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金属イオン結合能およびナノチューブ形成能を有する環状ペプチドと、それを用いたペプチドで構成されるナノチューブ、並びにそれらの製造方法。 コモンズ 新技術説明会

国内特許コード P09P005895
整理番号 KP05-103
掲載日 2010年1月15日
出願番号 特願2006-053253
公開番号 特開2007-230901
登録番号 特許第4915986号
出願日 平成18年2月28日(2006.2.28)
公開日 平成19年9月13日(2007.9.13)
登録日 平成24年2月3日(2012.2.3)
発明者
  • 田村 厚夫
  • 田中 修平
  • 木戸脇 彩
出願人
  • 学校法人神戸大学
発明の名称 金属イオン結合能およびナノチューブ形成能を有する環状ペプチドと、それを用いたペプチドで構成されるナノチューブ、並びにそれらの製造方法。 コモンズ 新技術説明会
発明の概要

【課題】規則的な微細構造で中空構造を有するナノメートルスケールのナノチューブを形成する新規環状ペプチドの配列、当該配列を成す物質のナノチューブ形成条件を提供する。
【解決手段】環状ペプチドの環内部に金属イオンを配位させるため、3残基連続して同じ光学異性体が並んだ領域を2つ連続せずに配置し、それ以外のアミノ酸はL-体とD-体が交互に配された配列を持たせることにより、3残基の真ん中のアミノ酸は環内部を向き、その位置に金属イオンと配位結合するHis、Aspなどのアミノ酸を設定するように設計する。環状ペプチドは特定条件下で自己組織化的に会合し、金属イオンを環内部に配位させながらナノチューブを形成するため、ナノチューブ内に一次元的に金属イオンを配列化させることができることで、機能的なナノ素材、ナノ材料へ応用が可能である。
【選択図】図3

従来技術、競合技術の概要


これまで大きな物質を削ってナノメートルスケールにまで微細化していく「トップダウン」型アプローチを用いて、半導体素子や大規模集積回路(LSI)を作製する技術開発が盛んに行われてきた。しかしながらその技術にも限界があり、20nm以下の微細構造を作ることが困難となっている。
そこで近年、分子の自己組織化を利用し、規則的な微細構造を作り上げる研究が急速に進展している。このような自己組織化を利用した「ボトムアップ」型アプローチを模倣する代表的な例として生物の細胞があり、これをモデルシステムとした生体分子による新規材料開発の研究が大変注目を集めている。



生体を作るタンパク質や核酸などの生体分子で材料を作る利点としては、外部からエネルギーを加えることなく自己組織化的に材料が構築されることから無駄のない製造システムであること、そして物質自体が生分解性であることなどが挙げられ、地球環境や生物に対して負荷が少ないといえる。
特にタンパク質は、構成する天然アミノ酸(L-体アミノ酸)の種類が20種類存在するため、形成される構造や機能は多種多様である。
さらに化学合成法を利用した場合は、タンパク質配列中に非天然アミノ酸やL-体アミノ酸の鏡像異性体であるD-体アミノ酸を導入することも可能となり、タンパク質を利用したナノテクノロジーは、今後様々な分野において重要になってくると考えられる。



生体高分子であるタンパク質は、20種類の天然アミノ酸(L-体アミノ酸、比較的単純な有機分子)から構成され、アミノ酸の中には金属イオンと配位結合するものが存在する。
金属イオンと配位することが可能なアミノ酸としては、ヒスチジン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸などがそうであり、実際にある種のタンパク質はこれらのアミノ酸を利用し、種々の金属イオンと配位結合することで細胞内において機能を果たしている。
近年、有機材料と無機材料を組み合わせた機能性複合新素材の開発や応用の研究が盛んに行われているが、タンパク質と無機材料とのハイブリッド材料の構築には金属イオンと配位するアミノ酸を用いることが重要であり、タンパク質の構造や機能の多様性を考慮すると、これまでにない新しいハイブリッド材料の創出が期待される。



またタンパク質の立体構造は、主に比較的規則的な二次構造から構成されており、その主なものはαヘリックス構造、及びβシート構造である。
αヘリックス構造は、配列中の連続した領域でアミノ酸残基nのCOとアミノ酸残基n+4のNHがそれぞれ水素結合(αヘリックス型水素結合)することで形成される。
またβシート構造は、隣り合うβストランドと呼ばれるほとんど伸びきった領域間で、αヘリックスと同様に向かい合ったアミノ酸残基のCO(NH)とNH(CO)が水素結合(平行、または逆平行βシート型水素結合)形成することにより、二次構造となり安定化している。
このような二次構造を基本ブロックとして、タンパク質分子同士が相互作用することが知られている。例えば、筋肉を構成するミオシン、狂牛病などの原因と思われるアミロイド線維など、ナノメートルスケールの規則的な繊維状超分子構造を形成することが知られている。



