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ポリ乳酸又はその誘導体からラクチドを回収する方法 新技術説明会 実績あり

国内特許コード P09S000234
掲載日 2009年11月20日
出願番号 特願2006-512774
登録番号 特許第4517069号
出願日 平成17年4月25日(2005.4.25)
登録日 平成22年5月28日(2010.5.28)
国際出願番号 JP2005007813
国際公開番号 WO2005105775
国際出願日 平成17年4月25日(2005.4.25)
国際公開日 平成17年11月10日(2005.11.10)
優先権データ
  • 特願2004-135476 (2004.4.30) JP
発明者
  • 西田 治男
  • 樊 渝江
  • 白井 義人
出願人
  • 国立大学法人九州工業大学
発明の名称 ポリ乳酸又はその誘導体からラクチドを回収する方法 新技術説明会 実績あり
発明の概要 ポリ乳酸又はその誘導体あるいはそれを含む樹脂組成物をケミカルリサイクルするために、ポリ乳酸又はその誘導体を解重合して、高い光学純度のラクチドを効率的に回収・製造する方法を提供するものであって、ポリ乳酸又はその誘導体と水酸化アルミニウムとの混合物を、ポリ乳酸又はその誘導体の溶融温度以上で320℃以下の温度範囲において熱分解しラクチドを回収することを特徴とする。
従来技術、競合技術の概要


近年、環境問題に対する意識が高まり、電気・電子機器製品に用いられるプラスチック材料の難燃剤として広く使用されてきたハロゲン系化合物が、材料の廃棄焼却時にダイオキシンを発生する可能性があることが指摘され、そのためノンハロゲン系難燃剤への転換が進んできている。その中でも、分解吸熱量が大きく安全な無機系難燃化剤として金属水酸化物、とりわけ水酸化アルミニウムの需要は多く、分解した後の生成物が化学的に安定なアルミナである点もその使用を促進している。しかしながら最近では、難燃材料は廃棄時の燃焼を阻害するということも危惧されてきつつある。



一方で、炭酸ガスの増大に基づく地球温暖化の問題のために、化石燃料から合成されるプラスチック材料に代わって、再生可能資源であるバイオマスから合成され、かつバイオリサイクルおよびケミカルリサイクル可能な乳酸ポリマーの利用が活発に展開されてきている。乳酸ポリマーを利用することの利点は、乳酸ポリマーは炭酸ガスを固定したバイオマスから合成されるため、たとえ焼却処理されても、全プロセスを通じて炭酸ガスの増大は非常に少ない、というカーボンニュートラルの考え方によっても支持されている。ケミカルリサイクルは、少ないエネルギーによって元の原料に戻す方策であり、環境対応策としては、カーボンニュートラルの考え方から更に一歩踏み込んだ方策である。



乳酸ポリマーの製造方法として、乳酸オリゴマーから熱分解によってラクチドを合成し、さらにそのラクチドを重合することによって乳酸ポリマーを製造するという技術は従来から良く知られている。この製造過程において、光学純度の保持は重要である。何故なら、実用的な乳酸ポリマーは、光学活性なL,L―ラクチドの開環重合によって製造され、融点約175℃の透明で高強度のポリマーであり、わずかの光学活性の低下は、融点の著しい低下を招き、その実用性を失ってしまうからである。



再生可能資源から合成される乳酸ポリマーを難燃化するために、難燃化剤として、安全な水酸化アルミニウム等の金属水酸化物を利用する方法は、例えば、以下の文献(特許文献1~3参照)で既に知られている。しかしながら、難燃化は、乳酸ポリマーの燃焼や高温での熱分解を抑制することを目的としているため、当該難燃化組成物中の乳酸ポリマーの熱分解よって、原料のラクチドを回収するという方策については、いずれの文献においても、一切の開示がなされていない。



難燃化とは別に、乳酸ポリマーの熱分解よって原料のラクチドを回収するに際して、金属化合物を触媒として用いることもまた知られている。例えば、アルミニウム化合物による乳酸ポリマーの熱分解については、ディジーらは、アルミニウムイソプロポキサイドを開始剤として用いてラクチドを重合し、さらに生成した乳酸ポリマーの熱分解を行なっている(非特許文献1参照)。また、野田と奥山は、アルミニウムイソプロポキサイドとアルミニウムエチルアセトアセテートを用いて乳酸オリゴマーの熱分解を行い、その分解産物として得られたラクチドの純度を測定している(非特許文献2参照)。しかし、アルミニウム化合物を用いるこれらの技術は、光学純度の非常に低いラクチドが回収されることを開示しているに過ぎない。



