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無機硫黄化合物加水分解酵素の製造方法 コモンズ 新技術説明会

国内特許コード P09P006779
整理番号 OP359
掲載日 2009年5月29日
出願番号 特願2007-285817
公開番号 特開2009-112204
登録番号 特許第5514399号
出願日 平成19年11月2日(2007.11.2)
公開日 平成21年5月28日(2009.5.28)
登録日 平成26年4月4日(2014.4.4)
発明者
  • 金尾 忠芳
出願人
  • 国立大学法人 岡山大学
発明の名称 無機硫黄化合物加水分解酵素の製造方法 コモンズ 新技術説明会
発明の概要 【課題】本発明は、無機硫黄化合物加水分解酵素の新規製造方法を提供することを課題とする。より詳しくは、遺伝子組換え技術を用いた無機硫黄化合物加水分解酵素の製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】無機硫黄化合物加水分解酵素をコードする遺伝子を組み込んだ宿主細胞を培養液中で培養することにより該無機硫黄化合物加水分解酵素を産生する場合において、宿主細胞を少なくともトリプトン、酵母エキス、グリセロールを含むTerrific Broth培地をpH 7.0~7.4に調整し、さらにグルコースを添加した培養液中で培養することによる。さらには、発現した封入体の組換え目的酵素を可溶化した後、pH 1.5~4.5の溶液でリフォールディングすることによる。
【選択図】図4
従来技術、競合技術の概要



大気汚染や酸性雨の原因となる石油燃料に含まれる硫黄成分は、ほとんど全て除去されるべきである。この点については、各石油会社の企業努力により、基準を下回るサルファフリー(硫黄分が殆ど0)が市場に供給するに至っている。一方で石油中より除かれた脱硫硫黄が大量に余剰するという新たな問題が生じている。これらは、主に中国において農業肥料として廃棄物同然に扱われているのが現状であり、必ずしも有効な解決策となっておらず、廃棄の場の枯渇に伴い深刻化しつつある。すなわち、現状では石油の脱硫に伴い、大量に生成する脱硫余剰硫黄の有効な利用または処理の技術がないことが大きな問題がある。





無機硫黄化合物加水分解酵素の一種であるテトラチオン酸ハイドロラーゼは、好酸性細菌であるAcidithiobacillus属細菌(一部Acidiphilium属細菌を含む)において活性が検出された酵素であり、硫黄化合物をエネルギー源として生育するAcidithiobacillus属細菌に特徴的な酵素として学術的な興味の対象であった。これまでに、本酵素の精製と諸性質の検討について報告がなされてきた(非特許文献1~4)。





硫黄をエネルギー源として生育する鉄硫黄酸化細菌の1種であるAcidithiobacillus ferrooxidans(以下、A. ferrooxidans)より、還元型無機硫黄化合物の1種であるテトラチオン酸を加水分解する酵素(テトラチオン酸ハイドロラーゼ)を精製したものについて、本発明者による報告がある。本酵素は、Acidithiobacillus属細菌からのみ(例外として近年Acidiphilium属に改名された細菌1種を含む)活性の検出が報告されており、本発明者により本酵素をコードする遺伝子が同定され、その情報がDDBJ, Accession No.AB259312に登録されている(非特許文献5)。本遺伝子をAf-tthと表す。本遺伝子は1500bpであり、499アミノ酸からなるタンパク質をコードする。当該遺伝子の配列が明らかになったことにより、A. ferrooxidansや一部の好熱性好酸性始原菌(Archaea)において、全く機能不明であった外膜タンパク質が、Af-tthと相同性を有することが明らかになった。これにより本遺伝子を持つ生物の硫黄代謝などを推定することができ、学術的にも重要な情報を提供できることとなる。





本発明者が同定したAf-tthから推定されたタンパク質の一次構造よりデータベースで類似する構造を持つタンパク質を検索したところ、相当する遺伝子産物の機能は不明で、その殆どが全ゲノム配列解析による推定上の構造遺伝子にコードされたもの、または単なる外膜タンパク質としてのみ認識されていた。





酵素は立体構造を持ち、基質特異性を有する触媒である。このため、酵素により処理する場合は、無機触媒を利用した場合と異なり、高い基質特異性、常温・常圧下で高い触媒能を持つために省エネルギーの化学反応が可能となることなど様々な利点がある。従来、無機硫黄化合物の化学反応において、酵素を用いる試みは全く行われておらず、無機硫黄化合物の酵素を用いた有用物質の生産には結びついていない。無機硫黄化合物の酵素化学は、硫黄酸化細菌のエネルギー代謝として学術的な興味の範囲でのみ研究が行われてきた。