これまでアミロイド線維を形成するタンパク質に、システイン残基を利用して金コロイドを化学修飾し、さらに金または銀でメッキすることで、導電性ナノワイヤーを作製する手法が知られている(例えば、非特許文献1。)。
また、連続したヒスチジン残基を有するペプチド様高分子から形成されるナノチューブに金属イオンを配位させ、還元剤で還元することでナノワイヤーを作製する手法が知られている(例えば、非特許文献2。)。
これらの手法は、どちらの手法も繊維状構造体の表面を金属で被覆するためにワイヤーの直径が数百ナノメートルと太くなり、従来の微細加工技術よりも優れた新技術とはいい難い。



またDNAを構成するヌクレオチドの塩基部分を有機化学合成で金属イオンと配位可能な塩基に改良し、ニ本鎖DNA内部に最大5個の銅イオンを配列させた例が報告されている(例えば、非特許文献3。)。しかしながら、5個以上の金属イオンを一次元的に配列させることはできていない。



昨今の半導体プロセス技術の動向をみると、半導体内機能素子間の配線において、その配線の幅はますます小さなものが要求されている。また金属錯体の性質をハイブリッドした新しい機能性物質の開発も盛んに行われているが、生体分子と無機材料を融合したハイブリッド材料の構築は、工業的または産業的利用が期待されるにもかかわらず、いまだ確立されていないのが現状である。




【非特許文献1】Scheibel, T. et. al. (2003) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 100, 4527-4532.

【非特許文献2】Banerjee, I. A. et. al. (2003) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 100, 14678-14682.

【非特許文献3】Tanaka, K. et. al. (2003) Science 299, 1212-1213.

産業上の利用分野


本発明は、金属イオンと結合する単位分子の環状ペプチドと、それらの環状ペプチドが連結することで形成されるナノスケールの中空繊維(本明細書中では、ナノチューブと称する)のナノ素材の技術に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】 [手続補正20111117]  12残基のアミノ酸から構成され、1残基目のN末端と12残基目のC末端がペプチド結合した環状ペプチドにおいて、 3残基のアミノ酸が連続してL-体もしくはD-体である連続領域が少なくとも2つ存在し、かつ、前記連続領域が隣接すること無く配された配列で、 それ以外のアミノ酸はL-体とD-体が交互に配された配列からなり、 3残基のアミノ酸が連続した前記連続領域では真ん中のアミノ酸残基の側鎖のみ環状ペプチドの環内部を向き、L-体とD-体が交互に配されたアミノ酸残基の側鎖は全て環状ペプチドの環外部を向く構造を形成し、 12残基の環状ペプチドのアミノ酸配列が、Gln(L体)-His(L体)-Glu(L体)-Glu(D体)-Glu(L体)-Glu(D体)-Gln(L体)-Asp(L体)-Lys(L体)-Lys(D体)-Lys(L体)-Lys(D体)(配列番号1)で示されることを特徴とする環状ペプチド。
【請求項2】 [手続補正20111117]  12残基のアミノ酸から構成され、1残基目のN末端と12残基目のC末端がペプチド結合した環状ペプチドにおいて、 3残基のアミノ酸が連続してL-体もしくはD-体である連続領域が少なくとも2つ存在し、かつ、前記連続領域が隣接すること無く配された配列で、 それ以外のアミノ酸はL-体とD-体が交互に配された配列からなり、 3残基のアミノ酸が連続した前記連続領域では真ん中のアミノ酸残基の側鎖のみ環状ペプチドの環内部を向き、L-体とD-体が交互に配されたアミノ酸残基の側鎖は全て環状ペプチドの環外部を向く構造を形成し、 12残基の環状ペプチドのアミノ酸配列が、Lys(L体)-Asp(L体)-Gln(L体)-Glu(D体)-Glu(L体)-Glu(D体)-Glu(L体)-His(L体)-Gln(L体)-Lys(D体)-Lys(L体)-Lys(D体)(配列番号2)で示されることを特徴とする環状ペプチド。
【請求項3】 [手続補正20111117]  金属イオンが環内部に向いているHis及びAspの2つのアミノ酸側鎖と配位結合されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の環状ペプチド。
【請求項4】 [手続補正20111117]  請求項1~3のいずれかの環状ペプチドを用いて自己組織化によりナノスケールオーダの径を有する管状構造を形成させたことを特徴とするナノチューブ。
【請求項5】 [手続補正20111117]  請求項1~3のいずれかの環状ペプチドを用いて自己組織化によりナノスケールオーダの径の管状構造を形成し、かつ、管状構造内部に金属イオン若しくは銅イオンを配列化させたことを特徴とするナノチューブに対して、還元剤を用いて還元して作製される導電性ワイヤー。 
産業区分
  • 有機化合物
  • その他機械要素
  • 電線ケーブル
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2006053253thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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