TOP > 国内特許検索 > 高分子担持金属錯体触媒

高分子担持金属錯体触媒

国内特許コード P09S000293
整理番号 P2006-010/L18-H50
掲載日 2010年1月22日
出願番号 特願2008-526709
登録番号 特許第5446264号
出願日 平成19年6月20日(2007.6.20)
登録日 平成26年1月10日(2014.1.10)
国際出願番号 JP2007062379
国際公開番号 WO2008013009
国際出願日 平成19年6月20日(2007.6.20)
国際公開日 平成20年1月31日(2008.1.31)
優先権データ
  • 特願2006-201726 (2006.7.25) JP
発明者
  • 橋本 俊一
  • 穴田 仁洋
出願人
  • 国立大学法人北海道大学
発明の名称 高分子担持金属錯体触媒
発明の概要 【課題】 高分子担持ロジウム(II)触媒、この触媒を用いたα-ジアゾカルボニル化合物の炭素-炭素多重結合への付加、C-H及びX-H (X = N, O, S, Se, Siなど)結合への挿入あるいはイリド形成を引き金とする転位・付加環化反応に関する。
【解決手段】 カルボン酸が置換したスチレン誘導体、スチレン及び両末端にビニルベンジルオキシ基を置換した直鎖アルカンの共重合により調製した不溶性高分子とロジウム(II)カルボキシラート錯体の配位子交換反応により新規不溶性高分子担持ロジウム(II)錯体の調製した。即ち、金属を架橋高分子に担持させてなる下式(化1)
【化1】



(式中、MとMはロジウム等、Xは酸素原子等、Rはアルキル基等を表し、k+l+mに対してkは1~15%、mは1~5%、lは残部などを表し、nは4などを表し、R1はアルキル-2-(4’-アルキルオキシフタルイミドメチル基)等、Rはフェニル基等、Rは4,4'-(1,3-プロピレン-1,3-ジオキシメチル)フェニル基等を表す。)で表される高分子担持金属錯体触媒である。
【選択図】 なし
従来技術、競合技術の概要



Rh2(OAc)4に代表されるロジウム(II)錯体は、銅をはじめとする遷移金属及びそれらの錯体に比べ遥かに緩和な条件下でα-ジアゾカルボニル化合物を速やかにジアゾ分解し、現在なお直接的な構造証明には至っていないが、ロジウム(II)カルベン中間体を生成すると考えられている。

ロジウム(II)カルベン中間体のカルベン炭素は非常に高い求電子性を示し、この中間体に基づく反応は多岐にわたる。例えば炭素-炭素多重結合への付加、C-H及びX-H (X = N, O, S, Se, Siなど)結合への挿入あるいはイリド形成を引き金とする転位及び付加環化反応などが知られている。いずれも触媒反応であり、炭素-炭素結合形成と同時に不斉炭素を創出する合成化学上重要な反応である(非特許文献1)。

Rh2(OAc)4は架橋配位子であるアセタートを配位子交換反応により容易に種々カルボキシラートやアミダートに置き換えることが可能であり、多様な性質を持つロジウム(II)錯体を合成する事ができる。例えば、Doyleらは不斉空間が固定された不斉アミダート錯体Rh2(5S-MEPY)4やRh2(4S-MPPIM)4等を開発した(非特許文献2)。本錯体はα-ジアゾアセタートあるいはα-ジアゾアセトアミドの分子内C-H挿入反応や分子内シクロプロパン化反応において高いエナンチオ選択性を示す。McKervey、Daviesらはアレーンスルホニルプロリナートを架橋配位子に組み込んだロジウム(II)カルボキシラート錯体を開発した。特にDaviesらが開発したRh2(S-DOSP)4はヘキサン中で行なうフェニルジアゾアセタートあるいはビニルジアゾアセタートの分子間C-H挿入反応や分子間シクロプロパン化反応において極めて高いエナンチオ選択性が実現する(非特許文献3)。