例えば、遺伝子情報が明らかになった場合でも、組換えタンパク質発現系において、活性型タンパク質の大量発現が困難な場合がある。困難な場合の例として、目的タンパク質が、宿主細胞に対して何らかの毒性を有する場合には、そのタンパク質の合成は抑制されて発現量が低下する、あるいは毒性タンパク質を合成した細胞は死滅してしまうために宿主細胞は増殖すらできなくなることが挙げられる。さらに、タンパク質の多くは生成後に折り畳が施され、一定の三次元構造を成して初めて機能を発現するところ、目的タンパク質が発現しても折り畳みがうまく行かずに酵素としての機能を果たさなかったり、封入体を形成してしまう場合もある。このような封入体が一旦形成されると、たとえ可溶化してリフォールディングを行っても、効果的なリフォールディングがなされなければ最終的に得られる活性型タンパク質の量は極めて少量である場合が多い。そこで、封入体の形成を抑制する方法についても、各種検討がなされており、報告されている(非特許文献6、特許文献1)。また、目的タンパク質が可溶性タンパク質として発現しても、宿主の分泌するプロテアーゼによって分解されてしまう場合には、生産量が極めて少なくなる。





通常のLB (Luria-Broth, L-Broth) 栄養培地を用いたAf-tthの組換え大腸菌による誘導発現では、組換えタンパク質は殆ど発現せず、大量発現が困難であった。また、大腸菌で僅かに発現した組換えタンパク質も、活性を持たない封入体を形成するため、本酵素遺伝子を同定する直接的な証拠を得ることは困難であった。従って、テトラチオン酸ハイドロラーゼの大量生産方法については未だ報告がなく、本酵素の実用化には至っていないのが現状である。

【非特許文献1】

ur. J. Biochem. 271, 272-280 (2004)

【非特許文献2】

iosci. Biotechnol. Biochem. 60, 224-227 (1996)

【非特許文献3】

ur. J. Biochem. 243, 678-683 (1997)

【非特許文献4】

icrobiology 143, 499-504 (1997)

【非特許文献5】

NA Data Bank of Japan, Accession No.AB259312

【非特許文献6】

ene 67, 31-40 (1998)

【特許文献1】

開2005-269936号公報

産業上の利用分野



本発明は、無機硫黄化合物加水分解酵素の製造方法および前記製造方法により得られた酵素の利用方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
Acidithiobacillus属細菌由来のテトラチオン酸ハイドロラーゼをコードするDNAであって、以下に示す1)~5)のいずれかのDNAを組み込んだ大腸菌を培養液中で培養することにより該テトラチオン酸ハイドロラーゼを発現させ、製造する場合において、前記大腸菌を、トリプトン、酵母エキス、グリセロールを含むTerrific Broth培地をpH 7.0~7.4に調整し、さらにグルコースを添加した培養液中で培養し、発現したテトラチオン酸ハイドロラーゼが封入体の場合に、該封入体を、塩酸グアニジンを含む溶液で可溶化した後、pH 1.5~4.5の緩衝液で処理することにより発現したテトラチオン酸ハイドロラーゼをリフォールディングさせる事を特徴とする、テトラチオン酸ハイドロラーゼの製造方法
1)配列表の配列番号1で示される塩基配列からなるDNA;
2)配列表の配列番号1で示される塩基配列のうち、1~複数個の塩基が置換、欠失、挿入または付加からなる変異された塩基配列を含み、テトラチオン酸ハイドロラーゼをコードする塩基配列からなるDNA;
3)前記1)または2)に記載のDNAの相補鎖からなるDNA;
4)前記1)または2)に記載のDNAとストリンジェントな条件下でハイブリッド形成するDNA;
5)前記1)または2)に記載のDNAとはストリンジェントな条件下でハイブリッド形成しないが、遺伝子コドン縮重のため、配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする塩基配列からなるDNA。

【請求項2】
Terrific Broth培地に添加するグルコース濃度が、20~60 mMである、請求項1に記載の製造方法。

【請求項3】
封入体を、塩酸グアニジンを含む溶液で可溶化した後に処理する緩衝液が、0.1~0.5 Mの硫酸アンモニウムを含むpH 1.5~4.5の緩衝液である請求項1または2に記載の製造方法。

【請求項4】
封入体を、塩酸グアニジンを含む溶液で可溶化した後に行う処理が、透析処理である請求項1~3の何れかに記載の製造方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2007285817thum.jpg
出願権利状態 登録
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