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アルギニンとクーマリン色素から合成した蛍光性化合物 新技術説明会

国内特許コード P09A014597
掲載日 2009年8月28日
出願番号 特願2008-022812
公開番号 特開2009-179623
登録番号 特許第5294299号
出願日 平成20年2月1日(2008.2.1)
公開日 平成21年8月13日(2009.8.13)
登録日 平成25年6月21日(2013.6.21)
発明者
  • 辻内 裕
出願人
  • 国立大学法人秋田大学
発明の名称 アルギニンとクーマリン色素から合成した蛍光性化合物 新技術説明会
発明の概要

【課題】本発明は、単純クーマリン等のクーマリン色素を原材料とし、太陽エネルギーの効果的な利用のための材料となる光吸収帯が紫外~可視に広がった新規物質、メモリーなどの波長制御を可能とする主要な吸収ピークが明瞭に分離したスペクトル特性を有する新規物質、紫外領域から可視領域に近い紫外線励起による可視発光特性を有する新規物質を得る。
【解決手段】本発明は、得られる新規物質アルギニルクーマリンにアルミニウムを添加することによって、紫外線による励起によって、可視領域の波長470~490nm近傍の光を発光する特性を得るものであり、また、蛍光性色素クーマリン類またはその化合物に、アルミニウムを含む元素を添加して生成する錯体が紫外励起によって波長470~490nm近傍に発光を得るものである。
【選択図】図6

従来技術、競合技術の概要


4-ヒドロキシクーマリン(ここでは単に4Cと略記場合あり)とは化1のような構造になっている単純ク-マリン化合物の一種である。



【化学式1】


常温では淡黄色もしくは淡茶色の結晶性粉末である。今日では、天然物また合成物として1,000 種類以上のクーマリン化合物が見出されている。中でも4-ヒドロキシクーマリンは、現在、誘導体のワーファリンが血液の抗凝固剤や殺鼠剤として用いられているように、構造が単純なため、多様な物質合成の可能性を持っている。単純クーマリンにはまた、化2に示すような、7-ヒドロキシ-4-メチルクーマリン(ここでは単に7Cと略記場合あり)なども存在する。



【化学式2】


クーマリンは、従来より香料などに応用されたり医学目的に使用されたりしてきたが、最近ではクーマリンの光吸収と発光特性を利用した有機色素レーザー材料などへの応用も多く試みられるようになってきた。また、近年、太陽エネルギー利用の新形態として注目されている色素増感太陽電池の増感剤となる効果的な物質がクーマリンの誘導体として実現された例も出てきているなど光エネルギー利用材料物質として工業的利用の可能性が広がりつつある。



一方、アルギニンは、化3のような構造になっている塩基性アミノ酸の一種である。



【化学式3】



アルギニンは、側鎖RがCH2CH2CH2NH(=NH)NH2であるα-アミノ酸で、荷電極性側鎖アミノ酸であり、塩基性アミノ酸である(蛋白質を構成するアミノ酸としては最も塩基性が高い)。側鎖Rの構造は通常のポリペプチドとは異なる高分子化合物を形成する材料となることを意味している。すなわち主鎖ではなく、側鎖のアミノ基を介して高分子化するポリアルギニン等の高分子材料となることを意味している。ポリアミノ酸にはまた、側鎖のカルボキシル基を介して高分子化するグルタミン酸など多様に存在し、食品、医薬品以外の材料系の応用例としては、生分解性プラスチックスや酵素硬化ハイドロゲル、インジェクション可能な生体材料として、細胞足場材料、DDSマトリックス、生医学用止血剤・接着剤等様々である。



本発明で化学合成に用いるマイクロ波とは、波長0.3mm~30cm、周波数1GHz~1THzの電磁波を指し、マイクロ波の振動電場および振動磁場が物質中の永久・誘起双極子あるいは電荷と相互作用することにより、分子レベルで熱を発生し、物質を直接加熱する。化学反応系に利用した場合、迅速に、熱伝導および対流によらない均一な直接加熱、マイクロ波と相互作用をする物質のみの選択的加熱、パルス、連続照射による加熱モードの精密制御、といったことが可能である。また、反応器壁や物質移動の影響のない、また熱伝導の良否にかかわらない加熱が可能であり、外部熱源からの加熱では得られない精密な反応制御プロセスが構成できるものである。



4-ヒドロキシクーマリンは、図1の線分(b)に示すような光吸収スペクトルを有する。この光吸収特性は紫外部における光吸収が大きく太陽エネルギーの紫外線領域の光吸収には向いているが、可視領域における光吸収帯は少ない。主要な吸収ピークは二つ有りその波長帯は接近しているため、このままでは波長制御を要するメモリー等の利用には不向きである。7-ヒドロキシ-4-メチルクーマリンの場合は、図1の線分(a)に示すような光吸収スペクトルを有する。この光吸収特性は紫外線領域の光吸収には向いていて、4-ヒドロキシクーマリンよりも少し長波長側に光吸収帯があるが可視領域における光吸収帯はやはり少ない。主要な吸収ピークは密集しているため、このままでは波長制御を要するメモリー等の利用には不向きである。



したがって、太陽エネルギーの効果的な利用のための材料とするには光吸収帯が紫外~可視に広領域にあることが、メモリーなどの波長制御を要する材料とするには主要な吸収ピークが明瞭に分離したスペクトル特性を有する物質であることがそれぞれ必要である。



