TOP > 国内特許検索 > ラクチドの回収方法

ラクチドの回収方法 新技術説明会

国内特許コード P09A014924
整理番号 KIT6120
掲載日 2009年12月11日
出願番号 特願2007-074639
公開番号 特開2008-231048
登録番号 特許第5136880号
出願日 平成19年3月22日(2007.3.22)
公開日 平成20年10月2日(2008.10.2)
登録日 平成24年11月22日(2012.11.22)
発明者
  • 西田 治男
  • 本山 徹
  • 白井 義人
出願人
  • 国立大学法人九州工業大学
発明の名称 ラクチドの回収方法 新技術説明会
発明の概要 【課題】ポリ乳酸成分を含有するポリマーから高純度のラクチドを効率的に回収するため、解重合触媒としての酸化マグネシウムの触媒機能を、より高度に発現させる方法を提供すること。
【解決手段】ポリ乳酸成分を含有するポリマーからラクチドを回収するに際し、該ポリマーに、5m/g以上の表面積を有する酸化マグネシウムを、ポリマー中のポリ乳酸成分100重量部当たり0.1~10重量部加え、200~300℃の温度に加熱するラクチドの回収方法。酸化マグネシウムを300~600℃の温度範囲で加熱処理をしたり、酸化マグネシウムの表面水酸基を炭酸根で置換したりした場合には、より効果的に高い光学純度のラクチドを回収することができる。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要


近年の環境間題に対する意識の高まりから、バイオリサイクル及びケミカルリサイクル可能なポリ乳酸の開発が活発に展開されている。ポリ乳酸の製造方法として、乳酸オリゴマーから熱分解によってラクチドを合成し、更にそのラクチドを重合することによってポリ乳酸を製造する技術が、従来から良く知られている。この製造過程において、光学純度の保持は重要である。何故なら、実用的なポリ乳酸は、光学活性なL-ラクチドの開環重合によって製造される、融点約175℃の透明で高強度のポリマーであり、わずかの光学活性の低下によって融点の著しい低下を招き、その実用性を失ってしまうからである。



ラクチドの光学純度は、原料となる乳酸の光学純度のみならず、乳酸オリゴマーの解重合時のラセミ化によっても著しい影響を受ける。野田と奥山は、乳酸オリゴマーの熱分解触媒の検討を、温度190~230℃、圧カ4~5mmHgの減圧下で行った。その結果、触媒活性の順序は、Sn>Zn>Ti>Alであり、光学純度の保持についても、ほぼ同じ傾向を報告した(非特許文献1)。特許文献1には、高分子量ポリ乳酸(重量平均分子量5000~30万)を、スズまたはスズ化合物からなる触媒の存在下にラクチドに変換し、回収する技術が開示されている。特許文献2は、モノブチル錫の存在下で、120~230℃に加熱することによって、高純度のラクチドを得る技術を開示している。また、特許文献3は、分子量400~3000の乳酸オリゴマーに塩化銅を添加して、130~260℃に加熱することによって、生成するラクチドのラセミ化が抑制されることを開示している。また、特許文献4は、周期律表IA、IIIA、IVA、IIB、およびVA族の触媒を用いた乳酸オリゴマーの解重合反応系内に、水蒸気を吹き込みながら130~260℃に加熟することによって、ラセミ化が抑制されることを開示している。



以上のように、特にスズ化合物は、熱分解触媒活性及び光学純度保持能に関して、いずれも良好な触媒であることが知られている。ここでケミカルリサイクルを考えた場合、一般的に、より高分子量のポリ乳酸に適用されなければならず、高温かつ長時間での熱分解においても同様の特性が望まれる。しかしながら、スズ触媒であっても、高温かつ長時間の条件下では、ラセミ化が進行し、生成するラクチドの光学純度は低下する(例えば、非特許文献2と3)。高分子量のポリ乳酸の解重合時にラセミ化を抑制する方法として、従来、幾つかの技術が開示されてきた。例えば、特許文献5は、熱分解触媒としてのスズの他に高沸点のアルコール類を添加して、加アルコール分解の後に解重合させる方法を開示している。



