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耐震弾性柱および構造物

国内特許コード P09S000199
整理番号 795
掲載日 2009年5月15日
出願番号 特願2007-504738
登録番号 特許第4769950号
出願日 平成18年2月22日(2006.2.22)
登録日 平成23年7月1日(2011.7.1)
国際出願番号 JP2006303133
国際公開番号 WO2006090723
国際出願日 平成18年2月22日(2006.2.22)
国際公開日 平成18年8月31日(2006.8.31)
優先権データ
  • 特願2005-047321 (2005.2.23) JP
発明者
  • 澤田 純男
出願人
  • 国立大学法人京都大学
発明の名称 耐震弾性柱および構造物
発明の概要

低コストで、橋脚柱等の柱自体に十分な変形能と減衰とを付与することができる耐震弾性柱を実現する。本発明の耐震弾性柱(10)は、複数の柱部材(11a~f)が拘束部(15a,b)により束ねられたものであるから、当該拘束部(15a,b)の拘束力を調整することにより、隣接柱する部材(11a~f)間の摩擦力を制御することができる。これにより、耐震弾性柱(10)に、十分な変形能と減衰と付与することが可能となる。

従来技術、競合技術の概要

1923年関東地震で大きな被害が発生したのを契機に、1924年に改定された市街地建築物法には、水平設計震度0.1の耐震規定が世界に先駆けて盛り込まれた。これは構造物自重の10倍の力を水平方向に載荷した場合でも、弾性域に留まるように強度を与えることを意味する。その後1948年の福井地震を皮切りに、地震動特性が明らかになってくるに従い、設計の際に想定される地震動(設計地震動)が大きくなってきた。


このような設計地震動に対し、1980年頃までは柱断面等を大きくして強度を高めることによって対処してきた。すなわち、柱等を太くしてその断面を大きくすれば、剛性も必然的に大きくなるから、構造物を「硬く、強く」することにより、その耐震性能を高めようとした。しかしながら、このような考え方による対処は、滅多に遭遇しない地震に対して、その対策コストが大きくなりすぎるという問題があるので、1980年代以降は弾塑性設計の考え方が主流となった。


上記弾塑性設計の考え方は、中小地震(レベル1設計地震動)に対しては構造物の変形を弾性域内に留めるものの、大地震(レベル2設計地震動)に対しては構造部材の損傷を許容し、倒壊しないようにすれば良いという考え方である。この考え方に基づいて耐震性能を高めようとする場合、弾性域を超えてから部材が完全に破壊されるまでの塑性域で、十分な靱性を確保することを必要とする。


このため、RC部材では密な帯鉄筋が配置されるようになった。既存の構造物に対しては、鋼板巻き立て工法や、コンクリート充填の鋼製橋脚など、より確実に部材の膨張を拘束する工法によって補強が行われている(例えば、非特許文献1参照)。最近では、小判型断面を持つ橋脚などの拘束が難しい構造物に対して、インターロッキング橋脚などのように帯鉄筋の構成を工夫することにより、円形や正方形断面と同様の拘束効果が発揮されるような方法が開発されている(例えば、非特許文献2参照)。


さらに、軸方向鉄筋の付着を切る(アンボンド)ことにより、塑性域においてもある程度弾性を確保し安定化させる試み等がある(例えば、非特許文献3,4参照)。このような考え方は、現在でも主流である(道路橋示方書同解説耐震設計編(日本道路協会、2002年参照)。


しかしながら、弾塑性設計の考え方によれば、強震時に塑性変形を許容する以上、少なくとも何らかの補修工事が必要となるという問題がある。例えば、1995年兵庫県南部地震においては、多くのRC橋脚柱が倒壊せずとも修復不能となり、この結果、橋脚全体の置換を余儀なくされた。それらの修復不能となった橋脚は、その再建にかなりのコストと時間を要したほか、震災後の迅速な救援活動や物資の流れを阻害したことが指摘されている。


