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ビピリジン修飾ヌクレオシド又はヌクレオチド、及びそれを用いたメチルシトシンの検出法

国内特許コード P09A014461
整理番号 1559
掲載日 2009年5月8日
出願番号 特願2006-316189
公開番号 特開2008-125470
登録番号 特許第5114705号
出願日 平成18年11月22日(2006.11.22)
公開日 平成20年6月5日(2008.6.5)
登録日 平成24年10月26日(2012.10.26)
発明者
  • 岡本 晃充
  • 田井中 一貴
  • 田中 一生
出願人
  • 国立大学法人京都大学
発明の名称 ビピリジン修飾ヌクレオシド又はヌクレオチド、及びそれを用いたメチルシトシンの検出法
発明の概要

【課題】DNA試料中の目的塩基がシトシンかメチルシトシンかを判定するためにビピリジン修飾ヌクレオシド又はヌクレオチドを提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で表されるヌクレオシド又はヌクレオチドを製造し、メチルシトシンの検出に使用する。

[式(1)中、nは0~3の整数、R1は、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、又はアミノ基、Zは、主に4,4'-ビピリジン基が、リンカーを介して結合している核酸塩基を示す。]
【選択図】なし

従来技術、競合技術の概要


エピジェネティクスは、ゲノムを生理的に修飾するDNAメチル化、DNAとタンパク質との複合体であるクロマチン、クロマチンを構成する多くのタンパク質の翻訳後修飾から成立しており、統合的に遺伝子発現を制御している。



クロマチン中のヒストンの修飾については、転写誘導の際に、ヒストン修飾によるクロマチン構造変換が重要な役割を果たす。例えば、ヒストンアセチル化酵素によるアセチル化が引き金となって、クロマチンのリモデリングが誘導され、基本転写因子とRNAポリメラーゼによる転写が開始する。また、ヒストンのメチル化やリン酸化は、転写の制御、サイレンシング、クロマチン凝縮などを引き起こす。



また、多くの真核生物ではゲノム中のCpGジヌクレオチドの60~90%が、シトシン5位炭素原子のメチル化を受けている。メチル化CpGは反復配列を多く含むヘテロクロマチンやトランスポゾンに見られており、ウィルスやトランスポゾンの活性化を抑えていると考えられる。また、CpGのメチル化とヒストン修飾とは、相互に協調している。



例外的に、多くの遺伝子のプロモーター領域にあるCGリッチな領域(CpGアイランド)ではメチル化を受けていない。さらにその例外として、インプリンティングされる遺伝子、女性の不活化X染色体ではCpGアイランドがメチル化されている。また、がん細胞におけるがん抑制遺伝子のプロモーター領域でもCpGアイランドがメチル化されている。従って、シトシンのメチル化は、癌の発生、再発、転移のマーカーとして使用することができ、遺伝子中のシトシンがメチル化されているか否かの簡単な検出方法が求められている。



特許文献1,2は、DNA試料を重亜硫酸塩で処理してメチル化されていないシトシンをウラシルに変化させ、次いで、ウラシルよりメチル化シトシンを優先的に増幅するプライマーを用いてPCRを行い、増幅の有無を検出することによりシトシンがメチル化されていたか否かを判定する方法を教えている。しかし、この方法は、メチルシトシンではなく大多数を占めるシトシンを変化させるため、全てのシトシンの変換効率が判定結果に影響を与え、その分判定精度が低くなる。



また、特許文献3は、5-メチルシトシンと特異的に結合する抗体を1本鎖DNAと接触させ、DNA鎖に結合した抗体量を測定することにより、DNAメチル化率を決定する方法を教えている。しかし、この方法は、抗体の作成や、DNA試料のPCRによる増幅などを行う必要があり、手間がかかる。



また、非特許文献1は、2本鎖DNA試料を過マンガン酸カリウム及びヒドロキシルアミンで酸化し、次いでピペリジン処理することにより、2本鎖DNAにミスマッチが存在するか否かを検出できることを教えている。この方法はヒドロキシルアミンが必須である(図2、3参照)。しかし、この方法はミスマッチの存在を検出できるだけであり、DNA試料中のシトシンとメチルシトシンとを区別することはできない。



