TOP > 国内特許検索 > 2光子励起蛍光観察方法及び装置

2光子励起蛍光観察方法及び装置

国内特許コード P09P006618
整理番号 22201
掲載日 2010年1月22日
出願番号 特願2008-177267
公開番号 特開2010-014677
登録番号 特許第5137026号
出願日 平成20年7月7日(2008.7.7)
公開日 平成22年1月21日(2010.1.21)
登録日 平成24年11月22日(2012.11.22)
発明者
  • 磯部 圭佑
  • 須田 亮
  • 緑川 克美
  • 神成 文彦
  • 宮脇 敦史
出願人
  • 独立行政法人理化学研究所
発明の名称 2光子励起蛍光観察方法及び装置
発明の概要

【課題】広帯域パルスレーザーを用いた2光子励起蛍光観察において同時励起、選択的励起の切り替えを行う。
【解決手段】広帯域パルスの位相変調関数として、光源が有する全波長帯域において励起エネルギーが最も大きくなる第1の位相関数φc(ω)と小さくなる第2の位相関数φd(ω)とを組み合わせた関数を用いる。励起したい蛍光分子の2光子吸収断面積が大きな波長帯域1には第1の位相関数を、蛍光を抑制したい分子の2光子吸収断面積が大きな波長帯域2には第2の位相関数を用いることにより選択的励起を行う。さらに、第1の位相関数に0から1の割合で第2の位相関数を加算した位相関数を与え、その割合を波長帯域1と2で各々調整することにより、2種類の蛍光分子から発生する2光子励起蛍光強度を独立に制御する。このとき、波長帯域1,2のいずれかの位相関数に群遅延を与える位相を加えることによって、2種類の蛍光分子を独立に扱うことができる。
【選択図】図7

従来技術、競合技術の概要


フェムト秒レーザーを励起光源とした2光子励起蛍光顕微鏡は生細胞内の生命現象可視化に欠かせない技術である。生命現象の解明において重要となっているタンパク質分子間相互作用の可視化においては、マルチカラーイメージング、蛍光相互相関分光法と蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)イメージングが必要不可欠である。マルチカラーイメージングは、スペクトル情報を介して回折限界領域内に同時に存在するタンパク質についての情報を与える。蛍光相互相関分光法では、タンパク質の相互作用を定量的に測定可能である。また、FRETイメージングは、タンパク質-タンパク質相互作用及びタンパク質のconformal change(構造変化)についての空間的及び時間的情報を与える。マルチカラーイメージングや蛍光相互相関分光法では複数種類の蛍光分子を同時に2光子励起する必要があり、FRETイメージングでは一種類の蛍光分子のみを選択的に2光子励起する必要がある。



2光子励起蛍光顕微鏡において、特定の蛍光分子を選択的に2光子励起するための広帯域パルスの位相変調法がいくつか報告されている。非特許文献1-3には、正弦波関数の位相変調を用いた選択的励起法が報告されている。また、非特許文献4,5にはバイナリの位相変調を用いた選択的励起法が報告されている。




【特許文献1】米国特許第7105811号明細書

【非特許文献1】D. Meshulach, Y. Silberberg, “Coherent quantum control of two-photon transitions by a femtosecond laser pulse,” Nature 396, 239-242 (1998)

【非特許文献2】K. A. Walowicz, I. Pastirk, V. V. Lozovoy, and M. Dantus, “Multiphoton intrapulse interference. 1. Control of multiphoton processes in condensed phases,” J. Phys. Chem. A 106, 9369-9373 (2002).

【非特許文献3】V. V. Lozovoy, I. Pastirk, K. A. Walowicz, and M. Dantus, “Multiphoton intrapulse interference. II. Control of two- and three-photon laser induced fluorescence with shaped pulses,” J. Chem. Phys. 118, 3187-3196 (2003).

【非特許文献4】M. Comstock, V. V. Lozovoy, I. Pastirk, and M. Dantus, “Multiphoton intrapulse interference 6; binary phase shaping,” Opt. Express 12, 1061-1066 (2004).

【非特許文献5】V. V. Lozovoy, B. Xu, J. C. Shane, and M. Dantus “Selective nonlinear optical excitation with pulses shaped by pseudorandom Galois fields,” Phys. Rev. A 74, 041805(R) (2006).

