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高導電性炭素繊維の製造方法、送電用フィラメントの製造方法及び送電用ケーブルの製造方法 コモンズ 新技術説明会

国内特許コード P09P006110
整理番号 K029P15
掲載日 2009年8月14日
出願番号 特願2008-021638
公開番号 特開2009-179915
登録番号 特許第5312813号
出願日 平成20年1月31日(2008.1.31)
公開日 平成21年8月13日(2009.8.13)
登録日 平成25年7月12日(2013.7.12)
発明者
  • 藤田 淳一
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 高導電性炭素繊維の製造方法、送電用フィラメントの製造方法及び送電用ケーブルの製造方法 コモンズ 新技術説明会
発明の概要 【課題】低抵抗であり、かつ電力輸送用途にも使用可能な長尺の高導電性炭素繊維を提供する。
【解決手段】高温の液体Ga中にグラファイトを含有する炭素繊維を浸漬すると、炭素繊維の表面で分断していたグラファイト結晶に対するグラファイト化反応が進行し、グラフェン同士の接合が実現する。この場合、炭素繊維の表面ですべてのグラフェンが多層カーボンナノチューブのように規則正しく配列することはないが、C面同士の接合が増えることで繊維自体の電気伝導性は格段に改善する。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要


従来、炭素繊維の製造方法として、ポリアクリトニトリル(PAN)やコールタールを原料として不活性雰囲気中で1000~1500℃の炭化処理を行うことにより高強度の炭素質繊維が得られることが知られている。また、2500~3000℃の黒鉛化処理を行うことにより、強度は若干損なわれるが、弾性率の高い黒鉛質繊維が得られることが知られている。



このようにして得られた炭素繊維は、炭素6員環からなる平面結晶(グラフェン)またはグラフェンが層状に重なったグラファイトを含有している。これらのグラフェンは繊維軸に対して配向する傾向を示すが、空洞、空孔、転位、粒界、および不純物原子を含み、不規則である。



グラファイト結晶は、結晶軸方向に依存して強い電気伝導異方性をもつ。グラフェンの面内抵抗は銅の10分の1以下の低抵抗であるが、C軸方向はファン・デア・ワールス結合により非常に電気伝導性が低く、熱伝導率も低い。炭素繊維は、このグラフェンまたはグラファイト結晶が絡み合いつつファイバー構造を形成しているが、個々のグラフェン同士は相互に分断された状態にあるため、その電気伝導はグラファイトのC軸方向の電気伝導に支配され、一般に抵抗が高くなる。



このように、炭素繊維はグラファイトのランダムな集合体であるために電気伝導性に問題があり、そのため電力輸送などを目的としたパワーラインに用いることができなかった。



一方、グラファイトの良好な異方的電気伝導や異方的熱伝導はその炭素6員環に起因しているが、このグラフェンをナノスケールの直径でチューブ状に丸めたものがカーボンナノチューブである。そのため、グラフェンの丸め方(カイラリティ)に依存して金属特性と半導体特性が発現する特異的な電気伝導特性や、ダイヤモンド並のヤング率などの機械的特性は将来多くの応用が予測される。



従来のカーボンナノチューブの合成技術として、非特許文献1には、シート状にカーボンナノチューブを成長させるスーパーグロース法で長さ数ミリ程度のものが得られることが報告されている。また、非特許文献2には、単層カーボンナノチューブを撚り合わせた20センチメートル程度のローブが得られることが報告されている。



しかし、これらの従来の合成技術では、チューブ状やホーン状の形状を持った材料としてある程度選択的に大量に合成することは可能であるものの、実用的な観点からは必ずしも十分満足できる程度に至っていないのが現状である。



また、上記の気相成長による合成技術の他、カーボンナノチューブを固相で成長させる技術も報告されており、SiCを母材とした原料ガスを用いない触媒成長方法が知られている(非特許文献3)。この方法では、母材であるSiCが触媒により分解しながらSiが蒸発し、残ったカーボンがグラファイトとして成長していく。



しかし、この方法では任意の太さのチューブ形状のグラファイト(広義のナノチューブ)を成長させることができる一方で、任意の形状および構造を持つグラファイトを合成することはできない。



一方、非特許文献4には、収束イオンビームや電子線による分解生成反応を用いた3次元構造体成長技術が報告されている。この方法では、炭化水素系のガス、たとえばピレンやフェナントレンなどをガス化して、局部的にビーム照射位置に吹き付ける。基板の表面に吸着したガス分子は電子やイオンビームの照射位置から放出される2次電子によって分解され、分解生成物がアモルファスカーボンの構造体として成長する。



このような電子励起反応を用いることで、ワイングラスやナノコイル、ナノドリルといったナノスケールの3次元アモルファスカーボン構造体が合成可能であることが報告されている。



