TOP > 国内特許検索 > 無機化合物-有機化合物複合体よりなる二光子吸収膜の製造方法

無機化合物-有機化合物複合体よりなる二光子吸収膜の製造方法

国内特許コード P09P007252
整理番号 IP564
掲載日 2010年1月22日
出願番号 特願2008-174677
公開番号 特開2010-014958
登録番号 特許第5585902号
出願日 平成20年7月3日(2008.7.3)
公開日 平成22年1月21日(2010.1.21)
登録日 平成26年8月1日(2014.8.1)
発明者
  • 川俣 純
  • 鈴木 康孝
  • 平川 祥一朗
出願人
  • 国立大学法人山口大学
発明の名称 無機化合物-有機化合物複合体よりなる二光子吸収膜の製造方法
発明の概要 【課題】
本発明は極めて断面積の大きい二光子吸収材料である。すなわち、組成物の一光子吸収帯よりも長波長側に新たな吸収帯が出現することを特徴とする二光子吸収材料を提供する。
【解決手段】
本発明は、粘土鉱物のイオン交換容量のうち、その3~40%に、置換又は非置換の芳香族基よりなる電子求引性発色団と電子供与性芳香族基とが共役結合基を介して結合されている有機化合物が吸収した無機化合物-有機化合物の複合体よりなる二光子吸収材料。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要



近年、3次の非線形光学材料の中でも、二光子吸収材料が関心を集めており、光デバイスおよびバイオ関係で種々の応用が期待されている。





二光子吸収とは、化合物が2つの光子を同時に吸収して、励起される現象である。すなわち、化合物の吸収帯が存在しないエネルギー領域で、2つの光子を同時に吸収し励起状態へと電子が遷移する現象である。





化合物が二光子吸収により励起された場合であっても、エネルギーを放出する段階においては、1光子吸収励起と同様に種々の形でエネルギーを放出する。たとえば、失活過程において、蛍光、リン光や熱としてエネルギーを放出するものなどがある。





2光子吸収の効率は、印加する光電場の2乗に比例するため、物質内等の3次元空間で、レーザー光をレンズで集光し、焦点の電界強度を高めることにより励起し、空間の一点で2光子吸収を起こさせ、焦点のみで二光子発光させたり、或いは高熱を生じさせて化学変化を起こさせるなど、光励起に対して高い空間分解能を与えることができる。このため、物体、特に透光性物体の内部の加工等を可能としたり、物体深奥部で特殊な発光をさせるなどができる。特に光記録用の記録媒体への応用は、3次元空間分解能などの観点から、これまでの1光子励起よりも利点が多い。





しかしながら、二光子吸収材料は、一般に吸収断面積が極めて小さく、フェムト秒レーザー等のピーク出力の大きい、高価でかつ大型のパルスレーザー光源を用いる必要があった。





かかる問題を解決するためには、より二光子吸収効率の高い材料の開発が望まれ、これまでに種々の化合物が提案されている。例えば、有機化合物としてカルバゾール誘導体(特許文献1)、ヨードニウム塩構造を有する化合物(特許文献2)、テトラベンゾポリフィリン誘導体(特許文献3)、金属ポリフィリン類、フタロシアニン系化合物(特許文献4)、テトラアザポルフィリン化合物(特許文献5)、或いは下記一般式で示されるケトン類。





【化1】




(X、Xは置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のヘテロ環基を表し、同一でも異なっていてもよく、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子、または置換基、R、R、RおよびRのうちのいくつかが互いに結合して環を形成してもよく、nおよびmは2以上の場合、複数個のR、R、RおよびRは同一でも、それぞれ異なっていてもよく、n及びmは、それぞれ独立に1~4の整数を表す。)(特許文献6)など多数が提案されている。また無機-有機複合体物質としては、ポリマーの中に金属微粒子を分散させたもの(非特許文献1)、有機金属錯体(非特許文献2)、粘土鉱物に有機色素を吸着させたもの(非特許文献3)などが提案されている。