産業上の利用分野


本発明は、2光子励起蛍光観察方法及び装置に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
広帯域パルスレーザー光源と、
前記パルスレーザー光源から発生されたレーザー光のスペクトル位相を変調する位相変調部と、
前記位相変調部から出射したレーザー光を試料に照射し、試料から発生された2光子励起蛍光強度を測定する蛍光測定部と、
前記位相変調部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記パルスレーザー光源の全波長帯域において第二高調波の光強度が最も高くなる第1の位相関数と、前記パルスレーザー光源の全波長帯域において第二高調波の光強度が最も小さくなる第2の位相関数とを保持し、前記第1の位相関数と第2の位相関数を組み合わせて得られる合成位相関数によって前記位相変調部を制御することを特徴とする2光子励起蛍光観察装置。

【請求項2】
請求項1記載の2光子励起蛍光観察装置において、前記試料は少なくとも2種類の蛍光分子を含み、前記制御部は、第1の蛍光分子の2光子吸収断面積が大きな波長帯域に前記第1の位相関数を適用し、他の蛍光分子の2光子吸収断面積が大きな波長帯域に前記第2の位相関数を適用するようにして前記位相変調部を制御し、前記第1の蛍光分子を選択的に2光子励起することを特徴とする2光子励起蛍光観察装置。

【請求項3】
請求項1記載の2光子励起蛍光観察装置において、前記制御部は、所定の境界波長を境に波長を複数の波長帯域に分割し、その波長帯域の一つに前記第1の位相関数を適用し、残りの波長帯域に前記第2の位相関数を適用して生成された合成位相関数によって前記位相変調部を制御し、前記第1の位相関数が適用された波長帯域に大きな2光子吸収断面積を有する蛍光分子を選択的に励起することを特徴とする2光子励起蛍光観察装置。

【請求項4】
請求項1記載の2光子励起蛍光観察装置において、前記試料は少なくとも第1の蛍光分子と第2の蛍光分子を含み、前記制御部は、前記第1の蛍光分子の2光子吸収断面積が大きな第1の波長帯域に対して、前記第1の位相関数に前記第2の位相関数を第1の割合で加算した位相関数を適用し、前記第2の蛍光分子の2光子吸収断面積が大きな第2の波長帯域に対して、前記第1の位相関数に前記第2の位相関数を第2の割合で加算した位相関数を適用し、かつ前記第1の波長帯域に適用する位相関数と第2の波長帯域に適用する位相関数の一方に群遅延時間をもたらす位相を加えて得られた合成位相関数によって前記位相変調部を制御し、前記第1の蛍光分子と前記第2の蛍光分子を同時に2光子励起することを特徴とする2光子励起蛍光観察装置。

【請求項5】
請求項1記載の2光子励起蛍光観察装置において、前記制御部は、所定の境界波長を境に波長を少なくとも第1の波長帯域と第2の波長帯域に分割し、前記第1の波長帯域に対して、前記第1の位相関数に前記第2の位相関数を第1の割合で加算した位相関数を適用し、前記第2の波長帯域に対して、前記第1の位相関数に前記第2の位相関数を第2の割合で加算した位相関数を適用し、かつ前記第1の波長帯域に適用する位相関数と第2の波長帯域に適用する位相関数の一方に群遅延時間をもたらす位相を加えて得られた合成位相関数によって前記位相変調部を制御し、前記第1の波長帯域に大きな2光子吸収断面積を有する第1の蛍光分子と前記第2の波長帯域に大きな2光子吸収断面積を有する第2の蛍光分子を同時に2光子励起することを特徴とする2光子励起蛍光観察装置。

【請求項6】
請求項4又は5記載の2光子励起蛍光観察装置において、前記制御部は、前記第1の割合及び/又は第2の割合を調整することにより前記第1の蛍光分子と第2の蛍光分子から発生する2光子励起蛍光強度を独立に制御することを特徴とする2光子励起蛍光観察装置。

【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項記載の2光子励起蛍光観察装置において、前記位相変調部は、前記パルスレーザー光源から発生されたレーザー光を分光する第1の分光素子と、前記第1の分光素子によって分光されたスペクトル光を平行光にする第1の集光素子と、前記平行光にされたスペクトル光のスペクトル位相を変調する空間光変調器と、前記空間光変調器を通った平行光を集光する第2の集光素子と、前記第2の集光素子の集光点に配置され前記集光された光を光ビームに整形する第2の分光素子とを備えることを特徴とする2光子励起蛍光観察装置。

【請求項8】
請求項7記載の2光子励起蛍光観察装置において、前記空間光変調器は、スペクトル分散方向に並べて配置された複数の位相変調素子を備えることを特徴とする2光子励起蛍光観察装置。

