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マイクロニードル搭載型バイオプローブ、およびマイクロニードル搭載型バイオプローブの作製方法 コモンズ 新技術説明会

国内特許コード P09P005378
整理番号 06017P
掲載日 2010年1月12日
出願番号 特願2007-222418
公開番号 特開2008-079608
登録番号 特許第5435528号
出願日 平成19年8月29日(2007.8.29)
公開日 平成20年4月10日(2008.4.10)
登録日 平成25年12月20日(2013.12.20)
優先権データ
  • 特願2006-236086 (2006.8.31) JP
発明者
  • 柴田 隆行
出願人
  • 国立大学法人豊橋技術科学大学
発明の名称 マイクロニードル搭載型バイオプローブ、およびマイクロニードル搭載型バイオプローブの作製方法 コモンズ 新技術説明会
発明の概要

【課題】マイクロニードル搭載型バイオプローブ、およびその作製方法に関し、特に、生体分子や細胞の機能解明を行うための高機能なツールとしてのバイオプローブ、およびその作製方法を提供する。
【解決手段】支持部に支持された片持ちばり状の弾性的なカンチレバー部と、このカンチレバー部の略先端部において前記カンチレバー部と一体形成された中空状のニードル部とを備え、前記中空状ニードル部と連通する中空状の流路を前記カンチレバー部および前記支持部が有しており、かつ前記カンチレバー部の長手方向と前記ニードル部の長手方向が平行でないことを特徴とする、マイクロニードル搭載型バイオプローブ、およびその作製方法を提供する。
【選択図】 図1

従来技術、競合技術の概要


ゲノム科学を基盤とした今後の研究成果は、個々人のDNA情報をもとに診断、投薬、治療を行うテーラメイド医療や、遺伝子治療および再生医療などの高度先端医療技術、さらには、ゲノム情報に基づいた医薬品の開発(ゲノム創薬)などのバイオテクノロジー分野の発展に重要な役割を果たすものと期待されている。このため、DNAやタンパク質などの生体分子の構造・機能解析、さらには、生体組織の構築・機能発現のもっとも基本的な単位となる細胞の機能を解明することが、将来のナノ医療、ナノバイオ、ゲノム創薬の発展には必要不可欠となる。特に、細胞の機能解明においては、細胞レベルでの高精度な手術的操作(細胞サージェリーという呼ぶ)が行える基盤技術の確立が重要となっている。



原子間力顕微鏡(Atomic force microscope、AFM)は、非接触・実空間で原子・分子像を直接観察できる精度を有し、かつ摩擦力、粘弾性、硬さなどの機械的特性や、電気的、磁気的、熱的特性をナノメータレベルの空間分解能で評価できる強力なツールである。しかも、押込みやスクラッチングなどの機械的加工や、探針-試料間に電圧を印加することによってリソグラフィ、電界加工、化学的気相成長法(Chemical Vapor Deposition、CVD)、蒸着などの超微細加工・薄膜形成にも応用が可能となる。このため、ナノテクノロジー分野の研究開発において、AFMは重要な役割を果たしている。



最近では、大気中のみならず液中での評価も可能であることから、AFMのもつ可視化機能をバイオテクノロジー分野に応用しようという研究が盛んに行われている。すなわち、AFMは単一分子レベルの空間分解能で生体分子(DNAやたんぱく質など)や細胞の3次元構造を生きたままの状態で、かつ低侵襲に計測できることから、様々な生体物質の構造を解明するための強力なツールとなっている(非特許文献1参照)。さらに、AFMの微小力測定機能(0.1pNオーダー)を応用することで、生体物質(生体分子や細胞など)の力学的特性の評価や、探針表面に生体物質を修飾することで、他の生体物質との間に働く2分子間の相互作用力の解析も可能となっている(非特許文献2参照)。



