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高度安全性痘瘡ワクチンウイルスおよびワクシニアウイルスベクター

国内特許コード P09S000318
整理番号 J2009-021-JP01
掲載日 2010年2月19日
出願番号 特願2005-511272
登録番号 特許第4719855号
出願日 平成15年12月5日(2003.12.5)
登録日 平成23年4月15日(2011.4.15)
国際出願番号 JP2003015632
国際公開番号 WO2005054451
国際出願日 平成15年12月5日(2003.12.5)
国際公開日 平成17年6月16日(2005.6.16)
発明者
  • 志田 壽利
  • 木所 稔
出願人
  • 国立大学法人北海道大学
発明の名称 高度安全性痘瘡ワクチンウイルスおよびワクシニアウイルスベクター
発明の概要

リバージョン(先祖帰り)を起こしにくいワクチン株を作出し、より安全性の高い痘瘡ワクチンを提供することを目的とする。本ワクチンウイルスは、ワクシニアウイルス株LC16m8株またはLC16mO株のB5R遺伝子の一部または全部を欠失しており、正常な機能を有するB5R遺伝子産物を産生しない。本ワクチンウイルスは、痘瘡ワクチンとして、また外来遺伝子を発現し得るベクターとして使用可能である。そして、復帰突然変異により正常機能を有するB5R遺伝子産物を産生しない痘瘡ワクチンおよびワクシニアウイルスベクターを提供する。

従来技術、競合技術の概要

痘瘡ワクチンはかつて全世界で使用され、天然痘の撲滅に貢献した。しかし、当時のワクチン株はいずれも、1)種痘後脳炎のような重篤な副作用を引き起こすこと、2)ワクチンの生産はウイルスを牛の皮膚に接種し、できた膿瘍から取り出すという原始的な手法によっており、無菌性を保証することが容易ではない、という問題点を持っていた。千葉県血清研究所の橋爪らはこのような問題点を解決するために、当時世界中で用いられていた痘苗株の中で比較的副作用が少ないとされていたLister株を初代ウサギ腎臓細胞(PRK)に30℃で継代培養し、その中から、40.8℃以上では増殖しない温度感受性株としてLC16株を樹立した。LC16株はサルの中枢神経系に対する病原性が、親株のLister株や当時ワクチンに使用されていた他の株に比べ大きく減弱していたが、ウサギの皮膚での増殖性はむしろ亢進していることが判明した。そこでさらにPRKでの継代を重ね、より小さなポックを形成するLC16mO株(以下mO株と称することもある)を選択した。mO株は約1000人に接種された。しかしmO株でも皮膚での反応がまだ強かったために、mO株からさらにポックサイズが小さい株としてLC16m8株(以下m8株と称することもある)が樹立された(橋爪 壮、臨床とウイルス Vo.3 No.3 昭和50年7月1日)。m8株は、1974年から1975年にかけて10万人の子供に接種されたが、重篤な副反応は報告されなかったことから、従来のワクチン株に比較して高い安全性が証明され、正式なワクチン株として厚生省から認可された。mO株と比較すると、m8株は皮膚増殖能が弱いにもかかわらず抗体誘導能は親株のLister株とほぼ同程度であり、また安全性では明らかに優れていた。この株はウサギ腎臓の初代培養細胞を用いた無菌的な組織培養によって製造できる点も大きな改善点であった。しかし、m8株を用いた応用研究と平成13年度の千葉県血清研究所における実製造の経験から、m8株の培養過程でラージプラークを形成するリバータント(復帰突然変異体)が出現することが明らかになった。リバータントはプラーク純化したm8からも出現することから、リバータントウイルスの出現はm8株の避けがたい性質であり、リバータントの性状はmO株に酷似し、皮膚での増殖能が昂進していることから、リバータントの混入はワクチンの安全性に懸念を生じかねないことが判明した。
また、ワクシニアウイルスは、広い宿主域と高い発現効率を有しているという理由で、他の外来遺伝子を導入し、ベクターとして用いられていた(特表平11-509091)。前述のLC16mO株やLC16m8株もその高い安全性から、ベクターとしての使用について検討されていた。
しかし、上述のようにLC16mO株は皮膚増殖性の面で問題があり、LC16m8株はリバータントの出現という問題があったので、痘瘡ワクチン株あるいはベクターウイルスとしてより安全性の高いウイルス株を作出する必要性があった。