また、非特許文献2は、メチルシトシン又はシトシンに特異的な反応を誘導し、その反応の有無を検出することにより、DNA試料中の目的塩基がシトシンであるかメチルシトシンであるかを判定する方法を開示している。そして、非特許文献2では、DNA試料中のメチルシトシン又はシトシンに対する特異的な反応に関しては、目的塩基を有するヌクレオチドを除きそれに隣接する両側の領域と相補的なガイドプローブ(バルジ形成プローブ)又は目的塩基と対応する塩基とだけがミスマッチしているガイドプローブ(ミスマッチ形成プローブ)を使用する方法を教示している。具体的には、非特許文献2は、バルジ形成プローブ又はミスマッチ形成プローブとDNA試料とをハイブリダイズさせることにより、目的塩基を有するヌクレオチドのみが二重らせんから外部に飛び出したバルジ構造又は目的塩基を有するヌクレオチドを含む塩基対が二重らせん中で緩んだ構造を形成させることができ、これによって、目的塩基に対して特異的ば反応を引き起こすことが可能になることを教示している。しかしながら、非特許文献2の方法では、目的塩基以外にメチルシトシンが存在している場合に、それが誤検出される畏れがある。そのため、非特許文献2の方法において誤検出を抑制するためには、エキソヌクレアーゼ等を用いてハイブリダイズ産物の1本鎖部分を除去する処理が不可欠であった。このような理由から、非特許文献2の方法では、操作の簡便化、測定時間の短縮化等の点で更に改善が望まれている。



このような従来技術を背景として、更に簡便で高精度に、チルシトシンとシトシンとを区別する方法を確立して、より有用性が高く実用的なメチルシトシンの検出方法を提供することが望まれていた。

【特許文献1】特表2004-527241号公報

【特許文献2】特表2004-500892号公報

【特許文献3】特表2004-347508号

【非特許文献1】Chinh Bui et al., “Chemical cleavage reactions of DNA on solid support: application in mutation detection”, BMC Chemical Biology,2003,Vol.3

【非特許文献2】Akimitsu Okamoto et al., “Sequence-selective osmium oxidation of DNA: ef.cient distinction between 5-methylcytosine and cytosine”, Organic & Biomolecular Chemistry., 2006, 4, 1638-1640

産業上の利用分野


本発明は、ビピリジン修飾ヌクレオシド又はヌクレオチドに関する。また、本発明は、ビピリジン修飾ヌクレオチドを用いて、DNA試料中の目的塩基がシトシンであるかメチルシトシンであるかを判定するメチルシトシン検出方法に関する。更に、本発明は、当該メチルシトシン検出方法に用いるプローブ、キット、核酸チップ、及びメチルシトシン検出装置に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
一般式(1)で表されるヌクレオシド又はヌクレオチド。
【化学式1】


[式(1)中、nは0~3の整数を示し、
1は、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、又はアミノ基を示し、
Zは、ハロゲン原子、炭素数1~10のアルキル基、カルボキシル基、アミノ基、ジメチルアミノ基、及びカルバモイル基よりなる群から選択される少なくとも1種で置換されていてもよい4,4'-ビピリジン基が、リンカーを介して結合している一般式(2)で表されるプリン塩基
【化学式2】


[式(2)中、X1は、O、NH、CH2、又はSを示し、一般式(2)の基は、aの側が一般式(1)中の五単糖に結合する部位であり、bの側がリンカーと結合する部位である。]を示す。]

【請求項2】
前記リンカーが、以下のいずれかの構造である、請求項1に記載のヌクレオシド又はヌクレオチド。
-(CH2)m1-NH-CO-(CH2)m2- [m1及びm2は同一又は異なって1~20の整数を示す]
-(O-CH2-CH2)l-O- [lは1~100の整数を示す]
-(CH2)k- [kは1~20の整数を示す]

【請求項3】
Zが、メチル基で置換されている4,4'-ビピリジン基が、-(CH2)m1-NH-CO-(CH2)m2-(m1及びm2は請求項2で定義されるものと同じ)をリンカーとして介して結合している一般式(2)で表されるプリン塩基である、請求項1に記載のヌクレオシド又はヌクレオチド。