一方、細胞操作技術の代表例としては、遺伝子導入技術(マイクロインジェクション技術という)があげられる。この技術は、一般に、ガラス製のマイクロキャピラリー(外径10μm以下程度)を使って顕微鏡下で行われており、高度な熟練を必要とする。このため、導入部位の位置決め精度や細胞操作の良否はオペレータの能力に大きく依存する。また、この方法では遺伝子導入効率やタンパク質の発現レベルが低いことから、遺伝子治療などに応用するためには解決すべき問題がある(例えば、非特許文献3参照)。さらに、キャピラリーの直径や形状を再現性よく作製することが難しく、また、外径が大きいために細胞へのダメージも無視できない。



最近になってAFMを利用した細胞操作の研究も試みられている。例えば、従来のAFMのプローブの探針部分(ピラミッド形状を有する)を細胞に挿入し、物理的な吸着を利用して伝令RNA(mRNA)を探針部分に付着させて採取する方法(非特許文献4参照)が提案されている。また、集束イオンビーム法(Focused ion beam、FIB)によって、市販のAFMプローブの探針部分を直径200~800nm、長さ6~8μmの形状に加工して、細胞に穿刺する試みもなされている(非特許文献5参照)。この例では、加工した探針部分の表面を化学修飾することで、プラスミドDNAを吸着させて細胞内への遺伝子導入を行っている。しかしながら、前記いずれの方法ともに、探針部分は本発明で提案している中空構造を有しておらず、探針部分の表面への物理的あるいは化学的吸着現象を利用した方法となっている。このため、細胞への任意の生体分子(各種のDNAやRNA、タンパク質、酵素、など)や化学物質(薬剤、細胞内外を行き来するCaやNaなどの各種イオン、生体マーカーとしての量子ドット、なども含む)の導入・採取には原理的に制限がある。



一方、MEMS(Micro Electro Mechanical System)技術を用いて、細胞へ与えるダメージを極力小さくするために、直径が100μm程度から最小2nmという極細のマイクロ/ナノニードルを作製する方法が提案されている(非特許文献6参照)。この方法は、Si/GeSiなどの積層膜を犠牲層を介して基板上に形成した後、犠牲層のみを選択的にエッチングし、積層膜自身がもつ内部応力によって膜がカールする現象を利用して、中空のニードル構造を形成するものである。しかし、この方法で形成されるニードルの長手方向は、基板面に対して平行にならざるを得ないため、本発明の特徴であるAFMとしての機能を付与した構造を実現することができない。すなわち、細胞へのダメージは低減されるが、機能的には従来のガラス製のマイクロキャピラリーと同等である液体状物質の注入・採取にのみに限られる。【非特許文献1】D. J. Muller and K. Anderson,Trends Biotechnol., 20, S45 (2002)【非特許文献2】D. P. Allison他、 Curr. Opin.Biotechnol., 13, 47 (2002)【非特許文献3】H. Matsuoka他、 J. Biotechnol.,116, 185 (2005)【非特許文献4】H. Uehara他、 Ultramicroscopy,100, 197 (2004)【非特許文献5】S. Han他、 Biochem. Biophys.Res. Commun., 332, 633 (2005)【非特許文献6】A. V. Prinz他、 Microelectron. Eng.,67-68, 782 (2003)

