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シメンおよびリモネンの合成方法 新技術説明会

国内特許コード P09A014628
整理番号 NUBIC-2007000074
掲載日 2009年9月18日
出願番号 特願2007-303244
公開番号 特開2009-126821
登録番号 特許第5331966号
出願日 平成19年11月22日(2007.11.22)
公開日 平成21年6月11日(2009.6.11)
登録日 平成25年8月9日(2013.8.9)
発明者
  • 日秋 俊彦
  • 岩村 秀
  • 陶 究
  • 中村 暁子
  • 川原 友美
出願人
  • 学校法人日本大学
発明の名称 シメンおよびリモネンの合成方法 新技術説明会
発明の概要

【課題】植物由来で資源量の豊富で、特に製紙工業の廃液に存在するα-ピネンからシメンおよびリモネンを生成する合成反応を、有機溶媒や酸・塩基触媒を用いることなく、環境負荷を与えないで化学合成できる方法を提供すること。
【解決手段】超臨界状態に近い高温高圧水環境において、触媒無添加で、α-ピネンからシメンおよびリモネンを生成する合成反応を行なうことで課題が解決できる。
【選択図】 なし

従来技術、競合技術の概要


シメンまたはp-シメンは、モノテルペンの1種でベンゼン環のパラ位にメチル基とイソプロピル基が入った構造をもつ芳香族炭化水素に分類される化合物で、植物の精油に含まれている。またリモネンは、同じくモノテルペンの1種であり天然にはd体、l体、d/l体の三種類が存在する。
シメンまたはp-シメンは、製薬産業での殺菌剤の生産や、殺虫剤などの農薬や、調味料、さらには伝熱媒体として利用される重要な中間体である。またリモネン特にd-リモネンは、90%を上回る含有率を有するとされるオレンジおよびレモンの皮油の主成分となっているものであり、オレンジジュース工業では年に50,000トンの量が副産物として生成している。工業的には製薬および香料産業において、例えばカルベオール、カルボンおよびペリリルアルコールなどの重要な出発化合物になっている。また近年スチレンモノマーと構造が似ていることからスチロール樹脂(ポリスチレン)を溶解する性質があり、特にd-体は発泡スチロールの安全な溶剤としても注目されている。



従来シメンまたはp-シメンは、多くの石油化学工場でAlCl3やBF3やH2SO4を含む塩化水素系触媒を用い、トルエンとプロペンまたは2-プロパノールのフリーデル・クラフツアルキル化反応で生産されている([化1])。また、α-ピネンを原料としてヨウ素や三塩化リンを用いてp-シメンを合成する方法、又は多段階の反応工程を経てリモネンを合成する方法も知られている([化2])。
【化学式1】
【化学式2】



しかし、これらの合成プロセスにおいては酸を用いることによる安全性や腐食の問題、または触媒の処理において多くの問題が生じている。さらに生成物と触媒が混合してしまうため生成物と触媒を分離することが困難であり、この工程で多くのエネルギーを消費してしまう。また、生成物を取り出す際には、アルカリを加えて中和を行い、さらに溶媒を留去するか水蒸気蒸留する必要があり、分離工程でのコスト増加につながっている。また、炭化水素系、エーテル系、含塩素系有機溶媒など各種有機溶媒には揮発性のものが多く、大部分は大気中に放出され、エネルギー・資源の浪費となっているばかりでなく、対流圏オゾンの発生及びスモッグの原因という環境負荷を与えてきた。さらに、原料のトルエンは通常原油からの接触改質などによって製造されるが、原油の埋蔵量減少が危惧されている今日、化石資源由来ではなく植物資源由来の原料からの合成法が不可欠となりつつある。



また、α-ピネンを原料として用いる合成反応も各種触媒を必要とし、さらに高温での幾段階での反応工程、酸やアルカリなどを多量に必要とするものである。
ところで、α-ピネンは、主に松やヒノキや楠木などの松柏類の精油中に多量に含まれる物質で、資源として天然に多く存在する物質である。また製紙工場の廃液としても多く破棄されており、植物資源由来の原料として有効活用が求められている。



一方、超臨界状態またはこれに近い亜臨界状態にある高温高圧水環境では、水は、常温常圧の有機溶媒に相当する低い誘電率を示し、更に高いイオン積も有することから、有機物に対して高い溶解性を示すことが知られている。また、高いH+やOH-濃度の反応場を形成できるため、従来有機溶媒中で酸・塩基触媒を用いて行なわれてきた有機合成反応を、多量の有機溶媒や酸・塩基触媒を用いることなく進行させ得る可能性が示唆され、代表的な求電子置換反応であるフリーデル・クラフツアルキル化及びアシル化について無触媒で進行することが報告されている(非特許文献1)。
また、このような高温高圧水中での有機合成に関して、テルペンアルコールの合成反応法が報告されている(特許文献1)が、ここでは、ヘミテルペンアルコールからモノテルペンアルコールを合成するとしているだけである。さらに、α-ピネンを原料として用いる合成反応として、モノテルペンアルコールの合成に関し、α-ピネンからの半合成法(特許文献2)が知られており、これによれば3段階の製造プロセスを用いる必要があり該多段プロセスでは多くの触媒を使用し、触媒を含めた高ランニングコストとなり、また製造プロセスが煩雑で、合成物の価格が高コストになる一因となっている。




【非特許文献1】K.Chandler等 AIChE J., 1998,44,2080

【特許文献1】特開2005-47805号公報

【特許文献2】米国特許4,018,842号明細書(1977)

産業上の利用分野


本発明は、有機溶媒や触媒を用いることなく、α-ピネンを原料として用いシメンおよびリモネンを合成する方法に関する。より具体的には、高温高圧水中(亜臨界水中ないし超臨界水中)で、触媒無添加において、α-ピネンを原料として用い効率よく、短時間でシメンおよびリモネンを合成反応させる方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
温度150℃以上、圧力0.4MPa以上である高温高圧水中、不活性ガス置換、触媒無添加において、α-ピネンを原料として用いリモネンを合成することを特徴とするリモネンの合成方法。

【請求項2】
温度150℃以上、圧力0.4MPa以上である高温高圧水と酸素の共存下中、触媒無添加において、α-ピネンを原料として用いシメンを合成することを特徴とするシメンの合成方法。

【請求項3】
α-ピネンが製紙廃液中に含まれるものである請求項1または2に記載の合成方法。
産業区分
  • 有機化合物
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 権利存続中
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