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新規水草根圏微生物

国内特許コード P09A015110
整理番号 P2007-250-JP01
掲載日 2010年2月19日
出願番号 特願2008-099213
公開番号 特開2009-247279
登録番号 特許第5303176号
出願日 平成20年4月7日(2008.4.7)
公開日 平成21年10月29日(2009.10.29)
登録日 平成25年6月28日(2013.6.28)
発明者
  • 森川 正章
  • 鷲尾 健司
  • 山賀 文子
出願人
  • 国立大学法人北海道大学
発明の名称 新規水草根圏微生物
発明の概要


【課題】 芳香族系の有機汚染物質の浄化能を有する微生物、特にファイトレメディエーションによる環境中の有機汚染物質の浄化に利用可能な微生物を提供することを目的とする。
【解決手段】 水酸基を有する単環式芳香族化合物又は芳香族環の開裂反応によって芳香族環上に水酸基が生じる多環式芳香族化合物に対して分解能を有する、アシネトバクター(Acinetobacter)属微生物。本発明は、自然界に全く無害の微生物を用いて、フェノール等の環境汚染物質を浄化することができる。特に本発明の生物製剤は、環境中、特に湖沼や河川に漏出したフェノール等の環境汚染物質を、汚染された水等を回収することなく、自然環境の中で効率的かつ極めて安価に処理することができる。
【選択図】 なし

従来技術、競合技術の概要


フェノールやナフタレンは、消毒剤、防腐剤、防虫剤、染料中間体として用いられる他、合成樹脂、染料、爆薬、可塑剤、界面活性剤の製造原料として重要な芳香族化合物である。これらはいずれも生物に対する毒性が強く、工場等からの外部への流出は、深刻な環境汚染を引き起こすおそれがある。



そのため、例えばフェノール排出基準は、下水道法や水質汚濁防止法などで5mg/Lと定められており、化学工業等の製造過程において生じるフェノール性化合物を含む廃水を処理する方法として、焼却法、蒸留回収法、活性汚泥法等が実施されている。



上記の処理方法は、主として、工場等の排水が発生する施設の内部で実施されることを目的として開発された方法である。そのため、施設の外部、例えば土壌、河川、湖沼などのオープンな環境に漏出してしまったフェノール等の環境汚染源を、上記の方法で処理することは事実上不可能である。



こうした環境中に漏出してしまった汚染源を物理的又は化学的に回収あるいは分解するのは容易なことではないことから、植物や微生物を用いた生物学的な浄化技術が、環境中の汚染物質の除去方法として利用されている。特に植物の有機化合物の吸収能ならびに代謝能を利用した環境汚染源を浄化する技術は、一般にファイトレメディエーションと呼ばれる。この技術は、植物が自身の栄養源として利用する窒素、リンの除去や、植物体内への吸収、蓄積を利用した重金属の除去に対して、特に優れている。



植物を利用する環境浄化技術の最大のメリットは、太陽エネルギーを利用する経済性及び環境適合性という点であり、受動(パッシブ)システムとしてホテイアオイやヨシなどの植物が広く活用されている。しかし、植物による有機化合物等の環境汚染源の回収、除去反応は一般に長時間を要することから、効率的であるとは言い難い。



この問題を解消する方法として、植物と共存することができ、それ自体が環境浄化作用を有する微生物を組み合わせてファイトレメディエーションの効率を高める方法が提唱されている。その代表例が、植物の根の周囲における微生物と植物の共生関係を利用した、根圏浄化 (Rhizoremediation)と呼ばれる環境浄化技術である。



例えば、原油汚染砂漠における土着植物と原油分解微生物との組み合わせによって、当該土着植物の根周辺の原油の除去が行われた例がある(非特許文献1)。



また、水生植物の根圏微生物について、植物と根圏微生物の共存下では芳香族化合物の分解能が向上することが報告されている(非特許文献2)

【非特許文献1】Samir Radwanら、Nature、1995年、 第376巻、第6538号-302頁

【非特許文献2】Toyamaら、J.Biosci.Bioeng.、2006年、第101巻、第4号、346-353頁

産業上の利用分野


本発明は、水酸基を有する単環式芳香族化合物又は芳香族環の開裂反応によって芳香族環上に水酸基が生じる多環式芳香族化合物に対して分解能を有し、ウキクサの根に対して付着能を有するアシネトバクター(Acinetobacter)属微生物、及び当該微生物を用いて、水酸基を有する単環式芳香族化合物又は芳香族環の開裂反応によって芳香族環上に水酸基が生じる多環式芳香族化合物によって汚染された水又は土壌の浄化方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
受託番号NITE P-523として受託された、アシネトバクター エスピー(Acinetovacter sp)P23株

【請求項2】
請求項1に記載のアシネトバクター エスピー(Acinetovacter sp)P23株を含む、水酸基を有する単環式芳香族化合物又は芳香族環の開裂反応によって芳香族環上に水酸基が生じる多環式芳香族化合物を分解処理するための生物製剤。

【請求項3】
請求項1に記載のアシネトバクター エスピー(Acinetovacter sp)P23株とウキクサ科(Lemnaceae)植物とからなる、水酸基を有する単環式芳香族化合物又は芳香族環の開裂反応によって芳香族環上に水酸基が生じる多環式芳香族化合物を分解処理するための生物製剤。

【請求項4】
ウキクサ科植物がアオウキクサ(Lemna perpusilla)又はウキクサ(Spirodela polyrrhiza)である、請求項に記載の生物製剤

【請求項5】
請求項1に記載のアシネトバクター エスピー(Acinetovacter sp)P23株と水酸基を有する単環式芳香族化合物若しくは芳香族環の開裂反応によって芳香族環上に水酸基が生じる多環式芳香族化合物によって汚染された水若しくは土壌とを接触させる工程a)を含む、前記汚染された水若しくは土壌に含まれる水酸基を有する単環式芳香族化合物若しくは芳香族環の開裂反応によって芳香族環上に水酸基が生じる多環式芳香族化合物を分解除去する方法。

【請求項6】
工程a)が、前記汚染された水若しくは土壌に請求項2~4の何れかに記載の生物製剤を投与することで、アシネトバクター エスピー(Acinetovacter sp)P23株と水酸基を有する単環式芳香族化合物若しくは芳香族環の開裂反応によって芳香族環上に水酸基が生じる多環式芳香族化合物によって汚染された水若しくは土壌とを接触させる工程である、請求項に記載の方法。

【請求項7】
請求項1に記載のアシネトバクター エスピー(Acinetovacter sp)P23株と水酸基を有する単環式芳香族化合物若しくは芳香族環の開裂反応によって芳香族環上に水酸基が生じる多環式芳香族化合物によって汚染された水若しくは土壌とを接触させる工程a)、及び前記汚染された水若しくは土壌に含まれる水酸基を有する単環式芳香族化合物若しくは芳香族環の開裂反応によって芳香族環上に水酸基が生じる多環式芳香族化合物を分解除去する工程b)を含む、前記汚染された水若しくは土壌の浄化方法。

【請求項8】
工程a)が、前記汚染された水若しくは土壌に請求項2~4の何れかに記載の生物製剤を投与することで、アシネトバクター エスピー(Acinetovacter sp)P23株と水酸基を有する単環式芳香族化合物若しくは芳香族環の開裂反応によって芳香族環上に水酸基が生じる多環式芳香族化合物によって汚染された水若しくは土壌とを接触させる工程である、請求項に記載の浄化方法。
産業区分
  • 微生物工業
  • 農林
  • 処理操作
  • 衛生設備
  • 廃水処理
  • 廃棄物処理
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 権利存続中
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