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膜厚分布測定装置 コモンズ

国内特許コード P09P006338
整理番号 NU-0195
掲載日 2009年8月28日
出願番号 特願2008-032333
公開番号 特開2009-192331
登録番号 特許第5035904号
出願日 平成20年2月13日(2008.2.13)
公開日 平成21年8月27日(2009.8.27)
登録日 平成24年7月13日(2012.7.13)
発明者
  • 福澤 健二
  • 吉田 智彦
出願人
  • 国立大学法人名古屋大学
発明の名称 膜厚分布測定装置 コモンズ
発明の概要

【課題】薄膜の微小構造を高いコントラストで観測でき、かつ膜厚を定量的に測定することができる膜厚分布測定装置を提供すること。
【解決手段】本実施形態のエリプソメトリー顕微鏡1は、光源2と偏光子5と位相補償子6と対物レンズ8とを備え試料Sを所定角で照明する斜め照明系と、対物レンズ8と結像レンズ15と検光子16とにより試料Sを撮像装置17の検出面18に検出する結像系とを備え、結像レンズ15の前側焦点面を対物レンズ8の後側焦点面に一致させるとともに、結像レンズ15の後側焦点面を検出面18に一致させ平行光として投射するとともに、結像系により検出面18に試料Sの散乱光による像を結像させ、高倍率でかつコントラストの高い膜厚分布の差を測定できる。
【選択図】図1

従来技術、競合技術の概要


次世代ハードディスク装置では、ヘッドがディスクと接触しながら走行する潤滑方式への移行が予想されており、この場合ディスクの表面に厚さ1nm程度の均一な潤滑膜が塗布されることが要求される。また、ナノインプリントリソグラフィーでは、nmオーダーの液体薄膜を用いて微細パターンを転写するための均一な薄膜が必要となる。ポリマーエレクトロニクスでも、パターニングして微細な素子を形成する均一な液体分子薄膜が必要となる。いずれの場合も、正確かつ効率的に、極薄の膜厚の分布が定量的に測定されなければならない。



従来、液体あるいは固体薄膜の分布観測には、図6に示すような走査型エリプソメータが広く用いられてきた。このようなエリプソメータは、光源102から照射された光コリメーションレンズ103で平行光とされ、偏光子104で直線偏光とされ、λ/4板105で円偏光又はだ円偏光に変換され、試料走査用ステージ106上に載置された試料である基板107上の潤滑膜108に照明光109を照射する。試料である潤滑膜108は、試料走査用ステージ106により順次走査されていく。この照明光109は潤滑膜108で反射し、照明光109の入射角と等しい反射角で反射光110が反射する。その反射光110は、対物レンズ111を通過して検光子112を通って結像レンズ113により光検出装置114に入射して測定される。



また、走査型エリプソメータ101の試料走査用ステージを廃し、光検出装置114を高感度CCDカメラなどのアレイ状の撮像素子に代えたエリプソメトリー顕微鏡では、一挙に広範囲の観測ができるようになり、効率的な薄膜厚の分布観測ができるようになった。



ここで、本発明の原理である消光型エリプソメトリーについて説明する。
試料と空気などの媒質界面で、光がある入射角を持って反射したときに、入射平面内にある偏光成分(p偏光)、垂直な偏光成分(s偏光)について、複素振幅反射率(rexp(iδ))が異なり、この違いは試料表面の屈折率に依存する。試料表面の屈折率は、基板上の薄膜の膜厚に依存するので、エリプソメトリ-顕微鏡では、p偏光とs偏光の複素振幅反射率の振幅比Ψ(=r/r)と位相差Δ(=δ-δ)の試料各点における分布を測定することにより、膜厚分布を求める。ここで、rおよびδの添え字p、sは、それぞれ、p偏光、s偏光に対するものであることを示す。エリプソメトリー顕微鏡で検出される試料のある点(x,y)から得られる光強度I(x,y,θ)は、以下で与えられる。