また、レーザー材料等の光放射を利用する材料としては、蛍光スペクトルにおける励起発光ピークの制御が重要となる。より高エネルギーの放射エネルギーをもたらす材料とするにはより短波長にピークのある蛍光スペクトルすなわち励起発光スペクトルを有する物質であることが求められる。



前記蛍光とは、X線や紫外線、可視光線が照射されてそのエネルギーを吸収することで電子が励起し、それが基底状態に戻る際に余分なエネルギーを電磁波として放出するものをさす。



前記発光とは、物質や物体が光を発すること。通常は可視光を発することを言うが、それ以外の領域の光(電磁波)に対しても発光(紫外発光、赤外発光など)と言う場合がある。



蛍光と発光の相違点は、その包含関係にあり、より広い範囲を「発光」が表し、物質が原子や分子の単位で外界から電磁波エネルギーを吸収して励起状態(高エネルギー状態で、建物に例えると1階から3階に上がることになぞらえる)になり、励起状態(例えば、3階になぞらえる)から下の階に下がる(例えば2階になぞらえる)ときにエネルギーを電磁波として放出するとき、「蛍光」と定義される。物質は最終的には基底状態(1階になぞらえる)に下がり元に戻る。外界から、電磁波エネルギーが入ってくる限り、この変化が続く。電磁波エネルギーが途絶えると、蛍光発光は寿命が短いので光らなくなる。



近年のマイクロ波によるクーマリンの誘導体合成の方法には、Stoyanovらが試みた、4-ヒドロキシクーマリンとアミン類の混合系へのマイクロ波照射と化学合成の例がある(非特許文献1を参照)。これは4-ヒドロキシクーマリンと第一級アミン類、第二級アミン類を混合しマイクロ波合成を試みたもので、4-ヒドロキシクーマリン分子の4位の水酸基(-OH基)が脱離しアミンが置換すること等を報告したものである。マイクロ波も電子レンジの利用で行なえる簡便な手法で行なえることが特徴である。



研究レベルでは実用化に入ったマイクロ波合成化学の手法ではあるが、未だクーマリンの誘導体としてアルギニンとの合成を行なった例はない。



クーマリン以外の色素とアルギニンの組み合わせによる技術開発の例は以下の3件ほどある。能田均と里園浩の発明による化学発光試薬及びそれを用いる過酸化水素の検出方法では、ダンシル系色素と有機合成によって出来るダンシルヒスタミン、ダンシルアルギニン、ダンシルアスパラギン等の化学発光試薬を用いて、過酸化水素の検出を実現するものである(特許文献1を参照)。また、ロッシュ ウォルター ジェイによる歯周病病原性細菌のタンパク質加水分解活性の測定系では、アルギニン含有化合物であるBANAを含むアルカリ性緩衝水溶液に色素生産性試験物質であるp-ニトロフェノールリン酸エステルを添加し、引き続く諸反応過程を経て微生物由来物質を発色団p-ニトロフェノール生成によって検出する方法である(特許文献2を参照)。三番目のブロンベルグ フレッドトウーレ、フリベルグ ジヤン オベ、グリンドレ ジヤンーオロフ ヴァルデマル、カンガスメツツエ ジヤリ ジユハニによるルミネセント又はルミノメトリック検定は前記第二の技術と類似しており、微生物由来物質と試験薬との反応によって発色団分子を生成検出する方法である(特許文献3を参照)。この中では第一の能田均と里園浩の技術において色素物質とアルギニンの化合物の有効性が示されている。ただし、利用目的が化学物質、特に過酸化水素の検出に限定されているのは、その化学反応性、すなわち、シュウ酸エステルを用いた過酸化水素の検出に用いるための分子中の化学発光色素と化学発光触媒機能に特化しているためである。その発明での請求項には二点あり、『請求項1 イミダゾール基又はグアニジノ基を有する触媒活性基と、発光色素団とを有することを特徴とする化学発光試薬。請求項2 前記発光色素団が、ダンシル系色素、ローダミン系色素、又はシアニン系色素である請求項1に記載の化学発光試薬。』とある。クーマリン色素は取り扱われておらず、材料工学的応用の道は示されていない。

【特許文献1】特開平10-139406号公報

【特許文献2】特表平08-500241号公報

【特許文献3】特表平05-505513号公報

【非特許文献1】Edmond V. Stoyanov and Ivo C. Ivanov, Molecule, Convenient Replacement of the Hydroxy by an Amino Group in 4-Hydroxycoumarin and 4-Hydroxy-6-methyl-2-pyrone under Microwave Irradiation,9 (2004) 627-631.

産業上の利用分野


本発明は、蛍光性色素クーマリンを人工的に改変し、光エネルギー利用材料物質に応用するための、アミノ酸の一種であるアルギニンと色素クーマリンの一種である4-ヒドロキシクーマリンを原料として合成される化合物に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
アルギニン及び4-ヒドロキシクーマリンにマイクロ波を照射して得られた蛍光組成物に、アルミニウム元素を含む化合物が添加されてなる、蛍光性合物。

【請求項2】
アルギニン及び4-ヒドロキシクーマリンにマイクロ波を照射する工程、
前記マイクロ波を照射する工程により得られた蛍光組成物に、さらにアルミニウム元素を含む化合物を添加する工程、
を備えた、蛍光性混合物の製造方法。

【請求項3】
前記マイクロ波の照射を2分超行う、請求項2に記載の製造方法。
産業区分
  • 有機化合物
  • その他無機化学
  • 染料
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 権利存続中
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