【請求項9】
請求項1記載の2光子励起蛍光観察装置において、前記蛍光測定部に試料に代えて非線形光学結晶を配置し、当該結晶から発生する第二高調波の信号が最も大きくなるように前記制御部によって前記位相変調部を最適制御して前記第1の位相関数を取得し、前記第二高調波の信号が最も小さくなるように前記制御部によって前記位相変調部を最適制御して前記第2の位相関数を取得することを特徴とする2光子励起蛍光観察装置。

【請求項10】
請求項1記載の2光子励起蛍光観察装置において、前記蛍光測定部の試料位置における光パルスのスペクトル位相を測定し、それを打ち消すような位相を前記第1の位相関数として取得し、前記レーザー光のパルス幅を長くするような位相関数を前記第2の位相関数として取得することを特徴とする2光子励起蛍光観察装置。

【請求項11】
2光子励起スペクトルが異なる第1の蛍光分子と第2の蛍光分子を含む試料中の前記第1の蛍光分子を選択的に2光子励起して蛍光観察する2光子励起蛍光観察方法において、
広帯域パルスレーザー光源の全波長帯域において第二高調波の光強度が最も高くなる第1の位相関数と、前記第二高調波の光強度が最も小さくなる第2の位相関数とを取得する工程と、
前記広帯域パルスレーザー光源から発生されたレーザー光のスペクトル位相を、前記第1の蛍光分子の2光子吸収断面積が大きな波長帯域には前記第1の位相関数を適用し、前記第2の蛍光分子の2光子吸収断面積が大きな波長帯域には前記第2の位相関数を適用して得られた位相関数で変調する工程と、
前記スペクトル位相が変調されたレーザー光を試料に照射する工程と、
前記試料から発生される蛍光を検出する工程と、
を有することを特徴とする2光子励起蛍光観察方法。

【請求項12】
2光子励起スペクトルが異なる第1の蛍光分子と第2の蛍光分子を含む試料中の前記第1の蛍光分子と前記第2の蛍光分子を同時に2光子励起して蛍光観察する2光子励起蛍光観察方法において、
広帯域パルスレーザー光源の全波長帯域において第二高調波の光強度が最も高くなる第1の位相関数と、前記第二高調波の光強度が最も小さくなる第2の位相関数とを取得する工程と、
前記広帯域パルスレーザー光源から発生されたレーザー光のスペクトル位相を、前記第1の蛍光分子の2光子吸収断面積が大きな波長帯域には前記第1の位相関数に前記第2の位相関数を第1の割合で加算した位相関数を適用し、前記第2の蛍光分子の2光子吸収断面積が大きな波長帯域には前記第1の位相関数に前記第2の位相関数を第2の割合で加算した位相関数を適用し、かつ前記第1の波長帯域に適用する位相関数と第2の波長帯域に適用する位相関数の一方に群遅延時間をもたらす位相を加えて得られた位相関数で変調する工程と、
前記スペクトル位相が変調されたレーザー光を試料に照射する工程と、
前記試料から発生される蛍光を検出する工程と、
を有することを特徴とする2光子励起蛍光観察方法。

【請求項13】
請求項12記載の2光子励起蛍光観察方法において、前記第1の割合及び/又は第2の割合を調整することにより前記第1の蛍光分子と第2の蛍光分子から発生する2光子励起蛍光強度を独立に制御することを特徴とする2光子励起蛍光観察方法。

【請求項14】
請求項11~13のいずれか1項記載の2光子励起蛍光観察方法において、蛍光測定部に試料に代えて非線形光学結晶を配置し、当該結晶から発生する第二高調波の信号が最も大きくなるように前記レーザー光のスペクトル位相を最適制御して前記第1の位相関数を取得し、前記第二高調波の信号が最も小さくなるように前記レーザー光のスペクトル位相を最適制御して前記第2の位相関数を取得することを特徴とする2光子励起蛍光観察方法。

【請求項15】
請求項11~13のいずれか1項記載の2光子励起蛍光観察方法において、試料位置における前記レーザー光のスペクトル位相を測定し、それを打ち消すような位相を前記第1の位相関数として取得し、前記レーザー光のパルス幅を長くするような位相関数を前記第2の位相関数として取得することを特徴とする2光子励起蛍光観察方法。

【請求項16】
請求項11~13のいずれか1項記載の2光子励起蛍光観察方法において、前記第1の位相関数及び第2の位相関数は、記憶媒体から読み出すことによって取得することを特徴とする2光子励起蛍光観察方法。
産業区分
  • 試験、検査
  • 光学装置
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

JP2008177267thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
ライセンスをご希望の方、特許の内容に興味を持たれた方は、下記「問合せ先」まで直接お問い合わせください。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close