更に、ポリマーのケミカルリサイクルプロセス考えた場合、高分子量のポリ乳酸をより低温でかつ短時間で解重合反応を行うためには、解重合のための触媒を新たに添加する必要がある。従って、クローズシステムとしての工場内でのラクチド合成プロセスとは異なり、オープンシステムとしてのリサイクルプロセスでは、スズやその他エステル交換金属触媒の環境への悪影響が危惧され、より安全な触媒の開発が望まれている。



このような要求を受けて、例えば、特許文献6は、酸化第一鉄を触媒とする乳酸オリゴマーからのラクチドの合成法を開示している。更に、アルカリ金属の水酸化物やアルコキシド、及びカルボン酸との塩などを触媒とする乳酸オリゴマーの熱分解方法が開示されている(特許文献7)。しかしながら、これらの方法は、いずれも乳酸オリゴマーからのラクチド合成の方法である。



高分子量のポリ乳酸からのラクチド回収に関して、水酸化アルミニウムが難燃化剤としてばかりでなく、ケミカルリサイクル触媒として効果的に機能することが開示されている(非特許文献4)。但し、水酸化アルミニウムは難燃化剤としての機能を発現するために、30wt%以上という大量の添加を必要とする。また、特許文献8は、アルカリ土類金属がある特定の温度範囲で、高い光学純度のラクチドを与える触媒として機能することを開示し、とりわけ、酸化マグネシウムは、低温領域でのラセミ化が少ないため効果的であることを開示している。酸化マグネシウムの触媒作用については、マグネシウムイオンのポリ乳酸分子末端への配置の後、分子末端からのアンジッピング解重合反応で進行することが報告されている(非特許文献5と6)。この分子末端からのアンジッピング解重合反応は、300℃以下の温度域で進行する。そのため、300℃を超える温度で起こりやすい、ランダム分解によるオリゴマーの生成や、ラセミ化反応による光学異性体の生成を回避することができる(非特許文献7)。



ここで解重合反応の触媒となる酸化マグネシウムは、その製造条件に応じて多くの種類が存在することが一般に知られている。水酸化マグネシウムのカ焼による酸化マグネシウムの合成は、そのカ焼温度の違いによって、比重や表面特性の異なる種類が得られる。これらの表面特性の違いは、ポリ乳酸の解重合特性にも影響を及ぼすことが懸念されている。一方で、この表面特性の制御によって、より高活性及び高光学選択的触媒機能の発現が期待される。



【非特許文献1】
Chemical Pharmaceutical. Bu11etin, 47, 467(1999)
【特許文献1】
特開平9-77904号公報
【特許文献2】
特開平11-209370号公報
【特許文献3】
特開平11-292871号公報
【特許文献4】
特開平10-306091号公報
【非特許文献2】
Po1ymer Degradation and Stability, Vol.53, 329-342(1996)
【非特許文献3】
Journal of Applied Po1ymer Science, Vol.78, 2369-2378(2000)
【特許文献5】
特開平9-241417号公報
【特許文献6】
特開平8-119961号公報
【特許文献7】
特開平6-65230号公報
【非特許文献4】
Industrial & Engineering Chemistry Research, Vol. 44, 1433-1437(2005)
【特許文献8】
国際公開第03/91238号パンフレット
【非特許文献5】
Polymer,Vol.45, 1197-1205 (2004)
【非特許文献6】
Industrial& Engineering Chemistry Research, Vol.45, 2949-2953 (2006))
【非特許文献7】
Polymer Degradation andStability, Vol. 80, 503-511 (2003)

産業上の利用分野


本発明は、ポリ乳酸成分を含有するポリマー、即ち、ポリ乳酸又はその誘導体、あるいはそれらを含む樹脂組成物から、ポリ乳酸又はその誘導体を解重合して、乳酸の環状二量体であるラクチドを回収・製造する方法に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
ポリ乳酸成分を含有するポリマーからラクチドを回収するに際し、該ポリマーに、300~600℃の温度範囲で加熱処理された、5m/g以上の表面積を有する酸化マグネシウムを、ポリマー中のポリ乳酸成分100重量部当たり0.1~10重量部加え、200~300℃の温度に加熱することを特徴とするラクチドの回収方法。

【請求項2】
酸化マグネシウムが、その表面水酸基が炭酸根で置換されたものであることを特徴とする請求項1記載のラクチドの回収方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
詳細は、下記「問合せ先」まで直接お問い合わせください。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close