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テラヘルツ電磁波放射素子及びその製造方法 実績あり 外国出願あり

国内特許コード P09S000236
掲載日 2009年11月20日
出願番号 特願2006-535106
登録番号 特許第4423429号
出願日 平成17年8月23日(2005.8.23)
登録日 平成21年12月18日(2009.12.18)
国際出願番号 PCT/JP2005/015277
国際公開番号 WO 2006/030608
国際出願日 平成17年8月23日(2005.8.23)
国際公開日 平成18年3月23日(2006.3.23)
優先権データ
  • 特願2004-265011 (2004.9.13) JP
発明者
  • 尾辻 泰一
  • 佐野 栄一
出願人
  • 九州工業大学
  • 北海道大学
発明の名称 テラヘルツ電磁波放射素子及びその製造方法 実績あり 外国出願あり
発明の概要 【要約】本発明は、非放射2次元電子プラズモン波から放射電磁波への変換効率を向上させ、かつ広帯域な特性を実現する。本発明は、半絶縁性の半導体バルク層と、その直上に半導体ヘテロ接合構造によって形成される2次元電子層と、該2次元電子層の対向する2片に電気的に接続されたソース電極及びドレイン電極と、該2次元電子層の上面近傍にそれと平行に、2つの異なる直流バイアス電位を交互に設定できる2重ゲート電極格子と、該半導体バルク層の下面に接して膜状に形成されたテラヘルツ帯では反射鏡として機能し、かつ光波帯では透明な透明金属ミラーとによって構成される。2つの光波を該透明金属ミラーの下面より入射させ、かつ、2重ゲート電極格子に2つの異なる直流バイアス電位を交互に与え、該2重ゲート電極格子の配位に対応して2次元電子層の電子濃度を周期的に変調せしめる。
従来技術、競合技術の概要 【背景技術】2次元電子システムは、サブバンド間エネルギーに相当する光学フォノンやフォトンによって、コヒーレントに分極振動励起される。この振動量子を2次元電子プラズモンと称する。一般的な2次元電子濃度(1011~1012cm-2)において、2次元電子プラズモンはミクロン乃至サブミクロンの波長領域で基本モード周波数がテラヘルツ帯に到達する。そのため2次元電子プラズモンは、テラヘルツ帯での電磁波発振・検出、周波数混合・逓倍等の機能を実現する機構としての可能性を秘めている。2次元電子プラズモンの物性研究は1970年代初頭に開始された。テラヘルツデバイスへの応用研究は1990年代に始まり、歴史はまだ浅く、実用的な素子開発には至っていない。高電子移動度トランジスタ(HEMT)構造における2次元電子プラズモンのテラヘルツ帯応用はM.DyakonovとM.Shurによって提案された(非特許文献1参照)。プラズモン共鳴周波数を決定する電子濃度は、ゲートバイアスで制御できるため、実用上重要な周波数可変特性を実現できる。ゲート・ソース間容量とゲート・ドレイン間容量のバイアス依存性の別により、ソース、ドレインの境界条件を非対称化することができる。ドレイン開放端において、放射モード電磁波の取り出しが可能である。ドレイン端からは奇数次高調波成分が、チャネル中央付近からは偶数次高調波成分が取り出せる。そこで、フォトン2光波でバンド間励起された光伝導電子の持つ差周波テラヘルツ成分によって2次元電子の濃度を変調すれば、テラヘルツ帯のプラズモン共鳴を誘起できる(非特許文献2,非特許文献3参照)。この2次元電子プラズモン共鳴波は、非放射モードであって外部放射は果たせないが、2次元プラズモンの近傍に金属回折格子(グレーティング)を配したり、アンテナ構造を配することにより、非放射モードのテラヘルツ帯2次元電子プラズモン振動を放射モード電磁波へ変換することが可能である(非特許文献3,4参照)。かくして、2次元電子プラズモンを利用したテラヘルツ帯フォトミキサーが実現できるわけである。フォトミキサーを構成する場合に重要なのは以下の2点である。(1)光波から2次元電子プラズモン共鳴への変換効率(2)2次元電子プラズモン共鳴から放射電磁波への変換効率このうち本発明が対象とする(2)2次元電子プラズモン共鳴から放射電磁波への変換効率について従来技術の推移を述べる。