状態を保つ温度まで冷却し、
次いで、窒素導入手段を制御して、当該クライオスタット内に窒素ガスを導入して液化させ、若しくは液体窒素を導入し、前記被冷却体が当該液体窒素によって浸漬されるようにし、
次いで、前記極低温冷凍機を制御して、前記クライオスタット内を前記液体窒素が固化する温度までさらに冷却し、
次いで、前記クライオスタット内をネオンが液体状態を保つ温度まで冷却し、
次いで、ネオン導入手段を制御して、当該クライオスタット内に、ネオンガスを少なくともそれが液化するまで導入し、若しくは液体ネオンを導入し、
次いで、前記極低温冷凍機を制御して、前記クライオスタット内をネオンが固化する温度よりも低い第1の温度までさらに冷却し、
次いで、前記クライオスタット内に関する温度が、ネオンが液化する温度以上の第2の温度まで達したとき、前記極低温冷凍機を制御して、前記クライオスタット内をネオンが固化する温度よりも低い第1の温度まで冷却する、
ように構成されていることを特徴とする極低温冷凍システム。
【請求項4】
前記窒素をアルゴンに置き換え、かつ、前記ネオンを窒素に置き換えたことを特徴とする請求項1または2に記載の極低温冷凍方法。
【請求項5】
前記窒素をアルゴンに置き換え、かつ、前記ネオンを窒素に置き換えたことを特徴とする請求項3に記載の極低温冷凍システム。
【請求項6】
前記被冷却体は超電導体であることを特徴とする請求項1、2または4に記載の極低温冷凍方法。
【請求項7】
前記被冷却体は超電導体であることを特徴とする請求項3または5に記載の極低温冷凍システム。
産業区分
  • その他無機化学
  • 加熱冷却
  • 加熱冷却
  • 電子部品
  • 固体素子
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 権利存続中
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