また、非特許文献5に報告されているように、ビーム応用技術で形成したアモルファスのナノ3次元構造は、鉄などの触媒を用いて700℃程度の低温熱処理を行うことで、3次元構造体の形状を保持したままグラファイト結晶化して構造的、化学的に安定化することも可能であるが、ここで得られるグラファイトは基本的に多結晶グラファイトである。



さらにグラファイト固相反応について、非特許文献6、7には、650℃程度に加熱されたアモルファスカーボン中を鉄微粒子が動いていく過程で、固相反応の結果としてナノチューブが生成されることが報告されている。



鉄を含有するアモルファスカーボンピラーを真空中でアニールすると、ピラー内部で鉄微粒子が凝集し、アモルファスカーボン中を動き回る。約600℃弱程度でこのような鉄微粒子の凝集プロセスが始まり、鉄微粒子の動きとともに粒子サイズが大きく成長していく。この過程において既に、アモルファスカーボンの母材部分は徐々にグラファイト化が進行していく。その際に、側壁に生えている極細のナノピラーの中に鉄微粒子が偶々潜り込んだ瞬間がリアルタイムのTEM画像で捉えられている。鉄微粒子は、その動く方向を頭部とすると、頭部でアモルファスカーボンを喰い、テール部分ではグラファイトチューブが形成されている。



カーボンナノチューブの合成には、鉄などの遷移金属触媒を用いた気相成長が主に用いられるが、液体金属を用いた触媒反応によっても形成することが可能である。瞬間放電に伴うGaの触媒作用でナノチューブが固相成長する新しい成長様式が報告されている(非特許文献8)。一般に集束イオンビーム装置ではGaがイオン源として用いられる。そのためFIBを用いて作製されたアモルファスカーボンピラーは内部にGaを含有している。そしてこのピラーに瞬間的に電流を流すことで、Gaの瞬間的な動きが観測され、同時にピラー内部にグラファイトチューブ構造が形成される。as-grownのFIV-CVFピラーの電気伝導性は、強い非線形性を持ちホッピング伝導的特性を示す。



そのため、ある一定電圧以上の電位を与えると突然電流が流れるようになり、その際に瞬間的な固相反応が誘発される。ピラー内部でGa粒子が移動した跡には、ピラーの内側にチューブ状グラファイト層からなるチューブ状の構造が形成され、電子顕微鏡像より多層のグラファイトチューブであることが判明している。一方で、ピラーの外層はアモルファスカーボンで覆われたままである。
【非特許文献1】
サイエンス誌 2004年 Vol.306 1362-1364頁
【非特許文献2】
サイエンス誌 2002年 Vol.296 884-886頁
【非特許文献3】
ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス誌1998年 Vol.37 L605-L606頁
【非特許文献4】
松井・藤田ら ジャーナル・オブ・バキューム・サイエンス・アンド・テクノロジー誌 2000年 VOL.6 3181-3184頁
【非特許文献5】
藤田・松井ら ジャーナル・オブ・バキューム・サイエンス・アンド・テクノロジー誌 2002年 VOL.20 2686-2689頁
【非特許文献6】
ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・アプライド・フジックス誌 2004年 VOL.43 3799-3802頁
【非特許文献7】
フィジカル・レビュー・レター誌 2004年 VOL.92 21572頁
【非特許文献8】
アプライド・フィジックス・レター誌 2006年 Vol.88 093109-093111頁

産業上の利用分野


本発明は、高導電性炭素繊維の製造方法、送電用フィラメントの製造方法及び送電用ケーブルの製造方法に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
原料の炭素繊維を600~1500℃の液体Ga中に連続的に供給して浸漬する工程を含むことを特徴とする高導電性炭素繊維の製造方法。

【請求項2】
原料の炭素繊維は、アモルファスカーボンを含有することを特徴とする請求項1に記載の高導電性炭素繊維の製造方法。

【請求項3】
原料の炭素繊維を液体Ga中に浸漬する前に、当該炭素繊維を圧延することを特徴とする請求項1または2に記載の高導電性炭素繊維の製造方法。

【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の方法により製造された高導電性炭素繊維をシースに埋抱する工程を含むことを特徴とする送電用フィラメントの製造方法。

【請求項5】
高導電性炭素繊維をシースに埋抱した後、線引き処理する工程を含むことを特徴とする請求項4に記載の送電用フィラメントの製造方法。

【請求項6】
請求項4または5に記載の方法により製造された送電用フィラメントを束ねて送電用ケーブルとする工程を含むことを特徴とする送電用ケーブルの製造方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2008021638thum.jpg
出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) さきがけ ナノ製造技術の探索と展開 領域
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