非放射モードの2次元電子プラズモン共鳴波から放射モード電磁波へのモード変換機構としてグレーティングカップラが導入されている。いわゆるSmith-Purcel効果としてよく知られている。R.J.Wilkinsonらは非特許文献5において、ゲート電極を入れ子状に2重回折格子型に形成して2次元電子濃度を周期的に変調し、その場合の遠赤外光の透過・反射特性を観測した。2次元電子濃度変調による回折格子構造が遠赤外光を効率よく吸収する光カップラとして機能することと、2次元電子濃度の変調によりプラズマ共鳴周波数が制御可能であることを主張した。S.A.Mikhailovは非特許文献4においてこのグレーティング構造が持つ構造パラメータと、2次元電子濃度、グレーティング部位の電子濃度、電子のドリフト速度、散乱緩和時間からなる材料物性パラメータを用いて電磁波伝搬特性を明らかにした。2次元電子がグレーティングによって周期的濃度変調を受けることによって定まるプラズマ周波数と、グレーティング自身のプラズマ周波数が等しくなると、電子の散乱が小さければプラズマ周波数の低域近傍で電磁波の透過係数が1を越えて増幅利得が得られることを示した。この具体策として金属グレーティングの代わりに導電率が2次元電子プラズモンと同程度に低い量子細線を導入する構造が提案された。X.G.Peraltaらは、非特許文献6において、2次元電子層を2層形成し、1重回折格子型ゲートで上層の2次元電子濃度を周期変調し、テラヘルツ電磁波照射による2次元電子層の光応答特性を観測した。周期的濃度変調を受けることによって定まるプラズマ周波数が光応答特性に与える共鳴特性が2次元電子層の2層化によって増強されることを示した。モード変換のためのグレーティング構造の導入はこのほか、V.Ryzhiiらが非特許文献3において、スパイラルアンテナ構造の導入を提案した例がある。
【非特許文献1】M.Dyakonov and M.Shur,Phys.Rev.Lett.,71(15),2465(1993)
【非特許文献2】T.Otsuji,Y.Kanamaru,et.al.,Dig.the 59th Annual Dev.Res.Conf.,Notre Dame,IN,97(2001)
【非特許文献3】V.Ryzhii,I.Khmyrova,and M.Shur,J.Appl.Phys.,Vol.91,No.4,1875(2002)
【非特許文献4】S.A.Mikhailov,Phys.Rev.B,Vol.58,pp.1517-1532,1998
【非特許文献5】R.J.Wilkinson,et.Al.,Journal of Applied Physics,Vol.71,No.12,pp.6049-6061,1992.
【非特許文献6】X.G.Peralta,et.Al.,Applied Physics Letters,Vol.81,No.9,pp.1627-1629,2002.
産業上の利用分野 本発明は、2つのコヒーレントな光波を入力し、混合してその差周波数に対応したテラヘルツ電磁波を放射出力するテラヘルツ電磁波放射素子及びその製造方法に関する。
特許請求の範囲 【請求項1】2つのコヒーレントな光波を入力し、混合してその差周波数に対応したテラヘルツ電磁波を放射出力するテラヘルツ電磁波放射素子において、 半絶縁性の半導体バルク層と、 該半導体バルク層の直上に半導体ヘテロ接合構造によって形成される2次元電子層と、 該2次元電子層の側面の一部に電気的に接続されたソース電極と、 該ソース電極に対向する該2次元電子層の側面の他の一部に接続されたドレイン電極と、 該2次元電子層の上面近傍に該2次元電子層と平行に、2つの異なる直流バイアス電位を交互に設定できる2重ゲート電極格子と、 該半導体バルク層の下面に接して膜状に形成されたテラヘルツ帯では反射鏡として機能し、かつ光波帯では透明な、透明金属ミラーと、によって構成され、 2つの光波を該透明金属ミラーの下面より入射させ、かつ、2重ゲート電極格子に2つの異なる直流バイアス電位を交互に与え、該2重ゲート電極格子の配位に対応して2次元電子層の電子濃度を周期的に変調せしめたこと、を特徴とするテラヘルツ電磁波放射素子。