本発明者らは光学活性N-フタロイルアミノ酸を架橋配位子として組み込んだロジウム(II)カルボキシラート錯体を開発し、種々のα-ジアゾカルボニル化合物を基質とする分子内不斉C-H挿入反応やイリド形成を経る不斉付加環化・転移反応を報告している(非特許文献4)。





均一系遷移金属錯体を用いる不斉触媒反応は、反応終了後の触媒と目的物の分離・精製はしばしば困難な場合がある。特に医薬品・化粧品や食品などの属する分野では、厳密に生成物から重金属を除く必要がある。また高価な配位子や金属を使用するため、大量合成に適用する際の経済性が問題となる。このため、金属錯体の除去法あるいは回収・再利用可能な触媒の開発が活発に行われている(非特許文献5)。

ロジウム(II)錯体の除去・回収及び再利用に関する解決策の一つとして、不溶性固相担体へのロジウム(II)錯体の担持が挙げられる。固相ロジウム(II)錯体を用いることで、生成物との容易な分離、高価なロジウム錯体の回収及び再利用、金属の浸出の回避が理論的には可能となる。例えばDoyleらは、可溶性ポリエチレンを組み込んだピロリジノン-5(S)-カルボキシラートを架橋配位子とするロジウム(II)アミダート錯体Rh2(S-PYCA)4を開発した。本錯体はα-ジアゾアセタートの分子内不斉C-H挿入反応において、良好な不斉収率を維持しつつ数回の再利用に成功している(非特許文献6)。また、Daviesらは二核ロジウム(II)錯体のアキシアル位が種々のルイス塩基性の軸配位子で占有されている性質に着目し、Rh2(S-DOSP)4をはじめとする種々のロジウム(II)錯体に固相上のピリジンを配位することで担持する方法論を提示した。フェニルジアゾアセタートの分子間不斉C-H挿入反応において、固定化Rh2(S-DOSP)4触媒は、Rh2(S-DOSP)4単独で用いた場合と同等の触媒活性及び不斉識別能を示すことを見出している(非特許文献7)。一方、Biffisらはペルフルオロアルキル鎖を組み込んだシリカゲルにロジウム(II)ペルフルオロカルボキシラート錯体を保持した触媒を開発し、アルコールのシリル化反応における触媒の回収、再利用を実現している(非特許文献8)。





【非特許文献1】

ynthesis, 2003, 1137-1156.

【非特許文献2】

hem. Rev. 1998, 98, 911-935.

【非特許文献3】

hem. Rev. 2003, 103, 2861-2903.

【非特許文献4】

dv. Synth. Catal. 2005, 347, 1483-1487.

【非特許文献5】

hem. Rev. 2002, 102, 3275-3300.

【非特許文献6】

. Org. Chem. 1992, 57, 6103-6105.

【非特許文献7】

rg. Lett. 2003, 5, 479-482.

【非特許文献8】

reen Chem. 2003, 5, 170-173.

産業上の利用分野



この発明は、高分子担持ロジウム(II)触媒、この触媒を用いたα-ジアゾカルボニル化合物の炭素-炭素多重結合への付加、C-H及びX-H (X = N, O, S, Se, Siなど)結合への挿入あるいはイリド形成を引き金とする転位・付加環化反応に関し、有機合成の属する分野及び他の分野において要求されているアトムエコノミーに供するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
金属を架橋高分子に担持させてなる下式(化1)
【化1】


(式中、MとM、ロジウムであって、Xは酸素原子、硫黄原子又は=NR基(式中、Rは水素原子又はアルキル基を表す。)を表し、Rは置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルキルオキシ基又はアルキルアミノ基を表し、k+l+mに対してkは1~15%、mは0より大きく99%以下、lは残部を表し、nはMとMの原子価によって定まる整数であって2~4の整数を表し、R~Rは下記で定義する。)で表される分子内不斉C-H挿入反応又はカルボニルイリドの1,3-双極付加環化反応用の高分子担持金属錯体触媒であって、
(1)一般式(化2)
【化2】