【数式1】




ここで、rはs偏光に対する振幅反射率、Iは入射光強度、θは照明光の入射角、P、Aはそれぞれ偏光子、検光子の回転角の設定値である。
消光型エリプソメトリーの手法を用いて膜分布を測定する場合、まず、試料薄膜を形成していない基板面からの反射光強度を0になるように調整する。すなわち、入射光を偏光子で直線偏光とし、基板面における反射で楕円偏光に変化するのを、再度、1/4波長板と検光子偏光板で完全に消光するように調整する。式(1)を用いて説明すると、2P+Δ=π/2、ΨcosA+sinA=0、となるように、偏光子角Pおよび検光子角Aを調整し、基板から反射光Iを0に近づける。基板面はおおむね均一な反射率分布を有するので、この工程は、基板面での正反射(入射角=反射光となる反射光)した光を消光する工程となる。つぎに、上で調整したP,Aを用いて、試料薄膜を形成した基板を観測する。反射率が基板のみの場合とは異なるので、すなわち、振幅比Ψと位相差Δは基板のみの場合と異なる値を取り、上で調整したP,Aに対する消光条件を満たさず、反射光Iが0とならない。そして、振幅比Ψと位相差Δは、薄膜の屈折率すなわち膜厚に依存するので、この反射光の強度は膜厚に依存する。こうして、試料薄膜の膜厚分布に対応した光強度像が得られる。



ところで、消光型エリプソメトリーにおいては、最適な入射角の存在、斜め照明系の必要性がある。p偏光とs偏光の複素振幅反射率は入射角に依存する。試料が誘電体など光を吸収しない物質で構成されており、試料(屈折率n)と空気(屈折率n)の界面で光が反射した場合、θ= tan-1(n/n)で求められるブリュースター角θにおいて、p偏光に対する反射率は0となるが、s偏光の反射率の入射角依存性は、p偏光のそれに比べ小さいので、p偏光とs偏光の反射率の差が最も大きくなる。このため、エリプソメトリー顕微鏡では、入射角をブリュースター角θ付近に設定すると最も良好なコントラストを有する膜分布像が得られる。例えば、試料をシリコン基板とした場合、ブリュースター角θは約74度である。また、試料に金属などの光吸収する材質を含む場合、p偏光に対する反射率が完全に0とはならないが、一般に入射角60から70度付近で、p偏光に対する反射率は最小値を取るので、p偏光とs偏光の複素振幅反射率の差が最も大きくなり、最も良好なコントラストを有する膜分布像が得られる。すなわち、一般的にエリプソメトリー顕微鏡では、p偏光に対する反射率を最小とする入射角付近が最も良好な像コントラストを実現する入射角となる。



このように、エリプソメトリーを用いる方法では、試料のp偏光に対する反射率が最小となるように法線から60~70度程度の大きな傾きの入射角で試料に照明光を照射し、その反射光を入射角と同様の反射角付近の斜め方向から観測していた。



そして、試料を斜めから観測するため、焦点深度の問題から狭い視野しか得られないという問題があった。図4に示すように、所定のp偏光に対する反射率が最小となるような入射角θに対物レンズを傾けて観察した場合、対物レンズの焦点深度が±δzであるとき、試料上では±δxの範囲しか焦点が合わず、たとえレンズの視野や撮像素子が広い範囲の観察が可能であっても、焦点深度の制限から細い帯状の試料しか観察できなかった。視野δxは、光の波長をλ、対物レンズの開口数をNAとすると、おおむねλ/(2NAsi nθ)となる。高倍率の対物レンズほど、開口数NAは大きくなるため、視野が小さくなる。例えば、100倍の対物レンズのNAは0.9程度であり、この対物レンズと波長λ=546nmの光源を用い、入射角θを70度に設定したときの視野δxは0.4μmとなる。一方、通常の光学顕微鏡において、対物レンズの光軸は試料面に垂直に配置されるので視野の狭小化の問題は発生せず、100倍の対物レンズを用いた場合、視野として数十μm程度が可能であった。このように、対物レンズの光軸を試料面に対して斜めに配置する観測系では、実用的に有用な視野が確保できず、高倍率観測が困難であった。