【請求項2】前記2重ゲート電極格子は、ゲート電極を櫛状にエッチングし、奇数番の櫛同士をチャネルの外側で接続し、偶数番の櫛同士をチャネルの外側で接続して形成された請求項1に記載のテラヘルツ電磁波放射素子。
【請求項3】前記半導体バルク層の側面が該半導体バルク層よりは低い比誘電率を有する低誘電材料で被覆されたことを特徴とする請求項1又は2に記載のテラヘルツ電磁波放射素子。
【請求項4】前記ソース電極と前記ドレイン電極の間に一定の直流バイアス電位を与え、該2次元電子層内の2次元電子を一様に直流ドリフト走行せしめたことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のテラヘルツ電磁波放射素子。
【請求項5】前記2重ゲート電極格子の第1の回折格子ゲート電極の格子幅がサブミクロンオーダに設定され、かつ、該第1の回折格子ゲート電極と近隣の第2の回折格子ゲート電極との間隔がサブミクロン以下に設定され、かつ、該第2の回折格子ゲート電極の格子幅がミクロンないしサブミクロンオーダに設定され、 前記2重ゲート電極格子の第1の回折格子ゲート電極のバイアス電位を制御することによって、該第1の回折格子ゲート電極直下の2次元電子層の電子濃度を10の11乗毎平方センチメートル乃至10の13乗毎平方センチメートルに設定し、2重ゲート電極格子の第2の回折格子ゲート電極のバイアス電位を制御することによって、該第2の回折格子ゲート電極直下の2次元電子層の電子濃度を準金属的に極めて高く設定するか、或いは半絶縁的に極めて低く設定したこと、を特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のテラヘルツ電磁波放射素子。
【請求項6】前記2重ゲート電極格子が、該第1の回折格子ゲート電極直下の2次元電子層内と同程度の導電率を有する材料によって形成されたことを特徴とする請求項5に記載のテラヘルツ電磁波放射素子。
【請求項7】前記2重ゲート電極格子の厚みが、該2重ゲート電極格子と該2次元電子層との間隔よりも薄いことを特徴とする請求項6に記載のテラヘルツ電磁波放射素子。
【請求項8】前記2重ゲート電極格子が、半導体ヘテロ接合構造内に該2次元電子層の上部に積層してなる第2の2次元電子層をエッチング加工することによって形成され、かつ該第2の2次元電子層の導電率がゲートバイアス電位によって制御できることを特徴とする請求項7に記載のテラヘルツ電磁波放射素子。
【請求項9】2次元電子層と透明金属ミラーの距離を、放射させる(テラヘルツ帯)電磁波の波長の(2n+1)/4倍(但しnは整数)に設定したことを特徴とする請求項6~8のいずれかに記載のテラヘルツ電磁波放射素子。
【請求項10】2つのコヒーレントな光波を入力し、混合してその差周波数に対応したテラヘルツ電磁波を放射出力するテラヘルツ電磁波放射素子の製造方法において、 半導体バルク層となる基板の直上に半導体ヘテロ接合構造によって形成される2次元電子層と、該2次元電子層の側面の一部に電気的に接続されたソース電極と、該ソース電極に対向する該2次元電子層の側面の他の一部に接続されたドレイン電極と、を形成し、 該2次元電子層の上面近傍に該2次元電子層と平行に、2つの異なる直流バイアス電位を交互に設定できる2重ゲート電極格子を形成し、 該半導体バルク層の下面に接して膜状に形成されたテラヘルツ帯では反射鏡として機能し、かつ光波帯では透明な、透明金属ミラーを形成すること、を特徴とするテラヘルツ電磁波放射素子の製造方法。
【請求項11】前記半導体バルク層の側面を、該半導体バルク層よりは低い比誘電率を有する低誘電材料で被覆したことを特徴とする請求項10に記載のテラヘルツ電磁波放射素子の製造方法。
産業区分
  • 固体素子
国際特許分類(IPC)
画像

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出願権利状態 権利存続中
詳細は、下記「問合せ先」まで直接お問い合わせください。


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