(式中、Rはヘテロ原子を含んでもよい2価の炭化水素基を表し、Xは上記の定義のとおりであり、その他のビニル基炭素には任意に置換基が結合していてもよい。)で表される配位性モノマー、一般式(化3)
【化3】


(式中、Rは芳香族基を表し、その他のビニル基炭素には任意に置換基が結合していてもよい。)で表される疎水性モノマー、及び下記一般式(化4)
【化4】


(式中、Rはヘテロ原子を含んでもよい2価の炭化水素基を表し、その他のビニル基炭素には任意に置換基が結合していてもよい。)で表される重合性モノマーを共重合させて架橋高分子を合成する段階、及び
(2)該架橋高分子と下記一般式(化5)
(RCXO)
(式中、R、X、n、M及びMは上記の定義のとおりである。)で表される錯体とを配位子交換させる段階
から成る方法により形成されることを特徴とする高分子担持金属錯体触媒。

【請求項2】
前記重合性モノマーが下式(化6)
【化6】


(式中、R及びRは、それぞれ独立して、-O-、-S-、-NR-又は-PR-(式中、RびRは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。)を表し、oは0~4の整数を表し、pは1~12の整数を表し、qは0~4の整数を表し、rは0~20の整数表す。)で表される請求項1に記載の高分子担持金属錯体触媒。

【請求項3】
分子内不斉C-H挿入反応又はカルボニルイリドの1,3-双極付加環化反応における請求項1又は2に記載の触媒の使用。

【請求項4】
金属を架橋高分子に担持させてなる下式(化1)
【化1】


(式中、MとM、ロジウムであって、Xは酸素原子、硫黄原子又は=NR基(式中、Rは水素原子又はアルキル基を表す。)を表し、Rは置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルキルオキシ基又はアルキルアミノ基を表し、k+l+mに対してkは1~15%、mは0より大きく99%以下、lは残部を表し、nはMとMの原子価によって定まる整数であって2~4の整数を表し、R~Rは下記で定義する。)で表される分子内不斉C-H挿入反応又はカルボニルイリドの1,3-双極付加環化反応用の高分子担持金属錯体触媒であって、
(1)一般式(化21)
【化21】


(式中、R10はヘテロ原子を含んでもよい2価の炭化水素基を表し、Xは上記の定義のとおりである。)で表される配位性化合物と下記一般式(化5)
(RCXO)
(式中、R、X、n、M及びMは上記の定義のとおりである。)で表される錯体との配位子交換により金属(M及びM)を該配位性化合物に担持させる段階、
(2)この金属を担持させた配位性化合物から、一般式(化22)
【化22】


(式中、R10、R、X、n、M及びMは上記の定義のとおりである。)で表される化合物を単離する段階、
(3)上記化合物(化22)にビニル基を導入して、一般式(化23)
【化23】


(式中、Rはヘテロ原子を含んでもよい2価の炭化水素基を表し、R、X、n、M及びMは上記の定義のとおりである。)表される配位性モノマーを合成する段階、及び
(4)当該金属を担持させた配位性モノマー、一般式(化3)
【化3】


(式中、Rは芳香族基を表し、その他のビニル基炭素には任意に置換基が結合していてもよい。)で表される疎水性モノマー、及び下記一般式(化4)
【化4】


(式中、Rはヘテロ原子を含んでもよい2価の炭化水素基を表し、その他のビニル基炭素には任意に置換基が結合していてもよい。)で表される重合性モノマーを共重合させる段階、
から成る方法により形成されることを特徴とする高分子担持金属錯体触媒。

【請求項5】
前記重合性モノマーが下式(化6)
【化6】


(式中、R及びRは、それぞれ独立して、-O-、-S-、-NR-又は-PR-(式中、RびRは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。)を表し、oは0~4の整数を表し、pは1~12の整数を表し、qは0~4の整数を表し、rは0~20の整数表す。)で表される請求項4に記載の高分子担持金属錯体触媒。


