TOP > 国内特許検索 > フェノールフタレイン誘導体および生体内ポリアミン検出用検査薬

フェノールフタレイン誘導体および生体内ポリアミン検出用検査薬

国内特許コード P09A014458
整理番号 1537
掲載日 2009年5月8日
出願番号 特願2006-289703
公開番号 特開2008-105993
登録番号 特許第5044779号
出願日 平成18年10月25日(2006.10.25)
公開日 平成20年5月8日(2008.5.8)
登録日 平成24年7月27日(2012.7.27)
発明者
  • 椿 一典
  • 谷間 大輔
  • 川端 猛夫
出願人
  • 国立大学法人京都大学
発明の名称 フェノールフタレイン誘導体および生体内ポリアミン検出用検査薬
発明の概要

【課題】スペルミン及びスペルミジンを高感度にかつ特異的に認識するとともに、水溶性にも優れ、呈色応答性のみならず蛍光応答性を有するフェノールフタレイン誘導体及びこれを含有する検査薬を提供する。
【解決手段】下記一般式で示されるフェノールフタレイン誘導体。
【化1】

[式中、R1は、H、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、カルボン酸基またはその誘導体、スルホン酸基またはその誘導体、および四級アンモニウムカチオンからなる群から選ばれる何れか1種であり、R2は、R1、アミノ基、エーテル基、チオエーテル基、OH基、SH基、および芳香族性置換基(ベンゼン環、ヘテロ芳香族5員環またはヘテロ芳香族6員環)からなる群から選ばれる何れか1種である。ただし、R1およびR2が同時にHである場合を除く。]
【選択図】なし

従来技術、競合技術の概要


生体内ポリアミンは、細胞の分化や増殖にかかわっている事が知られている。特に、生体内ポリアミンの一種であるスペルミンおよびスペルミジンは細胞の分化・増殖に深くかかわっている。癌細胞においてはスペルミン・スペルミジン濃度が上昇しており、進行癌に至っては尿中スペルミン・スペルミジン濃度も上昇していることが知られている。それゆえ、尿中スペルミン・スペルミジン濃度は腫瘍マーカーの一つとして利用されている。



また、癌の外科手術に至るケースにおいては切除不完全による再発の可能性が残される。このリスクを最小限にするため、“癌手術の際の術中迅速検査”(癌の外科手術において、切除された組織の一番外側(断端)に癌細胞が残っているか否かを迅速(10分程度)に検査し、その結果を外科医にフィードバックするシステム)が実施され、術中にフローサイトメーターやセルソーターなどの装置を駆使し、病理医、細胞検査士が癌細胞かどうかの判断を下す。しかしながら十人の病理医が十人とも癌細胞と判断する細胞も有れば、判断が分かれる紛らわしい細胞もあるのが現状であり、また複数の病理医をもつ施設も限られている。それゆえ、より感度の高い簡便な染色方法または検査薬の開発は、外科手術の成否を決定する重要な要因となり得る。蛍光色素導入モノクローナル抗体や、様々な染色法がこの迅速検査に用いられているが、スペルミン・スペルミジンを標的にした迅速検査法はまだ無い。



このような状況において、スペルミン・スペルミジンを標的とする迅速で高感度な検査薬を開発できれば、腫瘍マーカーとしての尿中スペルミン・スペルミジン濃度の簡便な定量法として期待できるほか、癌手術の際の迅速検査にも応用されれば、切除不完全による再発可能性を著しく低減できるものと期待される。



スペルミン・スペルミジンの測定方法としては、スペルミン及びスペルミジンに対して基質特異性を有するポリアミン酸化酵素、又はスペルミンのみに対して基質特異性を有するポリアミン酸化酵素を用い、血液より分離精製した赤血球の溶出液に対してこれらの酵素を作用させ、生じた過酸化水素をジフェニルアミン系の発色試薬で定量する赤血球中ポリアミンの測定方法が提案されている(特許文献1)。しかし、これはスペルミン及びスペルミジンを直接測定する方法ではなく、過酸化水素を発生させてこれを測定するという1ステップ介在させた測定手法でしかない。



一方、有機化学の分野において、水素結合やπ‐π相互作用などの共有結合以外の弱い分子間力を巧みに利用して、ゲスト分子を認識する新たな機能をホスト分子に付与する超分子化学・分子認識化学は、近年特に注目されている分野の一つである。この分野における手法の一つとして、ホスト分子内にクラウンエーテル環を導入して、その環構造に適合するゲスト分子を認識させるようにホスト分子の設計が行われている。