産業上の利用分野

本発明は、新規なワクシニアウイルスおよびウイルスベクターに関するものである。具体的には、リバージョン(復帰突然変異または先祖帰り)を起こしやすい弱毒痘瘡ワクシニアウイルスLC16m8株およびその親株LC16mO株から、リバージョンに関わる遺伝子を除去することによりリバージョンを起こしにくくした、遺伝的に安定でより安全なワクシニアウイルスおよびワクシニアウイルスベクターに関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】 ワクシニアウイルス株LC16株、LC16m8株またはLC16mO株のB5R遺伝子の膜貫通ドメインが欠失しており、正常な機能を有するB5R遺伝子産物を産生しないワクシニアウイルスであって、正常な機能を有するB5R遺伝子産物の産生を引き起こす復帰突然変異を起こしにくいワクシニアウイルス。
【請求項2】 B5R遺伝子を完全に欠失している、請求項1に記載のワクシニアウイルス。
【請求項3】 RK13細胞に感染させたときのプラークサイズおよびウサギに投与したときの皮下増殖性がLC16m8株と同等である請求項1または2に記載のワクシニアウイルス。
【請求項4】 B5R遺伝子の膜貫通ドメインが欠失し、該B5R遺伝子の上流にプロモーターが連結され、B5R遺伝子の一部が発現するが、該発現産物はB5R遺伝子発現産物の正常な機能を失っている、請求項1記載のワクシニアウイルス。
【請求項5】 プロモーターがPSFJ1-10、PSFJ2-16または他のポックスウイルス用高発現プロモーターである、請求項記載のワクシニアウイルス。
【請求項6】 請求項1からのいずれか1項に記載のワクシニアウイルスを含む痘瘡ワクチン医薬組成物。
【請求項7】 ワクシニアウイルス株LC16株、LC16m8株またはLC16mO株のB5R遺伝子の膜貫通ドメインが欠失しており、正常な機能を有するB5R遺伝子産物を産生しないワクシニアウイルスベクターであって、正常な機能を有するB5R遺伝子産物の産生を引き起こす復帰突然変異を起こしにくいワクシニアウイルスベクター。
【請求項8】 B5R遺伝子を完全に欠失している、請求項に記載のワクシニアウイルスベクター。
【請求項9】 ウサギ腎臓細胞に感染させたときのプラークサイズおよびウサギに投与したときの皮下増殖性がLC16m8株と同等である請求項またはに記載のワクシニアウイルスベクター。
【請求項10】 B5R遺伝子の膜貫通ドメインが欠失し、該B5R遺伝子の上流にプロモーターが連結され、B5R遺伝子の一部が発現するが、該発現産物はB5R遺伝子発現産物の正常な機能を失っている、請求項記載のワクシニアウイルスベクター。
【請求項11】 プロモーターがPSFJ1-10、PSFJ2-16または他のポックスウイルス用高発現プロモーターである、請求項10記載のワクシニアウイルスベクター。
【請求項12】 外来遺伝子を含む請求項から11のいずれか1項に記載のワクシニアウイルスベクター。
【請求項13】 外来遺伝子がウイルス、細菌、原虫または癌の抗原である請求項12記載のワクシニアウイルスベクター。
【請求項14】 請求項13記載のワクシニアウイルスベクターを含む、ウイルス、細菌、原虫または癌用ワクチンウイルス医薬組成物。
産業区分
  • 微生物工業
  • 薬品
  • 薬品
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 権利存続中
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