しかしながら、これらの提案にあっても、まだ十分な効果が得られず、強い光を発生するには高価でしかも大型の装置を必要とし、応用を実現するためにはより安価な光源で励起可能な、すなわち二光子吸収効率が高い材料の開発が望まれていた。





本発明は、上記の状況に鑑み、二光子吸収効率の高い材料の開発を目指し、粘土鉱物と有機化合物の複合体に着目し、研究を重ねた結果、極めて効率の高い材料を見出すことに成功した。





従来、粘土鉱物と有機化合物との複合体としては、非特許文献3において、合成サポナイトと1,4-bis(2,5-dimethoxy-4-{2-[4-(N-methyl)pyridinium]ethenyl}-phenyl)butadiy

ne triflate(MPPBT)が複合化することで、分散媒中でその二光子吸収断面積が2.5倍に増加したことが報告されている。この論文で示されている増加の理由は、化合物の向きと励起光の偏光の向きが揃う効果、化合物の回転が抑制され化合物の共役が強く働く効果であり、粘土の交換容量に対する色素の吸着量(CEC比という)は関係ないとされている。





これら従来提案された各二光子吸収材料においては、確かに吸収効率の改善は認められるが、上述のとおり、未だ十分とは言えず、更なる吸収断面積の大きい二光子吸収材料が望まれていた。

【特許文献1】

開2001-264828号

【特許文献2】

開平10-325968号

【特許文献3】

開平9-179153号

【特許文献4】

開平7-218939号

【特許文献5】

開平5-5916号

【特許文献6】

開2003-183213号

【非特許文献1】

.C.Strandwitz,etal.,J.Am.Chem.Soc.,(2008)130, 8280.

【非特許文献2】

.Mazzucato,etal.,Phys.Chem.Chem.Phys.,(2007)9,2999.

【非特許文献3】

.Kamada,et al.,J.Phys.Chem.C,(2007)111,11193.

産業上の利用分野



本発明は、新規な二光子吸収膜に関する。詳しくは無機イオン交換体である粘土鉱物に特定の有機化合物を吸着させた無機化合物-有機化合物の複合体よりなる二光子吸収膜である。

特許請求の範囲 【請求項1】
溶液中に希薄に分散し、強力に撹拌することにより、0.01μ~数μmの粒子に分散させたスメクタイトの分散媒中に、発色団を形成する置換又は非置換の電子求引性芳香族基と、電子供与性基を有する置換又は非置換の芳香族基とが共役基を介して結合した有機化合物を加えて撹拌することにより、該スメクタイトのイオン交換容量のうち、その3~40%を該有機化合物で吸着させた無機化合物-有機化合物複合体を厚さ0.5μm~10μmに堆積させてなる二光子吸収膜の製造方法

【請求項2】
電子求引性基がオニウムイオン基の中から選ばれる少なくとも一つの基を有する芳香族基である請求項1記載の二光子吸収膜の製造方法

【請求項3】
スメクタイトがサポナイト、ソーコライト、バイデライト、ヘクトライト、及びモンモリロナイトのうちから選ばれる少なくとも一種である請求項1又は2記載の二光子吸収膜の製造方法

【請求項4】
電子供与性基が、アミノ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、水酸基、ハロゲン原子、アルキル基を有する芳香族基である請求項1乃至3のいずれかに記載の二光子吸収膜の製造方法

【請求項5】
スメクタイトに吸着してなる有機化合物がシアニン系色素、メロシアニン系色素、ヘミシアニン系色素、及びピリリウム系色素から選ばれる少なくとも一種である請求項1乃至4のいずれかに記載の無機化合物-有機化合物の複合体よりなる二光子吸収膜の製造方法
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
山口TLOは平成11年11月に山口大学の教官50名の出資により設立された、リエゾン一体型のTLO活動会社です。山口大学を主とし、山口県内の大学・高専の研究成果をご紹介致します。特許の内容に興味を持たれた方は、下記までご連絡ください。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close