また、特許文献では、特開平6-279434(特許文献4)に、アルカリ金属塩と周期律表4属~15属の金属および/又はその塩を併用して、乳酸系オリゴマーから光学純度の低いラクチド(メソ体含有量7-40%)を得る技術が開示されている。その際の熱分解触媒の添加量は0.01-5重量部の範囲である。特開平10-168077(特許文献5)及び特開平10-306091(特許文献6)には、乳酸オリゴマーの熱分解触媒としてIIIA属、IVA属、IIB属、IVB属およびVA属からなる金属化合物が開示されているが、アルミニウム化合物としてはアルミニウムエトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、酸化アルミニウム、塩化アルミニウムという、難燃化剤として作用しない化合物が開示されている。特開2000-15107(特許文献7)には、乳酸オリゴマーの熱分解触媒として、特殊な環状アルコキシアルミニウム化合物を、全乳酸単位に対して0.1-1モル%用いる技術が開示されている。これらの文献にはいずれも、水酸化アルミニウムのような金属水酸化物を用いる、ラクチド回収技術については具体的開示はない。



以上のように、従来、難燃化剤としての水酸化アルミニウム等の金属水酸化物と、乳酸ポリマーからなる組成物に関して、当該組成物中の乳酸ポリマーからの、高光学純度ラクチドの回収と難燃化剤を関連づけた技術的開示は一切無い。これは、難燃化という分解燃焼抑制と、ケミカルリサイクルという分解促進制御とが、概念的に全く相容れないためである。そればかりでなく、例えば、従来、アルミニウム化合物によるラクチド回収では、光学純度が低下しやすいことが示されてきた。この様な状況の下で、再生可能資源から製造される乳酸ポリマーを、例えば、電気・電子機器部品に応用し、且つそのケミカルリサイクルを合理的に実施するために、難燃化と効率的な高光学純度ラクチド回収を両立して行うための新しい技術が望まれていた。



【特許文献1】
特開2001-303387号公報
【特許文献2】
特開2003-192925号公報
【特許文献3】
特開2004-75772号公報
【特許文献4】
特開平6-279434号公報
【特許文献5】
特開平10-168077号公報
【特許文献6】
特開平10-306091号公報
【特許文献7】
特開2000-15107号公報
【非特許文献1】
ピー・ディジーら「Macromolecular Chemistry and Physics, 198巻 1985 (1997)」
【非特許文献2】
野田,奥山「島津評論, 56巻, 169 (2000); M. Noda and H. Okuyama, Chemical & Pharmaceutical Bulletin, 47巻, 467 (1999)」

産業上の利用分野


本発明は、ポリ乳酸又はその誘導体からラクチドを回収する方法に関し、更に詳しくは、ポリ乳酸又はその誘導体単独、あるいはそれらを含む樹脂組成物から、ポリ乳酸又はその誘導体を解重合して、乳酸の環状二量体であるラクチドを回収・製造するケミカルリサイクル方法に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】 ポリ乳酸又はその誘導体と水酸化アルミニウムとの混合物を、ポリ乳酸又はその誘導体の溶融温度以上で320℃以下の温度範囲において熱分解しラクチドを回収することを特徴とする、ポリ乳酸又はその誘導体からラクチドを回収する方法。
【請求項2】 混合物が、ポリ乳酸又はその誘導体と水酸化アルミニウムを含む樹脂組成物からなるものである、請求項1記載のポリ乳酸又はその誘導体からラクチドを回収する方法。
【請求項3】 混合物が、ポリ乳酸又はその誘導体100重量部に対して水酸化アルミニウム10~100重量部からなるものである、請求項1又は2記載のポリ乳酸又はその誘導体からラクチドを回収する方法。
【請求項4】 ポリ乳酸又はその誘導体が、スズ化合物を含有するものである、請求項1~3いずれか1つに記載のポリ乳酸又はその誘導体からラクチドを回収する方法。
【請求項5】 熱分解温度が200~300℃の温度範囲である、請求項1~4いずれか1つに記載のポリ乳酸又はその誘導体からラクチドを回収する方法。
【請求項6】 ポリ乳酸又はその誘導体の光学純度が80%e.e.以上であって、且つ得られるラクチド中のメソラクチドの含有率が10モル%以下である、請求項1~5いずれか1つに記載のポリ乳酸又はその誘導体からラクチドを回収する方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
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出願権利状態 登録
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