一方で1990年代以降、免震構造や制震構造が開発され、次第に用いられるようになってきている。これは基本的な考え方が「外力に対し剛に抵抗する」から「外力を柔らかく受け容れる」へ移行してきていることを意味する。すなわち、構造物全体の剛性を下げ、かつ減衰を大きくすることによって、加速度応答を低減し、構造物に作用する慣性力を小さくするという考え方である。これを実現するために、建築物では基礎部分に、橋梁では支承部分に、剛性の小さな積層ゴムなどを用い、さらにその中に鉛プラグを入れたり別の減衰デバイスを付加したりする。これらの方法は、構造物に作用する地震力を低減させ、構造物の塑性変形を小さくできる画期的な方法であるが、用いる免震デバイスや減衰デバイスが高価であることが難点である。また、多くの場合、既存の構造形式はそのままにして、一部に特殊デバイスを挿入しているので、構造躯体自体の耐震性能が向上している訳ではない。さらに、最近では、塑性ヒンジが発生する領域にゴムなどのダンパー材を組み込むことで、変形性能とエネルギー吸収能の向上を図ろうという研究も進んでいるが、未だ実用化には至っていない(例えば、非特許文献5参照)。



【非特許文献1】井浦雅司、折野明宏、石澤俊希 著、「コンクリートを部分充填した円形鋼製橋脚の弾塑性挙動に関する研究」、土木学会論文集、No.696/I-58、285頁-298頁、2002年
【非特許文献2】藤倉修一、川島一彦、庄司学、張建東、武村浩志 著、「インターロッキング式帯鉄筋を有するRC橋脚の耐震性」、土木学会論文集、No.640/I-50、71頁-88頁、2000年
【非特許文献3】川島一彦、細入圭介、庄司学、堺淳一 著、「塑性ヒンジ区間で主鉄筋をアンボンドした鉄筋コンクリート橋脚の履歴特性」、土木学会論文集、No.689/I-57、45頁-64頁、2001年
【非特許文献4】家村浩和、高橋良和、曽我部直樹 著、「アンボンド芯材を活用した高耐震性能RC構造の開発」、土木学会論文集、No.710/I-60、283頁-296頁、2002年
【非特許文献5】山岸睦功、川島一彦 著、「免震ゴムビルトイン型RC 橋脚の開発」、土木学会論文集、No.752/I-66、43頁-62頁、2004年

産業上の利用分野

本発明は、例えば、橋梁などの土木構造物や、中層ビルや、木造家屋などのような建築物に用いられる耐震弾性柱およびそれを用いた構造物に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】 複数の部材に分割された柱部と、当該複数に分割された部材を束ねる複数の拘束部とを備え、
前記複数の拘束部により前記複数の部材を束ねる力の大きさが異なっていることを特徴とする耐震弾性柱。
【請求項2】 前記複数の拘束部は、隣接する前記複数の部材を密着させる方向に力を加えるものであることを特徴とする請求項1に記載の耐震弾性柱。
【請求項3】 前記複数の拘束部は、前記複数の部材全てに力を加えるものであることを特徴とする請求項1に記載の耐震弾性柱。
【請求項4】 前記柱部の隣接する部材同士が面で接していることを特徴とする請求項1に記載の耐震弾性柱。
【請求項5】 前記複数の部材の隣接する部材と接する面が、耐震弾性柱の伸張方向の軸と平行な直線を含んでいることを特徴とする請求項4に記載の耐震弾性柱。
【請求項6】 前記複数の拘束部の前記複数の部材を束ねる力は、耐震弾性柱が設置された状態で上方に位置する部分よりも下方に位置する部分のほうが大きいことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の耐震弾性柱。
【請求項7】 請求項1~のいずれか1項に記載の耐震弾性柱を用いていることを特徴とする構造物。
【請求項8】 前記複数の拘束部の前記複数の部材を束ねる力は、加わる曲げモーメントが小さい部分よりも加わる曲げモーメントが大きい部分のほうが、大きいことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の耐震弾性柱。
産業区分
  • 建造物
  • 機構・伝動
  • その他建築
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 権利存続中
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