産業上の利用分野


本発明は、マイクロニードル搭載型バイオプローブ、およびその作製方法に関し、特に、生体分子や細胞の機能解明を行うための高機能なツールとしてのバイオプローブ、およびその作製方法に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
支持部に支持された片持ちばり状の弾性的なカンチレバー部と、このカンチレバー部の略先端部において前記カンチレバー部と一体形成され、該カンチレバー部を貫通しない状態で突設された中空状のニードル部とを備え、前記中空状のニードル部と連通する中空状の流路を前記カンチレバー部および前記支持部が有しており、かつ前記カンチレバー部の長手方向と前記ニードル部の長手方向が平行でないことを特徴とする、マイクロニードル搭載型バイオプローブ。
【請求項2】
支持部に支持された片持ちばり状の弾性的なカンチレバー部と、このカンチレバー部の略先端部において前記カンチレバー部を貫通しない状態で突設しつつ該カンチレバー部と一体形成された中空状のニードル部とを備え、前記ニードル部は、シリコン基板をドライエッチングして形成される微小孔の側壁に酸化膜を形成した後、該酸化膜を除く周辺部を除去することにより形成され、この中空状のニードル部と連通する中空状の流路を前記カンチレバー部および前記支持部が有しており、かつ前記カンチレバー部の長手方向と前記ニードル部の長手方向が平行でないことを特徴とする、請求項1に記載のマイクロニードル搭載型バイオプローブ。
【請求項3】
前記中空状ニードル部は、先細りしていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のマイクロニードル搭載型バイオプローブ。
【請求項4】
前記中空状ニードル部の先端に、第2の中空状ニードル部を備えることを特徴とする、請求項3に記載のマイクロニードル搭載型バイオプローブ。
【請求項5】
二つの単結晶シリコン層の間にシリコン酸化膜を挿入した構造をもつSOI(Silicon-on-insulator)基板のいずれか一方のシリコン層に、前記カンチレバー部の前記中空状流路を形成することで製造されたことを特徴とする、請求項1~4いずれかに記載のマイクロニードル搭載型バイオプローブ。
【請求項6】
中空状流路を備える前記カンチレバー部の略先端部に複数の前記中空状ニードル部が一体形成されていることを特徴とする、請求項1~5いずれかに記載のマイクロニードル搭載型バイオプローブ。
【請求項7】
前記中空状ニードル部と一体形成された中空状流路を備える前記カンチレバー部が、支持部に複数個一体形成されていることを特徴とする、請求項1~6いずれかに記載のマイクロニードル搭載型バイオプローブ。
【請求項8】
請求項1~7いずれかに記載のマイクロニードル搭載型バイオプローブの表面に、導電性薄膜および絶縁性薄膜を位置選択的に被覆形成することで、前記中空状ニードルの略先端部が電気的な計測点となり得ることを特徴とする、マイクロニードル搭載型バイオプローブ。
【請求項9】
ドライエッチングによりシリコン基板に微小孔を形成する工程と、該微小孔の側壁に酸化膜を形成することにより中空状ニードル部を形成する工程と、SOI基板に中空状流路を備えるカンチレバー部を形成する工程と、該中空状ニードル部の中空部と、該カンチレバー部に形成した中空状流路とが一致するように位置決めして接合し一体形成を行う工程と、前記一体形成した基板の一部を除去する工程とを含むマイクロニードル搭載型バイオプローブの作製方法。
【請求項10】
シリコン基板にマイクロニードルを作製する工程と、カンチレバー部および支持部として用いられるSOI基板に微小流路を形成するための工程と、前記両基板を接合する工程と、前記両基板の一部を除去する工程とを含み、
前記マイクロニードルを作製する工程は、シリコン基板を厚さ方向にドライエッチングによって微小孔を形成する工程と、該微小孔の側壁にシリコン酸化膜を形成する工程とを含み、
前記微小流路を形成するための工程は、SOI基板の下側のシリコン支持層を埋込酸化層までエッチングして微小孔を形成する工程と、埋込酸化層を除去する工程と、前記微小孔を拡大する工程と、該微小孔につながるように前記SOI基板の上面に矩形溝を形成する工程と、該矩形溝を介してSOI基板のシリコン活性層をエッチングして微小流路を形成する工程とを含み、
前記両基板を接合する工程は、前記シリコン基板に形成したマイクロニードルの中空部と、前記SOI基板に形成した矩形溝とが一致するように位置決めして接合する工程であることを特徴とするマイクロニードル搭載型バイオプローブの作製方法。
【請求項11】
前記マイクロニードルを作製する工程において、微小孔を形成する工程と、該微小孔の側壁にシリコン酸化膜を形成する工程とを繰り返すことを特徴とする請求項9又は10に記載のマイクロニードル搭載型バイオプローブの作製方法。
国際特許分類(IPC)
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出願権利状態 登録
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