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心不全治療薬

国内特許コード P09P006636
整理番号 IP514
掲載日 2009年8月28日
出願番号 特願2008-032744
公開番号 特開2009-189292
登録番号 特許第5344671号
出願日 平成20年2月14日(2008.2.14)
公開日 平成21年8月27日(2009.8.27)
登録日 平成25年8月23日(2013.8.23)
発明者
  • 乾 誠
出願人
  • 国立大学法人山口大学
発明の名称 心不全治療薬
発明の概要

【課題】遺伝子操作や遺伝子発現を伴わない心不全治療薬を提供するため、ホスホランバンに結合する物質、および当該物質を含有する心筋細胞内Ca2+動態の異常を是正する心不全治療薬を提供すること。
【解決手段】ホスホランバンの細胞質ドメインを含む融合蛋白質をターゲットとして、SELEX法により取得した特定な配列からなる塩基配列、または特定な配列からなる塩基配列の1若しくは数個の塩基が欠失・置換若しくは付加された塩基配列、あるいは特定な配列からなる塩基配列との相同性が90%以上である塩基配列、のいずれかであるホスホランバン・アプタマーを含有する心不全治療薬。
【選択図】なし

従来技術、競合技術の概要


心臓の収縮力制御には、心筋細胞内のCa2+が中心的役割を果たすことが明らかになっている。心筋細胞内Ca2+は、主として細胞内Ca2+貯蔵部位である心筋小胞体へのCa2+輸送と、Ca2+遊離によって制御されている。心筋小胞体へのCa2+輸送により細胞質Ca2+濃度が低下すると心筋弛緩が起こり、心筋小胞体からのCa2+遊離によって細胞質Ca2+濃度が上昇すると収縮が起こる。従来、強心薬を主とした心不全治療薬は、動物への投与や取り出した拍動心臓への投与実験による心筋収縮力増強を指標にしたスクリーニング方法が用いられてきた。この方法で得られた強心薬は、交感神経系やレニン・アンギオテンシン系に関係するものであり、細胞外から細胞内へのCa2+流入を増加させる作用を有し、心筋細胞内Ca2+動態を制御するものではない。このため弛緩時の細胞質Ca2+濃度が充分に低下せず、充分な弛緩が得られないために、重症心不全をむしろ悪化させる方向に働く。



心筋細胞内Ca2+動態では、細胞内のCa2+を制御している心筋小胞体のCa2+ポンプATPase(SERCA)蛋白質と、その調節蛋白質のホスホランバンが重要である。ホスホランバンは、心筋小胞体のCa2+輸送を司るSERCAの抑制因子として働き(非特許文献1)、ホスホランバンがSERCAから解離するとCa2+輸送が促進されることが明らかにされ(非特許文献2)、両蛋白質の結合部位も特定された(非特許文献3)。心筋小胞体のCa2+輸送が促進されると、最終的に心筋収縮力が増強される。



このような機序に基づいた心不全治療の安全性と有効性は、遺伝子操作によりホスホランバンを欠損させたマウスの実験(非特許文献4)や、ウイルスを用いて不活性なホスホランバンを大量に発現させたラットの実験(非特許文献5)で示されている。これらの心臓では心筋小胞体のSERCA活性が著明に促進され、Ca2+動態の異常が是正されている。しかしながら、これらの遺伝子操作やウイルスによる遺伝子発現を治療方策として臨床で使うには、安全性や技術的な観点から現時点では極めて困難である。



特許文献1では、心筋細胞内でのホスホランバンと筋小胞体SERCAの相互作用を阻害することにより、不全心臓における収縮能を高める心不全治療薬として、2つのペプチド複合体と、ホスホランバンの変異蛋白質を明らかにしている。また、心不全治療薬のスクリーニング方法として、ホスホランバンとの結合部位を含むCa2+ポンプ遺伝子組み換え蛋白質と、Ca2+ポンプとの結合部位を含むホスホランバン遺伝子組み換え蛋白質とを用いて、有用物質を選択する方法(特許文献2)が提示されているが、膨大な数の化合物ライブラリーをスクリーニングする必要があり、そのような薬物は未だ見出されていない。



酵素や受容体に結合する短い1本鎖のDNAやRNAであるアプタマーは、医薬品としての可能性のため種々の分野で注目されている。特定の蛋白質に結合するアプタマーは、SELEX(Systematic evolution of ligands by exponential enrichment)法を用いることにより比較的容易に見出すことができる。SELEX法により取得したアプタマーの報告として、プリオン蛋白質と特異的に結合するRNAアプタマー(特許文献3)の他、ビトロネクチンアプタマー(特許文献4)、HGF(肝細胞増殖因子)に特異的に結合するアプタマー(特許文献5)があり、それぞれ、プリオン病の診断薬、抗癌剤、癌転移抑制剤としての用途が明らかにされている。しかしながら、心臓でホスホランバンに作用し心筋小胞体のSERCA活性を促進するようなアプタマーは知られていない。

【非特許文献1】Inui,M.et al.,J.Biol.Chem.261:1794-1800,1986

【非特許文献2】James,P.et al.,Nature 342:90-92,1989

【非特許文献3】Sasaki,T.et al.,J.Biol,Chem.267:1674-1679,1992

【非特許文献4】Minamisawa,S.et al.,Cell 99:312-322,1999Luo,W.et al.,Circ.Res.75:401-409,1994

【非特許文献5】Iwanaga,Y.et al.,J.Clin.Invest.113:727-736,2004

【特許文献1】特表2002-528512公報

【特許文献2】特開2002-62296公報

【特許文献3】特開2006-042645公報

【特許文献4】特開2002-58491公報

【特許文献5】特開2006-149302公報

産業上の利用分野


本発明は、ホスホランバンに特異的に結合してホスホランバン機能を阻害するDNAまたはRNAアプタマー、および該アプタマーを含有する心不全治療薬に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
ホスホランバンの細胞質ドメインを含む融合蛋白質をターゲットとしてSELEX法により選択されるホスホランバン・アプタマーが、以下の(a)~(c)のいずれかの塩基配列を有する1本鎖DNAまたはRNAであって、ホスホランバンに特異的な結合性を有するアプタマー。
(a)配列番号2~12(但し配列番号6を除く)のいずれかで表される塩基配列。
(b)配列番号2~12(但し配列番号6を除く)のいずれかで表される塩基配列の1若しくは数個の塩基が欠失・置換若しくは付加された塩基配列。
(c)配列番号2~12(但し配列番号6を除く)のいずれかで表される塩基配列との相同性が90%以上である塩基配列

【請求項2】
融合蛋白質がホスホランバンの1番目から26番目のアミノ酸部分に標識蛋白質が結合したものである請求項1に記載のホスホランバン・アプタマー

【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のホスホランバン・アプタマーを含有する心不全治療薬
産業区分
  • 微生物工業
  • 薬品
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 権利存続中
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