【請求項6】
分子内不斉C-H挿入反応又はカルボニルイリドの1,3-双極付加環化反応における請求項4に記載の触媒の使用。

【請求項7】
金属を架橋高分子に担持させてなる下式(化1)
【化1】


(式中、MとM、ロジウムであって、Xは酸素原子、硫黄原子又は=NR基(式中、Rは水素原子又はアルキル基を表す。)を表し、Rは置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルキルオキシ基又はアルキルアミノ基を表し、k+l+mに対してkは1~15%、mは0より大きく99%以下、lは残部を表し、nはMとMの原子価によって定まる整数であって2~4の整数を表し、R~Rは下記で定義する。)で表される分子内不斉C-H挿入反応又はカルボニルイリドの1,3-双極付加環化反応用の高分子担持金属錯体触媒の製法であって、
(1)一般式(化2)
【化2】


(式中、Rはヘテロ原子を含んでもよい2価の炭化水素基を表し、Xは上記の定義のとおりであり、その他のビニル基炭素には任意に置換基が結合していてもよい。)で表される配位性モノマー、一般式(化3)
【化3】


(式中、Rは芳香族基を表し、その他のビニル基炭素には任意に置換基が結合していてもよい。)で表される疎水性モノマー、及び下記一般式(化4)
【化4】


(式中、Rはヘテロ原子を含んでもよい2価の炭化水素基を表し、その他のビニル基炭素には任意に置換基が結合していてもよい。)で表される重合性モノマーを共重合させて架橋高分子を合成する段階、及び
(2)該架橋高分子と下記一般式(化5)
(RCXO)
(式中、R、X、n、M及びMは上記の定義のとおりである。)で表される錯体とを配位子交換させる段階
から成る高分子担持金属錯体触媒の製法。

【請求項8】
金属を架橋高分子に担持させてなる下式(化1)
【化1】


(式中、MとM、ロジウムであって、Xは酸素原子、硫黄原子又は=NR基(式中、Rは水素原子又はアルキル基を表す。)を表し、Rは置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルキルオキシ基又はアルキルアミノ基を表し、k+l+mに対してkは1~15%、mは0より大きく99%以下、lは残部を表し、nはMとMの原子価によって定まる整数であって2~4の整数を表し、R~Rは下記で定義する。)で表される分子内不斉C-H挿入反応又はカルボニルイリドの1,3-双極付加環化反応用の高分子担持金属錯体触媒の製法であって、
(1)一般式(化21)
【化21】


(式中、R10はヘテロ原子を含んでもよい2価の炭化水素基を表し、Xは上記の定義のとおりである。)で表される配位性化合物と下記一般式(化5)
(RCXO)
(式中、R、X、n、M及びMは上記の定義のとおりである。)で表される錯体との配位子交換により金属(M及びM)を該配位性化合物に担持させる段階、
(2)この金属を担持させた配位性化合物から、一般式(化22)
【化22】


(式中、R10、R、X、n、M及びMは上記の定義のとおりである。)で表される化合物を単離する段階、
(3)上記化合物(化22)にビニル基を導入して、一般式(化23)
【化23】


(式中、Rはヘテロ原子を含んでもよい2価の炭化水素基を表し、R、X、n、M及びMは上記の定義のとおりである。)表される配位性モノマーを合成する段階、及び
(4)当該金属を担持させた配位性モノマー、一般式(化3)
【化3】


(式中、Rは芳香族基を表し、その他のビニル基炭素には任意に置換基が結合していてもよい。)で表される疎水性モノマー、及び下記一般式(化4)
【化4】


(式中、Rはヘテロ原子を含んでもよい2価の炭化水素基を表し、その他のビニル基炭素には任意に置換基が結合していてもよい。)で表される重合性モノマーを共重合させる段階、
から成る高分子担持金属錯体触媒の製法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

JP2008526709thum.jpg
出願権利状態 登録
ライセンスをご希望の方、特許の内容に興味を持たれた方は、下記までご連絡ください


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close