【請求項4】
以下の一般式(1-a)で表される化合物である、請求項1に記載のヌクレオシド又はヌクレオチド。
【化学式3】


[式中、m1及びm2は、請求項2で定義されるものと同じ。]

【請求項5】
DNA試料中のシトシンのメチル化の有無を検出する方法であって、
検出目的とするシトシン又はメチルシトシンが、バルジ構造又はミスマッチを形成するように、DNA試料と、下記一般式(1-1)で表されるヌクレオチドの残基を含むガイドプローブとをハイブリダイズさせる第1工程、
【化学式4】


[式中、R1及びZは請求項1で定義されるものと同じ。]
第1工程で得られたハイブリダイズ産物に対して、オスミウム酸塩を作用させることにより、バルジ構造又はミスマッチを形成したメチルシトシンと、ガイドプローブに挿入されている一般式(1-1)で表されるヌクレオチド残基中の4,4'-ビピリジン基とをクロスリンクさせる第2工程、及び
前記ガイドプローブとDNA試料とのクロスリンクの有無を検出する第3工程
を含むことを特徴とする、メチルシトシン検出方法。

【請求項6】
前記ガイドプローブが、検出目的とするシトシン又はメチルシトシンとミスマッチを形成してDNA試料とハイブリダイズするものであり、該ガイドプローブにおいて、一般式(1-1)で表されるヌクレオチド残基が、検出目的とするシトシン又はメチルシトシンに対して対合してミスマッチする部位に含まれている、請求項5に記載の検出方法。

【請求項7】
前記ガイドプローブが、検出目的とするシトシン又はメチルシトシンがバルジ構造を形成してDNA試料とハイブリダイズするものであり、該ガイドプローブにおいて、一般式(1-1)で表されるヌクレオチド残基が、検出目的とするシトシン又はメチルシトシンに隣接する塩基に対して対合する部位に含まれている、請求項5に記載の検出方法。

【請求項8】
一般式(1-1)で表されるヌクレオチドの残基が、以下の一般式(1-1-a)で表されるヌクレオチド残基である、請求項5乃至7のいずれかに記載の検出方法。
【化学式5】


[式中、m1及びm2は、請求項2で定義されるものと同じ。]

【請求項9】
ガイドプローブが20~100塩基の長さである、請求項5乃至8のいずれかに記載の検出方法。

【請求項10】
ガイドプローブが固相担体に結合されたものである、請求項5乃至9のいずれかに記載の検出方法。

【請求項11】
DNA試料中のシトシンのメチル化の有無を検出するためのプローブであって、以下の特性を具備している核酸からなるメチルシトシン検出用プローブ:
(1)DNA試料とハイブリダイズできる、
(2)DNA試料の検出目的とするシトシン又はメチルシトシンと対合する塩基はミスマッチする、及び
(3)一般式(1-1)で表されるヌクレオチドの残基を含んでいる。
【化学式6】


[式中、R1及びZは請求項1で定義されるものと同じ。]

【請求項12】
DNA試料中のシトシンのメチル化の有無を検出するためのプローブであって、以下の特性を具備している核酸からなるメチルシトシン検出用プローブ:
(1)DNA試料とハイブリダイズできる、
(2)DNA試料の検出目的とするシトシン又はメチルシトシンと対合するヌクレオチドを欠失している、及び
(3)一般式(1-1)で表されるヌクレオチド残基を含んでいる。
【化学式7】


[式中、R1及びZは請求項1で定義されるものと同じ。]

【請求項13】
請求項11又は12に記載のプローブと、オスミウム酸塩とを備えるメチルシトシン検出用キット。

【請求項14】
請求項11又は12に記載のプローブの1種以上が、基体上に固定された核酸チップ。

【請求項15】
請求項14に記載の核酸チップと、チップ上の発色パターンを検出できる装置とを備えるメチルシトシン検出用装置。
産業区分
  • 微生物工業
  • 有機化合物
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 権利存続中
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