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擬似位相整合波長変換デバイスの製造方法 新技術説明会

国内特許コード P09P006833
整理番号 中央大113
掲載日 2009年10月23日
出願番号 特願2008-080893
公開番号 特開2009-237081
登録番号 特許第5036610号
出願日 平成20年3月26日(2008.3.26)
公開日 平成21年10月15日(2009.10.15)
登録日 平成24年7月13日(2012.7.13)
発明者
  • 庄司 一郎
  • 川路 宗矩
  • 井村 健
出願人
  • 学校法人 中央大学
発明の名称 擬似位相整合波長変換デバイスの製造方法 新技術説明会
発明の概要

【課題】さまざまな波長のレーザ光を高出力でかつ効率良く発生させることのできる擬似位相整合波長変換デバイスを容易に作製する方法を提供する。
【解決手段】同じ結晶方位を持つGaAsのプレート21,22を、真空チャンバー11内に設置された第1及び第2の試料ホルダー12,13に、プレート面内の[001]方向が互いに180°異なるように取付け、真空中にて、Arビームを上記プレート21,22の表面21a,22aに所定時間照射して、上記表面21a,22aをエッチングして活性化処理した後、上記表面21aと上記表面22aとを常温にて密着させて接合し、上記プレート21と上記プレート22とを常温接合する、という動作を繰り返して、複数のプレートが、隣接するプレート同士の面内の[001]方向が互いに180°異なるように接合されたGaAs波長変換デバイスを作製するようにした。
【選択図】図2

従来技術、競合技術の概要


レーザ光の波長領域を変換して従来のレーザで得られない波長のレーザ光を得るためのデバイスとして、2次の非線形光学効果を用いた高効率の波長変換デバイスが知られている。この波長変換デバイスの製造方法で主流になっているのは、材料の結晶の向きを数~数百μm周期で180°反転させる擬似位相整合で、この擬似位相整合により高効率な波長変換を行うことができる。
擬似位相整合波長変換デバイスの材料としては、リチウムナイオベート(LiNbO3)やリチウムタンタレート(LiTaO3)などの自発分極を有する強誘電体結晶が広く用いられている。これらの強誘電体結晶は、分極方向に電界を印加して分極の向きを周期的に反転させてやることにより、上記の擬似位相整合を実現させる。
しかしながら、上記強誘電体結晶を用いた擬似位相整合波長変換デバイスでは、変換できる波長領域が0.3~5μmに制限されていた。これは、上記変換できる波長領域が当該材料の透明波長領域によって制限されるためで、材料として強誘電体結晶を用いている限り、0.3μmよりも短波長のレーザ光や、5~20μmの長波長のレーザ光を得ることは困難である。更に、強誘電体結晶では、光損傷閾値(光損傷が起こり始める入射レーザ光のパワー)が十分に大きくないため、高出力の波長変換デバイスを製造するには限界がある。なお、光損傷は、結晶の屈折率が変化したり、結晶構造そのものが破壊されることをいう。



そこで、注目されているのが、半導体ガリウム砒素(GaAs)を用いた擬似位相整合波長変換デバイスである。GaAsは長波長での透明波長領域が広くかつ非常に大きな2次の非線形光学定数を有する材料であることは知られているが、光学的には等方的であり、上記の強誘電体結晶のように、電圧をかけると結晶構造が180°反転する性質がないため、これまで擬似位相整合を得ることが困難であった。
そこで、GaAsのプレートを、プレート面内の結晶方位を180°反転させながら順に接着して、交互に積層された積層体を作製すれば、さまざまな波長のレーザ光を高出力でかつ効率良く発生させることのできる擬似位相整合波長変換デバイスを得ることができると考えられる。
GaAsのプレート同士を接着した例としては、CrをドープしたGaAsの単結晶を[111]方向に垂直に切断したプレートの表面をケミカルエッチングした後、プレート同士を圧着させたものがある(例えば、非特許文献1参照)。
また、真空中でかつ高温(500~840°C)環境下で、GaAs表面の酸化膜を除去した後にプレート同士を接合する拡散接合法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
一方、副格子交換エピタキシーを用いて擬似位相整合させる方法が提案されている。具体的には、GaAs基板上に非反転層である第1のGaAs層を分子線エピタキシー法(MBE法)で成長させた後、この第1のGaAs層の表面にGe層を成長させ、このGe層の上に反転層である第2のGaAs層を成長させる。次に、上記第2のGaAs層をストライプ状にエッチングし、このエッチング部分に上記第1のGaAs層の表面を露出させた後、非反転層から成る第3のGaAs層を形成する。最後に表面を研磨して平滑にすることにより、反転層である第2のGaAsと非反転層である第3のGaAs層とがストライプ状に交互に並んだ積層体を得る(例えば、特許文献2参照)。

【非特許文献1】D.E.Thompson et.al“ Second-harmonic generation in GaAs stack of plates using high-power CO2 laser radiation”;Applied Physics Letters,Vol.29,No2,15 July1976:pp113-115

【特許文献1】特開2003-15175号公報

【特許文献2】特開2005-115150号公報

産業上の利用分野


本発明は、レーザ光の波長を変換する波長変換デバイスの製造方法に関するもので、特に、空間反転対称性を有しない化合物の結晶の方位を周期的に反転させて接合した擬似位相整合型の波長変換デバイスの製造方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
空間反転対称性を有しない化合物の単結晶から成る同じ結晶方位を持つ2枚のプレートを、プレート面内の結晶方位が180°反転するように対向させて設置してから、これら2枚のプレートの表面に原子ビーム、分子ビーム、もしくは、イオンビームを照射して上記表面を活性化処理する第1のステップと、
上記活性化処理されたプレートの表面同士を常温にて密着させて接合する第2のステップと、
上記常温接合されたプレートと上記化合物から成る活性化処理されていない同じ結晶方位を持つプレート、もしくは、上記第1及び第2のステップにより常温接合された2枚のプレート同士を、プレート面内の結晶方位が180°反転するように対向させて設置し、これら2枚のプレートの表面を活性化処理する第3のステップと、
上記活性化処理された表面同士を常温接合する第4のステップとを備え
上記第1及び第3のステップでは、上記2枚のプレートの側面側に設置されたビーム源から原子ビーム、分子ビーム、もしくは、イオンビームを上記2枚のプレートの表面に照射して、上記2枚のプレートの表面を同時に活性化処理することを特徴とする擬似位相整合波長変換デバイスの製造方法。

【請求項2】
上記対向するプレートのプレート面を(110)面としたことを特徴とする請求項1に記載の擬似位相整合波長変換デバイスの製造方法。

【請求項3】
上記2枚のプレートの間隔が1~5mmであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の擬似位相整合波長変換デバイスの製造方法。

【請求項4】
上記活性化処理に用いられる原子ビームはArビームであり、このArビームの広がり角が10°~30°の範囲にあることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載の擬似位相整合波長変換デバイスの製造方法。

【請求項5】
上記Arビームの照射エネルギー密度が90~1200J/cm2の範囲にあることを特徴とする請求項4に記載の擬似位相整合波長変換デバイスの製造方法。

【請求項6】
上記化合物は、III-V族化合物半導体もしくはII-VI族化合物半導体であることを特徴とする請求項1~請求項5のいずれかに記載の擬似位相整合波長変換デバイスの製造方法。
産業区分
  • 光学装置
  • 省エネルギー
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2008080893thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
参考情報 (研究プロジェクト等) 中央大学 理工学部 電気電子情報通信工学科 レーザ・非線形光学研究室
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