加えて、一般に高倍率の対物レンズは作動距離が小さく、対物レンズの光軸を試料面に対して斜めに配置する観測系では、対物レンズと試料基板の接触を避けるためには、試料をレンズから遠ざけて、つまり低倍率で観察するか、照射角を小さくしてp偏光に対する反射率が最小となるような入射角から外れる角度で、つまり低コントラストで観察するかしなければならなかった。



一方、特許文献1に記載されたような試料平面上の被検物体に対して垂直な光軸を有する対物レンズを備えた物体の光学的検査のための装置等が提案されている。この発明においては、照明装置内の偏光子、撮像装置内の検光子、及び該装置のいずれかにある位相補償子を含む偏光デバイスを備えている。そして、照明装置には対物レンズの軸と平行であるが対物レンズの軸に関してある程度傾けられている円錐体状の光で、被検物体を照らすように対物レンズの軸から側方に変位されている軸に沿って、光源からの光を対物レンズの軸方向へ方向付ける。こうして消光型エリプソメトリーの手法により照らされた被検物体の試料からの散乱光を強調して、試料平面内の欠陥などを光学的検出するものであった。図5に示すように、試料の全面が焦点深度±δz内に入り、レンズの視野や撮像素子が許す限り広範囲な観察ができた。

【特許文献1】特開平6-250092号公報

産業上の利用分野


本発明は、膜厚分布測定装置に関し、詳細には、極薄の膜厚をエリプソメトリー(偏光解析法)を用いた方法で測定する膜厚分布測定装置に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
被写体に対向した対物レンズと、当該被写体の像を結像する結像レンズとを有した結像系と、
当該結像系に設けられた検光子と、
同結像系により結像した像を検出面で検出する撮像装置と、
光源と、前記対物レンズの光軸とその光軸をずらし、その焦点面を前記対物レンズの後側焦点面と一致するように配置して、当該光源からの光を集光する集光レンズとを有し、前記対物レンズを介して前記被写体をp偏光に対する反射率がおおむね最小となるような入射角で平行光を照明する斜め照明系と、
当該斜め照明系の光路に設けられた偏光子と、
同斜め照明系の前記偏光子と前記被写体の間に設けられた位相補償子とを備えた膜厚分布測定装置。

【請求項2】
請求項1の膜厚分布測定装置であって、
前記結像レンズの前側焦点面を前記対物レンズの後側焦点面に一致させたことを特徴とする膜厚分布測定装置。

【請求項3】
請求項2の膜厚分布測定装置であって、
前記結像レンズの後側焦点面を前記撮像装置の検出面に一致させたことを特徴とする膜厚分布測定装置。

【請求項4】
前記斜め照明系は、前記被写体全体を照明するとともに、その正反射光は前記撮像装置の検出面全面を平行光で均一に照射することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の膜厚分布測定装置。

【請求項5】
前記結像系により前記撮像装置の検出面には、前記被写体の散乱光による像を結像させることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の膜厚分布測定装置。

【請求項6】
前記斜め照明系に設けられ、当該斜め照明系の光路を屈曲させるビームスプリッタ若しくはハーフミラーを前記結像レンズと前記対物レンズの間に備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の膜厚分布測定装置。

【請求項7】
前記光源において、その可干渉距離が、装置を構成する光学素子間距離よりも小さいことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の膜厚分布測定装置。

【請求項8】
前記光源がスーパー・ルミネッセント・ダイオードから構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の膜厚分布測定装置。

【請求項9】
前記光源が白色光源から構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の膜厚分布測定装置。

【請求項10】
前記対物レンズは、無限遠光学系であることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の膜厚分布測定装置。

【請求項11】
前記位相補償子は、λ/4板であることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の膜厚分布測定装置。

【請求項12】
前記検出面は、マトリクス状に設けられたCCDから構成されることを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の膜厚分布測定装置。
産業区分
  • 測定
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2008032333thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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