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自閉症の診断薬 コモンズ

国内特許コード P09A014540
整理番号 602
掲載日 2009年6月12日
出願番号 特願2006-204155
公開番号 特開2008-032447
登録番号 特許第4834835号
出願日 平成18年7月27日(2006.7.27)
公開日 平成20年2月14日(2008.2.14)
登録日 平成23年10月7日(2011.10.7)
発明者
  • 森 則夫
  • 岩田 泰秀
  • 中村 和彦
  • 杉原 玄一
  • 橋本 謙二
  • 辻井 正次
出願人
  • 国立大学法人浜松医科大学
発明の名称 自閉症の診断薬 コモンズ
発明の概要

【課題】自閉症の早期、簡便かつ信頼性のある診断手段を提供する。
【解決手段】トランスフォーミング成長因子ベータ1(TGFβ1)、肝細胞増殖因子(HGF)又は上皮成長因子(EGF)のいずれか、あるいはこれらの内の2以上を主成分とする自閉症診断薬。この自閉症診断薬を用いて、ヒト血液試料中のTGFβ1、HGF又はEGFのいずれか、あるいはこれらの内の2以上の濃度を測定する自閉症検定方法。
【選択図】図1

従来技術、競合技術の概要


自閉症はアメリカのカナー博士により1943年に“情緒接触の自閉的障害”として最初に記載された障害である。発症は人生の極めて早期であり、主要症状として周囲からの極端な孤立と自閉化、特異な言語症状、強迫的な同一性保持が指摘されている。自閉症は、人生の早い時期に障害が現れ、発達の過程によって状態が変わっていく発達障害であり、未だ特定できない高次の中枢神経系の障害であると推測されている。



一方、高機能自閉症とは、3歳位までに現れ、他人との社会的関係の形成の困難さ、言葉の発達の遅れ、興味や関心が狭く特定のものにこだわることを特徴とする行動の障害である自閉症のうち、知的発達の遅れを伴わないものをいう。自閉症の罹病率は、子供1万人あたり7~16人であり、高機能自閉症は自閉症のおおよそ11~34%であると報告されている(非特許文献1)。高機能自閉症の原因は現在のところ明らかでないが、脳の機能障害および発達障害を基盤とする生物学的要因と、発達段階における環境からの心理学的要因とが複雑に絡み合っているものと推測されている。




【非特許文献1】マッキントッシュ,KEら著、 Annotation:The similarities and differences between autistic disorderand Asperger's disorder: a review of the empirical evidence.Journal of Child Psychology and Psychiatry. (2004) 45: 421-434. 自閉症の診断は、米国精神医学会の診断基準(DSM-IV)、世界保健機構WHOのICD-10、ADI-R(Autism Diagnostic Interview-Revised )を用いた面接で行なわれている。自閉症では出生後早期に頭囲の拡大がみとめられており、この時期の神経細胞やグリアの新生の増加もしくは細胞死の減少が存在していると考えられる。さらに、この過程には神経成長因子が関与していることが強く示唆されている(非特許文献2)。また、自閉症の病態の特殊性から、早期診断、早期治療、社会復帰活動、予防といった包括的な治療体系の確立が望まれているが、自閉症の生物学的マ-カ-は未だ確立されていない。




【非特許文献2】マッカフェリー,Pら著、 Macrocephaly and the control of brain growth in autistic disorders.Progress in Neurobioligy (2005) 77: 38-56. ところで、トランスフォーミング成長因子ベータ1( Transforming Growth Factor β1 :以下、「TGFβ1」とも呼ぶ) は発達や組織修復に関与する多機能性を持つ調節サイトカインのサブタイプの一つである。TGFβは脳内ではグリアと神経細胞にて産生され、TGFβ1は主に傷害修復に関係するサイトカインと考えられているが、神経系における調節因子としても重要な役割を担っている(非特許文献3)。TGFβ1とその受容体は発達段階の神経系に発現していることから、脳の発達に関与していることが示唆されており(非特許文献4)、TGFβ1ノックアウトマウスにおいて広範な細胞死を伴う重篤な皮質の発達障害が認められる(非特許文献5)。これらから、脳発達におけるTGFβ1の役割を考えると、自閉症患者の病態生理との関連が考えられる。




【非特許文献3】ゴメス,FCら著、 Emerging roles for TGF-betal in nervous system development.Int J Dev Neurosci (2005) 23: 413-424.

【非特許文献4】ボートナー,Mら著、 The transforming growth factor-betas: structure, signaling, and rolesin nervous system development and functions.J Neurochem (2000) 75: 2227-2240.

【非特許文献5】ブリオンネ,TCら著、 Loss of TGF-betal leads to increased neuronal cell death andmicrogliosis in mouse brain.Neuron (2003) 40: 1133-1145. 次に、肝細胞増殖因子(Hepatocyte Growth Factor:以下、「HGF」とも呼ぶ)は、肝蔵のみならず腎臓、肺、心血管系そして神経系などに存在し、臓器の再生、保護の役割を担っている。またHGFはげっ歯類において、終脳における腹側から背側への介在ニューロンの移動促進(非特許文献6)や、顆粒細胞の増殖分化の制御(非特許文献7)など胎生期の神経細胞発達に関与している(非特許文献8)。更に、HGFは新生児期の大脳皮質錐体細胞樹状突起の形成を制御し、神経細胞の発達に不可欠であることがわかっている(非特許文献9)。これらの脳の発達におけるHGFの役割を考慮すると、自閉症患者の病態生理にHGFが関与していることが考えられる(非特許文献10)。近年、自閉症患者の脳脊髄液中のHGFが健常群に比べて顕著に高値であると報告されたことから(非特許文献11)、末梢血中HGF濃度の異常が推定されるが,これまでのところ報告はない。




【非特許文献6】パウエル,EMら著、 Hepatocyte growth factor/scatter factor is a motogen for interneuronsmigrating from the ventral to dorsal telencephalon.Neuron (2001) 30: 79-89.

