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多包条虫由来の新規蛋白質

国内特許コード P09A015088
整理番号 P2006-145-JP01
掲載日 2010年2月19日
出願番号 特願2007-022365
公開番号 特開2008-187900
登録番号 特許第5055522号
出願日 平成19年1月31日(2007.1.31)
公開日 平成20年8月21日(2008.8.21)
登録日 平成24年8月10日(2012.8.10)
発明者
  • 奥 祐三郎
  • 松本 淳
  • 八木 欣平
  • 加藤 芳伸
  • 孝口 裕一
  • 鈴木 智宏
  • 後藤 明子
出願人
  • 国立大学法人北海道大学
  • 北海道
発明の名称 多包条虫由来の新規蛋白質
発明の概要

【課題】ヒト及び/又は終宿主となる犬を含む哺乳動物に対する多包条虫感染の予防、治療並びに哺乳動物に対する多包条虫感染の早期発見を可能にする、多包条虫由来の新規な蛋白質を提供する。
【解決手段】多包条虫(Echinococcus multilocularis)由来の特定のアミノ酸配列からなるポリペプチド、または上記ポリペプチドのアミノ酸配列において1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、多包条虫に対する特異抗体を哺乳動物に惹起させる作用を有するポリペプチド。
【選択図】なし

従来技術、競合技術の概要


多包条虫(Echinococcus multilocularis)はヒトに致死的な経過をもたらす人獣共通感染症であり、北半球の広い範囲にその分布が確認されている。日本においては北海道に常在し、毎年15-20名程度の感染者の発生が確認されている。



多包条虫は、中間宿主と終宿主が関与する複雑な生活環を有している。げっ歯類などの中間宿主に摂取された多包条虫の虫卵は、中間宿主の消化管内で孵化し、幼虫となる。その後、血行性に肝臓に定着、増殖した幼虫は、嚢包状の幼虫シストを形成する。幼虫シストの内部には、原頭節と呼ばれる構造が多数形成される。その中間宿主がイヌ科動物あるいはネコ科動物などの終宿主に捕食されることで、原頭節は終宿主の小腸に定着して未熟成虫に成育し、さらに1ヶ月ほど経過し成熟成虫となった後、虫卵を放出する。この虫卵は終宿主の糞便と共に外界に排出され、再び中間宿主あるいはヒト等の他の宿主に取り込まれる。



多包条虫のヒトへの感染は、虫卵を偶発的に経口摂取することによって成立する。ヒトの消化管内で虫卵から孵化した幼虫は、血行性に肝臓などの主要臓器の組織内に定着した後、ヒト体内で無性増殖をくり返し、数年以内に転移、寄生臓器の機能障害などを引き起こす。感染早期に外科的切除等の治療が施せなかった場合には致死的経過をたどる。またヒトへの感染リスクは、愛玩動物として飼われている犬に多包条虫が感染することで飛躍的に高まることを受けて、平成16年から政令により飼い犬の多包条虫感染の届出が義務付けられている。



これまでの多包条虫感染に関する研究は、多包条虫感染の確認、特に感染初期における早期発見を目的に行われてきた。多包条虫感染を確認する方法としては、検体の糞便内の片節もしくは虫卵を、多包条虫の抗原を用いて作製されたポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体を用いて検出する方法(非特許文献1、特許文献1)あるいはPCR技術を用いて検出する方法(非特許文献2、非特許文献3)などが主に用いられている。



しかし、片節および虫卵が糞便に排出されるのは多包条虫が感染して宿主腸管内で成熟した後であり、またその期間は1ヶ月目~数ヶ月というごく僅かな期間でしかないことから、糞便を対象とした検出法では、特に感染早期に多包条虫の確認を行うことができない。また、糞便を対象にした検査法における大きな問題は、検査を行う獣医師等への多包条虫感染の危険性が高いということである。そのため、ヒト及びヒトへの感染源の一つとなるキツネや犬、特に飼い犬に対する多包条虫感染の予防は、感染の早期発見とともに重要な課題となっている。

【非特許文献1】Deplazes P.ら、Parasitology Research、1992年、第78巻、第303-308頁

【非特許文献2】Deplazes P.ら、J.,Applied Parasitology、1996年、第37巻、第245-252頁

【非特許文献3】Mathis A.ら、Journal of Helminthology、1996年、第70巻、第219-222頁

【特許文献1】特開2001-292766号公報

産業上の利用分野


本発明は、多包条虫由来の新規蛋白質、それをコードする遺伝子、多包条虫感染症治療薬、多包条虫感染症に対するワクチン、ならびに多包条虫の検出方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、または配列番号1に示されるアミノ酸配列において1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、多包条虫に対する特異抗体を哺乳動物に惹起させる作用を有するポリペプチド。

【請求項2】
哺乳動物に対する多包条虫の感染を抑制するワクチン作用を有するポリペプチドである、請求項1に記載のポリペプチド。

【請求項3】
請求項1又は2に記載のポリペプチドをコードする核酸。

【請求項4】
配列番号2に示される塩基配列、または配列番号2に示される塩基配列に相補する塩基配列からなる核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、哺乳動物への多包条虫感染を抑制するワクチン作用を有するポリペプチドをコードする塩基配列からなる、請求項3に記載の核酸。

【請求項5】
請求項3又は4に記載の核酸を含んでなる組み換えベクター。

【請求項6】
請求項5に記載のベクターによって形質転換された宿主細胞。

【請求項7】
請求項2に記載のポリペプチドを含む、多包条虫感染症に対するワクチン。

【請求項8】
請求項3又は4に記載の核酸を含む、多包条虫感染症に対するワクチン。

【請求項9】
請求項1に記載のポリペプチドに対する特異抗体。

【請求項10】
請求項9に記載の特異抗体を有効成分とする、多包条虫感染症治療薬。

【請求項11】
請求項1に記載のポリペプチド又はその部分断片の存在を確認する工程を含む、生体から分離された生物学的試料を用いた多包条虫の検出方法。

【請求項12】
請求項9に記載の抗体を用いて請求項1に記載のポリペプチド又はその部分断片の存在を確認する、請求項11に記載の方法。

【請求項13】
請求項1に記載のポリペプチドをコードする核酸の存在を確認する工程を含む、生体から分離された生物学的試料における多包条虫の検出方法。
産業区分
  • 微生物工業
  • 有機化合物
  • 薬品
  • 治療衛生
  • 試験、検査
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 権利存続中
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