他方、フェノールフタレインはpH指示薬として知られ、広く利用されている。本発明者等はこのフェノールフタレインに着目し、フェノールフタレインを基本骨格としてクラウンエーテル環構造を併せ持つ化合物をホスト化合物として用いることによって、特定のゲスト化合物の持つ様々な情報を読み取り、色調の変化として呈色化・可視化することを検討してきた。



例えば、フェノールフタレインの2つのフェノール基のそれぞれにクラウンエーテル環を導入した構造を有するホスト化合物は、その2つのクラウンエーテル環によって、分子の両末端に離れて2つのアミノ基を持つゲスト化合物をその分子鎖の長さによって認識するとともに、そのフェノールフタレイン構造によってこのゲスト化合物を呈色識別することができることを報告している(非特許文献1)。



さらに、本発明者等は、同じ構造を有するホスト化合物が、スペルミジンを含む特定のトリアミンをゲスト化合物として認識し、これらを呈色識別することができることを見出している(非特許文献2)。

【特許文献1】特開2005-348630号公報

【非特許文献1】J.Am.Chem.Soc.1999年、121、3807-3808頁

【非特許文献2】Org.Lett.2001年、3、4067-4069頁

産業上の利用分野


本発明はフェノールフタレイン誘導体およびそれを含有する生体内ポリアミン検出用検査薬に関する。より詳しくは、クラウンエーテル構造を併せ持つフェノールフタレイン誘導体およびそれを含有する生体内のスペルミンおよびスペルミジンを検出するための検査薬に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
下記一般式で示されるフェノールフタレイン誘導体。
【化学式1】


[式中、R1は、H、ハロゲン原子(F、Cl、BrまたはI)で置換された炭素数1~4の直鎖または分岐のアルキル基、ハロゲン原子(F、Cl、BrまたはI)、ニトロ基(NO2)、カルボン酸基(CO2H)またはその誘導体(CO2R、CONH2、CONHRまたはCONR2で表され、Rは炭素数1~4の直鎖または分岐のアルキル基)、スルホン酸基(SO3H)またはその誘導体(SO3R、SO2NH2、SO2NHRまたはSO2NR2で表され、Rは炭素数1~4の直鎖または分岐のアルキル基)、および四級アンモニウムカチオン(N+R3で表され、Rは炭素数1~4の直鎖または分岐のアルキル基)からなる群から選ばれる何れか1種であり、
R2は、R1、アミノ基(NH2、NHRまたはNR2で表され、Rは炭素数1~4の直鎖または分岐のアルキル基)、エーテル基(ORで表され、Rは炭素数1~4の直鎖または分岐のアルキル基)、チオエーテル基(SRで表され、Rは炭素数1~4の直鎖または分岐のアルキル基)、OH基、SH基、および芳香族性置換基(ベンゼン環、ヘテロ芳香族5員環またはヘテロ芳香族6員環)からなる群から選ばれる何れか1種である。ただし、R1およびR2が同時にHである場合を除く。]

【請求項2】
前記R1はHであり、R2はアミノ基(NR2で表され、Rは炭素数1~4の直鎖アルキル基)である請求項1に記載のフェノールフタレイン誘導体。

【請求項3】
前記R2はジメチルアミノ基である請求項2に記載のフェノールフタレイン誘導体。

【請求項4】
前記R1はフッ素化アルキル基(アルキル基は炭素数1~4の直鎖アルキル基)であり、R2はHまたはジメチルアミノ基である請求項1に記載のフェノールフタレイン誘導体。

【請求項5】
前記R1はトリフルオロメチル基であり、R2はHである請求項4に記載のフェノールフタレイン誘導体。

【請求項6】
請求項1~5の何れかに記載のフェノールフタレイン誘導体を含有する、生体内ポリアミンを検出するための検査薬。

【請求項7】
前記生体内ポリアミンがスペルミンおよびスペルミジンの少なくとも1種である請求項6に記載の検査薬。

【請求項8】
前記スペルミンおよびスペルミジンの少なくとも1種を呈色または蛍光によって検出する請求項7に記載の検査薬。
産業区分
  • 有機化合物
  • 薬品
  • 治療衛生
  • 試験、検査
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

23490_04SUM.gif
出願権利状態 権利存続中
ライセンスをご希望の方、特許の内容に興味を持たれた方は、下記までご連絡ください。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close