【非特許文献7】アイエラキ,Aら著、Viable hypomorphic signaling mutant of the Met receptor reveals a rolefor hepatocyte growth factor in postnatal cerebellar development.Proc Natl Acad Sci USA (2002) 99: 15200-15205.

【非特許文献8】マイナ,Fら著、 Hepatocyte growth factor, a versatile signal for developing neurons.Nature Neurosci (1999) 2: 213-217.

【非特許文献9】グティーレッツ,Hら著、 HGF regulates the development of cortical pyramidaldendrites.Development (2004) 131: 3717-3726.

【非特許文献10】レビット,Pら著、Regulation of neocortical interneuron development and the implicationsfor neurodevelopmental disorders.Trends Neurosci (2004) 27: 400-406.

【非特許文献11】ヴァーガス,DLら著、 Neuroglial activation and neuroinflammation in the brain of patientswith autism.Ann Neurol (2005) 57: 67-81. 更に、上皮成長因子( Epidermal Growth Factor:以下「EGF」とも呼ぶ)とその関連因子は、EGFレセプターに結合し、繊維芽細胞や上皮細胞の増殖を促進させる働きがあり、増殖、分化、血管新生、アポトーシスの抑制において重要な役割を果たしている。また、EGFは成人脳の神経細胞や星状細胞にその存在が確認され、脳神経におけるEGFの役割を考慮すると自閉症患者の病態生理にEGFが関与していることが考えられる(非特許文献12)。さらに血液中に投与された放射性標識されたEGFは脳血流関門を急速に通過することから、末梢血中のEGF濃度は脳内EGF濃度を反映していると考えられる(非特許文献13)。




【非特許文献12】フェラー,Iら著、 Transforming growth factor-alpha (TGF-) and epidermal growth factor-receptor(EGF-R) immunoreactivity in normal and pathologic brain.Prog Neurobiol (1996) 49: 99-123.

【非特許文献13】パン,Wら著、 Entry of EGF into brain is rapid and saturable.Peptides (1999) 20: 1091-1098.

産業上の利用分野


本発明は自閉症の診断薬に関する。さらに詳しくは本発明は、自閉症診断の指標として有効であることが新規に見出された生体タンパク質に対する抗体を主成分とする自閉症の診断薬の発明と、これに関連する発明に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
抗トランスフォーミング成長因子ベータ1抗体を主成分とする自閉症診断薬。

【請求項2】
前記自閉症診断薬が、ヒト血液試料中のトランスフォーミング成長因子ベータ1(TGFβ1)濃度を測定するために使用されるものである請求項1に記載の自閉症診断薬。

【請求項3】
前記抗トランスフォーミング成長因子ベータ1抗体が、未標識の抗トランスフォーミング成長因子ベータ1抗体、及び/又は、標識化抗トランスフォーミング成長因子ベータ1抗体からなる請求項1又は請求項2に記載の自閉症診断薬。

【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれかに記載の自閉症診断薬を含んで構成される自閉症診断キット。

【請求項5】
請求項1~請求項3のいずれかに記載の自閉症診断薬、又は請求項4に記載の自閉症診断キットを用いて、ヒト血液試料中のトランスフォーミング成長因子ベータ1濃度を測定する自閉症検定方法。

【請求項6】
請求項1~請求項3のいずれかに記載の自閉症診断薬、又は請求項4に記載の自閉症診断キットを用いて、自閉症の治療薬の効果を検定する検定方法。

【請求項7】
前記自閉症診断薬が、抗肝細胞増殖因子抗体及び/又は抗上皮成長因子抗体を含有する請求項1~請求項3のいずれかに記載の自閉症診断薬。

【請求項8】
前記自閉症診断薬が、ヒト血液試料中のトランスフォーミング成長因子ベータ1濃度と、肝細胞増殖因子(HGF)濃度及び/又は上皮成長因子(EGF)濃度とを測定するために使用されるものである請求項7に記載の自閉症診断薬。

【請求項9】
前記抗肝細胞増殖因子抗体が、未標識の抗肝細胞増殖因子抗体、及び/又は、標識化抗肝細胞増殖因子抗体からなる請求項7又は請求項8に記載の自閉症診断薬。

【請求項10】
前記抗上皮成長因子抗体が、未標識の抗上皮成長因子抗体、及び/又は、標識化抗上皮成長因子抗体からなる請求項7又は請求項8に記載の自閉症診断薬。

【請求項11】
請求項7~請求項10のいずれかに記載の自閉症診断薬を含んで構成される自閉症診断キット。

【請求項12】
請求項1~請求項3のいずれかに記載の自閉症診断薬と、抗肝細胞増殖因子抗体を主成分とする剤及び/又は抗上皮成長因子抗体を主成分とする剤とを含んでなる自閉症診断キット。

【請求項13】
請求項7~10のいずれかに記載の自閉症診断薬、又は請求項11若しくは請求項12に記載の自閉症診断キットを用いて、ヒト血液試料中のトランスフォーミング成長因子ベータ1濃度と、肝細胞増殖因子濃度及び/又は上皮成長因子濃度とを測定する自閉症検定方法。

【請求項14】
請求項7~10のいずれかに記載の自閉症診断薬、又は請求項11若しくは請求項12に記載の自閉症診断キットを用いて、自閉症の治療薬の効果を検定する検定方法。
産業区分
  • 治療衛生
  • 薬品
  • 試験、検査
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 権利存続中
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